あらすじ
範馬勇次郎
―――――久しぶりに、泣いてしまった。
「おやすみなさい、藍さま」
「おやすみ、橙」
「今年のチョコレートも、すごくおいしかったです!」
「ありがとう。橙のチョコレートもおいしかったよ」
「えへへ♪ おやすみなさーい!」
「うん。おやすみ」
2月14日。
と言えば、幻想郷の乙女では知らぬ者のない日でもある。
バレンタインデー。
外の世界でそう呼ばれている、今日この日は。
恋をする者はその恋心を。
愛し合う者はその愛を。
家族や友人には日頃の感謝を込めて。
チョコレートや別の贈り物を贈る日だ。
私と橙は、毎年の恒例行事として。
今年もチョコレートを交換しあった。
「―――――」
さて、その2月14日から15日へ。
もうすぐ日付も変わろうかという頃。
橙が眠ったのを確認した私は、マヨヒガの居間で一人。
卓袱台にうつぶせで身体を預けている。
組んだ手の上に乗せた顔が見つめる卓袱台の上。
丁寧にラッピングした、手作りのチョコレートがひとつ。
渡す相手も居ないまま、ぽつねんと佇んでいた。
「――贅沢者だな、私は」
ひとりごちて、静かに目を閉じた。
頭の中では分かっていることなのに、未練が募る。
主である紫様は、冬から春にかけて、お休みになられる。
故に、今のこの時期、お姿を拝見することは叶わない。
当然、バレンタインの贈り物もお渡しできないのだが――諦めきれない。
毎年、渡す人の居ないチョコレートをひとつ余分にこさえては。
次の日に、「残り物だ」と言って、橙にあげている。
「――橙が居ると言うのにな」
そう。
私はもう一人じゃない。
今は可愛い式の橙が居る。
橙に贈り物を届けてやれる。
それで十分ではないか。
そう自分に言い聞かせて―――本心を隠す。
本当は、渡したいくせに。
「―――馬鹿者め」
欲張りな自分を叱って。
卓に突っ伏しているうちに。
少しばかり、あたたかな日和だったせいか。
そのまま、ゆっくりと寝入ってしまった。
そう言えば、外の世界は、暖冬らしい。
幻想郷の冬にも、その影響が出たのだろうか?
明日にでも、結界の綻びを見に行かねば。
「――――ん。あ、いかんいかん……」
コトリ、と。
何か小さな音がした気がして、目が覚めた。
寝ぼけた頭を揺すり、目を擦る。
多少あたたかだと言っても、まだ肌寒い時期だ。
硬い冷たい卓の上よりは、柔らかい布団で眠りたい。
頭と目をすっきりさせた私は身を起こし。
卓の上のチョコレートを片付けようとして。
もう一度、自分が寝ていないかどうか。
確認する羽目になった。
『ギリギリセーフだったみたい
あったかかったから ちょっとがんばってみたの
ねむくて あいさつもできなくてごめんね とってもおいしかったわ ゆかり』
卓の上に、私のチョコレートがなくなっていて。
代わりに、見知らぬチョコレートが置いてあって。
漢字も書けない状況で。
必死になぐり書いたメモが。
そっと添えてあったものだから。
色々なものがこみ上げてきてしまい。
―――――久しぶりに、泣いてしまった。
範馬勇次郎
―――――久しぶりに、泣いてしまった。
「おやすみなさい、藍さま」
「おやすみ、橙」
「今年のチョコレートも、すごくおいしかったです!」
「ありがとう。橙のチョコレートもおいしかったよ」
「えへへ♪ おやすみなさーい!」
「うん。おやすみ」
2月14日。
と言えば、幻想郷の乙女では知らぬ者のない日でもある。
バレンタインデー。
外の世界でそう呼ばれている、今日この日は。
恋をする者はその恋心を。
愛し合う者はその愛を。
家族や友人には日頃の感謝を込めて。
チョコレートや別の贈り物を贈る日だ。
私と橙は、毎年の恒例行事として。
今年もチョコレートを交換しあった。
「―――――」
さて、その2月14日から15日へ。
もうすぐ日付も変わろうかという頃。
橙が眠ったのを確認した私は、マヨヒガの居間で一人。
卓袱台にうつぶせで身体を預けている。
組んだ手の上に乗せた顔が見つめる卓袱台の上。
丁寧にラッピングした、手作りのチョコレートがひとつ。
渡す相手も居ないまま、ぽつねんと佇んでいた。
「――贅沢者だな、私は」
ひとりごちて、静かに目を閉じた。
頭の中では分かっていることなのに、未練が募る。
主である紫様は、冬から春にかけて、お休みになられる。
故に、今のこの時期、お姿を拝見することは叶わない。
当然、バレンタインの贈り物もお渡しできないのだが――諦めきれない。
毎年、渡す人の居ないチョコレートをひとつ余分にこさえては。
次の日に、「残り物だ」と言って、橙にあげている。
「――橙が居ると言うのにな」
そう。
私はもう一人じゃない。
今は可愛い式の橙が居る。
橙に贈り物を届けてやれる。
それで十分ではないか。
そう自分に言い聞かせて―――本心を隠す。
本当は、渡したいくせに。
「―――馬鹿者め」
欲張りな自分を叱って。
卓に突っ伏しているうちに。
少しばかり、あたたかな日和だったせいか。
そのまま、ゆっくりと寝入ってしまった。
そう言えば、外の世界は、暖冬らしい。
幻想郷の冬にも、その影響が出たのだろうか?
明日にでも、結界の綻びを見に行かねば。
「――――ん。あ、いかんいかん……」
コトリ、と。
何か小さな音がした気がして、目が覚めた。
寝ぼけた頭を揺すり、目を擦る。
多少あたたかだと言っても、まだ肌寒い時期だ。
硬い冷たい卓の上よりは、柔らかい布団で眠りたい。
頭と目をすっきりさせた私は身を起こし。
卓の上のチョコレートを片付けようとして。
もう一度、自分が寝ていないかどうか。
確認する羽目になった。
『ギリギリセーフだったみたい
あったかかったから ちょっとがんばってみたの
ねむくて あいさつもできなくてごめんね とってもおいしかったわ ゆかり』
卓の上に、私のチョコレートがなくなっていて。
代わりに、見知らぬチョコレートが置いてあって。
漢字も書けない状況で。
必死になぐり書いたメモが。
そっと添えてあったものだから。
色々なものがこみ上げてきてしまい。
―――――久しぶりに、泣いてしまった。
おきるよ!
でもその前にあらすじwwwwww鬼の顔かよwwwwww
うん、おきるよ!! おきてるに決まってるよっ!!!
おきるよ!
おきるよ!おきるよ!
おきるにきまってるよ!!!!1!1!
少し地面が濡れてる程度で、朝になればしっかり晴れてるそんな具合に。
―――まるで藍さまの涙のように。
でも犬猫の類にチョコはよくないんじゃ・・・
やさしいはなし だよっ!
とレスせずにはいられない!
おきるよ!!
きっとチョコのせいだ。