あらすじ
こうかはばつぐんだ
-白玉楼階段の奮闘-
がやがや がやがや
私がのんびりとバイト先にたどり着いたときには、もう長蛇の列が出来ていた。
「おお、巫女さんじゃあ」
「素敵な巫女さんのおでましだべぇ」
「もっさもっさしておるのぉ、ばぁさんや」
「もっさもっさしてますねぇ、おじいさん」
「今日もよろしくお願いしますだ」
「ありがたやありがたや」
「はーい、おはよー」
と言っても、そこは幻想郷。
ぎゅうぎゅう詰めってほどじゃないんだけどね。
里の人の挨拶に手を振って挨拶を返し。
私は最近はじめた短期バイトの定位置についた。
のんびりと並んだ里の人が思い思いに話す声。
それがゆるやかに喧騒を奏でている。
あら、なんだか詩的な表現ね。
今日はロマンチックな一日になりそう。
「~~♪」
「あ、わき巫女だー」
「ハクレイドライバー!」
「ぎゃああ!!」
二秒も保ちゃしない。まったく、最近の子ときたら。
こんな可愛い巫女さんをまるで露出狂かなにかみたいに言うんだから。
悪い子にはきちんとお灸をすえておかないとね。
「いい、ボク? 私はわき巫女じゃなくて素敵な巫女さん」
「は、はい……ぐふ」
「分かればよろしい」
うん、今日も元気にハクレイ航空相撲。
気を取り直して、さっさとバイトに戻りましょ。
……あれ? いつの間にか里の人が静かになってる?
まあいいか。バイトバイト、っと。
-彼の世に嬢の門番-
「ハクレイドライバー!」
「ぎゃああ!!」
今日も、石段の下から叫び声が聞こえた。
一日に一回は必ず聞こえてくるんだよな、あれ。
確か私とあの巫女って、警備係として雇われたんじゃなかったっけ?
なんで警備係の渾身の掛け声が聞こえてくるんだ?
「お、おっかぁ。また博麗の巫女さまが暴れてるだよぅ」
「なんまんだむなんまんだぶ」
「大丈夫だぁ、博麗の巫女さまは目を合わせなきゃ襲ってこねぇだよ」
「んだんだぁ。親指を隠してれば大丈夫だぁ」
……なんか巫女としてより怪獣みたいな扱いだな。
まあ、実際怪獣みたいな強さじゃあるんだけど。
「あ、おっとぅ。もこたんだよ」
「おお。妹紅どん」
「もこたんおいすー」
「あはは、おいすー」
列の中の見知った顔に、軽く手を振ってやる。
巫女のことはひとまず置いといて、警備係の仕事に戻ることにした。
白玉楼の立派な構えの門に並ぶ里の人たち。
列は石段の下までゆるやかに続いている。
七日の間、白玉楼はこの列が続き。
毎日訪れる人で、静かな冥界は少しの間、賑やかになる。
「おっとぅ、おっかぁ、元気にしてるだか?」
「ああ、きっと元気にしてるべぇ」
顔見知りの父娘の声を耳にしながら、私は冥界の空を見上げた。
気の早い、早咲きの桜の花びらが、幽雅に舞っていた。
-彼岸蝶-
がやがや がやがや
「今年もお参りに来ただよ、爺様」
「ばあさん、今年も見事な色艶だのう」
「元気そうで何よりですよ、お義母さん」
彼岸の七日の間、白玉楼は顕界の人々で溢れ返る。
それは、亡くなった人たちの霊にお参りに来た里の人々だ。
親しげに幽霊に言葉を交わす人。
無言で幽霊に手を合わせて拝む人。
亡霊としんみりと昔を語らう人。
「あ、おっかぁ! おっかぁ!」
中にはこうして、幽霊に抱きつこうとする子も。
私は一匹の幽霊に駆け寄るその子の肩を、そっと押さえた。
「ダメだよ、幽霊にさわっちゃ。凍傷になっちゃうからね」
「あ、妖夢おねえちゃん」
「おぅーい。どこだ~、花子~?」
その子とはぐれ、探していた父君にその子を預け。
母親の幽霊と語らう父娘の傍から、離れた。
幽霊は話せないので相槌を打つだけだけど。
それだけで、父君も娘さんも、とても嬉しそうだった。
顕界と冥界の結界が緩んでから見られるようになった、彼岸の光景。
顕界の人が直接、冥界に祖先の霊をお参りに来る、騒がしい七日間。
お参りに来る人の数が多くて、巫女や蓬莱人を臨時で警備に雇うことになったり。
ついでに、早咲きの桜を愛でていく人たちとの宴会の準備をしたりしなければいけないけれど。
「妖夢~。お酒の準備はま~だ~?」
「あ、はい、幽々子様。ただいま!」
この光景が、私はたまらなく、大好きだった。
こうかはばつぐんだ
-白玉楼階段の奮闘-
がやがや がやがや
私がのんびりとバイト先にたどり着いたときには、もう長蛇の列が出来ていた。
「おお、巫女さんじゃあ」
「素敵な巫女さんのおでましだべぇ」
「もっさもっさしておるのぉ、ばぁさんや」
「もっさもっさしてますねぇ、おじいさん」
「今日もよろしくお願いしますだ」
「ありがたやありがたや」
「はーい、おはよー」
と言っても、そこは幻想郷。
ぎゅうぎゅう詰めってほどじゃないんだけどね。
里の人の挨拶に手を振って挨拶を返し。
私は最近はじめた短期バイトの定位置についた。
のんびりと並んだ里の人が思い思いに話す声。
それがゆるやかに喧騒を奏でている。
あら、なんだか詩的な表現ね。
今日はロマンチックな一日になりそう。
「~~♪」
「あ、わき巫女だー」
「ハクレイドライバー!」
「ぎゃああ!!」
二秒も保ちゃしない。まったく、最近の子ときたら。
こんな可愛い巫女さんをまるで露出狂かなにかみたいに言うんだから。
悪い子にはきちんとお灸をすえておかないとね。
「いい、ボク? 私はわき巫女じゃなくて素敵な巫女さん」
「は、はい……ぐふ」
「分かればよろしい」
うん、今日も元気にハクレイ航空相撲。
気を取り直して、さっさとバイトに戻りましょ。
……あれ? いつの間にか里の人が静かになってる?
まあいいか。バイトバイト、っと。
-彼の世に嬢の門番-
「ハクレイドライバー!」
「ぎゃああ!!」
今日も、石段の下から叫び声が聞こえた。
一日に一回は必ず聞こえてくるんだよな、あれ。
確か私とあの巫女って、警備係として雇われたんじゃなかったっけ?
なんで警備係の渾身の掛け声が聞こえてくるんだ?
「お、おっかぁ。また博麗の巫女さまが暴れてるだよぅ」
「なんまんだむなんまんだぶ」
「大丈夫だぁ、博麗の巫女さまは目を合わせなきゃ襲ってこねぇだよ」
「んだんだぁ。親指を隠してれば大丈夫だぁ」
……なんか巫女としてより怪獣みたいな扱いだな。
まあ、実際怪獣みたいな強さじゃあるんだけど。
「あ、おっとぅ。もこたんだよ」
「おお。妹紅どん」
「もこたんおいすー」
「あはは、おいすー」
列の中の見知った顔に、軽く手を振ってやる。
巫女のことはひとまず置いといて、警備係の仕事に戻ることにした。
白玉楼の立派な構えの門に並ぶ里の人たち。
列は石段の下までゆるやかに続いている。
七日の間、白玉楼はこの列が続き。
毎日訪れる人で、静かな冥界は少しの間、賑やかになる。
「おっとぅ、おっかぁ、元気にしてるだか?」
「ああ、きっと元気にしてるべぇ」
顔見知りの父娘の声を耳にしながら、私は冥界の空を見上げた。
気の早い、早咲きの桜の花びらが、幽雅に舞っていた。
-彼岸蝶-
がやがや がやがや
「今年もお参りに来ただよ、爺様」
「ばあさん、今年も見事な色艶だのう」
「元気そうで何よりですよ、お義母さん」
彼岸の七日の間、白玉楼は顕界の人々で溢れ返る。
それは、亡くなった人たちの霊にお参りに来た里の人々だ。
親しげに幽霊に言葉を交わす人。
無言で幽霊に手を合わせて拝む人。
亡霊としんみりと昔を語らう人。
「あ、おっかぁ! おっかぁ!」
中にはこうして、幽霊に抱きつこうとする子も。
私は一匹の幽霊に駆け寄るその子の肩を、そっと押さえた。
「ダメだよ、幽霊にさわっちゃ。凍傷になっちゃうからね」
「あ、妖夢おねえちゃん」
「おぅーい。どこだ~、花子~?」
その子とはぐれ、探していた父君にその子を預け。
母親の幽霊と語らう父娘の傍から、離れた。
幽霊は話せないので相槌を打つだけだけど。
それだけで、父君も娘さんも、とても嬉しそうだった。
顕界と冥界の結界が緩んでから見られるようになった、彼岸の光景。
顕界の人が直接、冥界に祖先の霊をお参りに来る、騒がしい七日間。
お参りに来る人の数が多くて、巫女や蓬莱人を臨時で警備に雇うことになったり。
ついでに、早咲きの桜を愛でていく人たちとの宴会の準備をしたりしなければいけないけれど。
「妖夢~。お酒の準備はま~だ~?」
「あ、はい、幽々子様。ただいま!」
この光景が、私はたまらなく、大好きだった。
こんな彼岸参りを、私もしてみたい。
で、ハクレイ航空相撲はまだ続いてるのかそこのwwwwww
しかし里の人間の霊夢に対する反応もどうかとww
その技は子供に使う物ではない(汗
彼岸の光景に涙しました・・・しかし、爽やかさの中にさらりとニヤリと来るネタを持ってこれるのは凄いです。
あらすじが何かなーと思ったらまだブラッキー引っ張ってたんかい!
それと航空相撲。
それにしてもこの霊夢、ノリノリである。