注意! ぐもんしきネタバレ注意報発令中!
世界は白で覆い尽くされた。
とは言っても何処の迷惑お嬢様が起こした紅い霧の異変とは異なり、幻想郷に年中行事
である黒幕妖怪と初雪が訪れたという、ただ単にそれだけのことなのだが。
「綺麗ね」
窓越しに外を眺めていたアリスはそう呟いて再び机に向き合った。机には無数の書物と
作りかけの人形達が散乱し、それらを見るアリスの表情は険しい。
「悩みなんて無かった頃が懐かしいわ」
魔界人といってもアリスは少女、悩みの一つや二つぐらい出来て当然だ。そして彼女を
今悩ましているものとは……
昨日、アリスが博霊神社に出かけたことが始まりである。
その日は博霊神社でお泊まり会だったのだが、アリスは夕食の時もお風呂の時も元気が
無く陰気な顔つきをしていた。
怪訝に思った魔理沙が聞いてみた所……
「最近、自立して動く人形に話しかけたらね……人形遣いだと自己紹介した途端にね……
一目散に逃げられちゃったのよ……。他にも、魔法の森に迷った里の子を泊めてあげても
直ぐに逃げ出しちゃうのよ……。私……そんなに不気味かしら……?」
言いながら掘り炬燵に突っ伏して沈みゆくアリスに、
「気にすること無いぜ、確かにアリスは不気味だがそれがアリスだからな」
こんな時だけ正直な魔理沙と、
「そうよ、不気味な人形を愛でるアリスは確かに不気味だけど」
いつも通りの霊夢が励ましの言葉を掛ける。
「ぜんぜん慰めになって無いのよ!!」
思わずアリスは蜜柑を投げつける、が……
「取ってくれてありがと」
「ナイスパスだぜ、アリス」
難なく取った蜜柑を美味しそうに食べ始める二人を見てアリスの心は冷めていく。また
神社はスキマ風が入り込むため、炬燵に入ってさえ背中がどうしても冷えていく。
(心を温めに来たら体も冷えるなんて馬鹿馬鹿しいにも程があるわ……)
アリスの心にスキマ風が入り込む。
(そうよ、私は魔法使い……妖怪なのよ。人に嫌われるのが当たり前なのよ……)
そう思うと余計に冷えていくアリスであった。
アリスの鬱状態は治ることなく一刻が過ぎる。
とうとう堪えられなくなったのか、不意に魔理沙が声を上げた。
「悩みがあるときは寝るに限る! 寝るぞアリス! 霊夢も良いよな!」
「全く仕方が無いわね」
といって二人は炬燵から出る。が、
「フフフ……寒いわ……冬は寒いのが当たり前なのよ……」
アリスは未だブツブツ囁き続けていた。
「ああもう仕方が無いぜ!」
魔理沙は無理矢理炬燵からアリスを引き抜き、そのまま寝所に連れて行く。
暫くされるがままであったアリスであったが不意に我に返った。
「霊夢……なんで炬燵布団なんか持ってきているの?」
「決まっているじゃない」
霊夢は言うと同時、魔理沙が寝所の襖を開く。
そこには敷き布団が一枚だけ……それだけであった。
「な……なんで敷き布団一つしかないの!?」
「ウチには3人分の布団なんて無いの。敷き布団は一つ、掛け布団は炬燵布団で兼用よ」
霊夢の言葉にアリスは絶句する。
「どうやって3人寝るのよ!!」
アリスの当然の疑問に、
「問題無いぜ」
魔理沙はアリスと共に敷き布団に倒れ込み、
霊夢がその上に炬燵布団を掛ける。
「「三人一緒に寝れば問題無し!!」」
「ちょっと! 二人ともおぉ!!」
アリスが抗議の声を上げるも霊夢は気にせず布団の中に入っていく。
「ちょっと魔理沙、もっと詰めなさいよ。私の場所が無いじゃない」
「三人だがらな、場所が無いんだ霊夢」
というと二人は微笑みながら、
「仕方が無いわね」
「仕方が無いよな」
アリスに抱きついた。
「三人一緒だと暖かいぜ」
後ろから魔理沙の腕がアリスの腰に回され、
「冷え込む今夜には丁度いいわ」
前から霊夢の腕がアリスの首に回される。
「ちょ……ちょっとぉ……」
既に川の字ですらない密着状態でアリスは言葉も出ない。そんなアリスを尻目に、
「アリスの手は温かいわよ、魔理沙」
霊夢はアリスの掌を自分の頬に当て、
「足も暖か湯たんぽ代わりだぜ」
魔理沙は足を絡ませる。
「やるわね……ならこっちは頬っぺたスリスリよ」
「甘いな、秘技『パジャマ下に直タッチ』だ」
やりたい放題する二人。
「や……やめ……」
最後の抵抗を試みるアリスであったが、
「「まだ寒い?」」
「……いいえ」
二人の言葉にて抵抗を止めるのであった。
「一難去ってまた一難、いいえ……一悩去ってまた一悩って所かしら」
アリスが溜息を吐くと同時、上海人形と蓬莱人形がワインとグラスを持ってきた。
「有り難う」
ワインで一息入れたアリスは不意に二人を抱きしめる。
「ん……ちょっと違うのよね」
二人を放すとアリスはいつも手に持つ本の封印を解いていく。
「やっぱり今までの魔法じゃ足りないようね……」
呟くアリスの横顔を魔力の紅い光が照らす。
封印が解けた本にアリスは呪文を書き込んでいった……
『 ○月×日 雪
抱き枕ならぬ抱き人形の必要性を急遽実感し、試作を開始する。
羽毛を綿に、絹で作った抱き人形に熱の魔法を組み込むも感触は今ひとつ。
上海と蓬莱は心を静める喜びの肌触りだが、
二人は心を躍らせる楽しみの肌触り……
人間にあって人形に足りないものとは何か……
やはり自立が鍵か。自立人形の重要性を再認識する。
再びあの人形に合うことを決心。手土産は何が良いだろうか?
追記
霊夢と魔理沙の抱き人形を作ることを決心。
そのために二人の寸法を調べる必要がある。
今度のお風呂では寸分違わず見定めるだけでなく
触診で念入りに調査する必要あり。
追追記
霊夢人形は恥の概念を追加し、
魔理沙人形は手癖の悪さを矯正する必要アリ
A・M 』
全てを書き込むと、アリスは再び本に封印を施していく。
誰にも見られることがないように……
世界は白で覆い尽くされた。
とは言っても何処の迷惑お嬢様が起こした紅い霧の異変とは異なり、幻想郷に年中行事
である黒幕妖怪と初雪が訪れたという、ただ単にそれだけのことなのだが。
「綺麗ね」
窓越しに外を眺めていたアリスはそう呟いて再び机に向き合った。机には無数の書物と
作りかけの人形達が散乱し、それらを見るアリスの表情は険しい。
「悩みなんて無かった頃が懐かしいわ」
魔界人といってもアリスは少女、悩みの一つや二つぐらい出来て当然だ。そして彼女を
今悩ましているものとは……
昨日、アリスが博霊神社に出かけたことが始まりである。
その日は博霊神社でお泊まり会だったのだが、アリスは夕食の時もお風呂の時も元気が
無く陰気な顔つきをしていた。
怪訝に思った魔理沙が聞いてみた所……
「最近、自立して動く人形に話しかけたらね……人形遣いだと自己紹介した途端にね……
一目散に逃げられちゃったのよ……。他にも、魔法の森に迷った里の子を泊めてあげても
直ぐに逃げ出しちゃうのよ……。私……そんなに不気味かしら……?」
言いながら掘り炬燵に突っ伏して沈みゆくアリスに、
「気にすること無いぜ、確かにアリスは不気味だがそれがアリスだからな」
こんな時だけ正直な魔理沙と、
「そうよ、不気味な人形を愛でるアリスは確かに不気味だけど」
いつも通りの霊夢が励ましの言葉を掛ける。
「ぜんぜん慰めになって無いのよ!!」
思わずアリスは蜜柑を投げつける、が……
「取ってくれてありがと」
「ナイスパスだぜ、アリス」
難なく取った蜜柑を美味しそうに食べ始める二人を見てアリスの心は冷めていく。また
神社はスキマ風が入り込むため、炬燵に入ってさえ背中がどうしても冷えていく。
(心を温めに来たら体も冷えるなんて馬鹿馬鹿しいにも程があるわ……)
アリスの心にスキマ風が入り込む。
(そうよ、私は魔法使い……妖怪なのよ。人に嫌われるのが当たり前なのよ……)
そう思うと余計に冷えていくアリスであった。
アリスの鬱状態は治ることなく一刻が過ぎる。
とうとう堪えられなくなったのか、不意に魔理沙が声を上げた。
「悩みがあるときは寝るに限る! 寝るぞアリス! 霊夢も良いよな!」
「全く仕方が無いわね」
といって二人は炬燵から出る。が、
「フフフ……寒いわ……冬は寒いのが当たり前なのよ……」
アリスは未だブツブツ囁き続けていた。
「ああもう仕方が無いぜ!」
魔理沙は無理矢理炬燵からアリスを引き抜き、そのまま寝所に連れて行く。
暫くされるがままであったアリスであったが不意に我に返った。
「霊夢……なんで炬燵布団なんか持ってきているの?」
「決まっているじゃない」
霊夢は言うと同時、魔理沙が寝所の襖を開く。
そこには敷き布団が一枚だけ……それだけであった。
「な……なんで敷き布団一つしかないの!?」
「ウチには3人分の布団なんて無いの。敷き布団は一つ、掛け布団は炬燵布団で兼用よ」
霊夢の言葉にアリスは絶句する。
「どうやって3人寝るのよ!!」
アリスの当然の疑問に、
「問題無いぜ」
魔理沙はアリスと共に敷き布団に倒れ込み、
霊夢がその上に炬燵布団を掛ける。
「「三人一緒に寝れば問題無し!!」」
「ちょっと! 二人ともおぉ!!」
アリスが抗議の声を上げるも霊夢は気にせず布団の中に入っていく。
「ちょっと魔理沙、もっと詰めなさいよ。私の場所が無いじゃない」
「三人だがらな、場所が無いんだ霊夢」
というと二人は微笑みながら、
「仕方が無いわね」
「仕方が無いよな」
アリスに抱きついた。
「三人一緒だと暖かいぜ」
後ろから魔理沙の腕がアリスの腰に回され、
「冷え込む今夜には丁度いいわ」
前から霊夢の腕がアリスの首に回される。
「ちょ……ちょっとぉ……」
既に川の字ですらない密着状態でアリスは言葉も出ない。そんなアリスを尻目に、
「アリスの手は温かいわよ、魔理沙」
霊夢はアリスの掌を自分の頬に当て、
「足も暖か湯たんぽ代わりだぜ」
魔理沙は足を絡ませる。
「やるわね……ならこっちは頬っぺたスリスリよ」
「甘いな、秘技『パジャマ下に直タッチ』だ」
やりたい放題する二人。
「や……やめ……」
最後の抵抗を試みるアリスであったが、
「「まだ寒い?」」
「……いいえ」
二人の言葉にて抵抗を止めるのであった。
「一難去ってまた一難、いいえ……一悩去ってまた一悩って所かしら」
アリスが溜息を吐くと同時、上海人形と蓬莱人形がワインとグラスを持ってきた。
「有り難う」
ワインで一息入れたアリスは不意に二人を抱きしめる。
「ん……ちょっと違うのよね」
二人を放すとアリスはいつも手に持つ本の封印を解いていく。
「やっぱり今までの魔法じゃ足りないようね……」
呟くアリスの横顔を魔力の紅い光が照らす。
封印が解けた本にアリスは呪文を書き込んでいった……
『 ○月×日 雪
抱き枕ならぬ抱き人形の必要性を急遽実感し、試作を開始する。
羽毛を綿に、絹で作った抱き人形に熱の魔法を組み込むも感触は今ひとつ。
上海と蓬莱は心を静める喜びの肌触りだが、
二人は心を躍らせる楽しみの肌触り……
人間にあって人形に足りないものとは何か……
やはり自立が鍵か。自立人形の重要性を再認識する。
再びあの人形に合うことを決心。手土産は何が良いだろうか?
追記
霊夢と魔理沙の抱き人形を作ることを決心。
そのために二人の寸法を調べる必要がある。
今度のお風呂では寸分違わず見定めるだけでなく
触診で念入りに調査する必要あり。
追追記
霊夢人形は恥の概念を追加し、
魔理沙人形は手癖の悪さを矯正する必要アリ
A・M 』
全てを書き込むと、アリスは再び本に封印を施していく。
誰にも見られることがないように……
っていうのはどうでもよし
(・∀・)ノ挙手!
まあアリスはアリスだぜ
コメント有り難うございます。
月人=人 なら 魔界人=人 と安直に考えてました。
ここの文を差し替えようにも言葉が浮かばず……
いい案が浮かびましたら差し替えます。
あと、紛らわしい冒頭文ですみませんでした。
甘い雰囲気がよかったです
>ウボァー殿
ぐもんしきは、あくまであっきゅんが聞いた話を書いただけで、真実かどうかは怪しいかと。
アリスが「私は元人間」と言ってしまえば裏を取れないのだし。