Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ロマンス因幡・前編

2007/03/11 23:52:21
最終更新
サイズ
9.39KB
ページ数
1



この話は『病原菌ウドンゲ』の設定をそこはかとなく受け継いでいます。
一部(?)のキャラが壊れているので、苦手な方はあまり無理をなさらないようお願いします。






































『えーりん、えーりん、助けてえーりん!』




輝夜から惚れ薬を作るように頼まれた永琳。 
鈴仙を助手とし、共に研究室で作成するのだった。


「鈴仙、そこのケシの花をとってくれないかしら?」


「師匠、麻薬でも作るおつもりですか?」
そう言いつつも永琳に手渡す鈴仙。


「惚れ薬と言うからには、相手の心を歪める要素がなければならないのよ。
 まぁ惚れ薬というか今作ってるのはやっぱり麻薬だけれども。」


「しかしそれでは意味がないのでは・・・どうなさるおつもりで?」


「そうね・・・相手が求めてくるのだから条件を付けてまた渡せばいいんじゃないかしら?
 中毒性はそのためにあるんじゃないかしら?
 そうすれば・・・あら不思議、惚れ薬みたいな?」
くっくっくっと笑う永琳。 さすが冷酷な闇医者である。


「ところで姫はどうして惚れ薬なんて欲しいと思ったのでしょうか?」

「そうね・・・1万年と2千年の片思いに決着を付けたくなったのでしょう。
 ところでウドンゲ?」


「はい、なんでしょう?」

「あなたは・・・そう、恋をしたことはあるかしら?」


「!! と、突然なにを!?」
顔が真っ赤になる鈴仙。
焦っているのがわかるように頭のてっぺんから汗みたいのがひゅひゅひゅっと出ていた。


「いいから答えなさい。 したことあるの? しているの?」

「・・う、は・・・はい・・・」

「恋せよ乙女ね。 ふふふ、相手は誰かしら?」

「! そればっかりは・・・ちょっと・・・」

「別にいいのよ。 それが聞ければよかったから。」

「???」



永琳は気付いていた。 襖越しに因幡てゐが盗み聞きしていたのを。


「鈴仙様・・・一体誰に・・・?」


永遠亭で最もウドンゲを想い、好いているてゐ。 
そして彼女に好きな人がいるというのを聞いて胸が苦しくなった。



これを聞いたてゐは絶対になんらかのアクションを起こしてくるに違いないと永琳は読んだ。

これを聞いた壊れかけのてゐ自身もなんとかして鈴仙の想い人を知らなければと思った。

そして何も気づかないのは鈴仙だけだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



てゐは考えていた。 鈴仙の想い人を知る方法を。


1.ストレートに聞いてみる。
  
  これは師である永琳様が聞いてダメだったので
  立場上部下である私(てゐ)が聞きだせるはずものない。



2.ちょっとしたお喋りからポロっと出させる。

  鈴仙様はわりとお喋り好きである。 こういう恋話などもきっと喜んでするだろう。
  しかし、鈴仙様に好きな人を言わせるためには
  自分から好きな人を言える身近な人物が必要である。
  でなければ彼女でなくとも口を割るのは困難と思われる。
  姫の好きな人はもうわかっているのでダメだとして・・・永琳様?
  しかし永琳様の場合、可能性として鈴仙様を狙ってることも考えられる。
  何せ彼女が弟子として認めたのは鈴仙様だけだからである。
  危険度は高いが、一応候補に。



3.酒を交わしているときなどで。
  
  酒の力を借りれば鈴仙様の口を割らせることも可能であろう。
  しかし鈴仙様の真面目な性格からして、「仕事がまだあるから」
  とか言って断ってくるだろう。 飲み会でも飲ま(め)ない立場だし。



4.鈴仙の部屋を物色する。

  日記などがあればそこから答え、もしくはヒントが得られるだろう。
  鈴仙様自身のことも色々・・・はぁはぁ・・・。
  い、いや、しかし・・・でも・・・だけど・・・一番確実だなぁ・・・。



愛するが故だから・・・許して! 鈴仙様!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



計画を実行に移す日。 この日、鈴仙は人里まで行き、薬を販売するのである。
よって、鈴仙が帰ってくるまでは部屋の中を調査することができる。


「今日は絶好の潜入日和だ、スネーク。」

とわけのわからない独り言を言ってみる。

そして、では早速と鈴仙の部屋の扉に手をかける。 


(ガタッ)


「(・・・動かない。 大佐、これはどういうことだ!?)」 


多くの兎が暮らす永遠亭。
女の子だもん。 秘密が多いのはしょうがないのよ。

というわけで、扉に鍵が掛かっていた。


「(くっ、さすが因幡のトップだ。 やってくれるな。)」


しかしここであきらめないのが、てゐである。


「(このタイプの鍵穴なら・・・よし、私でも開けられる!!)」

針金のような細い鉄棒を取り出すとカチャカチャといじり始める。
中のダイアルは回され、同じ特徴もった部分が揃えられていく・・・そして。


(カチャっ)


「(ふい~っ、解除成功。 では再び潜入に移る。)」


泥棒が家の中に入って仕事をする時間は約5分。 
迅速に行動しなければ捕まってしまうからだ。
もともとリスクが高い。 
いくら今鈴仙の部屋を尋ねるものがいなくても前を通る者もいる。
そのときに見つかったらアウトだ。


素早く鈴仙の部屋に入り、中から鍵を掛ける。


「(こ、これが鈴仙様の部屋・・・)」


普段、てゐの前などでは上司として大人な態度を取ろうとする鈴仙。
それでもミスが多かったりして周りから温かい視線を受けているのだが。
部屋の中を見るといかにも鈴仙。 パッと見はキレイでしっかり片付いている。
しかし部屋の模様が明るかったり、人参のぬいぐるみがあるのがまたかわいらしい。


「(ちょ、調査開始だ。)」


目の前の目的を持った欲望と目の前にある欲望と戦いつつてゐは部屋を調べた。


「(まずは机ね。)」

基本的に個人の秘密が隠れているのは机である。 まずは日記帳を探してみる。

「(あった・・・っていうか机の上?)」

あまりにもあっさり過ぎるのが気になるが、内容を読んでみる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


○月×日 天気(晴れ)

今日はいつも通り師匠の実験の助手として働いた。

助手といっても簡単な雑用である。 

最近はあまり私に勉強を教えてくれなくなった。 

自力で学習しなければならないのだろうか?



○月××日 天気(晴れ)

今日は因幡の訓練に付き合う。 日々の鍛錬がいざというときに現れると最近知った。

地上は月より重力を感じるため、実はちょっと疲れていたりする。

しかし上司である私の威厳を保つためにはそんな素振りは見せてはいけない。

上に立つというのは意外とつらいものである。



○月×××日(曇り)

今日は薬の販売で人里へ行った。 私が因幡であることを隠すために帽子を被った。

はっきり言って窮屈さを感じるし、頭が蒸れていやだ。

薬で特に好評なのは正露丸である。 どうやら食あたりなどを起こす人が多いようだ。

時期によって売れる薬も変化するということを最近になって知る。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ぱらぱらとめくってざっと読んでみるが、同じような内容ばかりである。
これといって収穫は得られなかった。


「うーん、なんか違うなぁ。 
 これぐらいなら普段私が見てる鈴仙様と変わらないし。」


次に鈴仙の机の中を探ってみる。 
文房具、消耗品(ゴム手袋など)、実験の資料、化粧道具・・・
やはり普通の引き出しからは収穫は得られない。


「となると、やっぱり鍵付きね。」


細い鉄棒を取り出す。 
さっきの扉と違い、机のものは簡単な作りになっているため難なく開けられた。


「あれ?」


出てきたのは鈴仙が描いたと思われる絵であった。
風景画、空想画、因幡や永琳を描いた人物絵などが出てきた。


「意外な趣味だな。 今度スケッチをネタに誘ってみようかな。」


とは思ったものの、やっぱりなかなか重要度が低い気がした。
油断して日記をしまい忘れたのはわかる。 
だけど、絵は鍵付きの引き出しにしまうほど隠したいものであろうか・・・


とりあえず引き出しの中にあった絵を全部出してみる。
絵と引き出しの横壁の隙間から指を突っ込み底に触れる。
すると・・・


(ぺにょり)


指先から引き出しの底が歪む感覚を覚えた。


「? 底が薄い?」


てゐはハッとした。


「これは・・・青酸かr、二重底!!」


念のため、某死の帳簿みたいな引き出しトラップがないか調べてみる。
無理矢理引っぺがそうとすれば、ボン!だからである。

「どうやらないみたいだね。 ちょっと残念。」

そして引き出しの一枚目の底を剥がしてみると、少し古そうな一冊のノートがあった。

「あ、あった!?」

早速内容を読んでみる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あの人を想って××××をして何回も××ちゃった。


どうしよう。

止まらないよ。 

愛しいよ。 

切ないよ。


×××で×××××を××××するほど××・・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(ぱたん・・・)

「れ、鈴仙様ぁぁ・・・」

てゐは涙と鼻血を流していた。


「鈴仙様がこんな・・・でも、なんで私に相談してくれ・・いやいや。
 こ、こんどおそってみるけ? みるけ? ケケケ・・・」


しかしノートの内容を一通り目を通したてゐは重要なことに気付く。


「相手の名前が書いてない。」


とりあえずノートをしまい、引き出しを元通りにする。


「何か手がかりになるのがあればいいのだけれど・・・」


その後もタイムリミットまで部屋の中を全体的に探すが、特に何も見つからなかった。


「仕方が無い。 あとは本人から聞き出すか。」


そして部屋から出るてゐ。 誰もいないことを確認し、素早く外に出る。


「鈴仙様・・・あなたは誰が一番なのですか・・・」

くしゃっと潰れそうになる心を必死に抑えるてゐ。





一方その頃、もう一人の恋の使徒はというと・・・


「もっこたーん! これ、私が作ったお菓子(アヘン入り)なの! 受け取って!」

「ひぃっ!? 着火ゴー!!」


(しゅぽっ)


「あぁん熱いよぉっ! もこたん熱いよぉっ! はぁはぁ・・・」

「体をくねらせるな! はぁはぁするな!」

「藤原妹紅で略してふじこぅちゃ~ん!!」

「裸で飛び込んでくるなぁっ!!」


今日も今日とて二つの意味で燃え上がるのだった。





永遠亭の二人の恋の行方やいかに? 

     後半へー続く。

こんにちは、nama-haneです。

また因幡てゐがメインの話となってしまいました。
そして、「てゐの腹黒キャラはどこに行ったのか?」という疑問を持つ人も恐らくいるでしょう。
これは私個人が、「てゐがこんなキャラだったらいいな」という願望から暴走したものなので非常に申し訳ないです。

読んでくださった方、ありがとうございました。
もしよろしければ、後半も読んでください。


※改めて読み返して、気づいたところを修正しました。
 ところどころ打ち間違いや、言葉足らずの部分があったことを反省しております。
 ごめんなさい。

nama-hane
コメント



1.蝦蟇口咬平削除
>101回目のプロポーズになかなか至れなかった。
これって鈴仙に100回した?鈴仙に会う前に100回結婚してたってことで?
>引き出しトラップがないか調べてみる。
こういう事考える時点で腹黒いと思う。

後、帽子被った鈴仙想像して悶えました
2.nama-hane削除
蝦蟇口咬平 様
>101回目のプロポーズになかなか至れなかった。
すみません、これは没ネタの消し忘れです。
意味がわかりませんよね、ごめんなさい。

>引き出しトラップがないか調べてみる。
えー、腹黒ですか?w

>帽子被った鈴仙想像して悶えました
これは予想外です。 うーん、でもかわいいですね。w