Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

どこでもメイド

2007/02/26 18:12:46
最終更新
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4.32KB
ページ数
1
*これだけは!って事
 著者は東方求聞史紀を読んでません。
 著者は旧作をやってません。
 魔理沙がひどい奴。
 故に設定にズレがあるかもしれません。あしからず
 



























ここは私が日がな本を読みふけるために用意された図書館なのだが、今爆音が響き渡っている。
また火薬を積んだ鼠が忍び込んだらしい。喘息持ちの私でも、先に鼠を補足できれば摘み出すことも如何様にでもなるが、暴れられてからでは埃が舞って敵わない。
そんなときは金属製の猫いらずを呼ぶのだ。
「咲夜、咲夜~?」
「メイド長でしたらお嬢様を歯医者にお連れしましたのでご不在です」
ああ、今日はたまたま運が無かった。
吸血鬼の癖に歯科にかからなければならないなんてなんだか情けない。
そんなことを気にするよりも目の前の現状である。このまま為す術も無い私の前で非道な略奪が行われていくなんて見るに耐えかねる。私は手元の魔導書だけとっていそいそと図書館を後にした。
爆弾鼠 霧雨魔理沙が来襲するようになって以来、メイド長の空間干渉能力でこれでもかとばかりに肥大化していた図書館は、粛々とその規模を狭めてきている。奴の被害による影響だ。
かつてはお嬢様の思いつきやら我侭やら何をするでもこの図書館の知識を頼りにしていたため、紅魔館において大きなウェイトを占めていたというのに、昨今では霧雨魔理沙の略奪および破壊活動で本やら棚やらの修繕費用だけがかさんでいった。
おかげで多数のメイドたちには目の上のタンコブの様に見られ図書館に廻されていた筈の予算は修繕の際に使ったメイドの派遣料金という名目でメイド長に持っていかれてしまうのだった。

ああもってかないでもってかないで~

そのため静かに読書に勤しんでいた図書館も最近ではまともな修繕が儘ならず、どこからか吹き込んでくる隙間風に晒され妖精たちが戯れる笑い声に苛まれながらも知識の集積のため私は読書を敢行していたのだ。
その所為でめっきり疲労が溜まってしまい、持病の喘息にはなんら影響は出ないものの調子が良いこともまったく無く、丈夫でない身体に鞭打ちながら生活していた。
しかし、こちらの都合など魔理沙が知る由もない。
この現状で奴が来れば私では太刀打ちできないし、助けが来るかこうして略奪が終わるまで大人しく外で待っているのだ。
下手な抵抗をして奴の興を誘ったならばそのときは…。
己の想像にぞっとさせられ、そのリアルなビジョンに堪らず涙がこぼれてくる。
広い廊下の端に広げられたテーブルで嗚咽を漏らしていると、先ほど私に咲夜の留守を告げたメイドがミルクティーを入れてきてくれた。
ひとまず泣くのを止めてそれを口にするとあたたかさと甘味が口いっぱいに広がる。
そこにはメイドのやさしさと気遣いが感じられた。
少なくともあの抜け目無いメイド長に感じられるものよりは。
ああ、もう行ってしまったか。
顔ぐらいおぼえて置けばよかった。
気配の薄さからして妖怪なのだろうが人間の温かみというのだろうか、そう言えるようなものが窺い知れる。
それは大層昔の、まだ私が人だった頃に濃かった感情を思い出させる。そう、私も元は人だった。
百年ほど前に私はとある悪魔と契約して魔精の力を得たのだ。
そういえばその悪魔も脇にメイドを侍らせていた気がする。
とかく悪魔というものは使役したがるものなのだろうか。そうなのかもしれない。
そんな無意義な思案と人間の懐かしい思いに馳せているといきなり図書館から奴の発する爆音が聞こえてくる。
例の魔砲だ。
それも連続で。
あはは、私の図書館を消し飛ばす気でいるのではなかろうか。
止めてくれ!何が気に入らない!
これ以上暴れることなど無いと思っていたのに。
さすがに堪らず私は爆音の響いてくる方へ飛ぶが、こんなときに喘息の発作が来てしまう。
「うう、誰か、私の、私の図書館」
これまでの疲労で体力と言うのもおこがましく思える私のそれはここに来て起こった発作に一気に削られていき、足はおぼつかなくなり意識は朦朧とする。
壁に肩をあずけてゼーゼーと浅い息を繰り返す私に先ほどのメイドが駆け寄ってきた。
「パチュリー様! 御体に障ります。どうぞお掛けになっていてください」
「私の図書館を、守る、の」
「ご安心ください。たった今侵入者を鎮圧してきましたゆえ」
「…あ? そう?」
なあんだ安心と私は彼女の胸に頭を沈め疲労と意識の縄を切り、深い眠りへ飛び降りる。


耳障りな爆音と地響きはもう止んでいた。
































メイド隊による初の魔理沙撃退が成功したその日の夜、紅魔館では宴会がうち開かれた。

『あ、幻月姉さま? ええ楽しくやってるわよ。今日なんかちょっと知った顔に会ったのよ。ええ、丁重にお帰りになってもらったわ。メイド長にも褒められちゃったし。ただ図書館の司書さんがやたら私のこと睨むのよね。ちょっと今日は色々はっちゃけすぎちゃったかも。少し自粛しないと。やば、料理が切れたって。私達が主役だってのに作んのあたし達じゃない!え?話し方が俗ってこれもオシャレみたいなもんよ。「そろそろいくよ」え?そのお皿ね。はいはい、アー!!!ごめ』ツー、ツー、ツー…





















絵板の夢月ちゃんを見て思いついたのですが描かれてから一日経っているんですね。
どうやら光速が遅すぎました。
夢月ちゃんの性格も良く分からんで書いちゃいました。
なんで彼女が紅魔館でメイドやっているかって言うとなんとなく、彼女の気まぐれでしょうか。
設定等の食い違いをもし教えていただけましたら幸いです。

*2/27本文修正
tomomo
コメント



1.名無し妖怪削除
この設定での続編、できれば長編を希望します。
2.tomomo削除
読んで下さってありがとうございます!
ですが思いつきと酔狂でやったネタですので続かないかと。
長い話を収拾する力もありませんので
今はこれが精一杯(おじさま!