Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

~陽気な春のうた(絵なし絵本風)~

2007/02/03 10:36:02
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「春の…匂いがする…」







風がそよいで木が揺れて、春の匂いが届いたら、春告精の私の出番

うーんといっぱい手を伸ばし、私はぱちりと目をあける

目に飛び込んだ青い空、林の木々は若緑、白い雪は水色に、土色地面を流れてく

「みんなに春を伝えなきゃ♪」

私は陽気に呟いて、一気に空へと飛び出した





明るい空をふわふわと、綿帽子が舞い飛んで、私もうきうき飛んでいく

暖か優しい太陽に、風は少し寒いけど、薫る匂いは春の色

「春春春春は~る~♪」

口から飛び出た春の歌、陽気に跳ねてお空でダンス

「春が来ましたよー♪」

私も合わせて踊り跳ね、春の知らせを振りまいた

雪の中から芽を出した、小さな小さなフキノトウ

透明な水に元気に踊る、小さく元気なメダカさん

青空舞い飛ぶ小鳥さん、私の肩に止まったら、素敵な春の四点セット

「春~春ですよ~!!」

元気一杯精一杯、謳う声も高らかに、私は楽しく空をゆく





青い空をぐいぐいと、進んだ私の目の前に、大きな湖広がった

氷は溶けて水面が見えて、空を映した水面には、空色水色混ざり合う

「春~♪」

楽しく周りを眺めたら、水面に浮かぶ蓮の葉に、ねぼすけさんな氷精さん

ぷかぷか浮かぶ蓮の葉で、ぐーぐー眠る氷精さん

ふわふわ飛んでる妖精さん、笑って寝顔を眺めてた

もう春ですよ起きましょう、みんなで楽しく遊びましょう

「もう春ですよ~」

「ふぎゃん!?」

「わわわっチルノちゃん!?」

届いた春に氷精さん、ばしゃばしゃ陽気にはしゃいでた

だけどまだまだ湖冷たいよ?

「ちょっ…ごぼっ!あたいは最強なんだからっ!!覚えてなさいっ!!」

「チルノちゃん!?そんな格好で言っても説得力ないよっ!!」

「ごぼぼ…足がつって…ごぼ」

「チルノちゃんっ!?」

ぶんぶん手を振る氷精さん、喜んでくれて嬉しいな♪

風邪ひかないよう気をつけて

私もぶんぶん手を振って、春を届けに空をゆく





ふわふわ飛んで湖越えて、見えたよ見えた、紅いお屋敷

広いお庭のあちこちに、ぽつりぽつりと花が咲く

「春~♪」

外も見ないでわたわたと、歩く人たちもしかして、春が来たのに気付いてない?

いけないいけないいけないなぁ、少し休んで外を見て、春を感じて下さいな♪

私はどんどん近づいて、力一杯春をお届け

「春ですよっ!!」

すーっと飛んでく弾幕は、どんどん館に吸い込まれ、どかんぼかんと大騒ぎ

「えっ!?」

「お洗濯ものがっ!?」

「わーんっ!泥まみれ~」

「休憩時間が返上に~」

みんなばたばた楽しそう、喜んでくれて嬉しいな♪

忙しい中にも季節の息吹、みなさん感じて下さいね

「仕事増やすなばかぁ~」

「降りてきなさいよっ!花畑に植えてやるわっ!!」

みんなでわいわいはしゃいでる、そんな景色に手を振って、私はうきうき空を行く





空色小川を飛び越えて、水色お空を突き進む

す~っと吸い込む春の風、もちろん味は春の味

「春~春~♪」

空飛ぶ私の声の下、白い大地に緑が咲いた

長くて重たい冬を越え、冷たい雪を押しのけて、春の息吹が空を見る

冬から春に移りゆく、そんな森を飛び越えて、私は春を落としてく

「寝ている皆さん春ですよ~明るく楽しい春ですよ~」

落ち葉に潜って冬を越し、まだまだぬくぬく眠ってる、そんなみんなに目覚ましを

「ふぁ…あ、ようやく春げふっ!?」

あーあ、せっかく起きたのに、また寝た虫さんねぼすけさん♪

森の上空ふわふわと、進む私の視線の先に、箒立ててる黒い人

ぬくぬくふくらむ黒い人、もう春なのにいけないなー

「春ですよっ!」

「よし、一ヶ月の苦労の成果が今ボキっと試され…ボキ?」

届いた春が舞い踊り、一緒に箒も折れ踊る

「だぁっ!?私の苦心作ー!?」

一緒に手を上げ踊ってる、黒い人にも春気分

「このっ!待てっ!!予備箒発進…って火!?わー箒置き場が火事にっ!!」

喜んでくれて嬉しいな、だけど火の元用心火の用心

薄い煙に別れを告げて、次なる場所へ空を行く





森を飛び越え野原抜け、次なる場所は竹の森

春夏秋冬変わらぬはずの、竹の葉なんだか嬉しそう

「春だから~♪」

ざわめく竹を飛び越えて、私はどんどん先へ行く

竹林の中にぽつねんと、佇むお屋敷寂しそう

そんなあなたに陽気な春を、春告精からプレゼント♪

「ねぇ師匠…本当に安全な薬なんですよね?」

「ええ、大丈夫、大切な弟子に危険なことはさせないわ」

「師匠…」

静かなお屋敷静かな気持ち、もっとはしゃいでみませんか?

「春だからー!」

竹林揺るがす爆音は、春から届いたプレゼント

「あああこぼれたっ!?しかも混ざった!?早くしないと毒ガス付きで爆発するわ!脱出」

「え…ちょっと爆発って…あの…師匠?」

もくもく漂う煙を眺め、はしゃいで飛び出す人たち見たら、私もとっても春気分♪

「みんなで騒いで下さいね♪」

楽しく呟く私の後ろ、とんとんぽかぽか春の音

「ばかぁ!師匠のばかっ!!嘘つきっ!!!」

「待ってウドンゲ!後ろにはまだ薬が…」

「わーんっ!!師匠は私より薬の方が好きなんだっ!ばかー!!」

「論点ずれて…あ」

続いてどっかん春の音、どんどんぼかぼか春の音

轟く轟音飛び散る木片、お祭り騒ぎをちらと見て、私はのんびり空を行く





私はやっぱり春の使者、空飛ぶ蝶も春の使者

暖か陽気な幻想郷に、季節を知らせる春の使者

「春~春~♪」

みなさんみなさん春ですよ、明るい楽しい春ですよっ

そんな私の目の前に、古びた神社が見えてきて、おこたにいる人見えてきた

「はぁ…いい日和ね、こんな日がずっと続けば、食べられる草にも不自由しないのに…」

どんよりため息春じゃない、あなたも一緒にはしゃぎましょう!

「春~!!」

「まぁ久しぶりの野草がゆでも食べてべっ!?」

届いた春は美味しいですか?

「いたた何が…ざ…雑草がゆが炭がゆにっ!?」

おこたが飛んで人飛んで、これであなたも春の人

「このっ!待ちなさい!!妖精がゆにしてやるわっ!!」

ばたばた浮かぶ春の人、だけどごめんねごめんなさい、私は先に行かなきゃだめなのです

なぜなら私は春告精、幻想郷に春を告げ、喜び伝える精なのです

「待てー返せっ戻せーっ!!」

手を振る人に手を振り返し、私はぐんぐん空を行く





うきうきふわふわ高度を上げて、わくわくほわほわ考える

次はどこに行きましょう?どこに春を咲かせましょう?

「春~春はいりませんか~?」

春が来たのを告げるのは、春告精の私の役目

いつからなのかわからない、だけどやっぱり私の役目

そんな私の目の前に、お花屋さんが立っていた

目の前には花の種、嬉しくなって私は降りる

嬉しく陽気に私は降りる

「来た来たやっぱりやってきた」

「お父さんこの子が春告精?」

「ああ、そうだよ」

ほわっと降りた私の前に、立ってる二人のお花屋さん

「もう春ですよ~」

そんな二人を横に見て、私はすいっと手を振って、種から花を咲かせます

「わぁっ」

「やぁや、いつ見ても見事なもんだ」

手を振る私の周りから、どんどこどんどこ春が咲く

種から伸びる緑の芽、それはだんだん広がって、色んな色で空に咲く

はしゃぐ二人に嬉しくて、私はるんるん踊ってた

ずんずんずんずんお花を咲かせ、くるくるくるくる踊ってた

「すごいすごい!」

「ここはすっかり春だなぁ」

大きな野原の真ん中に、お花がほわっと咲いたなら、そこだけ楽しい春畑





…あれ?





おかしいおかしいおかしいな、何かがおかしいおかしいな

なぜかなんでか言えないけれど、何かが絶対おかしいな

悩む私の目の前を、すっと過ぎ去る寒い風

おかしいおかしいおかしいな、やっぱりなにかがおかしいな…

くるくるぐるぐる踊りをやめて、休んだ私の目の前で、お花屋さんが呟いた

「気が付いたのかな」

気づいた何が気付いたの?

「そっかー春告精でも間違えるんだ…」

も一人呟くお花屋さん、何何何を間違えた?私は何を間違えた?

草原走る寒い風、枯れ草ざわりとゆらめいて、空から降るのは白い雪

「まだ春が先なことに…」

小さく呟くお花屋さん、空にだんだん雲が出て、お日様だんだんかくれてく

そっかそうなのそうなんだ、残念春はまだなんだ

「あ…春告精さん?」

お花屋さんに手を振って、私は空へと舞い上がる

空にはだんだん白い雪、吐く息だんだん白くなり、野原もだんだん白くなる

残念残念まだだった、春が来るのはまだだった

私はぐいぐい空を行く

春を告げるは私の役目、も少し先な私の役目

仕方がないから眠ってよう、春が来るまで眠ってよう

陽気に静かに眠ってよう

なぜなら私は春告精、陽気な春を伝え行く、陽気な陽気な春告精







冬の合間の春休み、厳しい季節の優しい休暇

幻想郷には春が来た、たった一日春が来た

休みが終わって冬が来て、春告精は空へ行く、春が来るまで空へ行く…



『おしまい』
冬の合間の春休み、寒がりな私には実にありがたいものなのです。そんなこんなな四番目の絵なし絵本、いかがでしたでしょうか?

…となるはずだった今作ですが、いつもより若干コメディー描写が多くなってしまったので、絵なし絵本『風』になってプチに投稿ですorz
ちなみに、私の街にもつい先日春が来て…すぐにいなくなりました。
あと、私は冬から春に移り変わる季節の『匂い』が好きだったりします。冬の合間の暖かい日、雪が溶けて、所々から地面が顔を出す…そんな時に外に出ると、春の匂いがしませんか?…いえ、実際は違うのかもしれませんが、そんな日の独特な匂いが春の使者のような気がしてならないのです。

そして、悪意なく『春』を振りまく子を想像していたら、リリーはこんなになりました。個人的には、春告精はこんなでいいんじゃないかと思ったりww

ではでは。
アッザム・de・ロイヤル
[email protected]
http://www.rak2.jp/town/user/oogama23/
コメント



1.SETH削除
厄介!

優曇華可愛いですね この優曇華はいいぞw
2.変身D削除
プチ災害な春妖精(違)、堪能させて頂きました(礼
って、永遠亭はプチじゃすんでない(w
3.あざみや削除
最近忙しくて、もう数ヶ月もここに投稿されている作品を読めていなかったのですが、久々に読めて良かったです^^
ほのぼのしてて、ちょっと悲しくて、それでいて終わりが澄んでいて。
やっぱりアッザムさんはいいなぁ。おもしろい!
4.ドライブ削除
ほのぼのさがとてもいいです。こんな感じのリリー、大好きです。
5.削除
ほんわかした話と天然っ娘リリー可愛いよw
早くリリーこないかな~花粉無しで・・・
6.蝦蟇口咬平削除
えっと、小春日和ってことですか?
7.アッザム・de・ロイヤル削除
ご感想ありがとうございますですww

>SETH様
どうしてもこんなイメージがありましてww

>変身D様
いえいえ、きっとこの位なら『プチ』かと思われまする~♪どちらかというと霊夢が大被害?(えー)
それにしても『プチ災害な春妖精』…言い得て妙ですねww

>あざみや様
わわっ!色々ともったいないお言葉をorz
そう言っていただけましたら、書いた甲斐がありまする♪このお話が、せめてもの心のお休みになれたなら…と思います。

>ドライブ様
私もこんなリリー大好きですww…迷惑だけどorz

>都様
…あ、その気持ち凄くよくわかります(花粉症)

>蝦蟇口咬平様
う~ん、季節としては今の時期(二月)を想像して書いたので『小春日和』とはちょっと違うかもです。
ちなみに、最初はそう(小春日和)書こうとして、念のため正確な意味を調べたら、実は思っていたのと違っていて没になったのはここだけの話orz
8.削除
…捕獲してもいいですか(目がマジだ
9.アッザム・de・ロイヤル削除
>翼様
ご感想ありがとうございますwwでもキャッチアンドリリースがマナーだそうですよ?
10.T.A削除
いいですね~、こういうほのぼのとした、でもちょっとギャグの入った話は大好きです。・・・ところで気になったんですが、リリー・Bはいったい何を伝えるんでしょうねぇ?
11.アッザム・de・ロイヤル削除
>T.A様
うおっ返信が遅れてしまったorz
遅ればせながら、ご感想ありがとうございますww
>>・・・ところで気になったんですが、リリー・Bはいったい何を伝えるんでしょうねぇ?
私も気になります(えー?)