ミスティアさーん、飲みにきまし……
あ、フミちゃん。いらっしゃいー
うー……
『フミ』じゃなくて『アヤ』です。確信犯でしょう貴女
いや、まぁ。それはそれとして、その後ろに隠れてちょっと潤んだ瞳でこちらを見つめていて
ミスティアさんの服をギュッと掴んでいる子はどうしたんですか?隠し子ですか?隠し子ですね。よし、号外だ
頼むから落ち着いて
うー……
OK、私は至って鈴仙です。もう二度と座薬とは言わせません。これからの時代は無反動砲です
どうみても落ち着いてません。本当にありがとうございました
うー……
で、どうしたんですかその子
やー、その、まぁ結構深い事情があるのよ
どうぞ、お聞かせください
ええ、それはネチョい夜だったわ
鳥もちですか
天敵よねあれは
当たらなければどうと言う事はありません
戦わなきゃ現実と
それでも私は!新聞屋として夢のあるネタを追いかけたいのです!
で、丁度一週間前の事なんだけれど……
「いつかふ~た~りで、行きーたーいね~♪雪が積~も~るこーろに~♪」
私は上機嫌で歌を歌いながら空を飛んでいたのよ。
冷たくなってきた夜の空気が少し心地よくも感じられる日だったわ。
「生まれた~もーりの、あの白さを~♪貴方に~も~見せたい~……あら?」
そんな時にね、珍しく光が見えたのよ。勿論、人間達が持つような松明の光ね?
ただでさえ夜は警戒する人間が多いし、遠そうだったけれど、興味半分でそこに向かってみたのよ。
まぁその時点で気付くべきだったのよね。遠くでも見えるって事は大量に居るって。
で、到着した訳なのだけれど。
「見つけたぞー!生き残った餓鬼だー!」
「殺せー!逃がしたら成長してからまた襲ってくるぞ!」
「鉄砲はいけるか!?弾が体内に残れば妖怪でも長くは持たないはずだ!」
あれはビックリしたわよ。狙った先にはこの子が居て、それを何十人もの人間が追ってるのよ?
ご大層に鉄砲まで持ち出しちゃってね。
これがまぁどうでも良い別の妖怪なら良かったんだけれどね。ほら、この子の耳を良く見て。私と似てるでしょ?
うん、同族。夜雀なのよこの子。
流石に私も仲間を見捨てる訳には行かなかったからさ、助ける事にしたのよ。
「ちょっと待ったー!!」
「何だこの声は!?」
「何だこの声は!?と聞かれたら!答えてあげるが世の情け!」
いや、うん、何も言わないで。一人でやると悲しかったのは実感したから。
とりあえず目を眩ませる為に弾幕を撃って、さっさと逃げる事にしたのよ。数が多すぎたし。
え?何で鳥目にしなかったかって?松明が明るすぎて無理よ。普通に見えちゃう。
そもそもその時は逃げる事しか考えてなかったからねぇ。
……そして結構危なかったけれど、何とか今に至るって事なのよ
なるほど。危なかったって事はやはり怪我とかも
ちょっと片翼をね。だから暫くは人間狩りはお休み。そもそも最近あまりやってないけれど
でも他の妖怪とかに襲われませんか?
天狗の目からは弱いかもしれないけれど。こう見えても結構強いよ?少なくともこの近辺じゃ
いやまぁ強いのは知っていますが、一応心配はしておいた方がいいかなと
そんな文ちゃんに串焼き一本サービス
これはどうも。結局その子はどうするんですか?
とりあえず一人立ちできるまでは面倒見ようかなーって思ってるんだけれど
『衝撃!屋台の店主は未婚の母!?』……と
待てーい!
冗談ですよ
冗談に聞こえないわ
いやでも何か、本当にミスティアさんの子供に見えてきましたね
そうかな?
ミスティアさんにベッタリと言いますか、くっ付いて離れないから余計ですね
あんな体験したら誰だってこうなるわよ
トラウマになりそうな出来事ですからね
うー……
ほらほら、私は怖くありませんよー
大丈夫、文おばちゃんは優しいから、ね?
待てーい!
冗談よ
冗談に聞こえません
怖い事……しない……?
それはもう、天狗の名に誓って
ほら、文おねーちゃーんって
トテトテ
あ、文おねーちゃん……
─ 鼻符『スカーレットシュート』 ─
ひっ……!
うわっ、ちょ、鼻血出しやがた、出しやがた!
おっとすいません。あまりの可愛さにギャグに走ってしまいました
ちゃんと拭いておいてね
任せてください
さてお客さん、今日の注文は何でしょうか?
お酒なら何でもいいです。ミスティアさんも一緒に飲みませんか
それは嬉しいお誘いね。どういう風の吹き回し?
天狗の風は自由気まま。こういう時もあるのですよ
今日はとっても寒いから
今日は月が見えるから
素敵なお酒になりそうね
素敵なお酒にするんですよ
でもアティラリさんのような雰囲気でのほほんと世間話する二人も良いですね。結構親しげですし。これは新しい波が来るかも?
一応常連だし、こういうネタならだいぶ脚光浴びそうです、鳥類コンビ。
あと無反動砲吹いた。