Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

博麗の新武装

2007/01/21 09:02:40
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※この話には文花帖ネタが含まれていますが、自分自身東方の書籍関係は全く読んでおりません。
 時系列方面は調べましたが、細かい矛盾などありましたら軽く流してください。



 弾幕ごっことは、常に何かを消費して行うものである。
 各人の魔力や霊力、その他諸々の『力』を消費するものであれば、ゆっくりぐっすり眠って起きれば元通りである。

 それはいい。

 だが、弾幕ごっこに『物』を持ち込んで使用する場合は、注意が必要である。
 形あるものがいつか壊れるのは、言うまでもなく自然の摂理である。
 ましてや、弾幕ごっこともなれば使用量は膨大になり、破壊される量も比例する。

 例え破壊されなかったとしても、高速に・大量に放った自分の武器を回収するのは、並大抵のことではない。

 その最たる例が紅魔館のメイド長・十六夜 咲夜と、彼女の投げナイフのエピソードだろう。
 門番が防ぎきれなかった侵入者を紅き花に変えるナイフは、確かに美しい。
 だがしかし、その影では時を止めてまでナイフの回収を行う、多大なる苦労があるのだ。
 その苦労たるや、彼女にわざわざ休養を取らせ、手の空いた者を回収に当たらせる、館主・レミリア嬢の気遣いだけでも想像するにはあまりある。


 弾幕ごっこに物を持ち込んで使用することは、このように別のリスクを生み出すこととなる。
 それは経済的な危険性、とでも言うべきだろうか。

 だからこそ元々経済的に弱い者が、その危機に直面しないはずがなかったのだ。



「……ない」

 ぽつりと呟いた言葉が、広い神社の中に寂しく響いた。
 整然としているはずの戸棚は酷く荒れており、空き巣でも入ったかのような有様だった。

 だがしかし、人里離れた神社に入る空き巣などいるわけもない。
 仮にいたとしても、見合う利益と伴う危険を天秤にかければ、ここには近づかないだろう。

 この惨状は、彼女の仕業。
 他ならぬ博麗の巫女、霊夢自らによるものだった。

「まいったわね……」

 迂闊だった、とばかりに歯噛みする霊夢。
 ここに天狗がいれば間違いなく、そんな彼女の表情を写真に収めていただろう。
 そんな霊夢の姿は、今まで誰も見たことがなかった。

 ――異変は、既に起こっているのだ。

 ――そして、今回の異変はいままで解決してきた全てのものよりも、巨大で強大なものなのだ。

 だからこそ、使える物は全て用意して異変の解決に臨もうとしていた、その矢先。

 まさか――――


「――針が、尽きてるなんて」


 パスウェイジョンニードル。
 それは霊夢が持ち得る武器の中でも、一段と威力を重視したものである。
 空気を切り裂き飛来する速度、視認も難しいその細さ。
 そしてそれを一点に収束させた高速連射、エクスターミネーションは、『殲滅』というその名に違わぬ威力を誇っているのだ。

 しかしながら、物は有限である。
 符なら紙さえあれば多少は作れるだろうが、さすがに針は時間がかかる。
 だが今は、そんな時間も余力もなかった。


 夜空には、僅かに欠けた満月。
 睨み付ける霊夢の目に、悔しさの色が滲んだ。

 あの月が、もう少し遅く欠けていれば。
 針がなくなっていることに、自分がもう少し早く気付いていれば。

 後悔などは時間の無駄でしかない。今はその時間すら、惜しい。

 でも、今までだって何とかなってきたのだから。
 だから、今回も何とかなるのかもしれない。

 無理矢理気を楽にした霊夢は、少し余裕を取り戻していた。


 ――まずは、行こう。己の勘の赴くままに。

 ――何かがあったら、それはその時に考えればいい。


 常に、自然の如く。
 それが博麗のスタイルなのだ。
 散らかった戸棚周りはそのままに、霊夢はいざ飛び立とうと――


「あ、あった!!」


 瞬間、霊夢の思考に閃光が走る。
 すぐに踵を返して戻ると、今までは見向きもしなかった『それ』を手に取った。

 いずれどうにかしようとしていた物。
 見つけたときは、本当に頭痛を覚えた物。
 だが……使ってみる価値はあるだろう。

「ちょっと重いけど……ま、使えるでしょ」


 誰にともなく呟いて、巫女は欠けた月夜にその身を躍らせた。



 証言1:リグル・ナイトバグ

 ……え、『あれ』のこと? うーん……やっぱり苦手、かな。
 やっぱり怖いし、虫の皆も苦手にしてる子は多いよ。似てるしね。
 まともに当たったら、ピン刺しの標本どころじゃ済まないもん。


 証言2:ミスティア・ローレライ

 あ~……あの鳥目巫女ね。え、その時の話?
 んーと、あんまり覚えてないんだけど、すっごく早いのが飛んできたのは覚えてるよ。
 あはは……当たらなかったから良かったかな。ちゃんと鳥目になってたからかもね。
 気をつけてよ~、本当に早かったんだから。あ、お勘定? はいはーい。


 証言3:上白沢 慧音

 ああ、あの夜の事か。巫女が変な妖怪を連れて……何? 巫女が使っていた得物?
 確かあの巫女は、以前は針を使っていたはずだ。
 ――そうだ、里で作られた針を祝福し、魔を祓う武器として使っていた……はずなのだがな。
 『あれ』には、何かこう……邪念のようなものが感じられたのが、気がかりではあるな。
 ……だが、様々な用途があるのもまた事実だな。物語ではあるが、巫女のように武器として使った話もある。
 さて、あれはどんな話だったか――――。


 証言4:霧雨 魔理沙

 まあ、いつかはやるんじゃないかと思ってたけどな。
 そりゃ私だって驚いたさ。あいつと弾幕るのは久しぶりだったけどな。
 ――ああ、もちろんこれで終わる気はさらさらないぜ。
 マジックミサイルを改良して、『あれ』に力負けしないようにしないといけないしな。
 で、これで取材は終わりか? 私も暇だし、遊ぶんなら――そうか、そりゃ残念。


 証言5:鈴仙・優曇華院・イナバ

 はい。あの時のことですね。……正直、怖かったです。いえ、戦場は慣れて……いたんですけど。
 それでも、銃弾が飛んでくるのと、普段見慣れた物が飛んでくるのって、違う感じがするんです。
 現実感がないって言うか……あはは。そんなこと、言ってる場合じゃなかったんですけどね。
 あ、見慣れてるとは言いましたけど、流石にその大きさのはあんまり見たことはないですよ?
 そうそう、実物もありますよ。あの一件の後、床や壁に刺さっていたものをみんなで抜いて回ったんです。
 捨てた方がいいんじゃないか――って思いましたけど、姫は結構物を大事にする方なんですよ。
 姫にお話を……ですか? はい、お取次ぎしますので、少々お待ちください。


 証言6:蓬莱山 輝夜

 これはまた、めずらしいお客様ね。歓迎するわ、天狗さん。
 それで、私に話を聞きたいって話だけど……あの巫女のこと? ああ、『あれ』ね。
 ええ、とーっても痛かったわ。結構善戦したけど、服もボロボロになっちゃったしね。
 『十字架に磔にされた聖者』って所かしら。弾き損ねて、手とかに数発貰っちゃった。
 ああ、聞いてたのね。現物ならあるわよ。確かこの辺に……っと、はいこれ。
 ふふっ。ううん……改めて見ると、こんなに大きな物が刺さってたなんて、ちょっと信じられなくて……ね。
 ――それでも生きてるって、本当に涙が出そうよ。永琳のご飯が美味しく食べられるんだもの。
 一応、あいつの所にも行ってみる? 行くのなら、焼き鳥にされないように気をつけた方がいいわよ♪


 証言7:藤原 妹紅

 慧音のとこにも行ったんなら、私が言うことなんてあんまりないよ。
 ……私が話してもいいの? まあ、新聞に書くか書かないかはあんたの自由――だしね。
 『殺しても死なないのなら、思いっきり』ってトコ。えらい酷い目に遭わされたよ。
 ああ、そう言えばあいつも弾幕ったんだっけ? 自業自得だと思うけど……。
 ――え、そんな軽傷で済んだの!? あ~……そっか、貧乏クジ引いちゃったか。
 詳細? まあ、何度もリザレクションしたし、一々覚えちゃいないけど。
 そうだね、それじゃああんたの肝試しだ。私の言葉で、痛みの何割かでも伝えられればいいんだけどね。
 最初に当たったのは脇腹。身体に異物感がしたと思ったら、次は右肩に――

 (以下しばらく生々しい表現のため割愛)

 ま、そんなとこだね。……何だか、新聞に載せても仕方ないことしか話してない気がするけど。
 それでも、草木も眠る丑三つ時に、よりによってあんな物の使い手を寄越すなんて、あいつも洒落が効いてるね。



 これまでの情報を整理した文は、静かに懐に手帖をしまい込んだ。


 ――博麗の巫女が、新たな武器を持ち出した――


 それは、ほんの噂程度の情報だった。
 だが裏を取っていくうちに、その曖昧な情報は明瞭に変わり、何と物証まで手に入れることが出来たのだ。
 新聞のネタとしてはこれまでのものでも申し分ない。だが、やはり本人しか知り得ない事情もある。
 結局、本人への取材は最後になってしまったが、これでより良い記事を書けるのなら、この程度は苦労ではない。

 ――静かに、風が流れていく。

 穏やかなその流れの中から今、閃光のような鋭さを持った『黒』が飛び出した。
 Q.何で永夜抄の話なのにゆかりん出てないの?
 A.きっとこんなやり取りがあったんです。

 No.216「ブレイジングスター」 挑戦条件:単独霊夢でHard以上のFinalBクリア

「と、い・う・わ・け・で♪ 今回は一人で頑張ってね~♪」
「……後でご飯くらいはよろしくね」
「ふふ、藍にお願いしておくわ。後ろから見守ってあげるから、しっかりね~」

 いずれ来る夜空には満月を。
 皆が手を取り合う神社には安寧を。
 そして巫女と人形に五寸釘を。
鈴風 鴻
[email protected]
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コメント



0.簡易評価なし
1.無評価名など捨てた 削除
アリスと気が合いそうな巫女登場
2.無評価名無し妖怪 削除
何故か包丁を投げる霊夢が思い浮かびました
3.無評価名無し妖怪 削除
「見つけたときは、頭痛を覚えた」
…多分その時にはワラ人形つきだったのだろう…
4.無評価思想の狼 削除
…「ケヒヒ」って笑いながら弾幕ってたんだろうな、きっと
5.無評価名無し妖怪 削除
「永琳のご飯が美味しく食べられるんだもの。」
・・・もしかして霊夢が投げたのって箸?
6.無評価名無し妖怪 削除
五寸釘飛んできたら恐いなw
7.無評価名無し妖怪 削除
ごっすんごっすん
8.無評価蝦蟇口咬平 削除
五寸釘?・・・オレいままでさ、霊夢や紫は口から針吹き出してる、っていう脳内補完してたんだよね。口から・・・、合理非合理以前にこええ
9.無評価鈴風 鴻 削除
もはや針巫女の姿は何処にもないのでしょうか。新作に期待しています。
もし針巫女じゃなくて釘巫女になっていたとしても、責任は負いませんが(マテ
では返信を。

>名など捨てた様
実はこの後に霊アリのシーン書こうとしていたんですが挫折しました。
あくまで今回の五寸釘は代替品ですよ? ……多分。

>名無し妖怪様
やめてトンべりやめて~……確かに包丁は投げる武器ですけどっ。

>名無し妖怪様
もし逆に人形がなくて、五寸釘だけだったらどうします?
それはそれで怖くないですか……?

>思想の狼様
書いてる最中の脳内の光景には仕事人霊夢が映っておりました。
凛々しい霊夢も好きですよ。ええ。だれててもですけど。

>名無し妖怪様
最初から最後まで五寸釘のつもりです。
蓬莱人にとって、食事は楽しみの1つだと思いますので。

>名無し妖怪様
針でも十分怖いですけど、釘ともなると余計に怖いと思うのです。

>名無し妖怪
イオシス様に非常に感謝しております。あの曲がなかったら書けませんでした。

>蝦蟇口咬平様
口からですか……まあ、口からバズーカ撃ち出す宇宙人もいますからね。
幻想郷は全てを受け入れるので問題ないです。
10.無評価? 削除
文節ががどことなくエースコンバット0に似ている気がした良くも悪くも…
針だろうが釘だろうが霊夢は怖いという事が分かった
11.無評価翼 削除
慧音が邪念を感じる五寸釘って…もしや、使用後のものじゃ…はっ(蓬莱人形
12.無評価変身D 削除
サビ付きだと威力倍増のあの物体ですか。
判った瞬間、口に何本も咥えて捻り鉢巻に金づち持った霊夢が浮かびましたが気のせいだと思いたい(w
13.無評価名前が無い程度の能力 削除
弾幕れる数の五寸釘…一体どれだけあったんだろうか?