いきなりだが、幻想郷で内閣が発足した。
で、閣僚人事を発表。
国の象徴 = 博麗の巫女
内閣総理大臣 = 八雲紫
内閣官房長官 = 八雲藍
外務大臣 = もやし
法務大臣 = 四季映姫
財務大臣 = 小野塚小町
文部科学大臣 = 上白沢慧音
厚生労働大臣 = 八意永琳
環境大臣 = 風見幽香(副大臣 = メディスン・メランコリー花繋がり)
農林水産大臣 = 西行寺幽々子(立候補)
藍「総理。組閣して三日目で言うのもアレですが、国庫が底を突きました」
紫「なんで!?」
ところ変わってこちらは某国の首相官邸。その総理執務室内。
デスクに座っている男性は、日本国総理大臣。その前に立っている男性は総理の第一秘書である。
「今度の選挙、議席数の方はどうだね」
「赤字国債の増額で一時期支持率が低迷しましたが、例のタレント候補の擁立でマスコミの目は
そちらに向いています。この調子で行けば問題ないでしょう。総理の再選と議席数の確保は確実です」
「頼むよ。国の発展のためには与党の安定した内閣が必要不可欠だからね。我が国の未来はわれわれ与党の、
それも生え抜き議員の手で作っていかねばな」
「おっしゃるとおりです。ところで総理。さっきから気になっていたのですが、その」
「何だね?」
「総理の後ろの空間から人間の臀部より下の部位と思われるものが、
顔を出しているように見受けられるのですが」
「何を言ってるんだ? うわっ、本当だ! 気づかなかった!」
「体型からしておそらく女性ですね」
「いや、女性とかどうとか言うより、このもさもさしたいっぱい生えてるものは何だ?」
「しっぽ……じゃないですか?」
「しっぽ!?」
「キツネの……」
「キツネのしっぽは一本だろう。君、東大卒だからって、人を馬鹿にしちゃいかんよ」
「他にいろいろと問題があるのでは? その人、なんだか出ようとしてもがいているみたいですよ。
どこから体が出ているのかよくわかりませんが」
「なんだって? よし、ひっぱってみるか」
「総理、危険ですよ。私がやります」
「いいよ、私がやるよ」
「総理……まさか女性の体を公的にまさぐる好機だとお考えになっているのでは……」
「……」
「ほかにすることはないのですか?」
「……うるさいな。よし、じゃあ二人で触る…もとい、引っ張ろう。それで文句ないな?」
「ご英断です」
「せ、え、の」
どっこいしょ、よっこらしょ。すぽん!
「うわ、抜けた!」
穴から出てきたのは、とんがりが二つ付いた帽子を被った妙齢のご令嬢。
すっぽ抜けた拍子に打ちつけたらしく、臀部をさすっている。
「ちょっと……総理……」
「何だ?」
「総理の趣味には口をはさみませんが……」
「何をいっとるんだ?」
「お付き合いしている女性にキツネのしっぽをつけさせて、しかも執務室で、そのナニをするというのは
いかがなものかと。閣僚の風紀にも影響しますし」
「いや、ちょっと待て。この人、初対面だって!」
「またまたあ。新しい女性秘書ですか?第一秘書の私は聞いていませんよ。
しかしとんでもない美人ですな」
「あいたたた……やっと抜けた……おっかしいなあ。壊れてるのかなこれ?」
「あのー?」
「はっ、これは失礼しました。すみません、どうもスキマの調子が悪くて。お見苦しいところをお見せ
しました。」
「はあ、あの、あなたは……」
「これはこれは、申し遅れました。わたくし、幻想郷国で官房長官をやっております八雲藍と申す者でございます。
今後ともよしなに」
「はあ。これは、これは……ご丁寧にどうも。遠いところをわざわざ。おもてなしもしませんで」
「国外の要人の方ですか」
(幻想郷国? 君、聞いたことあるか?)
(そんな名前の国は地球上にありませんよ。総理、お気を付けください。奇天烈な扮装をしていますが、
どこぞの反政府組織かもしれません)
(何だって? 大事じゃないか。そんなのが官邸に忍び込んでいるなんて)
(SPを呼びましょうか?)
(待て。まだ早い。刺激しないように相手の出方を見よう)
「早速ですが、用件を。実はこの度我が幻想郷国は、長年の鎖国政策を解除して、対外貿易を行うことに
なりまして」
「鎖国って……いまどき?」
「それでわが国が対象国なのですか?」
「さすが、エリート。話がはやくて助かります」
「わざわざ官房長官が来たの? 外交官とかじゃなく?」
「外務大臣は引きこもりで外に出たくないと申しておりまして」
「総理、そこはポイントじゃないですよ。あの、失礼ですが、あなたのおっしゃっている幻想郷国
という国名を聞くのは初なのですが、貴国は一体どちらにあるのですか?」
「日本にありますよ」
「日本にある!? 失礼ですが、日本の領土にある国家は日本国だけですよ」
「その点は大丈夫です。我が国は日本にあって日本にない。貴国の領土をいっさい侵犯していませんから」
「日本にあって日本にない?」
「ええ。別の時空間にあると思ってもらえれば結構です」
「そんな別の時空間て。そもそもそんなところにある国と一体どうやって貿易するのですか?」
「ご心配なく!そこは、スキマ貿易で!」
「スキマ貿易?それはスキマ産業みたいなものかね?」
「いえ、違います。このスキマを使って貿易するんです」
「君が出てきたその穴?」
「はい、そうです」
「これは一体なんなんですか?」
「詳しい説明をすると長くなるのではぶきますが、要するに空間と空間を繋ぐ穴です」
「ふうん。ホワイトホールみたいなものか」
「ホワイトホールなんて存在できませんよ」
「なんだ?」
「ホワイトホールを開くには宇宙開闢以上のエネルギーが必要なんです。物理的に不可能です」
「なにいってるんだね、現に目の前にあるじゃないか」
「ありません。これは……きっと別のものです」
「これだから理系卒は……」
「あのー、口をさしはさんで申し訳ないですが、このスキマはスキマです。
それ以上でもそれ以下でもないんです。それより、交易品の検討をしたいのですが」
「はあ、疑問がやまほどありますが。うーん、まあいいでしょう。貴国は交易品として何をご提示されますか?
みたところ、この穴は狭くてあまり多くの物は運搬できなさそうですが」
「スキマの拡張工事は後ほど行います。
そうですね、まず、わが国は竹林が豊富にあり、また採取要員も多数確保できますので筍が名産です」
「筍だったらうちも余ってるしなあ」
「日本に食料品を輸出しても、よほどのブランド価値がない限り、安価な中国製には太刀打ちできないと思いますよ。他にありませんか?」
「花がそれこそ無限に取れます」
「農業が盛んな国なんですね。残念ですが、花の種や球根も自給できていますので、貿易品としては難しい
と思います。鉱産資源などはいかがですか?」
「うーん。ごくたまに賢者の石というのが採れますけど」
「それは何だね?」
「等量の物質を、金に変換する作用を持った鉱石のことです」
「おい、秘書君。聞いたかね。そいつはすごいじゃないか」
「総理、賢者の石というのは中世の錬金術師の与太話ですよ? 仮に同様のものがあったとしても、
大きな問題があります」
「どういうことだ?」
「八雲さんでしたか? その賢者の石というのは年間何トン産出されるのですか?」
「今のところ、鋳錬法を知っているのが一人だけなので、年に20キログラム程度です」
「それで、何キログラムの金が作れるのですか?」
「この鉱石の原則は等価交換ですから、同じ20キログラムです」
「それでは……」
「あっ! でも、工房をフル稼働させて人員を増やせば、3倍程は増産できると思います」
「残念ですが、焼け石に水です」
「……」
「逆にわれわれの国の特産品を輸入されてはいかがですか? 電気製品や、自動車など」
「いえ、けっこうです。幻想郷には発電所も、ガソリンスタンドもありませんから」
「それはまたずいぶんと後進…失礼。古風な生活をされていますな」
「君、失礼だよ。ほら、アメリカにいるアーネストみたいな方々なんじゃないか?」
「それを言うならアーミッシュでしょう。どこのK-1チャンプですか」
「なんか君わたしに対してもきつくない? 秘書なのに」
「あと残っているものと言ったら、人間ぐらいしか……」
「まさか人身売買ではないでしょうな」
「ええと、戦闘のプロとかはどうですか? ものすごく強くて弾に当たらない最終兵器巫女とか、死なない女幽霊とか」
「わが国には襲ってくるやからは……いないこともないけど、女性を前線に立たせると世論がなあ」
「ていうか今つっこみどころ満載の例をだしましたよね? 一体貴国はどういう国なんですか?」
「どういう国って、普通の国ですよ。ちゃんと人間と妖怪と妖精が住んでいて、国会と行政機関と
司法機関があります。まあ国会と内閣は最近できたんですけど」
「いやー、どっちかというと後のほうより前の方の、その、人種構成のほうが気になりますね」
「あれ? 最初に言いませんでしたっけ? 幻想郷国は外の日常の世界で幻想となった事物が入り込んで
形成された世界なんです。だから妖怪や妖精もわんさかいますし、最近では吸血鬼や宇宙人なんかも入って
きています」
「いや、ぜんぜんきいてないね。きみだいたい説明をはしょってたからね」
「といいますか、なんなんですか? そのファンタジーな設定のお国柄は。いくら目の前に摩訶不思議な
穴があるとはいえ、そこまで奇想天外な話をすぐに信じろといわれても」
「そういわれても、実際に存在しますし。現に私も妖狐という、狐の妖怪ですし」
「そのシッポ、本物なの?」
「そうですよ。耳もついてます。見せましょうか? あれあれ、怒らせていいんですか? 使いますよ、妖怪の力」
「脈絡がおかしいですよ。けっこうです。半信半疑ですが、何だか本当によからぬことがおきそうな雰囲気ですから。
とにかく、申し訳ありませんが、貴国との交易は成立しそうにありませんな」
「こまったなあ。このままでは帰ってわが国の総理に合わせる顔がありません」
「いったい、なんだってそんなに貿易をしないといけないのですか? これまで鎖国していても、うまくやっ
いけてたんでしょう? 聞いた様子では、平和でのどかそうな国のようですし」
「つまり、必要にせまられているんです。あと数年後には幻想郷国は外の世界と同化してしまうので、
それまでに外の世界の国々と対等な国力をつけておかないと。色々と後が怖いでしょう?
そのためには外貨を獲得して、経済力をつける必要があります。国策としての貿易なんです」
「はあ、外の世界と同化ねえ」
「ちょっと気になることがあるのですが聞いてもいいですか?」
「なんでしょうか、秘書の方」
「その、同化ですか? それが起こったとき、貴国は地球上のどこに現れるのですか?」
「ええと、ある程度はこちらの思い通りの場所に下ろせるので、比較的問題のなさそうな場所に下ろそうと
思ってます。まあ、構成する土砂の量から言って、東京湾か琵琶湖あたりがよいのではないでしょうか」
「なんですと!?」
「あ、琵琶湖だと、水深が浅いのでかなり標高が高くなってしまいますけど」
「そういう問題ではありません! なんとか日本は避けられないのですか?」
「ムリです。もともと日本人の幻想が色濃く反映されて作られた土地ですから。日本以外にはおろせません」
「ちょっと、困るよ君。そんなの了承しちゃったらマスコミに叩かれて総理の椅子があやういよ」
「それは心配ありませんよ。数年したらあなたは総理じゃありませんから」
「なるほど……おまえ、さっきから口がすぎるよ。しかし、隣国にはどうしてこう問題のある国しかないんだ?」
「総理だって不穏当な発言は控えてください。」
「とりあえず、同化うんぬんの話はおいといて、貿易の話に戻しましょう」
「いや、置いておくって言われても」
「あとで詳細は国に帰ってから資料をお送りしますから」
「そっちの方が気になるけど。……うーん。そうですなあ。特産品で貿易するのは無理そうですから、
目先を変えて、文化交流で特色を出してみたらどうですか?お聞きしているとどうも独特の文化体系を
持ったお国柄のようですし」
「文化交流ですか……それは外貨を獲得できますか?」
「やりようによっては。観光客を呼び込むとか、貴国の文化を紹介した書籍を販売する等されてはいかが
でしょうか?」
「なるほど……とても参考になりました。帰国したら閣僚と討議します」
この後、総理のおごりでみんなで飲みました。赤坂で。
八雲さんの宴会芸が披露されました。つまりスッパテンコ(ry
紫「で? どうするの?」
藍「さしあたり、求聞史紀を輸出して、わが国の文化を紹介しましょう。そして観光客を誘致するのです。
それから財務省と農林水産省と環境省の人事を一新してください。あともやしは窓際で栽培してください」
紫「わかったわ」
この後、幻想郷には巫女の腋を拝みに来る観光客が後をたたなくなったとか。
一時期、日本の一部の地域の人口が極端に減少したとか。
了。
こんなに爆笑させて頂いたのも本当に久しぶりでしたw
財務はお金をばらまきすぎて地域安定はしそうだけど、農林水産が彼女では持たないだろうなぁw
いやぁ、本当に楽しかったですw
ところで八雲長官殿の宴会芸を拝見出来るのはどの料亭ですかッ(テンコー
いきなりすぎて吹いた。面白かったです。
どうみても農水相が原因です。本当にありがとうございました
それはそうと、ちょっと赤坂に行ってきますね!!
そりゃ財務がサボタージュすりゃ金も適当に流れるってw
そして巫女さんが天皇の位と同等であるところに噴いたww
奇抜で非常に面白かったですw
なんか新しい世界が見えました。面白かったです。
。・゚・(ノД`)・゚・。