一面が水で埋め尽くされた『海』を、私は元気に泳ぎ回る。隣には肌を真っ黒に灼いた少女がいて、私に微笑みかけてきた。
さて、次は何を採ろうかしら、私は澄んだ水の底にいる、見たこともない生き物達を眺め…
「パチェ、ねぇパチェ!そんなに本ばかり読んでいたらもやしになるわよ?そんな話しかけもしない奴と一緒にいたって楽しくないでしょうに」
何かが私に呼びかけてきた…
『違う世界』で波間にゆらいでいたはずの私は、たちまちぐらぐらと揺さぶられ、本来の世界へと引き戻される。
「…はぁ、レミィ、あなたはわかってないわ。全然わかってない」
目の前でつまらなそうに足をぶらぶらさせている友人へと、私は言った。さっき渡してあげた本は既にどこかに消え去っている…後で小悪魔に探させましょう。レミィには捜索費用を請求っと。家が一軒買える位の魔導書3冊で手を打ちましょう。
「何がよ」
納得いかなそうにそう言い返すレミィに、私は続ける。
「私は本の中でどんなものにでもなれるしどんな所にだって行ける…こんな喘息持ちの私でも…ね」
「はい?」
私に怪訝そうな表情で言い返してきたレミィの顔は、なかなか見物だった。こうやって『何がなんだかわからない』という表情のレミィに説明するのが私の楽しみの一つなのだ。
「本はそれが一つの世界なの、だから本を読めばどこにでも行けるし誰にでもなれる。それこそもやしになることだってできるわ。楽しくないわけがないでしょう」
まぁ主人公がもやしになる本はさすがにないでしょうし、楽しいこともないでしょうけど…
「でも所詮それは想像の世界でしょ、現実に誰かがいるわけじゃ…」
珍しく食いさがるわね…本を渡して、え~っと…8時間か、それ位放っておいたからかしら…
「いいえレミィ、本には書いた人の思念が伝わっているの。肉体なんて余計なものを持たない分純粋な…ね。著者が死んでも、物語は生き続ける、本が存在する限り未来永劫…ね」
私の言葉に、不承不承といった様子で沈黙するレミィを見て、私は満足げに本を閉じた。
「それじゃあおしゃべりでもしましょうか?」
「…最初からそのつもりなら言えばいいじゃない」
一呼吸入れてそう言った私に、レミィは不機嫌そうに呟いた。
「だってそれじゃあ詰まらないじゃない」
そう、つまらない。
「何がよ」
何がって…それは…
「秘密」
「む…いつもいつもパチェときたら…ぶつぶつ」
そうやっているあなたの姿が見られないのはつまらないじゃない。
~五分後~
「…そういえば、貸してあげた本はどうしたの?」
紅茶を飲んでいた私は、ふと思い出して言った。
レミィでも読めるように、易しい児童文学を貸してあげたのに…
「読めるわけないじゃない」
そんな私に、レミィは答える。
「あんな面白くて簡単な本も読めないなんて…レミィは子どもね」
私の言葉に、レミィは頬を膨らませる。
「だって…」
「あの本かじるんだもの」
間違えた。
さて、次は何を採ろうかしら、私は澄んだ水の底にいる、見たこともない生き物達を眺め…
「パチェ、ねぇパチェ!そんなに本ばかり読んでいたらもやしになるわよ?そんな話しかけもしない奴と一緒にいたって楽しくないでしょうに」
何かが私に呼びかけてきた…
『違う世界』で波間にゆらいでいたはずの私は、たちまちぐらぐらと揺さぶられ、本来の世界へと引き戻される。
「…はぁ、レミィ、あなたはわかってないわ。全然わかってない」
目の前でつまらなそうに足をぶらぶらさせている友人へと、私は言った。さっき渡してあげた本は既にどこかに消え去っている…後で小悪魔に探させましょう。レミィには捜索費用を請求っと。家が一軒買える位の魔導書3冊で手を打ちましょう。
「何がよ」
納得いかなそうにそう言い返すレミィに、私は続ける。
「私は本の中でどんなものにでもなれるしどんな所にだって行ける…こんな喘息持ちの私でも…ね」
「はい?」
私に怪訝そうな表情で言い返してきたレミィの顔は、なかなか見物だった。こうやって『何がなんだかわからない』という表情のレミィに説明するのが私の楽しみの一つなのだ。
「本はそれが一つの世界なの、だから本を読めばどこにでも行けるし誰にでもなれる。それこそもやしになることだってできるわ。楽しくないわけがないでしょう」
まぁ主人公がもやしになる本はさすがにないでしょうし、楽しいこともないでしょうけど…
「でも所詮それは想像の世界でしょ、現実に誰かがいるわけじゃ…」
珍しく食いさがるわね…本を渡して、え~っと…8時間か、それ位放っておいたからかしら…
「いいえレミィ、本には書いた人の思念が伝わっているの。肉体なんて余計なものを持たない分純粋な…ね。著者が死んでも、物語は生き続ける、本が存在する限り未来永劫…ね」
私の言葉に、不承不承といった様子で沈黙するレミィを見て、私は満足げに本を閉じた。
「それじゃあおしゃべりでもしましょうか?」
「…最初からそのつもりなら言えばいいじゃない」
一呼吸入れてそう言った私に、レミィは不機嫌そうに呟いた。
「だってそれじゃあ詰まらないじゃない」
そう、つまらない。
「何がよ」
何がって…それは…
「秘密」
「む…いつもいつもパチェときたら…ぶつぶつ」
そうやっているあなたの姿が見られないのはつまらないじゃない。
~五分後~
「…そういえば、貸してあげた本はどうしたの?」
紅茶を飲んでいた私は、ふと思い出して言った。
レミィでも読めるように、易しい児童文学を貸してあげたのに…
「読めるわけないじゃない」
そんな私に、レミィは答える。
「あんな面白くて簡単な本も読めないなんて…レミィは子どもね」
私の言葉に、レミィは頬を膨らませる。
「だって…」
「あの本かじるんだもの」
間違えた。
・本がかじらなくなる100の方法
さすがヴワル図書館だ、こんなピンポイントすぎる本まで揃えてるなんてな
レミィ、あなたはリスですかw
吹かせて頂きました。
>・本がかじらなくなる100の方法
>・困った友人への対処方法
之が家が一軒買えるほどの魔導書ですね 35年ローン吹いた
>名無し妖怪様
なんてったってヴワル魔法図書館ですからねぇww
>月影蓮哉様
やった吹かせた(何)orz
>二人目の名無し妖怪様
そう言っていただけると~♪
>名無しの一人様
魔法図書館は危険が一杯、プロの案内が必要です。でも、案内がついていても大体危険なのでご注意を(だめじゃん)
>CACAO100%様
>之が家が一軒買えるほどの魔導書ですね
いえいえ、家が二軒ほど買えるそうです。如何せん稀少本ですので。