Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

運命のサークル

2006/12/26 01:53:01
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別にその日何か特別なことをしたわけではなかった。

別にその日窓を開けていた訳ではなかった。

別にその日何か虫が入るようにしているわけではなかった。



だからその少女、霧雨魔理沙は驚いた。

なぜこんなものが自分の風呂にいるのだろう、と驚いた。





          

    









































この時、2日後に霧雨魔理沙が「運命の出会い」と称する出会いであった。















































そこにいたのは見るからに堅そうな外殻を持った昆虫……そう、ダンゴムシだった。





「……なんで?」

驚くのも無理はないだろう。

窓も閉め切られているし、もちろん昆虫を出現させる実験を行ったわけではない。

だがいること自体は事実なのだ。魔理沙は多少驚いたが、別に浴槽の中にいるわけではないので特に邪魔にもならなかった。

放っておいても特に問題はないだろうと判断し、いつも通り石鹸で体を洗ったあと、髪を念入りに洗って風呂を後にした。

「ま、明日になりゃもういないだろ」



















次の日、昨日のダンゴムシの事などすっかり忘れ、寒さに震える体を温めようと風呂に来たが、

「……またいる」

今日もいた。

二日連続で滅多に見ない珍客がいたのだ。興味が向くことも無理はない。

このダンゴムシは水だけで生きることができるのだろうか、そもそも餌は何だろうか、というかなんでダンゴムシが風呂に?といった疑問がつきることはなく、風呂にいる最中魔理沙はダンゴムシに夢中になっていた。

だが観察を行っていて気づくことが一つあった。

「あれ?こいつ丸まることができないのか?」

ダンゴムシとはその名が示すとおり、丸くなって外敵から身を守るはずである。だがこのダンゴムシは体を曲げることさえしないのである。

「風呂から上がって調べてみるか!」

善は急げ、寿命の短い人間が結果を残すには、常に行動をしなければならない。霧雨魔理沙もそうして生きている人間の一人である。





書斎から昆虫図鑑を引っ張り出し、ダンゴムシのことを調べてみたが、どこにも「丸まらないダンゴムシ」の存在は記述されていない。

「おかしいな」

魔理沙はそうつぶやいた。本が安物というわけではない。これはあのヴワル魔法図書館から借りてきた立派な本なのである。

「この本に載っていないとなると……もしかして新種か?」

そう思い風呂へいってみるが、ダンゴムシの姿は見えない。

多少残念な気持ちに入り浸りながら、魔理沙は寝床についた。

















「こいつぁ……運命の出会いだぜ」

その次の日

魔理沙の目の前にいたのだ、既に見慣れたダンゴムシが。

このダンゴムシを研究すれば「魔法から昆虫まで様々なジャンルに偉業を残した人間、霧雨魔理沙」として名を残すこともできる。

これは千載一遇のチャンスなのだ。だが、











「三日も一緒に過ごすと、愛着もわいてくるもんだな……」

ダンゴムシが歩いた後を、水が遅れて通ってゆく。心なしかダンゴムシは初めて見たときより弱っている気がした。

「……決めた、お前を実験台になんかできない」

魔理沙はそういってダンゴムシを手に取り、

「ここと自然、どっちがお前にとって天国か地獄かは私は知らない」

「でもここより間違いなく外の方がお前にとっていいだろう」

ダンゴムシを外に出した

「じゃあな、お前との‘運命の出会い’なかなかいいもんだったぜ?」

最後は笑って別れを告げる。魔理沙の信念でもある。そして最後にダンゴムシも笑って「バイバイ」と言った気がした。

「今日くらいは運命の女神とやらに感謝するか」

少し間をおいて思い出したように笑い、

「お前じゃないぜ、レミリア?」

一瞬浮かんだ自称運命さえ操れる悪魔を否定した。































































「と言うことがあったんだ」

「ふーん」

自分の体験した出会いを友人の一人である博麗霊夢に聞かせていたのだが……聞かせる相手を間違えたのだろうか、さっきから適当に相づちをうって何か考えているようだった。

「ふーん、はないじゃないか。なかなかの感動秘話だろ?」

「そうねぇ、魔理沙……あなたが本気でそんなこと思ってちゃいけないから言っておくけど……」





































































































「それワラジムシ」

「レミィィィィィィィィィィリアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」







この日は魔理沙の運命の出会いの一日後であると同時に、紅魔館が人間に壊滅させられた日でもあった。









『紅魔館壊滅!?犯人はたった一人の人間!』





つい先日のこと、『スカーレットデビル』の住む城であると恐れられていた紅魔館が人間に壊滅させられた。

住民達に話を聞いたところ、どうやら魔法の森に住む霧雨魔理沙氏が犯人であると言うこと。

住民達は未だ恐怖におびえており、中にはまだ気絶している者もいたが、紅魔館のメイド長をしている十六夜咲夜氏(人間)にインタビューを行ったところ、

「あのときの魔理沙は、尋常じゃない憤りようでした」

「いつもなら紅茶を出して歓迎しているのですが、どうもお嬢様が目的らしく紅魔館の外で門番隊と共に迎え撃つことにしたんです」

「いやな予感がしたので、時間を止めてすぐに勝負を終わらせるつもりだったんですが、魔理沙は私のナイフを時が止まっているのに避けたんです」

「『私が時を止めた……9秒の時点でな……』そのときの恐怖は忘れられそうにありません」

「魔理沙がいきなり館を覆うほどのマスタースパークを撃ってきて誰もが呆気にとられているとき、魔理沙は言い放ちました」





















『今のはマスタースパークではない……イリュージョンレーザーだ』









紅魔館はただいま復旧作業中である。

なお、今現霧雨魔理沙氏の行方はつかめていない。

幻想郷内で一大勢力である紅魔館を一人で、それも人間が壊滅させたというのだから、幻想郷が続く限り彼女は最強の魔法使いとして称えられるだろう

イセンケユジ
コメント



1.イセンケユジ削除
初めまして
初めて書いてわかる小説の作りづらさ
受験中に何書いてんでしょうね
2.名無し妖怪削除
うわ、ちょ、魔理沙wwwww
3.名無し妖怪削除
クリスマスに関連した幻想的なSSが連続する中で、やたらに身近なネタが来てそれだけで笑いそうになりました。SS自体もいい感じに力の抜けた感動話(?)から突っ込みどころ満載の後日談…と楽しませていただきました。
4.CACAO100%削除
>「お前じゃないぜ、レミリア?」
自分から否定して其れはねぇよwwwわらかして頂きました
5.名無しの一人削除
自分の誤解なのにひでぇよ、魔理沙。
そしてイリュージョンレーザーがマスタースパークばりならマスタースパークは一体どんな代物に・・・
6.名無し妖怪削除
大魔王バーン乙
7.変身D削除
完全なとばっちりですな紅魔館(w
あと紅魔館とは無関係ですが、真っ赤なこいつが存在するらしいですよ?(だから何
8.名無し妖怪削除
オチは読めていたが後書きは読めなかった!!
そして受験がんばれよ。
9.名無し妖怪削除
ん?丸まらない団子虫って便所虫じゃないの?って思ってたら案の定だったけどタイミングとか色々で結局笑わされましたw それからメイド”帳”…
10.名無し妖怪削除
初めて書いて解る…って事はこれ初作品か
その割には面白いなぁ、今後も見たいもんだ

ただ受験は気をつけろ
11.イセンケユジ削除
先ほど、誤字および本文の内容を多少訂正しておきました
誤字の報告ありがとうございます。
12.名無し妖怪削除
ダンゴムシの近くにワラジムシが無かった図鑑が一番の原因だろ魔理沙w
13.名無し妖怪削除
本文で和んで後書きでふいた
通常ショットがマスタースパーク並みとか強すぎなんだぜ
14.名無し妖怪削除
魔理沙ダンゴムシもワラジムシも昆虫じゃないよ魔理沙
15.床間たろひ削除
うははははw しこたま笑わせて貰いましたw
魔理沙可愛いなぁw