「きゅっ」として「どかーん」はフランドール・スカーレットの名言である。
少なくとも紅魔館の者達はそう思っており、同時に恐れてもいる。
しかし、最近その頻度が異常に多い。
「きゅっとして―――」
今も庭先ではその声が響いており、
「どっかーん!」
盆栽の手入れに余念が無い。
侍女一○○三二号と名付けられた妖精は庭先を見つつ思う。
誰だ、あんな盆栽の整え方を教えたのは、と。
他の妖精よりも少しだけ頭の良い一○○三二号は庭で楽しそうに笑う悪魔の妹を見る。
「ふう、頑張ったー」
汗を流して清々しい笑顔を浮かべる少女は本当に良いものだ。
「ねーねー、掃除終わったよー」
「次行こう、次ー。咲夜さんに褒めてもらうんだからー」
一○○三四号と一○○三五号がこちらへ飛んできた。
どうやら任せていた場所の掃除は終わったらしい。彼女達も成長したものだ。
取り敢えず、一○○三二号が先に行っててという旨を伝えると、彼女達は了承して去って行った。
なおも一○○三二号は庭先から目を離さない。
暫くフランドールは宝石が付いた異形の羽をパタパタと動かしていたが、やがてコチラに気づいたのか振り向き、
「おーい」
手を振ってきた。
一○○三二号も今気づいたかの様に手を振り返す。
そのタイミングが大切なのだ、って咲夜さんが言ってた。
「何してるのー?」
何時の間にか目の前にやってきていたフランドールに驚く事も無く雑巾を差し出す。
ここは悪魔の館、何が起こっても変では無い。
館の主がいきなり「れみあうー!」等と叫び出したり、メイド長が「蝶サイコー!」などと言って薄い半円球状の物を
片手に喜んでいたとしても問題ない。
後者の場合、見た後にコマ切れにされたが、問題ない。
大切なのは寛容の心なのだ。
一○○三三号も散る間際に言っていた「一○○三二号。大切なのは、寛容の心と咲夜さんの桃色」と。
何が桃色なのかはわからない。
彼女は現在門番隊に移されており、紅魔館内部への侵入を禁止されている。
以前黒白と共に突っ込んできた時も咲夜さんにコマ切れにされていた。
それでも止めないのは妖精としての根性か、ただの馬鹿なのか。
馬鹿なのだろう、私と一緒だし。
「雑巾……掃除中?」
頷く。
するとフランドールは笑顔で、
「私も手伝おうか?」
そんな申し出をしてくれた。
なんという気遣い。このフランドール様は間違いなく主の器。
気遣いというと、門番である紅・美鈴様がつい最近意味も無く、
『オラに気を分けてくれー!』
とか言って馬鹿でかい光の玉を作り出したのは記憶に新しい。
あまりに馬鹿でかすぎて最終的に処理に困ったので、ゆかり、という人の協力も得て月に投げ込んだらしい。
そういえば、それから月を見ない。一体どうしたのだろうか。
取り敢えずはフランドールの申し出に首を横に振る。
これでも妖精の中では断トツに頭が良い方だ。主に対する敬意を払う事ぐらいは出来る。
ちなみに断トツは、断然トップの略なので覚えておくように。
「うーん、そう?大変そうだけどなぁ……」
なんという優しさ。このフランドール様は間違いなくボスの器。
ボスで言ったら、咲夜さんの方が似合いそうな事もないが――時を飛ばしそうだし。
などと最近図書館で立ち読みしていた本に出ていた知識を思い浮かべつつ、眼前へと視線を向け再度頭を横に振る。
フランドール様のためならなんのそのだ。
ちなみに紅魔館の妖精組は、破壊神フランドール様派、偽装神メイド長派、悪魔神レミリア様派に分かれている。
もやし?そういえば地下が最近黒白侵入者の襲撃を受けて陥没した様な気もする様な。
「じゃあ、私は行くねー」
手を振りながら去っていくフランドール。
その姿に見惚れながら妖精は彼女の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
「ハッ!?」
そして、妖精は気付く。
昨日も全く同じ様な事をしていたという事に。
慌てて自分の掃除を任された場所へと振り向いて、見渡す。
やはり掃除をした痕跡は無く、全く昨日と同じだ。
これはどういう事だろう、と思う。
きっと頭が良過ぎるが故に気付いた事だ。
それはつまり――、
「ただ掃除してないだけなのかー」
忘れてました。
其の事を思い出すと同時に背後に黒い空間が現れる。
曰く、時間を操れる者は空間をも操れるとか。
そして、同時に現れるのは妖精にとっての死神であり、上司である存在。
其の名を――十六夜・咲夜という。
「仕事しなさいっ!」
「でじょんっ!」
ようせいは はじけとんだ!
○
――次の日。
一○○三二号は湖から紅魔館へ向かって急いで飛んでいた。
いくらでも復活出来ると言っても、再生にはちょっと時間がかかるのだ。
「あ、おかえりー。あんたらも大変だねー」
「仕事ですからー」
門番の柔らかい笑顔と振られる手にお辞儀を返しつつ一○○三二号は門を潜る。
今日も一日が始まった。
紅魔館においての妖精の役割は簡単である。
一つはメイド長の仕事の手伝い、補佐、そして、掃除等。
もう一つは、和ませ要員である。
妖精は馬鹿といわれがちだが、全く持ってその通りだ。
しかし、同時にそれ故の小動物的な雰囲気を得ることが出来るのである。
そして、最後の一つ。
それは――、
「遅刻!」
「ばにっしゅですっ!」
ストレス解消。
これが妖精の方も満更ではなさそうだから、本当に紅魔館は地獄である。
大体そんな感じの妖精日和でだったりするのであった。
「ねぇ、二号。一○○三二号って、最近、なんだか変な遊びに目覚めてる様な……」
「一号。あれは趣味。趣味なのよ」
「そーなのかー」
今日も紅魔館は平和だ。
少なくとも紅魔館の者達はそう思っており、同時に恐れてもいる。
しかし、最近その頻度が異常に多い。
「きゅっとして―――」
今も庭先ではその声が響いており、
「どっかーん!」
盆栽の手入れに余念が無い。
侍女一○○三二号と名付けられた妖精は庭先を見つつ思う。
誰だ、あんな盆栽の整え方を教えたのは、と。
他の妖精よりも少しだけ頭の良い一○○三二号は庭で楽しそうに笑う悪魔の妹を見る。
「ふう、頑張ったー」
汗を流して清々しい笑顔を浮かべる少女は本当に良いものだ。
「ねーねー、掃除終わったよー」
「次行こう、次ー。咲夜さんに褒めてもらうんだからー」
一○○三四号と一○○三五号がこちらへ飛んできた。
どうやら任せていた場所の掃除は終わったらしい。彼女達も成長したものだ。
取り敢えず、一○○三二号が先に行っててという旨を伝えると、彼女達は了承して去って行った。
なおも一○○三二号は庭先から目を離さない。
暫くフランドールは宝石が付いた異形の羽をパタパタと動かしていたが、やがてコチラに気づいたのか振り向き、
「おーい」
手を振ってきた。
一○○三二号も今気づいたかの様に手を振り返す。
そのタイミングが大切なのだ、って咲夜さんが言ってた。
「何してるのー?」
何時の間にか目の前にやってきていたフランドールに驚く事も無く雑巾を差し出す。
ここは悪魔の館、何が起こっても変では無い。
館の主がいきなり「れみあうー!」等と叫び出したり、メイド長が「蝶サイコー!」などと言って薄い半円球状の物を
片手に喜んでいたとしても問題ない。
後者の場合、見た後にコマ切れにされたが、問題ない。
大切なのは寛容の心なのだ。
一○○三三号も散る間際に言っていた「一○○三二号。大切なのは、寛容の心と咲夜さんの桃色」と。
何が桃色なのかはわからない。
彼女は現在門番隊に移されており、紅魔館内部への侵入を禁止されている。
以前黒白と共に突っ込んできた時も咲夜さんにコマ切れにされていた。
それでも止めないのは妖精としての根性か、ただの馬鹿なのか。
馬鹿なのだろう、私と一緒だし。
「雑巾……掃除中?」
頷く。
するとフランドールは笑顔で、
「私も手伝おうか?」
そんな申し出をしてくれた。
なんという気遣い。このフランドール様は間違いなく主の器。
気遣いというと、門番である紅・美鈴様がつい最近意味も無く、
『オラに気を分けてくれー!』
とか言って馬鹿でかい光の玉を作り出したのは記憶に新しい。
あまりに馬鹿でかすぎて最終的に処理に困ったので、ゆかり、という人の協力も得て月に投げ込んだらしい。
そういえば、それから月を見ない。一体どうしたのだろうか。
取り敢えずはフランドールの申し出に首を横に振る。
これでも妖精の中では断トツに頭が良い方だ。主に対する敬意を払う事ぐらいは出来る。
ちなみに断トツは、断然トップの略なので覚えておくように。
「うーん、そう?大変そうだけどなぁ……」
なんという優しさ。このフランドール様は間違いなくボスの器。
ボスで言ったら、咲夜さんの方が似合いそうな事もないが――時を飛ばしそうだし。
などと最近図書館で立ち読みしていた本に出ていた知識を思い浮かべつつ、眼前へと視線を向け再度頭を横に振る。
フランドール様のためならなんのそのだ。
ちなみに紅魔館の妖精組は、破壊神フランドール様派、偽装神メイド長派、悪魔神レミリア様派に分かれている。
もやし?そういえば地下が最近黒白侵入者の襲撃を受けて陥没した様な気もする様な。
「じゃあ、私は行くねー」
手を振りながら去っていくフランドール。
その姿に見惚れながら妖精は彼女の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
「ハッ!?」
そして、妖精は気付く。
昨日も全く同じ様な事をしていたという事に。
慌てて自分の掃除を任された場所へと振り向いて、見渡す。
やはり掃除をした痕跡は無く、全く昨日と同じだ。
これはどういう事だろう、と思う。
きっと頭が良過ぎるが故に気付いた事だ。
それはつまり――、
「ただ掃除してないだけなのかー」
忘れてました。
其の事を思い出すと同時に背後に黒い空間が現れる。
曰く、時間を操れる者は空間をも操れるとか。
そして、同時に現れるのは妖精にとっての死神であり、上司である存在。
其の名を――十六夜・咲夜という。
「仕事しなさいっ!」
「でじょんっ!」
ようせいは はじけとんだ!
○
――次の日。
一○○三二号は湖から紅魔館へ向かって急いで飛んでいた。
いくらでも復活出来ると言っても、再生にはちょっと時間がかかるのだ。
「あ、おかえりー。あんたらも大変だねー」
「仕事ですからー」
門番の柔らかい笑顔と振られる手にお辞儀を返しつつ一○○三二号は門を潜る。
今日も一日が始まった。
紅魔館においての妖精の役割は簡単である。
一つはメイド長の仕事の手伝い、補佐、そして、掃除等。
もう一つは、和ませ要員である。
妖精は馬鹿といわれがちだが、全く持ってその通りだ。
しかし、同時にそれ故の小動物的な雰囲気を得ることが出来るのである。
そして、最後の一つ。
それは――、
「遅刻!」
「ばにっしゅですっ!」
ストレス解消。
これが妖精の方も満更ではなさそうだから、本当に紅魔館は地獄である。
大体そんな感じの妖精日和でだったりするのであった。
「ねぇ、二号。一○○三二号って、最近、なんだか変な遊びに目覚めてる様な……」
「一号。あれは趣味。趣味なのよ」
「そーなのかー」
今日も紅魔館は平和だ。
紅魔館のカオスっぷりも異常。
だがそれがいい。
咲夜さんは完全神とか瀟洒神とかじゃなくて偽装神なのかー
そして美鈴はサイ○人だったという点に驚愕。
…そうか、確かにアレもある意味妖怪だw
何が言いたいのかというと突然襲ってきた既視感に吹いたw
はたして盆栽というのかな?
それはともかく、悲鳴が即死攻撃なところに噴いた。
美鈴…下手をすれば幻想郷を滅ぼしかねないな。
そして紫…昔負けた腹いせか?
それにしても10032号ナイスすぎ。