幻想郷の人里離れた所に博麗神社という神社がある。
博麗神社には一人の巫女が住んでおり生活はたいそう貧しかった。
「あ~宝くじでも当たって楽に暮らしてぇ」
しかし決して貧乏な事に不満を持つ事はなくせっせと働いていました。
今日も仕事を終え巫女は母屋に帰りました。
「あ~今日もよく働いた~」
ちなみに彼女の仕事は掃除をしただけです。
「今日もお酒が美味しいわ」
友人の魔法使いの家から借りてきた、あくまで借りてきた柿ピーを食べながらお酒を飲んでいました。
「あら?」
すると柿ピーの袋の中に変な物質が入っている事に気がつきました。
「何よこれ?……柿の種?」
不思議な事に本物の種の様な物が入っていました。
「これは食べられないわね」
巫女は別にどうとも思うことなく外に放り投げました。
翌日、その場所をよく見るとちっちゃな芽らしき物が生えていました。
「柿は育つのに時間かかるって聞いたけどラッキーだわ」
巫女はとってもポジティブな考えを持っていました。
「まあ、いざというときは……」
知り合いの花使いを思い出してほくそ笑むのでした、巫女はとっても策略家でした。
そして数ヶ月の時が経ちました。巫女は芽の事などすっかり忘れていました。
さらにそれより数日。
「あ、そう言えばあの柿の芽はどうなったのかしら?」
偶然にも思い出した巫女はその場所に行ってみました。
するとそこには とってもたくましいアホ毛 が生えていました。
「意味分からないわよ、意味分からないわよ!」
何故か二回言いました。
不気味に思った巫女はすぐさまその場所を去りました。
「触らぬ髪にたたり無しってね」
しかし数日後、やはり気になった巫女はその場所を再び訪れてみました。
すると以前より、よりたくましくなったアホ毛がそこにありました。
「これはもしかして大きな実でもなってるのかしら?」
巫女はとってもポジティブでした。
一見どう見てもマンドラゴラにしか見えないそのアホ毛を躊躇無く引っ張りました。
巫女がアホ毛を引っ張ります。
よいしょ、よいしょ
それでもアホ毛は抜けません。
「重いわ……花映塚でボスアタックとリリーが被ったときの処理よりも重いわ!」
よく分からない怒り方をしました。
しばらく試して諦めようとしたその時、境内で友人の魔法使いがお茶を飲んでいました。
これはチャンスと思った巫女は魔法使いに手伝うよう頼みました。
「ちょっと手伝ってよ」
「おいおい、私は今来たばかりだぜ」
「うるせえ、穀潰しが!」
彼女はあくまで丁重に頼みました。
巫女と魔法使いがアホ毛を引っ張ります。
よいしょ、よいしょ、よいしょ
それでもアホ毛は抜けません。
「無理だ……初見時の正直者の死のスペルより無理だ!」
二人が諦めようとしたとき二人の上空に一人のメイドが飛んでいました。
「ちょっと手伝ってよ」
「仕方ないわね」
メイドはレアな物には目がないので手伝う事にしました。
巫女と魔法使いとメイドがアホ毛を引っ張ります。
よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ
それでもアホ毛は抜けません。
「う~ん、手強いわね」
三人とも諦めようとしました、すると偶然にも半人前の剣士が通り過ぎました。
巫女はそれを呼び止めました。
「ちょっと手伝ってよ」
「はあ、いいですけど……それって地面掘った方が早いのではないですか?」
「空気読め、このみょんが!」
「ムキー!!」
半人前の剣士はキレました、どうやらキレるツボに入ったようです。
バトル開始です。
「夢想封印!!」
「ぎゃー!!」
バトルは二秒で終わりました。
巫女と魔法使いとメイドと剣士がアホ毛を引っ張ります。
よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ
それでもアホ毛は抜けません。
「もう掘っちゃいましょうよ……」
流石にみんな諦めムードです。
「あたい参上!私も手伝うよ!」
氷の妖精がやってきました。
「妖精一匹増えたぐらいで変わらないわよ」
「やってみないと分からないじゃない!」
巫女と魔法使いとメイドと剣士と⑨がアホ毛を引っ張ります。
よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ
それでもアホ毛は抜けません。
結果は見えてました。
「じゃあ私が手伝うよ」
そう言って幻想郷一の力自慢の鬼が名乗り出ました。
真打ち登場です。
「それなら早く出てこい、この飲んだくれ!」
「ムキー!!」
鬼もキレました。
そんなこんなでようやくみんなで引っ張る事になりました。
巫女と魔法使いとメイドと剣士と⑨と鬼がアホ毛を引っ張ります。
よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ
よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ、よいしょ
ブチッ
アホ毛も切れました。
「まあ、普通こうなるよね」
巫女は意外と冷静でした。
「じゃあ、仕方ない掘るか?」
「そうね」
満場一致でその『もとアホ毛』を掘り起こそうとしました。
すると突然大きな地震が起こりました。
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それにしてもこの地震のりのりである。
地震が収まったとき、少女達の前に巨大な人型の生物が立っていました。
「だ、誰?」
巫女は臆せず話しかけました。
「私は全知全能の神なり。私を呼び起こしたのはお前達か?」
「まあ、そうだけど……」
「そうか……それでは死ねー!!」
神様はとっても理不尽でした。
「アブねっ!!」
みんな寸前の所でグレイズり、そしてその攻撃を期にみんな戦闘態勢をとりました。
「私は博麗、神に仕える巫女……でも幻想郷の秩序を破るなら、たとえ神でも許しはしないわ!」
「髪――もとい神ごときが私が倒せるとでも?」
「アリス……仇は取るぜ」
感動のラスボス戦です。
「行くわよっ!!!」
「「おおおおおおっ!!」」
立ち上がれ!幻想郷の住人達よ 幻想郷に平和が訪れるまで。
彼女たちの戦いはこれからだ。
―― the end ――
それにしても途中の比喩がうまいっす
>26日の名無し妖怪さん
誤字直しておきました、ご報告ありがとうございます。
アキオ―――誤字ってるぞ―――