アリス・マーガトロイドの日記 ○月×日 の記事より
今日も博麗神社に遊びに行った。魔理沙がいた。魔理沙と霊夢は居間のコタツの中でのんべんだらりとしていた。魔法使いと巫女というより、老猫のようだった。だらしないという形容詞は彼女らのためにあるのだと思った。魔理沙が「霊夢ーお茶淹れてくれー」と言うと、霊夢は「寒いから嫌ー」と言った。魔理沙が駄々をこねはじめて、仕方がないので私が淹れてあげた。台所からお茶と急須を持って社務所の居間に戻ると、霊夢が魔理沙にみかんを食べさせていた。手ずから皮を剥いたみかんのひと房を、魔理沙の雛鳥みたいに大きく開けた口に、「あーん」って。「あーん」って。
博麗神社社務所日録(博麗霊夢記す) ○月×日 の記事より
御神木に藁人形が一体打ちつけられていた。
それ以外は特になし。
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アリス・マーガトロイドの日記 ○月△日 の記事より
今日も博麗神社に遊びに行った。魔理沙がいた。境内が一面雪で白く彩られていた。例年より雪が多い。霊夢が、きっと外の世界の雪が少ないせいでしょうね、と言った。そういうものかと思った。霊夢が雪かきの道具を持ってきたというのに、魔理沙が突然雪合戦をすると言い出した。私たちが難色を示していると霊夢の顔面に向かって予告無しで雪球が飛んだ。霊夢はあっさり避けた。魔理沙は今度はこちらに雪球を飛ばそうとするので、私は魔理沙よりも素早く三つの雪球を作って投げた。一発顔面にクリーンヒットした。そうして雪合戦が始まって、魔理沙が投げてきた球に石が混じっていたので、私はアーティフルサクリファつい手が滑って、雪球と間違ってお人形を投げてしまった。弾幕ごっこになって、私は七体目のお人形を投げようとしたときに霊夢に玉串で叩かれた。霊夢は魔理沙も叩いた。二人で正座させられて、神社が壊れるからよそでやれ、って霊夢に怒られた。魔理沙のせいだ、と言ったら先に手を出したのはアリスだ、と魔理沙が言った。にらみ合っていると、霊夢に二人そろって境内から蹴り出された。
博麗神社社務所日録(博麗霊夢記す) ○月△日 の記事より
御神木に藁人形が一体打ちつけられていた。
雪かきが大変だった。
それ以外は特になし。
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アリス・マーガトロイドの日記 ○月□日 の記事より
今日も博麗神社に遊びに行った。魔理沙と、吸血鬼と、メイドがいた。雪の残る境内に赤じゅうたんを敷いて、丸テーブルと椅子を設えて、吸血鬼が我が物顔でお茶を飲んでいた。お茶なら大人しくコタツにでも座って飲めばいいものを、悪趣味なくつろぎ方だ。それを用意したであろうメイドも人間ならその辺を指摘してやればいいのに、澄ました顔で吸血鬼の側で日傘を捧げ持っていた。どうひいき目に見ても神社の景観を損なうこと極まりない。霊夢はその丸テーブルの対面に座って、お茶を飲んでいた。吸血鬼がやたらと霊夢に絡んでいた。紅魔館に来れば一冬くらい養ってあげる、みたいなことを言っていてそれは間違いなく迂遠な口説きで、かと思えば「霊夢は私の嫁」みたいな直接的なことをポロっと言う。霊夢はというと「うるさい黙れ同情するなら賽銭よこせ」の一点張りだった。ふと、境内に面した居間から弱々しい声が聞こえて、見ると魔理沙がコタツにこもっていた。顔だけ出して、「霊夢お茶くれー」と蚊の鳴くような声で言って、ゲホゲホと咳き込んだ。アレが効いているようだった。「そんなに体調悪いなら家で寝てればいいのに」と霊夢が言って、私はもっともだと思った。霊夢は洋椅子から立って、霊夢あんな白黒どうでもいいから私と遊ぼうよーとか言ってすがりつく吸血鬼を玉串でどつき倒すと、魔理沙の看病を始めた。至福の表情でのびた吸血鬼はメイドが回収して連れて帰った。霊夢は魔理沙のおでこに濡れ手ぬぐいを乗せ、替え、夕飯におかゆを作った。私も相伴に与った。夜、霊夢は魔理沙に泊まっていきなさいと言ったけれど、魔理沙は「いいって、自宅療養するぜ」と言って帰ろうとした。遠慮していたらしい。人間弱ると丸くなる。私が魔理沙を家に送ると申し出て、霊夢は「……そう。じゃあ、よろしく」と言った。魔理沙を魔理沙の家に叩き込んで、家に帰ってきて、今これを書いている。いいことを思いついたので明日実行しよう。日課を果たしてから寝ようと思う。
博麗神社社務所日録(博麗霊夢記す) ○月□日 の記事より
御神木に藁人形が二体打ちつけられていた。
賽銭箱を見たら、小銭がいくらか入っていた。
それ以外は特になし。
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アリス・マーガトロイドの日記 ○月▽日 の記事より
今日も博麗神社に遊びに行った。誰も来ていなかった。霊夢とお茶を飲んで、頃合を見てちょっと体調が悪いの、とほのめかすと、「魔法使いって病気になるの?」と言われた。さすがに勘が鋭い。でもそのときの私はもう興奮していたから顔が赤くて息が荒かったわけで、それを察した霊夢が私のおでこにおでこを当てて顔が急接近して霊夢の瞳がすぐそこにあって吐息がかかって鼻の頭が触れ合ってもう思い出すだけであ~~~~~~~~~~~~~~~ξζф§£≦ξ
そうして霊夢は布団を敷いてくれて「寝なさい」と言ったから大人しく寝た。すると霊夢はお勝手のほうに向かっていくからいよいよこれは看病フラグと思ったその時境内が騒がしくなって、何事かと思って見たら結構な数の妖怪やら兎やら亡霊やらが集まっててせっかく呪ったのに吸血鬼まで普通にいて酒や料理を持ち寄っていそいそと宴会の準備なんかやってたりしてその中心には当然のような顔で魔理沙がいてあの白黒マジで一晩寝ただけで復活しやがりました取って置きのお人形を使って文字通り釘を刺したっていうのにまさにゴキブリ並みの生命力で元気に会場セッティングの指示なんか出してたりしてどれだけ呪えばくたばるんだと思っていたらちょうどお勝手から帰ってきた霊夢に近づいて宴会だぜーなんて言って霊夢を連れて行こうとしたら霊夢は病人の看護があるから宴会なら勝手にやれって言ったのにあのアバズ魔理沙はそんなんツバつけときゃ治る私を見てみろとか人を自分のゴキブリ生命力と同じ基準で言うなって思ったら今度は霊夢の口に一升瓶くわえさせて瓶の中の液体がみるみる霊夢の喉に吸い込まれていってハイ酔いどれ巫女の出来上がりで霊夢がぱぱらぱーとかそんなことを口走ってなんかもうなし崩し的に宴会が始まり霊夢の周りを妖怪どもがいっぱい楽しそうで霊夢が霊夢を霊夢のお酒飲んでて病気を装った手前私は参加することもできずに居間で寝てて畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜牛■■■■■■■
博麗神社社務所日録(博麗霊夢記す) ○月▽日 の記事より
宴会があった。
御神木に藁人形が大量に打ちつけてあった。なんか五十体くらい。気持ち悪い。
特に、白黒に塗られた藁人形があって、それには釘が三十本くらい打たれていた。
そろそろ、迷惑。
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アリス・マーガトロイドの日記 ○月★日 の記事より
博麗神社社務所日録(博麗霊夢記す) ○月★日 の記事より
藁人形の原因を退治した。御神木のところに張り込んでいたら夜にやって来た。ちょっと苦戦した。
なんか「服の上から下着を抜き取る程度の能力」とやらを開花させていて、サラシとドロワーズを取られた。目を血走らせて「ワキイイイイイイイイ」とか「ヨコチチイイイイイイイイイイ」とか叫んで襲い掛かってきた。久し振りに心底身の危険を感じた。思わず本気を出してしまった。
本気「夢想天生」により神殿の一部が損壊。弁償はこの迷惑者に課す事にする。
それ以外は特になし。
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アリス・マーガトロイドの日記 ○月※日 の記事より
昨日ははげしかった 身体中いたい ベッドから起きられない
ぶっちゃけしにかけた でもサラシだけは確保してきた
お昼ごろ 霊夢がきた 看病してくれるのかなと思たら
紙切れ1枚 置いて帰った 請求書だった
とりあえずサラシは1日5センチずつ しゃぶしゃぶにして おいしくいただきます
博麗神社社務所日録(博麗霊夢記す) ○月※日 の記事より
特に何もなし。
流石だぜ!
>ドロワーズはどうするんですか?
細長く切るときしめん状に縮れて良い感じなので、あっさり目のお出汁で美味しく頂きました。(油揚げを加えるときつねドロワーズ、おもちを載せると力ドロワーズなど、工夫次第でさらに美味しく召し上がれます)