Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

飲むなら飲むな

2007/04/03 09:28:04
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 博麗霊夢の朝は早い。
 寝床から起きてまずすることは、廊下で酔いつぶれて寝ている鬼を蹴飛ばすことから始まる。
「昇天蹴!」
 小足払いから昇天蹴余裕でした。
「ちょっと痛いじゃないの。何すんのよ霊夢」
「何もどうもないでしょ、毎朝毎朝泥酔して帰って来る分際で人権があるとでも思ってんの?」
「私は鬼だよ」
 パスウェイジョンニードル。
「毎朝泥酔して帰って来る私がわるうございます」
 即土下座。
「今晩こそはほろ酔い程度で帰宅すると天地神明にかけて誓う所存でございます」
「よろしい」
 とまぁそんなやりとりがあったのだが。
「萃香~、藍が料理作りすぎちゃったんだけど一緒に飲まない?」
「飲む飲む!」
 と、八雲紫の甘言に乗り、深夜に霊夢の家へ帰宅するころには酷く泥酔しているのだった。
 千鳥足でふらふらと境内の階段を上る。
「ひっく、うぃ~。酔ってない!酔ってないよ!ほろ酔いだよ!」
 鬼は嘘がつけない。それが客観的にか主観的にかはわからないが、そこらへんの線引きはどうにもアバウトなようだ。
 千鳥足で階段を登る。時折、足を踏み外しそうになっては慌ててバランスを取る。
「ううう、紫め~。まさかあんなハイペースで飲むなんて……。あいつあんなに強かったっけ……」
 紫の家での酒宴は早々に藍の料理を食いつくし、少ないツマミで延々と飲み続けていたのだった。
 酒のあてもなく飲み続けるという行為がどれだけ危険かは、酒を嗜んだことのある諸兄には周知の事実だろう。
 そして萃香も例外に漏れず、延々と酒だけを摂り続け現在に至る。一緒に飲んでいた紫は萃香が帰る時点ですでに昏倒している。
 萃香も藍に心配されながらも、ここまで戻ってきたのだがそろそろ限界に近い。
 疎と密の能力で酒気を飛ばせばいいようなものだが、酒好きの萃香にそんなことができるはずもなかった。
「はー、よっこいせっと」
 ババむさいセリフを吐いて、階段に座り込む。酔った体で百を超える博麗神社の階段を登るのは至難の技だった。
 胃が重い。揺れる視界。気を抜けばヤってしまいそうだった。
「鬼がこの程度で……うぐ……メルトダウンするわけには……うぅ」
 立ち上がり再び歩き出すものの、十段も上らぬうちに再び座り込んでしまった。
「ちょっと、ちょっだけ休憩ね……」
 誰かに言い訳すると、萃香は少しだけ目を瞑った。

……
………
 寒さに震えて目が覚めれば山向こうがうっすらと白んでいた。
 ちょっとのつもりが数時間になってしまったようだ。
「あー、そろそろ戻らないと……」
 多少なりとも酒気は抜けている。再び階段をあがろうと立ち上がった瞬間、
「あれ、あれれれれれれれれれれ~~~」
 酔った足は言うことを聞かず、そのまま階段を転落。
 中ほどの踊り場に叩きつけられる。
「ぎゃぶっ」
 受身すら取れずに叩きつけられる萃香。萃香の内臓は衝撃をモロに食らってしまった。
 その結果。
「う、うええろえろえろえろぇぇえろえろえろえろぇえぇぇぇ」
 倒れた姿勢のまま吐瀉物をその場に撒き散らした。





 博麗霊夢の朝は早い。
 今日もまた寝床から目が覚めると廊下へ出る。
 そこにはいつものよーに萃香が、いつものよーにだらしなく眠っていました。
 でもただ一つ違っていたのは、萃香はゲロまみれだったのです。

「霊符――――夢想――――――封印!」

今日も神社は至って平穏である。
一部ノンフィクション
新角
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コメント



1.nama-hane削除
リアルで恐い!
この手の酔っ払いに巻き込まれるのは嫌ですねぇ。w
2.真十郎削除
こんなリアリティはご勘弁だぁぁ!