「結界を越えたはいいけれど」
そう言って蓮子は周りを見渡した。
「ここはどこ?」
「結界の裏側ね」
午前2時55分。
この時間きっちりに裏山の記念碑に触れれば異世界への道が開く。
何となく写真から見えてしまったから何となく言ってみたら、何となく行ってみることになってしまった。
不用意に喋るものではないわね。
結果がこれなのだから。
深い深い森の中だった。
あまりに暗すぎて蓮子の服が闇に同化してしまっている。
そんなに黒い服ばっかり着てるから。
「これじゃあ何も見えないわ。人家を探しましょう」
「どっち?」
「あれが北斗七星だからこっち」
方角が分かったところで人家のある位置は分からないと思うのだが。
それでも蓮子は自信たっぷりに歩き出した。
「大抵歩いてれば何かあるものよ。あぁ、新月じゃなければ場所も分かるのになぁ」
「別世界でも分かるの?」
どんなに科学が発達しても蓮子の頭には到底及ぶまい。
何て素晴らしいんだろう、この友人は。
今晩以外なら万能だ。
でも何でよりによって今晩役に立たないのよ。
ため息をつくのと同時に、生暖かい風が首筋を撫でた。
「こんばんは、美味しそうな人間さん」
何か、黒いものが宙に浮いていた。
さっき闇が深すぎると感じたが、それはこの闇に比べればまだ明るい方だった。
完璧な闇、一寸先は闇。
いっすんでもちょっとでも、そんなことはどっちでもいい。
「メ、メ、メリー?あああれ、何だと思う?」
「何って・・・何かしら」
「ねー、もう食べてもいい?」
「たた、食べるって私たちを!?ダメダメダメ!絶対ダメ!筋ばっかりで美味しくないわ!」
「筋はコリコリしてて歯ごたえあるから好きー」
「いやいやいやいや、実はこう見えても脂肪だらけなのよ!」
「それはそれでジューシーで好きー」
「ややや、ホントは骨と皮しかないわ!」
「スネ夫は声が関智一に変わったから好きー」
「ちくしょう、腐女子め!」
どうやら慌てている人を見ていると落ち着いてくるものらしい。
私は徐々に冷静さを取り戻していた。
錯乱気味の蓮子を見ているのは楽しいのだが、そろそろ真剣に解決策を考えなければ。
「落ち着いて蓮子、落ち着いてソースを数えるのよ!」
馬鹿、私の馬鹿。
どこが落ち着いてるんだ。
「ソ、ソース!?ひぃ、ふぅ、みぃ・・・あ!秘ぃ封ぅ!?私たちがいるわ!」
「そんな発見してる場合じゃないわ!落ち着いて、落ち着いて最初からよ!」
「わ、分かったわ!いーっぽん、にーほん、さーんぼん・・・メリー、一本足りなぁい」
「蓮子、それじゃアナタが妖怪よ!」
「私が妖怪!?じゃ、じゃあメリーを食べれば解決するの!?」
「食べないで、食べないで!」
「あぁ、ダメよメリー!ソースが一本足りないのよ!」
「よく分からないけど助かったわ!」
「じゃあ代わりに私が食べるね」
全然助かってなかった。
1対2でも戦力差は歴然だ。
「食べないで、食べないで!」
「ダメよ妖怪さん!ソースが!」
「中にトマトソースが詰まってるじゃない」
「そうか!」
1対2。
数は変わってないのに何か理不尽な怒りを感じる。
「蓮子、しっかりしなさい!アナタはいつからカニバリズムに走るようになったの!」
「落ち着いて、メリー。痛いのは最初だけよ。私に任せて、すぐによくなるわ」
だめだこいつ、何とかしないと。
でも何とかできないのも事実。
このままでは色々と食べられてしまう。
「いっただっきまーす!」
蓮子は確かに跳んだ。
深い闇の中、私目掛けて跳んだのだ。
足が地を離れた瞬間に世界がクルリと一変したのにも気付かず。
「あいた!」
蓮子は顔から記念碑に突っ込んでいた。
その記念碑を挟んで反対側に立つ私目掛けて。
時計の長針は12を指していた。
「おはよう蓮子。覚悟はいいかしら?」
「あれ?あれれ?・・・・・・いや、ハハハ、中々のものだったでしょ?私の演技」
「痛いのは一瞬だけ、なのよね?」
「待って待って!ソース足りないわ!」
「トマトソースも一緒に頂くわ。じゃあ、おやすみ蓮子」
そう言って蓮子は周りを見渡した。
「ここはどこ?」
「結界の裏側ね」
午前2時55分。
この時間きっちりに裏山の記念碑に触れれば異世界への道が開く。
何となく写真から見えてしまったから何となく言ってみたら、何となく行ってみることになってしまった。
不用意に喋るものではないわね。
結果がこれなのだから。
深い深い森の中だった。
あまりに暗すぎて蓮子の服が闇に同化してしまっている。
そんなに黒い服ばっかり着てるから。
「これじゃあ何も見えないわ。人家を探しましょう」
「どっち?」
「あれが北斗七星だからこっち」
方角が分かったところで人家のある位置は分からないと思うのだが。
それでも蓮子は自信たっぷりに歩き出した。
「大抵歩いてれば何かあるものよ。あぁ、新月じゃなければ場所も分かるのになぁ」
「別世界でも分かるの?」
どんなに科学が発達しても蓮子の頭には到底及ぶまい。
何て素晴らしいんだろう、この友人は。
今晩以外なら万能だ。
でも何でよりによって今晩役に立たないのよ。
ため息をつくのと同時に、生暖かい風が首筋を撫でた。
「こんばんは、美味しそうな人間さん」
何か、黒いものが宙に浮いていた。
さっき闇が深すぎると感じたが、それはこの闇に比べればまだ明るい方だった。
完璧な闇、一寸先は闇。
いっすんでもちょっとでも、そんなことはどっちでもいい。
「メ、メ、メリー?あああれ、何だと思う?」
「何って・・・何かしら」
「ねー、もう食べてもいい?」
「たた、食べるって私たちを!?ダメダメダメ!絶対ダメ!筋ばっかりで美味しくないわ!」
「筋はコリコリしてて歯ごたえあるから好きー」
「いやいやいやいや、実はこう見えても脂肪だらけなのよ!」
「それはそれでジューシーで好きー」
「ややや、ホントは骨と皮しかないわ!」
「スネ夫は声が関智一に変わったから好きー」
「ちくしょう、腐女子め!」
どうやら慌てている人を見ていると落ち着いてくるものらしい。
私は徐々に冷静さを取り戻していた。
錯乱気味の蓮子を見ているのは楽しいのだが、そろそろ真剣に解決策を考えなければ。
「落ち着いて蓮子、落ち着いてソースを数えるのよ!」
馬鹿、私の馬鹿。
どこが落ち着いてるんだ。
「ソ、ソース!?ひぃ、ふぅ、みぃ・・・あ!秘ぃ封ぅ!?私たちがいるわ!」
「そんな発見してる場合じゃないわ!落ち着いて、落ち着いて最初からよ!」
「わ、分かったわ!いーっぽん、にーほん、さーんぼん・・・メリー、一本足りなぁい」
「蓮子、それじゃアナタが妖怪よ!」
「私が妖怪!?じゃ、じゃあメリーを食べれば解決するの!?」
「食べないで、食べないで!」
「あぁ、ダメよメリー!ソースが一本足りないのよ!」
「よく分からないけど助かったわ!」
「じゃあ代わりに私が食べるね」
全然助かってなかった。
1対2でも戦力差は歴然だ。
「食べないで、食べないで!」
「ダメよ妖怪さん!ソースが!」
「中にトマトソースが詰まってるじゃない」
「そうか!」
1対2。
数は変わってないのに何か理不尽な怒りを感じる。
「蓮子、しっかりしなさい!アナタはいつからカニバリズムに走るようになったの!」
「落ち着いて、メリー。痛いのは最初だけよ。私に任せて、すぐによくなるわ」
だめだこいつ、何とかしないと。
でも何とかできないのも事実。
このままでは色々と食べられてしまう。
「いっただっきまーす!」
蓮子は確かに跳んだ。
深い闇の中、私目掛けて跳んだのだ。
足が地を離れた瞬間に世界がクルリと一変したのにも気付かず。
「あいた!」
蓮子は顔から記念碑に突っ込んでいた。
その記念碑を挟んで反対側に立つ私目掛けて。
時計の長針は12を指していた。
「おはよう蓮子。覚悟はいいかしら?」
「あれ?あれれ?・・・・・・いや、ハハハ、中々のものだったでしょ?私の演技」
「痛いのは一瞬だけ、なのよね?」
「待って待って!ソース足りないわ!」
「トマトソースも一緒に頂くわ。じゃあ、おやすみ蓮子」
>これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。
>それだけが私の望みです。
> St.arrow
逆に考えるんだ、何にも無かったって考えるんだ
いや、本当余計なことだけど
しかし、この黒いのは誰だ?
そうか、何も無かったのか!
うん、これは夢物語でした!
本当の秘封倶楽部は今日も元気にカフェでお茶してます。
>>蝦蟇口咬平氏
そうです、だから「そ。ではない」と否定してますです。
分かりにくいですね。すみません。
そして黒いのはルーミアですね。
分かりにくいですね。重ね重ねすみません。