Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

そら

2007/03/10 00:33:04
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あらすじ

 ごっすん













 ―――今からずっとずっとむかし


     日が暮れると
     地平線の果てまで夕焼けだった

     広い広い大空は一面のあかね色で
     どこまでも飛んでいけそうだった




「今日は見事な夕焼けねー」


 境目にある神社でひとり
 素敵な巫女さんがつぶやいて日が暮れた




 ―――今からずっとむかし


     夜が明けると
     眩しい朝日がみんなを照らした

     朝焼けを切り取るまばらな家の影
     肩を寄せ合って暮らす人たちの一日が始まる

     誰もが
     吸い込まれそうな空を見上げていた




「ふぁ、ん~。今日はいい天気ね~」


 境目にある神社でひとり
 素敵な巫女さんがあくびをして夜が明けた



 ―――すこしむかし


     日の光の下
     みんなが明日に向かっていた

     日差しの中で笑顔がはじけて
     たくさんの人たちが生きていく

     上を向けば
     空と屋根があった

     誰かが時折
     空の大きさを語った



「ん~、いい陽気ね。眠くなるわ」


 境目にある神社でめずらしくひとり
 素敵な巫女さんが日差しの下で過ごした



 ―――ほんのすこしむかし


     夜空に星がまたたいて
     それよりも町の灯りが眩しくなるころ

     夢を追いかけた人たちが
     その夢を叶えた



「どこかで妖怪が悪さをしてる気がする」


 境目にある神社でひとり
 素敵な巫女さんが石段の上に立った

 見下ろす先には里の灯り
 見上げる先には星の輝き

 空と人の境目にある神社でひとり
 素敵な巫女さんが石段を蹴った



 ―――ほんのすこしむかし


     夕焼けがどこまでも広がっていたころ
     朝焼けがほんの少しだけ欠けたころ

     世界のどこかで誰かが信じていて

     町並みが空を埋めていき
     日差しがとぎれるようになったころ

     夢物語だと笑われるようになった夢を
     追いかけた人たちが叶えた


     人の作った翼
     飛行機が飛ぶ空を見上げて

     誰もが
     空の青さを思い出した



「こっちね、きっと」


 境目にある神社でひとり
 素敵な巫女さんがふわりと

 当たり前のように空を飛んだ



 ―――すこしむかしも今も


     町並みは広がって
     空はどんどんと狭くなっていく

     子供も大人も
     みんなみんな

     夢の中で空を飛ぶ

     飛べることを忘れていく



「あら、もうおしまい? 今日も調子がいいのかしら」


 境目にある神社にひとりいる
 素敵な巫女さんは

 誰かが飛び方を忘れる分だけ
 自由に空を飛んでいく

 空を見た人が
 「飛べない」と信じた分だけ
 
 当たり前のように
 空を飛んでいく





  「ねぇ、おかあさん、いま、とべそうだったよ!!」


  「ふふ。そうね、空を飛べたら素敵でしょうね」






 ・楽園の素敵な巫女

  名前:博麗 霊夢
  種族:人間

  能力:空を飛ぶ程度の能力
こどものころは  そらだってとべるってしんじてた
じょにーず
コメント



1.名無し妖怪削除
地球のみんな、オラに飛ぶ力を分けてくれ!
2.名無し妖怪削除
その発想は無かった
3.名無し妖怪削除
そうか…大人の諦めた幻想が今の霊夢を支えているのですね…深いなぁ。
4.ルドルフとトラ猫削除
飛ぼうぜ
飛ぼう
そう想うほど夢は飛ぶ
5.はむすた削除
ノスタルジーを感じる綺麗だけど儚い話だわぁ……
6.TNK.DS削除
心の琴線に触れました。本当に美しく、そして何とも切ない良い話ですね。
7.ぐい井戸・御簾田削除
この解釈は新しい!そして説得力がある!
8.名無し妖怪削除
たまには空を見上げてみようかな。
そう思わせてくれる作品でした。
9.名無し妖怪削除
ここ数年、空を飛ぶ夢さえ見てないorz
とりあえず、空を見上げるとしますか
10.名前が無い程度の能力削除
かんがえたこともなかった そらをとべるだなんて
でもおもいだせた すくわれました

ありがとう