あらすじ:
うちみ・みょんな斬り傷・⑨には、大ガマ印の蝦蟇の油をどうぞ
イナバ薬局
「ねぇ、咲夜さん」
「なあに、美鈴」
「私に刺さったナイフ、回収して何に使うんですか?」
湖のほとりにそびえる、吸血鬼の紅い館。
健康的な館主が眠りについた後、門番とメイド長も、主に倣って仲良く眠りにつこうとしていた。
「ねえ、何に使うんですか?」
「何のことかしらね」
「ごまかさないで下さい。いっつも私に刺さったナイフだけは、時間を止めて抜いているでしょう」
刺さらなかったナイフは、後から私に回収させているくせに。
美鈴は、少しすねた風に言った。
「別に、何にも使ってないわよ」
「じゃあ、なんで回収するんですか」
「……深い意味は無いわよ」
「あ、咲夜さん、嘘ついたでしょ?」
「そ、そんな事無いわよ」
「咲夜さんは、嘘をつくとき体温が上がります」
「嘘!?」
「嘘です」
ザシュ
ザ・ワールド!
スポッ
お薬塗り塗り
――そして、時は動き出す
「……ほら、またやった」
「あっ」
「この手に持つナイフは、何に使――光ってる!?」
反射的に美鈴に生けナイフした、咲夜さん。
ついつい習慣で、ナイフを回収した現場を差し押さえ。
仕方無しに、ナイフの件を説明しだした。
「はぁ……美鈴、『妖刀』って知っているでしょう?」
「妖夢ちゃんの武器ですか」
「違うわよ」
私といるのに、他の女の名前を出すとは恐れ入る。
メイド長は、門番の腕をつねってやった。
「いたたたた……。じゃあ、妖怪の力を持つ刀ですか?」
「そうよ。美鈴だって妖怪じゃない。あなたの血を吸ったら――」
美鈴の血を吸ったナイフは、暗い室内で虹の輝きを放っていた。
「それで、私の血を吸った妖刀だから回収した、と」
「そうよ」
「……何に使うんです? やっぱり、武器?」
「武器になんかしないわよ。というか、武器にならないわよ」
「へ?」
咲夜は、ため息をついて話を続けた。
「妖刀だから威力が増したろうと思って、投げてみたのよ。
そうしたら、刺さるどころか明後日の方向に飛んで行ったわ」
ヴワル図書館を襲撃する魔理沙に光るナイフを投げてみたら、
ありえない軌跡を描いてナイフ「が」避けた。
「出先で魔物に遭った時も、あのナイフじゃ致命傷を与えられなかったわ」
魔法の森に生息する、わけのわからない妖魔の数々。
そいつらに光るナイフを投げると、足止め程度の傷しか負わせることが出来ないのだった。
「ゼロ距離で手で握って刺そうとしたら、急に錆びちゃったし」
獲物の首に光るナイフを刺そうとしたら、急に光が消え、錆びつきだした。
錆びは瞬時に刃を崩し、鉄粉となって風に吹かれて飛んでいってしまった。
「試しに、時間を止めてから自分を斬ろうともしたんだけど……」
止まった時の中で、腕に宛がった光るナイフ。
力を込めようとした瞬間――
「時間が止まっている筈なのに、あなたの声が聞こえた気がしたわ」
あの「ダメ!」という叫びは、ナイフに宿った美鈴の悲鳴だったのだろうか。
「美鈴の血を吸った妖刀は、やっぱり美鈴になるのよ」
傷つけることを避けるためならば、自らを塵に変えてしまう。
心無い刃物までもが、そんな優しさを持った紅 美鈴になってしまう。
「そうなんですか……」
「でも、一定期間が過ぎたら能力が消えるのよ。
それまでは……」
ベッドから起きた咲夜は、壁にしつらえられた戸の前に立ち、開けて見せた。
開けられた扉からまばゆい光が零れ出て、前に立つ咲夜を虹色に染め上げた、
「こうやって、大事に保管しているわ。これだって、『美鈴』なんだから」
虹色の光のガウンを着て、咲夜は照れた風にそう告げた。
「咲夜さん……」
そんな咲夜を、美鈴は抱きしめた。
「あっ――」
「嬉しいです、とっても」
虹色の光に包まれて、二人は幸せそうに唇を寄せた――。
やっぱり中国はオチ担当ですか(゚∀゚)ニヨニヨ
>名前ガの兎 様
中国は、オチ>お色気>>>>>>>>>かっこいいがマイジャスティスにゴザイマス(笑)。
>変身D 様
故に、魔理沙には普段は当たらないんでしょうな。
仇なすものには……脳天に刺さって爆発四散するとか(汗)。