今回予告
500年という途方もない時を生きてきた悪魔は日々に飽きていた。
そこに響くは未知の娯楽という甘美な言葉。
今、永遠に紅い幼い月は遊びをはじめる。
強大すぎるその強さで数多の反論を潰しながら。
プチ東方創想話SS東方水風撰
ルート3
『非低(ナル・てゐ)の世界』
流れよわが鼻血、ってけーねが言ってた
ちなみに本編は予告なく変更されることがあります、ご了承下さい。
今回予告と違って内容は至ってゆるいです。そちらの点もご了承下さい。
「そうね、私の選択は……」
皆が静まり返り、この館の主の結論を待ち構えます。
そして、口を開こうとした仕草を見せたかと思うと再び悩み始め……。
それはちらり、ちらりとちらついて終わる消化不良の前後に別れたミステリー小説などの前編のようで。
つまるところ……じれったい。
「で、レミィどちらかしら? やっぱり擬似弾幕ごっこ?」
「いえ、お祭りですよね?」
二人に改めて答えを催促されたところで、ついに答えが決まったのか毅然と胸を彼女は張って宣言しました。
「いいえ! あえてそこで体反発枕の開発に取り掛かるのよ!!」
「は?」
「い?」
パチュリー様、咲夜様の両名はあまりにも唐突で、さらに意味のわからない宣言にやはり謎な異音による疑問を投げかけました。
「体反発枕。聞いたこと無い? 魔理沙がこの前、ここから持っていった『せしめーるのかたろぐ』って本に書いてあったって言ってたんだけど」
「ちょっと、小悪魔それは本当なの?」
「あ、はい。外の本ではありますけれど、グリモワールなどのような希少品ではないので。主に余計な心配はかけられまいと思い、伏せておきました」
「そう……一応聞いておくけどどんな本だったの?」
「外の世界の委託販売商品が載ってる本だと思われます。他にも『是苦Sheのかたろぐ』や『恐竜の巣のかたろぐ』といった類似した本もありますし」
「興味はあるけど希少品ではないのよね?」
「はい。文字も少なく挿絵中心ですし、パチュリー様はあまり好きでは無いと思います」
「そう。それで、レミィ。その体反発枕ってどんなものなの?」
「私も魔理沙に聞いただけだからよくわからないのよ。気持ちのいい枕らしいって事までわかるんだけど」
パチュリー様とお嬢様は二人の世界に入ってしまっているので咲夜様と私の従者二人組はやることがありません。
けれど、それでもいつ何時でも主の命に答えられるように待機するのも従者の務めです。
まったく、従者も楽じゃありません。
なんて考えてる間に結論を出したみたいです。
「で、レミィ。結論はこれでいいかしら?」
「体内磁石と反発して体が浮く枕ねぇ……本当にそんなのが気持ちいいの?」
「体に悪そうね。と、いうかそんな強烈な磁力確実に身体に悪いわ。近寄るだけで人間は死にそうね」
「ああ、だから人間にとって気持ちいい枕なのね。死に花が咲かせられて」
「……流石にそれは違うと思いますわ」
あ、ついにあの完璧で瀟洒な咲夜様が、主に突っ込みを。
いや、私ももう少しで突っ込みを入れるところでしたが。
と、いうか死に花ってなんですか。
アレは、弁慶の立ち往生とかの死ぬ直前の武勲とかを指すんじゃないんですか。
そんな強烈な磁力を持つ枕に挑戦して死んだなんてネタとしか思えません。
「と、言うわけで実験するから体が弱いヤツは出て行きなさい」
一斉に退避する私、咲夜様、そしてパチュリーさ……ま?
あれ、いない? 紅魔館貧弱度ランキングを毎年ブッチ切りで独走してるようなあの方がいないのはおかしい。
「あ……」
「あら、アレは……」
「パチュリー様、ですね。どうやら急に激しく動いた所為で、貧血を起こして倒れたみたいですね」
「放置しておいてもいいの?」
「まぁ、そのままにしておいても、パチュリー様は勝手に復活しますから。その時、傍にいれば問題ありません」
「実は丈夫なんじゃない?」
「いえ、病弱ですよ。ただ、生き残るって意味ではかなりのしぶとさですけど」
「言いたい放題ね」
そりゃ、文句も言いたくなるってもんです。
下手な子供よりよっぽど手がかかる方ですし。
「ねー、咲夜ー。パチェが倒れちゃったから実験できないわー」
「お嬢様、咲夜は人間ですわ」
「あー、そうだったわね。役に立たないわね」
「あの……私の意見を言わせて頂いてもいいですか?」
「えーっと……誰だっけ?」
「パチュリー様の元で働かせていただい「あ、冗談よ。で、何かしら? 言ってみなさい」て……。あ、はい。いいんですか?」
「いいわよ。言われないと私はわからないわ。読心術なんてできないもの」
いや、読心術って別にテレパシーじゃないから使えても意味がないんじゃないかと思います。
怖いから口に出しませんが。
「あの体反発枕って気持ちがいい、ってワードから想像するにひざ枕とかのことなんじゃないかと……」
「それは無いわね。だって、『かたろぐ』にあった挿絵は足じゃなくて、ちゃんと枕型だったわ」
「いや、生足売ってるって、想像するとかなり怖いですから」
「あら、悪魔なのに随分と可愛らしい発言ね」
「悪魔って言ったってグロテスクなのはキライですー!!」
「そうね。私も好きじゃないわ。美しくないし」
「なら、言わないで下さいー!! 想像しちゃったじゃないですかー!!」
こう、お店の店頭に並ぶ人の足、足、足。
うう、考えるだけでも気持ち悪い。
しかも夏だと腐りそう……。
あ、なんか余計に気持ち悪くなってきた。
「大丈夫?」
「あ、はい。ちょっと想像しちゃっただけですから」
「そう。あんまり無理しないようにしなさいね」
キビシイとかよく言われてる咲夜様だけど、実際は優しいんですよね。
ただ、自分の仕事が完璧すぎて他の人の仕事へのチェックが厳しいだけなんです。
きっと、おそらく、たぶん……ただ単にSだなんてことは無いはずだ。
けどSakuya様だしなぁ。イニシャルSだもんなぁ。
「で、あなた。さっきひざ枕って言ったわね?」
「言いましたね」
「そこで、私はピンと来たのよ。体反発枕は体を反発させる枕じゃなくて、体が持つ弾力を再現した枕だって!」
「流石、お嬢様。素晴らしいご慧眼ですわ」
「だから、咲夜。あなたの胸とお尻と腿を触らせなさい」
もしかしてお嬢様、ただ単に咲夜様にセクハラしたいだけじゃ……。
「あ、その……胸はやめていただけると……」
「イヤ」
「そんなこと言わずに」
「イヤ、触る」
「も、もちろん服の上からですよね?」
「直に決まってるじゃない!」
「アッー!!」
す、凄い……。一瞬のうちに咲夜様のスカートが下ろされてる!
えーっと……ちょっとここから先は詳しく説明するとまずいです……。
「お、お嬢様! そこは腿じゃな……キャアアアアアッ!!」
「うふふッ。まったく、生娘みたいな悲鳴を上げちゃって」
「き、きむす……って、私の操はまだ立ってますーッ!!」
「あら、そうなの? じゃあ、私が奪っちゃおうかしら!?」
とか
「あら、可愛い下着。誰に見せるつもりだったの?」
「ヒィゥアアアアアアッ!!」
とか
「あら? 何かしら、コレ?」
「あ、アアアアアアッ!! そ、それだけは!! それだけはどうかご容赦をオオオオオオ!!!!」
「だーめ、貴女は全て、何もかも私のものよ、咲夜」
「あ、アアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「……あら、なんか気持ちいいわね。もらっとくわ」
「あ、あああああ……」
「パッドォォォオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」
……ええ、特に断末魔の瞬間の時の咲夜様の表情は、もう。
心臓の弱い人だったら即死物です。
と、いうかお嬢様ですら、ドン引きです。
いや、気持ちはわからなくもないですが。
そして、お嬢様は咲夜様から奪い取った『(女性の嗜み)』をその椛のように愛らしい手でしばらく弄んで
「まったく、咲夜ったら。胸に体反発枕を隠しておくなんて酷いわね。わかってて私たちを見て心の中でほくそ笑んでた訳ね!!」
「いや、それは……その、違うんじゃないかなぁ……と、思いますです」
「さぁ、パチェ! 原材料は手に入れたわ! 量産しましょう!!」
「ええ、勿論よ! レミィ!!」
って、何時の間に復活したんですか、パチュリー様。
そして、貴女様はそれが咲夜様の『(女性の嗜み)』だと知っててやってますね。
だって、普段に無いくらい目が嗜虐色に輝いてますし!!
そして、その開発は三日三晩にも及んだ。
パチュリー様とお嬢様の行動に無駄が多かったのが原因ですが。
あと、咲夜様がショックで塞ぎこんでしまったのも。
「で、出来たわ! ついに出来たわ!!」
「え、ええ。まさか、これがこんなに気持ちのいいものだとは思わなかったわ、ぐう」
「って、早ッ! 早すぎよ、パチェ! 枕に頭を置いて一秒もかかってないわ!!」
いや、ただ単に体力が尽きてるだけだと思うんですけど。
やっぱり、怖いから言わない。そんな自分が可愛い自分がとても可愛く思えます。
うわ、私もかなり疲れてます。
なんて時ほどとんでもない事が重なるんですよねー。
「お嬢様ー、私非常に悪い予感がするんですけどー」
「あら? こんなにステキな日なのに?」
「ええ、なんか忘れてるような気が……」
ドカーン
キャー 妹様がー
ドコーン
と、とめなさい! 紅魔館が潰れるわよ!
ズドーン
十三班! 十三班!? 返事をしなさい!!
ズギャーン
うわーもうだめだー
「ふ、フランの事を忘れてたわァアアアアアアッ!!」
「ヒィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
「き、緊急事態イイイイイイイイ!!」
そして現場に辿り着くと息も絶え絶えな、守備部隊の方々を涙目で睨む妹様がいました。
「何で!? 何でみんなは私を仲間はずれにするの!?」
「落ち着いて、フラン! 本当は貴女、皆を壊したくないんでしょ? だから地下でおとなしくして、私の言いつけも守ってくれてるんでしょう? フランがみんなのために行動してるのは、お姉ちゃんわかってるわ!」
「わ、私は……私は……!」
「フラン……」
「もうたくさん! 私がどれだけ寂しいと思ってるの! いつもそう! いつも一人だった! いつもいつもいつも、いっつも私はお姉様の言う事を聞いて自分の好きなことはできなかったっ、なんで私だけがそんな目に遭わなきゃいけないのよおかしーじゃないそんなのっ、閉じ篭りたくもないのに地下になんてこもって、独りになってなきゃいけないのよ、もうたくさん! 私、もっと普通に皆と遊びたかったのに! なんで、皆は混ぜてくれないの! うわーんわんわんわんわんわんわんわん!?」
「お、落ち着いてフラン! 貴女のことは私がよくわかってるから……っ! だから、もっと寂しくなる前に私と寝ましょう、フラン!」
「寝るの!? 私のこの爆発した感情は何処に向ければいいの!?」
「安心なさい! フラン! 咲夜の胸を参考にして作ったこの体反発枕はそんなものも無視して眠りに誘う心地良さよ!」
その日から、お嬢様と妹様は一緒に眠るようになり紅魔館は新たなる一歩を踏み出した。
「あれ? 咲夜さん、なんか胸が縮んでませんか?」
門番が背中に幾百ものナイフを背負い戦うようになり、戦力が向上したという噂が流れてるのはまた、別の話。
咲夜はAとBの境界>同志よ
泣いた。
ああくれてやるよ!腰から下だけのマネキンだがな!
>パッドォォォオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!
こうして目出度く咲夜さんはパットだったと言うのが証明されました
うぉいwww
物凄い勢いで吹いた、ストレート過ぎます咲夜さん(wwwwwwwww