せかいはしろい。
白銀色に多い尽くされた世界。
其れは冬。
吐く息さえも白く、指先は凍える。
まぁ、それは人間の話で、私には関係のないことなのだ。
歓喜歓喜。
湖も凍る寒さに、私は何とも言えない満たされた感じで、いっぱいになる。
深呼吸すれば、寒気が肺へと流れ込む。
冷たい空気で、まだ冬は続いていることを実感する。
でも、
ぷっくらと膨らみ始めた紅色の蕾を見ると、嫌でも春が来ることを実感させられた。
「春告草か……」
春が来たことを、先立って告げる華。
それはまるで、あの妖精をそのまま現したようだ。
或は、あの妖精自体が、春告草なのかもしれない。
だとすれば、あれは白い梅だ。
白の名を語った妖精だもの。
あれの白は、花の白か。
それならば、私の白は、全てを隠せる白。
それに、誰かが言っていたじゃないか。
「梅の花は、濃きも薄きも、紅梅が素晴らしい」
雪に霞むような白ではね。
春なんて、伝えられないんだよ。
「此花が咲くまでは、冬だ。」
まだまだ寒さは続くだろう。
そして、蕾は凍り、花は雪に耐えられずに落ちる。
そう思うと、わくわくして来た。
「寒気が歓喜を呼び起こし、冬は未だ永い。」
さくっ
雪を踏めば音がする。
さくっ さくっ
リズムを取りながら、
しゃらり しゃらり
今を楽しんで、踊ろう!
* * *
暖かな光が差し込んだ日、淡い色の紅梅が咲いた。
それはまるで、春を拒むかのように、淡い色をしていた。
だが、春告げの妖精は、未だしぶとく残っている白い雪の中から、その小さな花を見つけた。
妖精はその紅梅をそっと手で覆う。
そうして、しばらくすると、彼女は満足したように微笑み、飛び去った。
春を伝えに行くために。
そして春は本当に小さくても「来たな」って思いますw
でもそうは思うのに、作者さんが言わないと気づけなかったのはなぜですかね?
作品についてですが、言い回しや文のテンポの取り方がちゃんと工夫されていて良かったです^^
今度もっと長い話を書くようでしたら、楽しみにしていますので頑張ってください。