※プチ東方創想話ミニ・その11『正三角関係』を読めば、本作品の内容をより深く知る事が出来るかもしれません
それは珍しくも博麗の巫女が神社を離れ、何を思ったのか魔法の森を訪れた日
魔法の森に住んでいる人形遣いの家に訪れた、肌寒い冬の晴れた日の出来事
「それで、何の用? 」
「お茶頂戴、あれば緑茶」
「家は茶店じゃない」
そう言いながらも、何故か置いてある茶筒を戸棚から取り出す人形遣い
すると部屋に飾ってあった人形達が一斉に動き出し、カップや急須、湯飲みから薬缶まで持って来た
人形遣いはそれらにありがとうと言いながら必要な物を手に取りお茶の準備をする
必要ない物を持ってきた人形が片付けながら落ち込んでいるかの様にがっくりし、必要な物を渡した人形が両手を万歳の形にして踊りまわる
そんな一連の人形劇を見て、巫女は落ち込んでいる風な人形の頭を笑顔で撫でてやった
すぽんと言う軽い音を立てて、人形の首がもげる
「あ、ごめん」
首が外れた人形は慌てず自分の頭部を脇に抱え、変な敬礼をしながらプラカードを取り出した
巫女はプラカードに書かれた文字を読むも、意味が分からない
「ブ●ッケン伯爵? ジョン・モンタギュー4世の親戚? 」
「霊夢、お茶が出来たわ」
「お茶菓子は? 」
「芋で作ったタルトがあったけど、それで良い? 」
「うん、よろしくー」
席に座った巫女をよそに、背後ではネタを外した人形が静かに爆散
芸の道は険しかった、他の人形達が静粛に飛び散った部品を箱に集め入れる
「で、どうしたの? 」
「ちょっと・・・・ね」
二人ともお茶を飲み、タルトを食べながら普通に会話をしていた
腹話術の一種である、人形遣いならまだしも巫女に何故出来るのかと言う疑問は巫女だからの一言で終わる
「今日、神社に来なかったわね」
「忙しかったから」
「最近は、毎日来てたのに」
「忙しくなったのよ」
そう言いながら人形遣いは、巫女の視線から逃げるように膝元にある人形のリボンを弄り始めた
見ていない人形遣いは気づかないが、巫女の目が鋭く冷たい色を浮かべる
「今日、魔理沙が家に来たわ」
「暇なんでしょう」
「アリスにお茶を飲まないかと誘われた、そう言ってたけど」
「・・・・・どうせ、断られたわよ」
人形遣いの声が落ち込んだ、巫女の目はぼんやりと紅い色をちらつかせる
「私が言った事を忘れたのかしら? 」
「・・・・・私は・・・・でも・・・・」
「神社に来ないで、答えも聞かせてくれないの? 」
人形のリボンを弄る手に、するりと誰かの手が重ねられる
人形遣いが驚いて目線を前に戻せば、あるのは食後の食器だけ
音もなく人形遣いの背後に現れた巫女は、耳元に口を近づけそっと呟いた
「私は、アリスが好き」
人形遣いの肌が赤く染まる、巫女は椅子の背の部分を音もなく消滅させて人形遣いを背後から抱きしめながら呟き続ける
「好きよ、アリス。アリスが好きなの。アリスを愛してるわ。アリスしかいらない」
「・・・・でも、私は」
「魔理沙が好きなんでしょう? 」
その言葉に再び目線を人形へと戻そうとした人形遣いだが、巫女はそれを許さず顎を優しくも強引に掴み自分の方へと顔を向けさせる
巫女の紅く光る目は、触れば火傷してしまいそうな程の冷い色を湛えていた
「私の事は嫌い? 」
「・・・・嫌いじゃないわ」
「好き? 」
「・・・・・・・・うん」
「なら、良いじゃないのよ。それに」
人形遣いは初めて見る巫女のそんな目を、怖くて綺麗だと思いながら体を強張らせていた
巫女はそんな人形遣いに冷たい微笑まで浮かべ、視線をそらす事無くはっきりと呟く
「魔理沙、私の事が好きだって言ってたわ」
人形遣いは目を見開き、巫女の微笑が深まる
「・・・・え? 」
「突然言って来るから驚いたわ。勿論断ったけど」
「なんで、そんな」
「アリスが好きだから、そう言って断ったの。魔理沙はどう思ったのかしらね? 」
人形遣いの優秀な頭脳はその答えを一瞬で弾き出した、知りたくもない答えが一瞬で理解させられた
「私、嫌われるの? 」
「えぇ」
「きっと恨まれる」
「そうね」
巫女の浮かべる微笑がさらに深まり、普段浮かべるだろう笑顔にまでなった
ただその視線だけが、普段浮かべる事のないだろう冷たさのままだったが
「今日はもう、帰って」
「答えを聞かせてくれないの? 」
「・・・・・応えられるわけ、ないじゃない」
「そう」
「っん!? 」
人形遣いが視線をそらすと、巫女が何の拍子もなく唇を重ねる
深く深く重ねられたそれは、甘い芋タルトの味がした
「・・・・ぁ・・・」
「明日、もう一度来るから」
「・・・・・うん」
「それじゃあ」
巫女が去り、残された家の中では人形だけが食器を洗ったり椅子を直したりと動き回ってる
何時間たっただろうか、やる事も無くなり人形達の一体がまたもや爆散した頃に人形遣いの意識が正常に戻った
正気に戻った人形遣いは何かを思い出すかのように唇を指でゆっくりとなぞりながら頬を紅潮させる、頭を冷やすために外に飛び出した
取り残された人形達は顔を見合わせ、静かに爆散する
月の昇る夜の空、ふわふわと今の気持ちのように人形遣いは浮かんでいた
人形遣いは、心苦しいような舞い上がるような気持ちの中で浮ついていた
そんな人形遣いの横では人形が両手を広げ十字架、ゆらゆらと左右にゆれるのは天秤のつもりなのか
勿論爆散、土に返った
「え? あれは・・・・家? 」
ふらふらと飛ぶ人形遣いに影が差す、月の光を遮ったのはどう見ても家だった
それも人形遣いにとっては見覚えのある家、知り合いである魔法使いの家が飛んでいた
「そこにいるのはアリスか? とりあえずこんばんは! 」
「・・・・・魔理沙、なの? 」
「おいおい、挨拶には挨拶を返すのが礼儀だろ? 私の挨拶を返せ! 」
「あ、うん。こんばんは」
「よきかな、よきかなー! 」
誰だこれ、人形遣いは思った
だが思ったのも短い時間であり、巫女の言葉を思い出して体がビクリと震える
「ん? どうした、風邪か? 」
「大丈夫、なんでもないわ。それより、その家どうしたの? 」
人形遣いは、普段と変わりない魔法使いに安心する
だが、その安心も魔法使いの言葉を聞くまでだった
「あぁこれだけど、ちょっと神社に奉納してくるぜ! 」
「・・・・・待って、何で奉納? 」
「私の全財産、これで霊夢は私のモノだ! 」
魔法使いは笑顔だった、最早それしか残されていないとばかりに笑っていた
それを見た人形遣いは、昼間に見た巫女の笑顔を何故か思い出す
「結婚式には呼んでやるぜ! じゃあな、アリス」
「待って! 」
「・・・・邪魔する気か? 」
「違うの、ちょっと聞いて欲しい事があるのよ」
何を思ったのか、人形遣いは今この場で己の気持ちを魔法使いに伝える事にしたのだ
恥ずかしそうに俯きながら言葉を紡ごうとしている人形遣い、だから気づかなかった
そんな人形遣いに家から出てきて近づいた魔法使いが、眉を顰めるのを
「あのね、魔理沙。私、その」
「なぁアリス」
「え? 何? 」
「アリスから、甘い匂いがするな」
「今日はお茶を飲みながらお芋のタルトを食べたのよ。まだ残ってるから食べたいならあげても良いわ」
「・・・・・・」
人形遣いは他意もなく前を向けば、押し黙り、表情を消した魔法使いがいた
何か失敗したのかと思うが、人形遣いは思い当たる事がない
傍目から見ればうろたえる少女に無表情に押し黙る少女、背後で人形が爆散
「どうしたの魔理沙? 」
「・・・・・」
「私、何か変な事言った? 」
うろたえる人形遣いに魔法使いは近づいて、ただ一言だけ囁いた
「霊夢の、匂いがする」
≪はーどこぁな展開が省略されて、正三角関係のオチに続く≫
それは珍しくも博麗の巫女が神社を離れ、何を思ったのか魔法の森を訪れた日
魔法の森に住んでいる人形遣いの家に訪れた、肌寒い冬の晴れた日の出来事
「それで、何の用? 」
「お茶頂戴、あれば緑茶」
「家は茶店じゃない」
そう言いながらも、何故か置いてある茶筒を戸棚から取り出す人形遣い
すると部屋に飾ってあった人形達が一斉に動き出し、カップや急須、湯飲みから薬缶まで持って来た
人形遣いはそれらにありがとうと言いながら必要な物を手に取りお茶の準備をする
必要ない物を持ってきた人形が片付けながら落ち込んでいるかの様にがっくりし、必要な物を渡した人形が両手を万歳の形にして踊りまわる
そんな一連の人形劇を見て、巫女は落ち込んでいる風な人形の頭を笑顔で撫でてやった
すぽんと言う軽い音を立てて、人形の首がもげる
「あ、ごめん」
首が外れた人形は慌てず自分の頭部を脇に抱え、変な敬礼をしながらプラカードを取り出した
巫女はプラカードに書かれた文字を読むも、意味が分からない
「ブ●ッケン伯爵? ジョン・モンタギュー4世の親戚? 」
「霊夢、お茶が出来たわ」
「お茶菓子は? 」
「芋で作ったタルトがあったけど、それで良い? 」
「うん、よろしくー」
席に座った巫女をよそに、背後ではネタを外した人形が静かに爆散
芸の道は険しかった、他の人形達が静粛に飛び散った部品を箱に集め入れる
「で、どうしたの? 」
「ちょっと・・・・ね」
二人ともお茶を飲み、タルトを食べながら普通に会話をしていた
腹話術の一種である、人形遣いならまだしも巫女に何故出来るのかと言う疑問は巫女だからの一言で終わる
「今日、神社に来なかったわね」
「忙しかったから」
「最近は、毎日来てたのに」
「忙しくなったのよ」
そう言いながら人形遣いは、巫女の視線から逃げるように膝元にある人形のリボンを弄り始めた
見ていない人形遣いは気づかないが、巫女の目が鋭く冷たい色を浮かべる
「今日、魔理沙が家に来たわ」
「暇なんでしょう」
「アリスにお茶を飲まないかと誘われた、そう言ってたけど」
「・・・・・どうせ、断られたわよ」
人形遣いの声が落ち込んだ、巫女の目はぼんやりと紅い色をちらつかせる
「私が言った事を忘れたのかしら? 」
「・・・・・私は・・・・でも・・・・」
「神社に来ないで、答えも聞かせてくれないの? 」
人形のリボンを弄る手に、するりと誰かの手が重ねられる
人形遣いが驚いて目線を前に戻せば、あるのは食後の食器だけ
音もなく人形遣いの背後に現れた巫女は、耳元に口を近づけそっと呟いた
「私は、アリスが好き」
人形遣いの肌が赤く染まる、巫女は椅子の背の部分を音もなく消滅させて人形遣いを背後から抱きしめながら呟き続ける
「好きよ、アリス。アリスが好きなの。アリスを愛してるわ。アリスしかいらない」
「・・・・でも、私は」
「魔理沙が好きなんでしょう? 」
その言葉に再び目線を人形へと戻そうとした人形遣いだが、巫女はそれを許さず顎を優しくも強引に掴み自分の方へと顔を向けさせる
巫女の紅く光る目は、触れば火傷してしまいそうな程の冷い色を湛えていた
「私の事は嫌い? 」
「・・・・嫌いじゃないわ」
「好き? 」
「・・・・・・・・うん」
「なら、良いじゃないのよ。それに」
人形遣いは初めて見る巫女のそんな目を、怖くて綺麗だと思いながら体を強張らせていた
巫女はそんな人形遣いに冷たい微笑まで浮かべ、視線をそらす事無くはっきりと呟く
「魔理沙、私の事が好きだって言ってたわ」
人形遣いは目を見開き、巫女の微笑が深まる
「・・・・え? 」
「突然言って来るから驚いたわ。勿論断ったけど」
「なんで、そんな」
「アリスが好きだから、そう言って断ったの。魔理沙はどう思ったのかしらね? 」
人形遣いの優秀な頭脳はその答えを一瞬で弾き出した、知りたくもない答えが一瞬で理解させられた
「私、嫌われるの? 」
「えぇ」
「きっと恨まれる」
「そうね」
巫女の浮かべる微笑がさらに深まり、普段浮かべるだろう笑顔にまでなった
ただその視線だけが、普段浮かべる事のないだろう冷たさのままだったが
「今日はもう、帰って」
「答えを聞かせてくれないの? 」
「・・・・・応えられるわけ、ないじゃない」
「そう」
「っん!? 」
人形遣いが視線をそらすと、巫女が何の拍子もなく唇を重ねる
深く深く重ねられたそれは、甘い芋タルトの味がした
「・・・・ぁ・・・」
「明日、もう一度来るから」
「・・・・・うん」
「それじゃあ」
巫女が去り、残された家の中では人形だけが食器を洗ったり椅子を直したりと動き回ってる
何時間たっただろうか、やる事も無くなり人形達の一体がまたもや爆散した頃に人形遣いの意識が正常に戻った
正気に戻った人形遣いは何かを思い出すかのように唇を指でゆっくりとなぞりながら頬を紅潮させる、頭を冷やすために外に飛び出した
取り残された人形達は顔を見合わせ、静かに爆散する
月の昇る夜の空、ふわふわと今の気持ちのように人形遣いは浮かんでいた
人形遣いは、心苦しいような舞い上がるような気持ちの中で浮ついていた
そんな人形遣いの横では人形が両手を広げ十字架、ゆらゆらと左右にゆれるのは天秤のつもりなのか
勿論爆散、土に返った
「え? あれは・・・・家? 」
ふらふらと飛ぶ人形遣いに影が差す、月の光を遮ったのはどう見ても家だった
それも人形遣いにとっては見覚えのある家、知り合いである魔法使いの家が飛んでいた
「そこにいるのはアリスか? とりあえずこんばんは! 」
「・・・・・魔理沙、なの? 」
「おいおい、挨拶には挨拶を返すのが礼儀だろ? 私の挨拶を返せ! 」
「あ、うん。こんばんは」
「よきかな、よきかなー! 」
誰だこれ、人形遣いは思った
だが思ったのも短い時間であり、巫女の言葉を思い出して体がビクリと震える
「ん? どうした、風邪か? 」
「大丈夫、なんでもないわ。それより、その家どうしたの? 」
人形遣いは、普段と変わりない魔法使いに安心する
だが、その安心も魔法使いの言葉を聞くまでだった
「あぁこれだけど、ちょっと神社に奉納してくるぜ! 」
「・・・・・待って、何で奉納? 」
「私の全財産、これで霊夢は私のモノだ! 」
魔法使いは笑顔だった、最早それしか残されていないとばかりに笑っていた
それを見た人形遣いは、昼間に見た巫女の笑顔を何故か思い出す
「結婚式には呼んでやるぜ! じゃあな、アリス」
「待って! 」
「・・・・邪魔する気か? 」
「違うの、ちょっと聞いて欲しい事があるのよ」
何を思ったのか、人形遣いは今この場で己の気持ちを魔法使いに伝える事にしたのだ
恥ずかしそうに俯きながら言葉を紡ごうとしている人形遣い、だから気づかなかった
そんな人形遣いに家から出てきて近づいた魔法使いが、眉を顰めるのを
「あのね、魔理沙。私、その」
「なぁアリス」
「え? 何? 」
「アリスから、甘い匂いがするな」
「今日はお茶を飲みながらお芋のタルトを食べたのよ。まだ残ってるから食べたいならあげても良いわ」
「・・・・・・」
人形遣いは他意もなく前を向けば、押し黙り、表情を消した魔法使いがいた
何か失敗したのかと思うが、人形遣いは思い当たる事がない
傍目から見ればうろたえる少女に無表情に押し黙る少女、背後で人形が爆散
「どうしたの魔理沙? 」
「・・・・・」
「私、何か変な事言った? 」
うろたえる人形遣いに魔法使いは近づいて、ただ一言だけ囁いた
「霊夢の、匂いがする」
≪はーどこぁな展開が省略されて、正三角関係のオチに続く≫
この後アリスは散々いびられ罵られた結果、霊夢にはしったのだと脳内補完。
3人で結婚することが幻想郷で違法だとは限らない!
それにしても、霊夢はやっぱり強いなぁ…
どっかの妹みたいな台詞にオラわくわくしてきたぞ!
このあとアリスがどんな感じで霊夢に落とされたのか気になりすぎです(w
これは正しく修羅場スレ住民待望の展開……っ!
えぇっと?!