Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

人形裁判 ~ 人の形達の思い ~

2007/04/29 22:04:15
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「はぁ、酷い目にあったわ…霊夢に魔理沙、更に紅魔館のメイド長だったかしら」

ここは魔法の森にあるマーガトロイド邸…七色の人形遣い アリス・マーガトロイドの住む家
春を取り戻そうとしてる三人を面白半分に道を阻んだところコテンパンにされてしまった
…で、今は自宅に戻って人形達の修復…主に破れた服の修繕をしている最中だった

「霊夢には忘れられるし、魔理沙には異常な人間、メイド長には悩みがないとか言われるし…
ねぇ上海、私の気持ち分かる?…って言っても、人形なんかに分からないわよねぇ」

アリスはそんな風に呟きながら戦いで破れた上海人形の服を修繕している
そして、「これで終わり」と言って直した上海人形を他の人形達と一緒にテーブルに置いて背伸びをした
人形遣いなだけに戦闘中に使う人形も多い…そして、修復する人形も多くなる
その為、修復作業は骨が折れる作業で疲れるのも当然である

「一通り修復作業も終わったことだし…おやすみ」

そう言って、アリスは寝室に戻って夢の世界に浸かっていった…







「…さい…きなさい…起きなさい」
「…う…うーん…あれ?」

アリスは誰かの声に気付いて寝ぼけ眼で周りを見渡すと何か異変に気付いた
…アリスの目に入ったのは自分の部屋ではない何処かであった
そして、声のした方を見ると…そこにいたのは

「…蓬莱?」

アリスが使う人形の一つ…蓬莱人形だった
そして、アリスは徐々に目を覚まして行き、それに連れて色々な事に気付いた

まず、アリスは何故か知らないが手に手錠を掛けられていた
少なくとも、スペルカードを取り出したり出来ないの…何があっても抵抗出来ない

次に気づいたことはベッドで寝ていたはずなのに何故か立ったまま寝ていたこと
寝ぼけて何処かを徘徊したのだろうと思っていたが、それはすぐに否定された…ここは自分の家じゃない事に気づいた
アリスが今いる場所は自分の家の寝室ではなく…裁判所の法廷だった
見回せば傍聴席にいるのはアリスの人形達…人は一人もいない
検察側には仏蘭西人形を始めとする今日のスペルカード戦で使った人形達が何人かいた
一方、弁護席には誰もいない空席、裁判長の席にいたのは蓬莱人形…アリスは「何のつもりかしら」と思っていた時に気付いた

…自分の席が被告人席だと言う事を…

「これより、人形裁判を始める」…裁判長の蓬莱人形が静かにそう告げた







「ちょっと蓬莱!これは一体何の真似よ!」

何の前触れも無く、冗談にしては度が過ぎてるこの行為にアリスは叫んだ
だが、蓬莱人形は冷静に「静粛に」と言うだけで聞く耳を持たない
そして、検察側の人形達がアリスに問いかけた

「アリス、貴方は私達人形を何とお思いですか?」
「な、何って…人形は人形よ」
「では、その人形とはどの様な用途なのかしら?」
「そんなの人それぞれじゃない。これと言って正しい使い方なんて無いわ」
「へ~…でも、私達を武器として扱うなんて間違いじゃないのかしら?」
「べ、別に良いじゃない。貴方達は私の人形なんだから」

どの人形だろうか、皮肉っぽく問いかけるとアリスは何処か慌てて答えた…
すると、傍聴席の人形達からアリスへ罵詈雑言を一斉に浴びせる
勿論、蓬莱人形が「静粛に」と言って鎮めようとするが騒がしさは一向に止まないので今度は怒鳴り声で「静粛に!」と言ってやっと止んだ
そして、静まったところで検察側の人形が再び問いかけを始める

「アリス、貴方は私達に意志も感情も無いと思っていませんか?単なる操り人形と思ってませんか?」
「貴方達は自分自身では何も出来ない、だから私が魔力の糸で貴方達を動かしてるんじゃない
そんな貴方達に意志も感情も…ちょっと待って?」

アリスの意思で魔力の糸を操って人形を動かしている…アリスが人形に指図をしない限り逆らう事は無い
だが、現に人形達はアリスに逆らっている…人形自らの意思で動いている
そして…喋れるはずのない人形達が喋っている

アリスにとって考えられないことが目の前で起きていることに気付いた

「東の国では長年の歳月を越えたモノには九十九神が宿るとの言い伝えがある…私達はそれに似てる」
「アリス、貴方は捨てられてる私達を拾ってきたんですよね…作って真新しい人形もあれば長年の歳月を超えた人形もいる」
「そんな私達には九十九神ではないが魂が宿った…喜怒哀楽などの感情も持っている、だから痛みとかも知ってる」
「なのに、貴方は私達に感情も何もないと思ってるから道具として平然と使ってきた」
「私達は感情を持っている…痛いし辛い、ましてや壊されるのも怖い」
「アリスは良くやってたよね…ピンチになると私達を媒体にして魔力を注ぎ込んで爆発させる。幾ら壊れない程度だからって全身が痛いんだから…」

検察側の人形達が次から次へと語り出す…アリスの知らない真実を
そして、アリスはただならぬ気配を感じて辺りを見回すと…人形達が一斉に睨んでいた
それは、今まで耐えていた恨みや怒りを一斉に向けてるようだった
だが、アリスはそれに怯まず人形達に聞いた

「そんなに私を恨んでるなら私に何を望むの?道具としての扱いを解放して欲しいなら今すぐだってしてあげるわ」
「アリス…貴方には私達人形が受けた苦しみを受けて貰うわ。幾多もの人形達が苦しみ、そして壊れた人形達の無念を晴らす為にも」

…それは、即ち死に直結する事は容易に想像出来た
傍聴席にいる人形達からただならぬ殺気が沸いてる事にも気付いた
そして、蓬莱人形が判決…死刑宣告を言い渡そうとしたその瞬間、「待って下さい!」とどこからが声がした
振り向いた先には…深紅のドレスに紅いリボンを付けたあの上海人形がいた

「その判決、待ってくれませんか!」
「しゃ、上海!?」
「…アリス、遅れてごめんね。居場所を突き止めるのに時間が掛かっちゃった」
「あら、貴方はアリスのお気に入りの上海人形…今更何をしに来たのですか?」
「貴方達は自分達の考えしか述べてない…全ての人形達がそう思ってるのとお思いですか?」
「ふーん…今頃になって法廷に乱入してきた貴方は違うのかしら?」
「ええ…裁判長、法廷に乱入した私ですが被告人の弁護を認めさせてください」
「…許可します」

検察側の人形達が次々と皮肉めいた非難をするが上海は怯まない
そして、発言権を得た上海はアリスの弁護を始める

「私達は魔法の森に捨てられていたところをアリスに拾われた…それくらい覚えてますよね」
「ええ…今思えば拾われなければ悲惨な運命なんて辿らなかったのに」
「皆さんはそう言いますけど…魔法の森は湿度が高くて放置されたままだと痛んでしまいます」
「そ…それが何というんですか。戦いで壊されるよりはマシです」
「アリスは私達が痛まないように定期的に手入れをしてくれていました。
戦いの後も休まず修復してくれましたし…壊れてしまった人形達もちゃんと供養していました」
「直してくれたり供養して貰ったからってそれが何です?」
「まだ分からないんですか!アリスは私達を大事にしてくれたんですよ。私達を愛してくれたんですよ」
「貴方は自分がアリスのお気に入りだからそう思いこんでるのよ…所詮アリスは蒐集家、蒐集した人形達を大切に保管するのは当然の事よ」
「ですが…「もう良いわ、上海…」」

上海人形も検察側の人形達が言い争って一歩も退かない中、聞くだけだったアリスが口を開いた

「確かに、私は上海の言う通り貴方達を愛してきたつもり…だけど、貴方達はそう思わなかった
人形をあんな使い方をしたんから当然よね…私だってされたら良い思いなんてしない」

そして、アリスはこう告げた…「私に罪に相応する罰を与えなさい」
そう言われると傍聴席の人形達は一斉に武器を持って立ち上がりアリスに襲いかかった
蓬莱人形が制止を呼びかけるが全く聞かない…それどころか、検察側の人形達もアリスに襲いかかる
そして死を覚悟したとき、目の前に上海人形が飛び出し…







「上海!何で私の身代わ…り…って、夢!?」

先程までの出来事は全てアリスの夢…人形達が自分の意思で動いてたのも喋っていたのも全て夢
アリスは軽く辺りを見回して自分の部屋のベッドで寝ていたことを確認するとホッと一息した

「だけど、随分シリアスな夢だったわねぇ…でも、人形達はそう思ってるのかも知れないわ
もっと人形達を大切にしなきゃ…そして、私のために戦ってる人形達に感謝しなくちゃ」

そして、再び顔を上げたとき…上海人形がアリスの顔をのぞき込んでいた
表情は変わらないのでよく分からないが、どことなく心配そうな顔をしていた
アリスはそんな上海人形の頭を撫でて「大丈夫よ」と言ったら人形達の元へ戻っていった

そこで気付いた…アリスは別に上海人形を呼んだわけじゃないのにアリスの部屋へ来ていた
「人形達は私の知らない進化しているかもしれない…」…アリスはそう思っていた







「上海、アリスの様子はどうだった?」
「「大丈夫よ」って言ってたから心配ないです。だからみんなも安心して下さい」
「アリスったら突然悲鳴なんて上げちゃって…悪い夢でも見ていたのでしょうか?」
「多分そうでしょう…夢ばかりはどうにもなりませんからね」
「でも、悪い奴等が現れたら私達が一致団結して追い返しましょ」
「森に捨てられてた私達を拾ってくれて、いつも手入れをしてくれてるんですから…今度は私達がアリスを助ける番です」
「…あ、アリスが来たから静かに」


「さっきまで何か話し声が聞こえたけど…空耳だったかしら?」


アリスの愛情を受けた人形達はアリスの知らないところで進化していた
アリスが魔力の糸で操らなくとも勝手に動くことが出来る…それは主人へ逆らも可能と言うことである
だが、人形達はその力を主人への恩返しとして使うことを誓っていた
初めまして、咎人と申します
いつの日か、人形裁判を聞いてて「アリスは人形達をどういう気持ちで使ってるのだろうか」と思ったのがキッカケでした
書こうと思いつつ、文才がないので躊躇い…それを数週間繰り返して思い切って書いてみました
と言っても、文の区切り方とか色々と問題がありますし、投稿して良かったのかと未だに疑問…
そして、『人形裁判』という余りにもありふれたタイトルでは確実に重複するので蛇足のようなサブタイトルを…しかも、意味もなく迷ってるし

さて、時間的には妖々夢のステージ3の後なんですが…何をキッカケにするべきか思いつかなかっただけです(オイ…)
その為かアーティフルサクリファイス(永夜抄・萃夢想)も出てきたり…
そのクセ、裁判長として適役な四季映姫やメディスンを『一応、時間的に妖々夢だから』という理由で起用しなかったり
…それ以前に、花映塚に参戦してないアリスがこの二人を見ても最初の一言が「貴方、誰?」な展開で始まるからまた面倒になるし…

そうそう、夢の中での裁判に関しては殆どが適当です…検察は何人とかツッコミはナシで
ちなみに、検察側の人形は上海と蓬莱を除くスペカの人形七体です(仏蘭西・オルレアン・和蘭・露西亜・倫敦・西蔵・京)
で、一人一人性格や特徴を決めてるワケじゃないので一纏めに…


最後に、お気付きでしょうが…途中で台詞に若干の矛盾が発生していてます
そして、それが最大の悩みです…書き終わった後に悩んだ結果、このままにしましたが
最初は道具としてしか見てないように思わせるような台詞を言ったのに、後半では人形を愛してるような台詞
私としては「アリスは人形を愛してるのも事実、だけど道具として使ってるのも事実」と捉えてくれれば…
自分自身、答えがハッキリしてないのでどうしても矛盾が避けられないんですよ…言い訳に過ぎませんけど
咎人
コメント



1.名無し妖怪削除
道具として見ることと愛することとは反しませんので大丈夫。
“道具を愛する模様”には二種類あります。
「手入れしつつ使い続ける」ことと
「ケースに入れてしまい続ける」ことです。
アリスは前者なのでしょう。