「あら、今日は」
そう声を掛けられてレミリアは顔をしかめた。神社に向う森の上で余り出会いたくない相手に会ってしまった。別に悪魔である自分が恐れるべき相手でも無いだろうとは思うのだが、彼女の能力はどうも自分の能力と相性が悪いようなのだ。
「今日は」
自分に付き従っている咲夜は落ち着いた様子で、その女性、四季映姫に頭を下げる。そうやって居る間も日傘は揺らさない、こう言う細かい気配りをやらせると咲夜に右に出るものは居ない、そう言う所をあの巫女も見習うべきだとも思う、取り敢えず、話を振られて挨拶もしないのはどうかと言う気もするので、当たり障りの無い会話をする事にした。
「今日は何所へ行く気かしら?」
「今日は貴方の屋敷へ向う予定でした」
緊張が走る。つまり偶然会ったのではないと言う事だ。事を構える必要が有るのか?咲夜にさえ分からぬように静かに魔力を滾らせる。こいつの上司である十王は、並の魔王では太刀打ちできない実力がある。自分も最上位の吸血鬼であると自負しているが、向こうは十王並とは行かなくても妖怪の領域を任される閻魔、果たして遣り合ったらどちらが残るのか?
「そう力まなくても大丈夫ですよ、主な目的は図書館の小悪魔さんですから」
気付かれた!?それと同時に予想外の人物が挙がって力が抜けた。小悪魔はそこまで問題になる事をしているとは思えない、強いて言うなら黒白の鼠を通す事ぐらいだろうか?
「貴方も悪魔なら分かるでしょう、悪魔とは恐れられるべき存在で有らねばならぬと
夜の闇と共に舞い降り、偽りの太陽を指し示し、月光の下、人を破滅に導くべき者だと
悪魔の貴族はその威厳を持って、手下はその破壊をもって、道化はその英知を持って、娼婦はその美貌を持って
世に災いをもたらし、死後の審判を助け、魂を永遠の監獄に縛るのです」
ああ、成る程、そっちの方か
「そう、彼女は少々善行を積みすぎる。まあ、貴方に言っても仕方が無いのですけどね」
そう言って、盛大に溜息を付く、
「たまにはお菓子を摘み食いするとか、夜更かしをするとか、せめてそれぐらいはして頂かないと……」
そのレベルさえやっていなかったのか、あの悪魔は、それはそれで大した物である。見習いたくは無いが、と言うか、良くそんなのが地獄で育ったな。
「そう言うわけですから、貴方にも昼間に活動しすぎるとか色々言いたい事が多いのですが、
今度に……いえ、咲夜さんの方は今しておくべきですか」
「またですか?」
「またです」
そう言えばこの二人は何度か会っているらしい、正直な所、私も咲夜が普段善行を積んでいる様に見えない、悪魔である自分と一緒に居ると言うのがその象徴だ。それに……自分に会う前の彼女と言うのは正直な所……あの蓬莱人よりも……さらに……いや、過去の事は何も言うまい、それに、もし過去の事なら前回会った時に言われているはずだ恐らく今の彼女の現状に何か、閻魔としては見過ごせない事がるのだろう、悪魔である私にはどうでも良い事だが、彼女の死後を思うと聴いておくべきか、私が促すとようやく咲夜も聞く気になったようだ。こちらの聞く準備を待ってから説教を始めるとは、珍しい事も有るものである。普段なら巫女並に問答無用で弾幕るのに
「レミリアさん、何か余計な事考えていませんか?」
「いや、別に、それより、まさか咲夜に紅魔館を離れろとか言わないでしょうね?」
「ええ、言いません、生き方と言うのは人それぞれです
ただ、善行を積みにくい環境に有るのは事実でしょうが、それも考慮して裁きますので
特に問題にはなりません、しかし、それを考慮しても少々言っておかないといけない事があります
咲夜さん、貴方は完璧で瀟洒な従者と呼ばれる余り、自分自身でもそれを自負して行動している節が有ります
それだけなら寧ろ褒めてしかるべき事なのですが、貴方の場合はそれが別なところにも働いているようで……
自分のモノを限界以上に良く見せようとしていますね」
まて、幾ら閻魔でも本人の前でそれを言うのか?世の中には暗黙の了解と言う物がある。禁忌というものが存在する。まして、普段空気を読めない代名詞のようなスキマや白黒出でさえ、口にする事は無い物を口に出すのか?いや、流石にそれは在るまい……
「そう、貴方は少しばかり周囲の目を誤魔化しすぎる」
言いやがった!まさか此処まで融通が利かないとは予想外だ。
「周囲の者達はすでに貴方が限界を超えて見せようとしている事に気が付いていますそうであるにも係らず
貴方に気遣い口に出さないようにしている。貴方の主にさえ気を使わせ」
「待て!」
咄嗟に静止の言葉が口に出る。閻魔が口を閉ざし、こちらを見た。咲夜の横顔を盗み見る。その表情は既に手遅れだと言う事を何より雄弁に物語っている。
「閻魔と言えども言って良い事と悪い事は在るのだろう?
お前自身の善行のつもりかも知れんがそれが人を傷つけて何になる?
人間の命は短い、その間に己を磨き、内面外面共に良くなって行くのは当然の事だ
例え、その方向性に誤りがあっても其れをネタに人前で辱める事が有って良い筈が無い
そんな物は下衆のする事だ。人を導く者のする事ではない」
そこまで言ってから閻魔を睨み付ける。
「そうだ、お前は少しばかり状況が読めなさ過ぎる」
結局はこの一言に尽きるのだ。しかし、此れではどちらが閻魔か分かったものではない、少々熱くなった頭を冷ます。
「お前の戯言は一時的に人の行動に影響を与えるのかも知れん
場合によっては其れが運命の分岐点になる奴も居るだろう、だが
その影響力に溺れた所で待つ運命は我が懐かしの地獄だけだ」
閻魔は少し目を瞑ると微笑みと共に目を開いた。
「成る程、確かに行き過ぎた行為だったようです。私もまだまだ未熟だと言う事でしょう」
「それは思っても口に出すな、お前に裁かれる者が哀れになる」
「それも心得ましょう……ですがレミリアさん」
「なんだ?」
「人間は、貴方が思っているほど弱くありませんよ」
「どうだか……ああ、そうだ、館に来るのはまた今度にしてくれないか?」
「分かりました。今日は竹林に行く事にします」
そう言って閻魔は向きを変える……待てよ確か生きている事自体が罪だったな……竹林に住んでいるメンツを思い浮かべて苦笑する。一番若いのは狂気の兎で確定としてもその次があの蓬莱人、そっから先は神話の時代の住人だ、上の二人は一説によると億の大台に乗ったとか。
「先に里に下りて腹ごしらえをして行くと良い」
「お気遣い有難うございます……それにしても……」
別れの言葉に私は2度目の苦笑をする。何を言っているんだこの閻魔は、それにもう問題は別の所にある。そっと咲夜の顔をのぞき見る。どこか虚ろな表情のままこちらを見る。何か言おうと思ったがそれを見ただけで何も言えなくなった。せめてと日傘を強引に受け取る。
「お嬢様……」
「……」
「さっきの話は……本当……ですか?」
本当だ、そう事実を告げる事が出来ずに私は少しの逡巡と共に話し出した。
「パチェ……パチェリー曰、ミスティアとリグルが話題に上げていると、魔理沙が話してきて返答に困った
美鈴曰、チルノがその事に付いて言いそうになったのを大妖精が止めていた
霊夢曰、(あの)幽香が文と萃香にネタにして良い物と悪い物があると説教していた
……まあつまりそう言うことな分けよ」
「……」
言ってから更に酷い事を言ってしまったかも知れないと考え直す。さて、こういう場合はどうすれば良いだろう?
答えは実に簡単だった。
「2日ほど暇をあげる。だから思いっきり休みなさい……そうね、門番にも同じだけあげるわ
それは咲夜から伝えて置くこと、必ずね 返事は?」
「え、あ、有難うございます」
ふらふらと離れていく咲夜を見送って、私は大きな溜息を付いた。これで問題は無い、咲夜の事は門番に任せておけば上手く行く、運命を読まなくても分かるのだからこの二人の関係も相当な物だ。不意に閻魔との別れの言葉が脳裏に過ぎる。
『それにしても……貴方も少々善行をつみ過ぎるようですね』
馬鹿馬鹿しい、頭を軽く振るう、此れぐらい当たり前の事だ。善行の内に入るものではない、霊夢と二人だけの時間を過ごしたいだけなのだ。私は日傘を片手に神社に向って勢い良く羽ばたいた。
「さて、成れるかね、私もあの二人のような関係に……」
そう声を掛けられてレミリアは顔をしかめた。神社に向う森の上で余り出会いたくない相手に会ってしまった。別に悪魔である自分が恐れるべき相手でも無いだろうとは思うのだが、彼女の能力はどうも自分の能力と相性が悪いようなのだ。
「今日は」
自分に付き従っている咲夜は落ち着いた様子で、その女性、四季映姫に頭を下げる。そうやって居る間も日傘は揺らさない、こう言う細かい気配りをやらせると咲夜に右に出るものは居ない、そう言う所をあの巫女も見習うべきだとも思う、取り敢えず、話を振られて挨拶もしないのはどうかと言う気もするので、当たり障りの無い会話をする事にした。
「今日は何所へ行く気かしら?」
「今日は貴方の屋敷へ向う予定でした」
緊張が走る。つまり偶然会ったのではないと言う事だ。事を構える必要が有るのか?咲夜にさえ分からぬように静かに魔力を滾らせる。こいつの上司である十王は、並の魔王では太刀打ちできない実力がある。自分も最上位の吸血鬼であると自負しているが、向こうは十王並とは行かなくても妖怪の領域を任される閻魔、果たして遣り合ったらどちらが残るのか?
「そう力まなくても大丈夫ですよ、主な目的は図書館の小悪魔さんですから」
気付かれた!?それと同時に予想外の人物が挙がって力が抜けた。小悪魔はそこまで問題になる事をしているとは思えない、強いて言うなら黒白の鼠を通す事ぐらいだろうか?
「貴方も悪魔なら分かるでしょう、悪魔とは恐れられるべき存在で有らねばならぬと
夜の闇と共に舞い降り、偽りの太陽を指し示し、月光の下、人を破滅に導くべき者だと
悪魔の貴族はその威厳を持って、手下はその破壊をもって、道化はその英知を持って、娼婦はその美貌を持って
世に災いをもたらし、死後の審判を助け、魂を永遠の監獄に縛るのです」
ああ、成る程、そっちの方か
「そう、彼女は少々善行を積みすぎる。まあ、貴方に言っても仕方が無いのですけどね」
そう言って、盛大に溜息を付く、
「たまにはお菓子を摘み食いするとか、夜更かしをするとか、せめてそれぐらいはして頂かないと……」
そのレベルさえやっていなかったのか、あの悪魔は、それはそれで大した物である。見習いたくは無いが、と言うか、良くそんなのが地獄で育ったな。
「そう言うわけですから、貴方にも昼間に活動しすぎるとか色々言いたい事が多いのですが、
今度に……いえ、咲夜さんの方は今しておくべきですか」
「またですか?」
「またです」
そう言えばこの二人は何度か会っているらしい、正直な所、私も咲夜が普段善行を積んでいる様に見えない、悪魔である自分と一緒に居ると言うのがその象徴だ。それに……自分に会う前の彼女と言うのは正直な所……あの蓬莱人よりも……さらに……いや、過去の事は何も言うまい、それに、もし過去の事なら前回会った時に言われているはずだ恐らく今の彼女の現状に何か、閻魔としては見過ごせない事がるのだろう、悪魔である私にはどうでも良い事だが、彼女の死後を思うと聴いておくべきか、私が促すとようやく咲夜も聞く気になったようだ。こちらの聞く準備を待ってから説教を始めるとは、珍しい事も有るものである。普段なら巫女並に問答無用で弾幕るのに
「レミリアさん、何か余計な事考えていませんか?」
「いや、別に、それより、まさか咲夜に紅魔館を離れろとか言わないでしょうね?」
「ええ、言いません、生き方と言うのは人それぞれです
ただ、善行を積みにくい環境に有るのは事実でしょうが、それも考慮して裁きますので
特に問題にはなりません、しかし、それを考慮しても少々言っておかないといけない事があります
咲夜さん、貴方は完璧で瀟洒な従者と呼ばれる余り、自分自身でもそれを自負して行動している節が有ります
それだけなら寧ろ褒めてしかるべき事なのですが、貴方の場合はそれが別なところにも働いているようで……
自分のモノを限界以上に良く見せようとしていますね」
まて、幾ら閻魔でも本人の前でそれを言うのか?世の中には暗黙の了解と言う物がある。禁忌というものが存在する。まして、普段空気を読めない代名詞のようなスキマや白黒出でさえ、口にする事は無い物を口に出すのか?いや、流石にそれは在るまい……
「そう、貴方は少しばかり周囲の目を誤魔化しすぎる」
言いやがった!まさか此処まで融通が利かないとは予想外だ。
「周囲の者達はすでに貴方が限界を超えて見せようとしている事に気が付いていますそうであるにも係らず
貴方に気遣い口に出さないようにしている。貴方の主にさえ気を使わせ」
「待て!」
咄嗟に静止の言葉が口に出る。閻魔が口を閉ざし、こちらを見た。咲夜の横顔を盗み見る。その表情は既に手遅れだと言う事を何より雄弁に物語っている。
「閻魔と言えども言って良い事と悪い事は在るのだろう?
お前自身の善行のつもりかも知れんがそれが人を傷つけて何になる?
人間の命は短い、その間に己を磨き、内面外面共に良くなって行くのは当然の事だ
例え、その方向性に誤りがあっても其れをネタに人前で辱める事が有って良い筈が無い
そんな物は下衆のする事だ。人を導く者のする事ではない」
そこまで言ってから閻魔を睨み付ける。
「そうだ、お前は少しばかり状況が読めなさ過ぎる」
結局はこの一言に尽きるのだ。しかし、此れではどちらが閻魔か分かったものではない、少々熱くなった頭を冷ます。
「お前の戯言は一時的に人の行動に影響を与えるのかも知れん
場合によっては其れが運命の分岐点になる奴も居るだろう、だが
その影響力に溺れた所で待つ運命は我が懐かしの地獄だけだ」
閻魔は少し目を瞑ると微笑みと共に目を開いた。
「成る程、確かに行き過ぎた行為だったようです。私もまだまだ未熟だと言う事でしょう」
「それは思っても口に出すな、お前に裁かれる者が哀れになる」
「それも心得ましょう……ですがレミリアさん」
「なんだ?」
「人間は、貴方が思っているほど弱くありませんよ」
「どうだか……ああ、そうだ、館に来るのはまた今度にしてくれないか?」
「分かりました。今日は竹林に行く事にします」
そう言って閻魔は向きを変える……待てよ確か生きている事自体が罪だったな……竹林に住んでいるメンツを思い浮かべて苦笑する。一番若いのは狂気の兎で確定としてもその次があの蓬莱人、そっから先は神話の時代の住人だ、上の二人は一説によると億の大台に乗ったとか。
「先に里に下りて腹ごしらえをして行くと良い」
「お気遣い有難うございます……それにしても……」
別れの言葉に私は2度目の苦笑をする。何を言っているんだこの閻魔は、それにもう問題は別の所にある。そっと咲夜の顔をのぞき見る。どこか虚ろな表情のままこちらを見る。何か言おうと思ったがそれを見ただけで何も言えなくなった。せめてと日傘を強引に受け取る。
「お嬢様……」
「……」
「さっきの話は……本当……ですか?」
本当だ、そう事実を告げる事が出来ずに私は少しの逡巡と共に話し出した。
「パチェ……パチェリー曰、ミスティアとリグルが話題に上げていると、魔理沙が話してきて返答に困った
美鈴曰、チルノがその事に付いて言いそうになったのを大妖精が止めていた
霊夢曰、(あの)幽香が文と萃香にネタにして良い物と悪い物があると説教していた
……まあつまりそう言うことな分けよ」
「……」
言ってから更に酷い事を言ってしまったかも知れないと考え直す。さて、こういう場合はどうすれば良いだろう?
答えは実に簡単だった。
「2日ほど暇をあげる。だから思いっきり休みなさい……そうね、門番にも同じだけあげるわ
それは咲夜から伝えて置くこと、必ずね 返事は?」
「え、あ、有難うございます」
ふらふらと離れていく咲夜を見送って、私は大きな溜息を付いた。これで問題は無い、咲夜の事は門番に任せておけば上手く行く、運命を読まなくても分かるのだからこの二人の関係も相当な物だ。不意に閻魔との別れの言葉が脳裏に過ぎる。
『それにしても……貴方も少々善行をつみ過ぎるようですね』
馬鹿馬鹿しい、頭を軽く振るう、此れぐらい当たり前の事だ。善行の内に入るものではない、霊夢と二人だけの時間を過ごしたいだけなのだ。私は日傘を片手に神社に向って勢い良く羽ばたいた。
「さて、成れるかね、私もあの二人のような関係に……」
咲夜さんに誤魔化すだとか偽るだとかは一目瞭然ですねw(し、死んでる!
あと全然悪魔らしくない二人の悪魔に乾杯。
…しかし『戯言』を言っている映姫様こそどうn(ラストジャッジメント
だがそれがいい
>向きを帰る
向きを変える、じゃないかと。
咲夜が限界を超えて紅魔館のために頑張っているからと思ってぜ
俺の感動を返せwwwwwwwww