「ねえ、咲夜さん」
「なあに美鈴?」
「咲夜さん、何で目の色変わるんです?」
休憩中、不意に美鈴は話しかけた。
「何? いきなり、どうしたの」
「いや、前はよく変わってたのに、最近変わらないなあ、と思って」
「あら、そんなに変わってたかしら?」
変わってましたよ、特にナイフ振るときは。
口には出さずに、心の中で答える。
目つき手つきを目の前で見ていた美鈴はよく覚えている。
あれは自分の血が目に入ったからじゃなく、確実に目の色が変わっていた。
「いえ、私アルビノなのよ。」
なんと。
そういえば顔つきは日本人なのに全体的に色が薄い。
なるほど、確かにこれはアルビノかもしれない。
白髪は苦労しているからではなかったのか。
美鈴は心の中で思った。言えば確実にナイフが飛んでくるだろうからだ。
「だから銀髪で、肌の色もお嬢様みたいに真っ白なのよ」
「へー。で、目の色は?」
「アルビノは黒目の色素も作られないらしいのよ。だから元は赤いの」
「でも、今は黒いですよね?」
「ええ、コンタクトレンズ入れてるもの」
コンタクトレンズ
>視力矯正装具
>目の中に入れて使う
>外の世界の道具
「咲夜さん、目悪かったんですか?」
「ん、まあすこしね」
「でもそんなの何処から…」
「永遠亭よ」
なるほど。あそこの薬師は腕がいいというし、
それになんだかよくわからない、外の機械も使っているという。
なら、コンタクトレンズもあるのだろう。
「今までは空間いじって色を変えていたんだけれどもね、たまに変わってないときもあったのよ。
でもコンタクトだとそういうこともないし。それで減ったのかしらね」
「ふーん。でもなんで目の色なんて変えてたんです? 青とか緑もここじゃ珍しくないのに」
咲夜は話しにくそうに目を地面に向け、手を首に当てる。
「まあ……いじめられてたのよ。小学校の2年だから…8歳くらいの頃ね」
いじめられていた。
今の身分を考えると衝撃的ではあるが、まあわかる。
小学校はわからないが、8歳くらいなら自分と違うものにはそうした態度をとるだろう。
「まあ、直に治まっていったんだけれどもね」
「よかったじゃないですか」
「ええ。まあ、治まったというか治めたんだけれども」
わーさすがさくやさんだー。
と思うが、まあちょっとしたことで力関係なんてがらっと変わるし、
そんなものなのだろう。人間の子供社会のことなどよく知らないが。
「でもびっくりしたわ。まさかあんなところに居るだなんて」
「?」
「いえね。あの永遠亭の薬師がいじめっ子の筆頭だったのよ」
「!」
「まあ、仕返しはしたけどね」
「……それは…また…」
子供なのに報復―!
恐ろしい子!
「あれ? うん?」
「? どうしたの美鈴?」
「いえ、誰か来たみたいなので。ちょっと行ってきますね」
「そう。お仕事頑張ってね」
危なかった。思わず口にしてしまうところだった。
いじめっ子というからには同じ学校の生徒だったのだろう。
なら咲夜さんと歳が大きく違うということはないだろう。
そしてあの薬師は何万年何億年と生きているらしい。
ならば。
ならば咲夜さん。あなたはいったい何歳なんですか?
危なかった。聞けば針山程度ではすまないかもしれない。
あれは恐ろしかった。もう二度と喰らいたくはないものだ。
あれに比べれば、目の前のきらめく雨なn……
「なあに美鈴?」
「咲夜さん、何で目の色変わるんです?」
休憩中、不意に美鈴は話しかけた。
「何? いきなり、どうしたの」
「いや、前はよく変わってたのに、最近変わらないなあ、と思って」
「あら、そんなに変わってたかしら?」
変わってましたよ、特にナイフ振るときは。
口には出さずに、心の中で答える。
目つき手つきを目の前で見ていた美鈴はよく覚えている。
あれは自分の血が目に入ったからじゃなく、確実に目の色が変わっていた。
「いえ、私アルビノなのよ。」
なんと。
そういえば顔つきは日本人なのに全体的に色が薄い。
なるほど、確かにこれはアルビノかもしれない。
白髪は苦労しているからではなかったのか。
美鈴は心の中で思った。言えば確実にナイフが飛んでくるだろうからだ。
「だから銀髪で、肌の色もお嬢様みたいに真っ白なのよ」
「へー。で、目の色は?」
「アルビノは黒目の色素も作られないらしいのよ。だから元は赤いの」
「でも、今は黒いですよね?」
「ええ、コンタクトレンズ入れてるもの」
コンタクトレンズ
>視力矯正装具
>目の中に入れて使う
>外の世界の道具
「咲夜さん、目悪かったんですか?」
「ん、まあすこしね」
「でもそんなの何処から…」
「永遠亭よ」
なるほど。あそこの薬師は腕がいいというし、
それになんだかよくわからない、外の機械も使っているという。
なら、コンタクトレンズもあるのだろう。
「今までは空間いじって色を変えていたんだけれどもね、たまに変わってないときもあったのよ。
でもコンタクトだとそういうこともないし。それで減ったのかしらね」
「ふーん。でもなんで目の色なんて変えてたんです? 青とか緑もここじゃ珍しくないのに」
咲夜は話しにくそうに目を地面に向け、手を首に当てる。
「まあ……いじめられてたのよ。小学校の2年だから…8歳くらいの頃ね」
いじめられていた。
今の身分を考えると衝撃的ではあるが、まあわかる。
小学校はわからないが、8歳くらいなら自分と違うものにはそうした態度をとるだろう。
「まあ、直に治まっていったんだけれどもね」
「よかったじゃないですか」
「ええ。まあ、治まったというか治めたんだけれども」
わーさすがさくやさんだー。
と思うが、まあちょっとしたことで力関係なんてがらっと変わるし、
そんなものなのだろう。人間の子供社会のことなどよく知らないが。
「でもびっくりしたわ。まさかあんなところに居るだなんて」
「?」
「いえね。あの永遠亭の薬師がいじめっ子の筆頭だったのよ」
「!」
「まあ、仕返しはしたけどね」
「……それは…また…」
子供なのに報復―!
恐ろしい子!
「あれ? うん?」
「? どうしたの美鈴?」
「いえ、誰か来たみたいなので。ちょっと行ってきますね」
「そう。お仕事頑張ってね」
危なかった。思わず口にしてしまうところだった。
いじめっ子というからには同じ学校の生徒だったのだろう。
なら咲夜さんと歳が大きく違うということはないだろう。
そしてあの薬師は何万年何億年と生きているらしい。
ならば。
ならば咲夜さん。あなたはいったい何歳なんですか?
危なかった。聞けば針山程度ではすまないかもしれない。
あれは恐ろしかった。もう二度と喰らいたくはないものだ。
あれに比べれば、目の前のきらめく雨なn……