それは、魔法の森の魔法使いの家でのお話。
「月の異変、ねぇ」
「あなたにはわからないかしら?あの狂おしいほどに狂っているあの満月が。」
目の前にいる奴が言いたい事がいまいち判らない、というのが私の本音だ。
月は月であり、私に見える満月は満月。
世の中は視認したことが全てだと私は思う。
確認しなければわからないことは眼で見て確認すればいい。
そして私の目には異変が見えない。
全てはそういう事だ。
「私にはわからないな。私は残念だが妖怪ほど目が肥えちゃいない」
「私は魔法使い。妖怪と一緒にしないでもらえるかしら?」
似たようなものだろうが、と思ったが口には出さないでおいた。
結局このままずるずると罵詈雑言浴びせるだけ浴びせられるだけになる。
聞き流せば良いだけの話なのだが、こいつはこれまた結構話し好きだから困る。
「だから友達が居ないんだといわれるんだ」
「…」
あ、ちょっと効いてるっぽい。
これは予想外だったな。
というか口から考えが漏れてしまった。私もまだまだ口が軽いというか何というか。
するとあいつはどうにか持ち直したようにして私に向き直る。
「…まぁ、こういう風に断られるのは想定の範囲内だったけどね」
「判ってるなら帰れ。私も忙しくないわけじゃない」
「大丈夫よ、これから忙しくしてあげるから」
「だから、私は―――」
断る、直前だった。
あいつの手にあるそれを、私はこの目で認識した。
認識したものが全てであり、それが私の生き方だ。
グリモワール
―――魔道書
「私は―――何かしら?」
…ふむ。
詰んでいる、というのは正しくこういう事か。
単なる王手ならひっくり返すチャンスはある。
けれども『詰み』とは究極の状態。いわば『手詰まり』
つまり、どういう事か?
ふぅ、とひとつ息を吐き、そして私は強気の笑みを浮かべる。
「私は、自分の欲望に忠実な人間だ」
「成る程。だったら条件は一つ」
「ま、仕方ないな」
「契約、成立ね」
了解了解。
私はそう軽く返事をして即座にこいつの魔道書に手を伸ばす。
が。
私の手中に収める前に、それは動いた。
否、正しくはあいつが動かした。
「おい、どういう事だ」
「心配しなくても大丈夫よ。ただ、今すぐ出発するからこれは成功報酬というわけ。まずあんたにこれを即座に渡したりなんかしたら、家に引きこもって出てこない可能性すらある。いや違うわね…引きこもって、『確実に出てこない』わね」
「…」
図星である。
畜生この野郎、友達少ないくせして観察眼良いな。
ついでに言うと野郎じゃないけどまあ気にするな。
するとそいつは、軽く微笑んでいった。
「心配しなくても大丈夫、約束するわ。
帰ってきたら、ちゃんとこれを渡してあげる―――」
死亡フラグランク:B
劇中死亡率:35%
それはある紅い館でのお話。
「出かける準備はできたかしら?」
「ええ」
私は、一礼を行う。
目の前にいるのは我が主。
私が絶対の忠誠を誓い、私にとって絶対の存在である主。
一つ一つの命令が、私にとっては天啓だ。
「一つ、聞いておくわ」
「はい」
「貴女は、あの月の異変に全く気づかなかったのね?」
「…はい」
主の言葉に、私は肯定の意を返す。
月の異変。
突然に言い放った言葉。
残念な事に、私は人間だ。
妖怪のように月の影響を多大に受けるわけでもなく、そして月に対して敏感な反応は見れない。
主人に対し報告が遅れるのがもっとも、これだ。
まぁ仕方の無い事なのだけれども。
けれど、言いたい事は良くわかる。
月の満ち欠けというのは良くある。
新月より始まり、陽光照らす事によりその流線型を様々に変え、完全なる満月に戻す。
そして同じように新月に戻っていく。
それが月の満ち欠けというもの。
しかし。
しかしだ。
あの満ち欠けは―――あまりにも、不自然すぎるのだ。
まるで一部がナイフで切り取られたかのように両断。
少なくとも私はあんな月を見たことはない。
「…仕方ないか、貴女は人間だもの」
「…申し訳ありません」
諦めたように私に言う主。
まぁ、当然だろう。
私もさも当然の如く頭を下げる。
「大丈夫よ。月の満ち欠けが不自然であるという点にさえ気づいているのならば」
「はい」
「…で」
「はい?」
あまり無い事だけれど、久しぶりに返す質問の意。
主ははぁ、とひとつため息を付いて私の顔をもう一度見る。
「ホントに、着いて来る気?私は一人でも大丈夫なのよ」
「…」
成る程そういう事か。
確かにそもそもこれは主が自らの意思で、自ら進んで一人でやろうとしたことだ。
私が行く必要性はどこにも、無い。
けれど。
「私は、貴女様の従者です」
「…」
「例え命令があろうとも、お嬢様のためならば私はどのような場所でも、例え地獄であろうと共に歩みましょう」
それが、全てだ。
私にとってはお嬢様が全て。
私にとっては従者の命が全て。
お嬢様と共に行けるのであれば、私はどこまでも行く。
―――すると、お嬢様は私を見て、軽く微笑んだ。
小さな体だが、その笑みは優しく、暖かかった。
「ありがとう―――咲夜」
「はい」
「私は―――貴女が私の従者で、本当に良かったわ―――」
死亡フラグランク:A
劇中死亡率:60%(Danger!!)
それは、空に限りなく近い屋敷でのお話。
「ほら~、早く出かけるわよ~」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ」
いつもの事だが、私の主人はかなり強引だ。
我侭、というか能天気というか、何を考えているのかがいまいちわからない時がある。
私はいつものようにこの方の傍に居るが、結局はこうだ。
しかし、相変わらず突然の事である。
目的も何も告げられていないお出かけというのも初めてだ。
折角だから聞いておこうか。
「あのー、すいません」
「何?」
「そもそもなんでこんな時間に出かけるんですか?もう子の刻ですよ?」
「あら、気づいてないのね。15点減点よ」
「うぅ」
そもそも満点が何点で、今私が何点なのかがわからない。
15点減点が多いのか少ないのかもわかっていないのだからうまい反応の仕方がわからない。
でもまぁ減点だから駄目なんだろうなぁ、と思いつつ。
「でも折角だから教えてあげるわ。予備知識は大事だし」
「よろしくお願いします…」
「空を見なさい」
「空?」
空は、一面が黒く染まる。
星は瞬き、空を飾りつける。
そして屋敷の紅葉は、空に覆いかぶさる。
そんな中でもひときわ目立つのが―――月。
「月?」
「正解、10点上げるわ」
「…」
「あまり嬉しそうじゃないわね」
だから基準がわからないんですってば。
そういいたい気持ちはもうなんかどっかいった。
そして、主人は歩いていく。
「別に、付いてこなくてもいいのよ?」
「え、いや、それはっ!?」
慌てて、私は言う。
それは―――できない。
というか寧ろ、嫌だ。
私の主人は、比喩抜きで地に足がついていない方だ。
そしてそれは性格も同じ。
天衣無縫。
私はこの方から、その言葉を連想させられる。
恐怖がある。
この方が、私からいつか離れてしまうのではないかという恐怖が。
私をおいて、いつかどこかに行ってしまうのではないかという恐怖が。
だから―――それは、嫌だ。
…主人は、私を見て、微笑んでいた。
そして私に近づき―――軽く、抱きしめた。
「一緒に、付いてくるのね?」
「…はい」
「…そんなに悲しい顔しないの。大丈夫、帰ってくるから」
心配は、どうやら見透かされていたらしい。
私も随分わかりやすい人間だ。
最も人間なのは半分だけだけれど。
「帰ってきたら―――いつもどおり、美味しいご飯作ってね?」
死亡フラグランク:S
劇中死亡率:80%(More Danger!!)
それは、この幻想の中心たる神社でのお話。
「で、用件はそれだけ?」
「ええ、それだけ」
相変わらず胡散臭いったらありゃしない。
こいつの言っていることは100%嘘か100%本当かのどちらかだ。
しかもその見分けが付きにくい。
ああ厄介。
「異変は感じた?」
「全然」
とりあえず、こっちも少しばかり嘘をついてやった。
まぁ、確かに何かがおかしいという事実はわかった。
けれどそれが確定しない。
何時も通り適当にふらふら飛んでいけば異変の原因には突き当たるのだろうけれども。
ただ、今回は別段私が行く必要がない気がする。
そう思っただけのことだ。
「貴方達には問題ないかもしれない。けれど私たち妖怪には異常事態なのよ」
「なら妖怪で解決して頂戴。私は常に人間の味方よ」
私は巫女だ。
残念だが、妖怪に直接的な味方はできない。
妖怪とは、人間にとって退治すべきものだ。
馴れ合うことはあろうとも、人間と妖怪は結局対立しあうことになる。
ならば。
ならば、初めから馴れ合わないほうがいいじゃないか。
後に人と妖怪という対立が発生するのであれば。
そのときに裏切りという感情が生まれてしまうというのであれば。
初めから、馴れ合わなければいい。
―――そうは思わない?
「…話の切り出し方が、まずかったかもね」
「切り出し方も何も、だから妖怪のことは妖怪で」
「幻想郷に関わる事よ、と言ったら?」
吹き抜ける風の音が耳障りになった。
こいつは、相変わらずだ。
100%の本当を言う。
こいつが幻想郷がらみのことを言う場合はたいてい本当だから困る。
「幻想郷の異変を解決するのは、巫女の仕事。そうよね?」
「…そうね」
仕方ない。
私は重い腰を上げた。
こいつに説得されるのはあまり納得いかないが。
そして私が立ち上がると、こいつは空を見上げた。
空には、異常なまでに欠けた月。
「霊夢」
「何?」
「今回の異変は、幻想郷の中でもかなり大きなものになるわ」
「妖怪にとっては、でしょ?」
「ええ。ただ、私は幻想郷の妖怪。この幻想郷と人々を、妖怪たちを守るのが務め」
久しぶりに、真面目な台詞だ。
こいつがこういうと言う事は、結構真剣なんだろう。
ならば、少しは本腰を入れるとしよう。
「霊夢」
「…」
「一つ、頼みたいことがあるわ」
そういって振り向いたあいつは笑顔だった。
そう、何時も通り。
何時も通りの笑顔。
「私に何かあったときは―――幻想郷を宜しくね」
死亡フラグランク:特S
劇中死亡率:99%(Yabeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee)
「月の異変、ねぇ」
「あなたにはわからないかしら?あの狂おしいほどに狂っているあの満月が。」
目の前にいる奴が言いたい事がいまいち判らない、というのが私の本音だ。
月は月であり、私に見える満月は満月。
世の中は視認したことが全てだと私は思う。
確認しなければわからないことは眼で見て確認すればいい。
そして私の目には異変が見えない。
全てはそういう事だ。
「私にはわからないな。私は残念だが妖怪ほど目が肥えちゃいない」
「私は魔法使い。妖怪と一緒にしないでもらえるかしら?」
似たようなものだろうが、と思ったが口には出さないでおいた。
結局このままずるずると罵詈雑言浴びせるだけ浴びせられるだけになる。
聞き流せば良いだけの話なのだが、こいつはこれまた結構話し好きだから困る。
「だから友達が居ないんだといわれるんだ」
「…」
あ、ちょっと効いてるっぽい。
これは予想外だったな。
というか口から考えが漏れてしまった。私もまだまだ口が軽いというか何というか。
するとあいつはどうにか持ち直したようにして私に向き直る。
「…まぁ、こういう風に断られるのは想定の範囲内だったけどね」
「判ってるなら帰れ。私も忙しくないわけじゃない」
「大丈夫よ、これから忙しくしてあげるから」
「だから、私は―――」
断る、直前だった。
あいつの手にあるそれを、私はこの目で認識した。
認識したものが全てであり、それが私の生き方だ。
グリモワール
―――魔道書
「私は―――何かしら?」
…ふむ。
詰んでいる、というのは正しくこういう事か。
単なる王手ならひっくり返すチャンスはある。
けれども『詰み』とは究極の状態。いわば『手詰まり』
つまり、どういう事か?
ふぅ、とひとつ息を吐き、そして私は強気の笑みを浮かべる。
「私は、自分の欲望に忠実な人間だ」
「成る程。だったら条件は一つ」
「ま、仕方ないな」
「契約、成立ね」
了解了解。
私はそう軽く返事をして即座にこいつの魔道書に手を伸ばす。
が。
私の手中に収める前に、それは動いた。
否、正しくはあいつが動かした。
「おい、どういう事だ」
「心配しなくても大丈夫よ。ただ、今すぐ出発するからこれは成功報酬というわけ。まずあんたにこれを即座に渡したりなんかしたら、家に引きこもって出てこない可能性すらある。いや違うわね…引きこもって、『確実に出てこない』わね」
「…」
図星である。
畜生この野郎、友達少ないくせして観察眼良いな。
ついでに言うと野郎じゃないけどまあ気にするな。
するとそいつは、軽く微笑んでいった。
「心配しなくても大丈夫、約束するわ。
帰ってきたら、ちゃんとこれを渡してあげる―――」
死亡フラグランク:B
劇中死亡率:35%
それはある紅い館でのお話。
「出かける準備はできたかしら?」
「ええ」
私は、一礼を行う。
目の前にいるのは我が主。
私が絶対の忠誠を誓い、私にとって絶対の存在である主。
一つ一つの命令が、私にとっては天啓だ。
「一つ、聞いておくわ」
「はい」
「貴女は、あの月の異変に全く気づかなかったのね?」
「…はい」
主の言葉に、私は肯定の意を返す。
月の異変。
突然に言い放った言葉。
残念な事に、私は人間だ。
妖怪のように月の影響を多大に受けるわけでもなく、そして月に対して敏感な反応は見れない。
主人に対し報告が遅れるのがもっとも、これだ。
まぁ仕方の無い事なのだけれども。
けれど、言いたい事は良くわかる。
月の満ち欠けというのは良くある。
新月より始まり、陽光照らす事によりその流線型を様々に変え、完全なる満月に戻す。
そして同じように新月に戻っていく。
それが月の満ち欠けというもの。
しかし。
しかしだ。
あの満ち欠けは―――あまりにも、不自然すぎるのだ。
まるで一部がナイフで切り取られたかのように両断。
少なくとも私はあんな月を見たことはない。
「…仕方ないか、貴女は人間だもの」
「…申し訳ありません」
諦めたように私に言う主。
まぁ、当然だろう。
私もさも当然の如く頭を下げる。
「大丈夫よ。月の満ち欠けが不自然であるという点にさえ気づいているのならば」
「はい」
「…で」
「はい?」
あまり無い事だけれど、久しぶりに返す質問の意。
主ははぁ、とひとつため息を付いて私の顔をもう一度見る。
「ホントに、着いて来る気?私は一人でも大丈夫なのよ」
「…」
成る程そういう事か。
確かにそもそもこれは主が自らの意思で、自ら進んで一人でやろうとしたことだ。
私が行く必要性はどこにも、無い。
けれど。
「私は、貴女様の従者です」
「…」
「例え命令があろうとも、お嬢様のためならば私はどのような場所でも、例え地獄であろうと共に歩みましょう」
それが、全てだ。
私にとってはお嬢様が全て。
私にとっては従者の命が全て。
お嬢様と共に行けるのであれば、私はどこまでも行く。
―――すると、お嬢様は私を見て、軽く微笑んだ。
小さな体だが、その笑みは優しく、暖かかった。
「ありがとう―――咲夜」
「はい」
「私は―――貴女が私の従者で、本当に良かったわ―――」
死亡フラグランク:A
劇中死亡率:60%(Danger!!)
それは、空に限りなく近い屋敷でのお話。
「ほら~、早く出かけるわよ~」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ」
いつもの事だが、私の主人はかなり強引だ。
我侭、というか能天気というか、何を考えているのかがいまいちわからない時がある。
私はいつものようにこの方の傍に居るが、結局はこうだ。
しかし、相変わらず突然の事である。
目的も何も告げられていないお出かけというのも初めてだ。
折角だから聞いておこうか。
「あのー、すいません」
「何?」
「そもそもなんでこんな時間に出かけるんですか?もう子の刻ですよ?」
「あら、気づいてないのね。15点減点よ」
「うぅ」
そもそも満点が何点で、今私が何点なのかがわからない。
15点減点が多いのか少ないのかもわかっていないのだからうまい反応の仕方がわからない。
でもまぁ減点だから駄目なんだろうなぁ、と思いつつ。
「でも折角だから教えてあげるわ。予備知識は大事だし」
「よろしくお願いします…」
「空を見なさい」
「空?」
空は、一面が黒く染まる。
星は瞬き、空を飾りつける。
そして屋敷の紅葉は、空に覆いかぶさる。
そんな中でもひときわ目立つのが―――月。
「月?」
「正解、10点上げるわ」
「…」
「あまり嬉しそうじゃないわね」
だから基準がわからないんですってば。
そういいたい気持ちはもうなんかどっかいった。
そして、主人は歩いていく。
「別に、付いてこなくてもいいのよ?」
「え、いや、それはっ!?」
慌てて、私は言う。
それは―――できない。
というか寧ろ、嫌だ。
私の主人は、比喩抜きで地に足がついていない方だ。
そしてそれは性格も同じ。
天衣無縫。
私はこの方から、その言葉を連想させられる。
恐怖がある。
この方が、私からいつか離れてしまうのではないかという恐怖が。
私をおいて、いつかどこかに行ってしまうのではないかという恐怖が。
だから―――それは、嫌だ。
…主人は、私を見て、微笑んでいた。
そして私に近づき―――軽く、抱きしめた。
「一緒に、付いてくるのね?」
「…はい」
「…そんなに悲しい顔しないの。大丈夫、帰ってくるから」
心配は、どうやら見透かされていたらしい。
私も随分わかりやすい人間だ。
最も人間なのは半分だけだけれど。
「帰ってきたら―――いつもどおり、美味しいご飯作ってね?」
死亡フラグランク:S
劇中死亡率:80%(More Danger!!)
それは、この幻想の中心たる神社でのお話。
「で、用件はそれだけ?」
「ええ、それだけ」
相変わらず胡散臭いったらありゃしない。
こいつの言っていることは100%嘘か100%本当かのどちらかだ。
しかもその見分けが付きにくい。
ああ厄介。
「異変は感じた?」
「全然」
とりあえず、こっちも少しばかり嘘をついてやった。
まぁ、確かに何かがおかしいという事実はわかった。
けれどそれが確定しない。
何時も通り適当にふらふら飛んでいけば異変の原因には突き当たるのだろうけれども。
ただ、今回は別段私が行く必要がない気がする。
そう思っただけのことだ。
「貴方達には問題ないかもしれない。けれど私たち妖怪には異常事態なのよ」
「なら妖怪で解決して頂戴。私は常に人間の味方よ」
私は巫女だ。
残念だが、妖怪に直接的な味方はできない。
妖怪とは、人間にとって退治すべきものだ。
馴れ合うことはあろうとも、人間と妖怪は結局対立しあうことになる。
ならば。
ならば、初めから馴れ合わないほうがいいじゃないか。
後に人と妖怪という対立が発生するのであれば。
そのときに裏切りという感情が生まれてしまうというのであれば。
初めから、馴れ合わなければいい。
―――そうは思わない?
「…話の切り出し方が、まずかったかもね」
「切り出し方も何も、だから妖怪のことは妖怪で」
「幻想郷に関わる事よ、と言ったら?」
吹き抜ける風の音が耳障りになった。
こいつは、相変わらずだ。
100%の本当を言う。
こいつが幻想郷がらみのことを言う場合はたいてい本当だから困る。
「幻想郷の異変を解決するのは、巫女の仕事。そうよね?」
「…そうね」
仕方ない。
私は重い腰を上げた。
こいつに説得されるのはあまり納得いかないが。
そして私が立ち上がると、こいつは空を見上げた。
空には、異常なまでに欠けた月。
「霊夢」
「何?」
「今回の異変は、幻想郷の中でもかなり大きなものになるわ」
「妖怪にとっては、でしょ?」
「ええ。ただ、私は幻想郷の妖怪。この幻想郷と人々を、妖怪たちを守るのが務め」
久しぶりに、真面目な台詞だ。
こいつがこういうと言う事は、結構真剣なんだろう。
ならば、少しは本腰を入れるとしよう。
「霊夢」
「…」
「一つ、頼みたいことがあるわ」
そういって振り向いたあいつは笑顔だった。
そう、何時も通り。
何時も通りの笑顔。
「私に何かあったときは―――幻想郷を宜しくね」
死亡フラグランク:特S
劇中死亡率:99%(Yabeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee)
「おれ、この面クリアしたら・・・ゆかりんと結婚するんだ・・・」(ピチューン
しかし私は、この人たちには某悪役三人組や大概の主人公のような死亡しないフラグが立っていると信じます。
赤い液体に塗れて倒れていてもそれは多分ケチャップだ。
1.魔道書が発動して死にかけたアリスの身代わりになるもぼろぼろに。
「ごめん、使い物にならなくなっちゃった」
「ほんとうにごめんだな。よし、私のベッド貸すから魔道書の知ってるところを全部教えるんだ」
「ええ、頼むわ……まだ動けないし」
「ちゃんと介抱するから安心して教えなさい。うふ、うふ、うふふふふー」
2.対吸血鬼の杭(永琳製)が胸に貫通せずに刺さり血液がドバーとでるも、
「お嬢様、が、そん、な、って……」
「胸にパッド型血液パック(パチェ製)入れてなかったら死んでいたわ」
「お、お嬢様、ぶじでしたのねええええええええ!」
「もう、そんなにきつく抱きしめないで。これでもダメージはかなりのものなんだから」
「はい、今すぐにお屋敷で美鈴と治療いたしますー!」
3.薬(致死量)を直撃して吹っ飛ぶが、
「あああああああ!幽々子さまが、幽々子様がってあれ?」
「元から死んでるのよ、また死ぬはずがないじゃない」
「え、ああ、そうでした……」
「でも流石に動けないわー、妖夢、私を連れて帰ったらいつもの美味しいご飯と妖夢ね」
「あ、はいってええええええええええ?」
「はいって言ったわね。約束よー」
4.かぐやのすごいえいえんをもろに食らって紫、消失
「本当に何かあるなんて、聞いてないわよ……」
「ふう、何とか脱出できたわね」
「って紫?……どうやって?もしかしてアレを脱出したの?」
「ええ、でもえいえん脱出できたなんて本当は私に気があるのかしら?アレって愛の思いがないと脱出できないはずなのよー」
「ってそんなわけ無いじゃない!」
「じゃあ、こんなことされても反応しないはずよねー」
よし!何とか回避した!!問題無し!!
↓私は七瀬が大好きです。狂おしく。
ワロタ。
って、ラスボス×2とEX,PHボスってどんな難易度ですかw。
ときに、霊夢にも「戦いから離れていた戦士が再び何かのために戦場へ赴く」という、その「何か」の内容によっては危険度の高いフラグが立ってるんじゃないでしょうかw
…しかしこの紫は劇中死亡率:99%over確定でしょう。
いや・・これはフラグが立つってゆーより、アポロの飛行士よろしく
自らぐっさり旗突き立ててるようなもんでしょ~?