紅魔館の地下深くにて、紅美鈴とフランドール・スカーレットはお茶を飲んでいた
熱いお茶を冷まさずに飲もうとして舌を火傷する、吸血鬼として何か間違っているような彼女を見て美鈴は疑問に思う
何故こんなにも可愛い娘を恐れるのか、と
「メイリン、お茶飲まないの? 」
「いえ、お茶菓子を持ってくるのを忘れまして。少し反省していたところです」
「お菓子? 美味しい? 」
お菓子の話に目を輝かせるフランドールは、凄く可愛い
とあるメイド長の部屋に高価なクッキーが隠されている事を思い出しながら思う
何故こんなにも可愛い娘を恐れるのか、と
「お茶も飲み終わったし、遊ぼう? 」
「そうですね、何をして遊びましょうか」
「弾幕ごっこ! 」
弾幕ごっこが始まり、手加減をしているのか疑問に思える弾幕に美鈴は思う
右上半身を焼き焦がされて、左膝から先を破壊されながら美鈴は思うのだ
何故こんなにも『綺麗』な娘を恐れるのか、と
体術が得意な美鈴にとって、弾幕ごっことは『綺麗』な物だった
初めて『綺麗』だと感じたのは、紅魔館の主であるレミリア・スカーレットとの弾幕ごっこ
紅く紅い紅が過ぎる弾幕を前に、月を背景にその弾幕を放つ美しい姿を見た時である
『あぁ、こんなに綺麗な物があるなんて』
そう呟き呆然としながら、紅い弾幕を避ける事も出来ずに翻弄される
痛いけれど綺麗で、苦しいけれど綺麗で、死にそうだけど綺麗で
こんな綺麗な物を見て死ねるのなら良いかもしれない、そう考えた時は既に弾幕ごっこが終了していた
紅魔館の門番をしながら、彼女は訪問者の弾幕は綺麗であれと常に願っている
妖精だろうと妖怪だろうと人間だろうと、綺麗な物は大歓迎だった
時々気に入った侵入者はシバキ倒して紅魔館で働かないかと勧誘してみたり
最近やってくる魔法使いを口や態度では非難しているが、訪問を心待ちにしている
魔法使いの放つレーザーや星は綺麗で、スペルカードは避けるのさえ勿体無い
巫女もまた来ないかなと考えながら、人形遣いに期待している美鈴がいた
そんな彼女が出会ったのは、主の妹であるフランドール
お世話をしていたメイドの一人が壊れてしまったのが原因だった、全治13年である
そのせいでメイド達は怖がり、お世話の役目が回りまわって門番まで回ってきた
普段なら門前を離れる事などやらないのだが、その役目を誰にも秘密だと言って引き受ける
主からは何度も何度も何度も絶対に近づいたら駄目だと言われていたが、駄目と言われると気になるのが妖怪のサガ
それにフランドールが暴れだして地下から出てきた時の時間稼ぎに自分が出た時、普段慌てる事の無い主が慌ててやって来たのも興味深い
主が寝ている昼頃、紅美鈴はフランドール・スカーレットに出会った
足が壊れても腕が焼けても飛べるので支障は無い、美鈴は綺麗な弾幕を一秒でも長く見るためにそう自分へと言い聞かせる
長く長く長く、そんな夢のような時間が終わりを告げた頃には、美鈴はもう飛ぶ力さえ残っていなかった
弾幕ごっこが終わってすっきりしたのか、フランドールは楽しそうに倒れた美鈴に話しかける
「あー楽しかった! メイリンも楽しかった? 」
「えぇ勿論ですよ、動ければまだまだ続けたいくらいに楽しかったです」
失礼だとは思いつつも、起き上がれないので寝そべりながらフランドールに言葉を返す
美鈴は先ほどまでの弾幕ごっこを思い出し、陶然とした笑みを浮かべている事に気がつかない
「・・・・本当に? 」
「本当ですよ? 」
美鈴は心の底から本気であった、フランドールは今まで来るメイド達と違う対応に戸惑う
誰もが避けた、自分が楽しいと思う事を共感してくれない、すぐに壊れてしまう
そんな今までの境遇に現れた存在にフランドールは、なんて素敵な玩具だろうと思った
「動く? 」
「動きたいのですが、蠢くのが精一杯で」
「ふーん、飲む? 」
フランドールは自分がだるくて動けない時、血を飲めば元気になるので美鈴に飲むかと勧めてみる
しかも自分の血を
美鈴は自分の状態と相手の好意からの提案と、小さな好奇心からその提案を受け入れた
「それでは、失礼します」
あまり力の入らない左手でフランドールの手を引っ張り、自分の上に重なるように倒れこませる
丁度自分の顔の右横に相手の顔が来るよう調節し、これではどちらが吸血鬼か分からないと苦笑しながら首筋に噛み付いた
痛くないように素早く、傷を広げないように鋭く、大丈夫だと優しく抱きとめながら美鈴は吸う
「あははっ、くすぐったくて変なの」
美鈴はフランドールから微量の血と大量の気を吸い、数秒で自分の持つ気の量が全快まで回復した事に驚きつつ体を回復させる
細い首に出来た小さな傷もすぐさま治るだろうと思いつつ、ゆっくりと舐めながら上半身を起こす
右手の感覚を確かめながら、自分が抱きとめた時、フランドールの髪へと付着しただろう汚れを梳くようにして落とした
サラサラと手櫛で梳く感触に、美鈴はフランドールの姉ではなくその従者であるメイド長が脳裏に浮かぶ
「それでは、続きをしますか? 」
「・・・・んー、今日はもう良い」
目を瞑り、美鈴の手に満足していたフランドールは笑顔で弾幕ごっこの終了を告げる
本来喜ぶべきだろうが美鈴とっては逆で、とても残念であった
「そのかわり、寝るまで一緒にいて」
「はい、わかりました」
フランドールは美鈴に自分をベッドまで運ばせ、美鈴も一緒に寝るように言う
だが490年以上も生きているフランドールにとっての、玩具での遊びを始めようとしているのを美鈴は知らない
紅魔館の主であるレミリア・スカーレットにとって、それは直視しがたい運命だった
彼女は自分の妹に、どちらかと言えば嫌われてはいないが愛されていない事を知っている
お姉さまは好き、でも美味しいお菓子のほうが好き・・・・・お菓子を作れるメイドに好感度で負けたときは泣いた
そんな妹に好かれようと、己の持つ能力で見た運命の一つ
門番である紅美鈴と妹が出会う運命、そして待ち受ける運命
それだけは阻止したかった、阻止しようと手を加えた、けれど従者からの報告で既に出会っている事を知った
あぁ、運命が見える
そんな風に現実逃避をしながら、見えた光景を意識から追いやる
仲良く穏やかに紅茶を飲む、問題の二人の姿を
「メイリンお姉さま、この紅茶は私が淹れたの」
「フランドール様、有難う御座います」
「もう、フランと呼んでって何度も言ってるのに」
「そう言われても」
「硬いのね、でもそんな所も好き」
玩具扱いしようとしたら玩具にされたフランドールが、自分を放って置いて門番を姉呼ばわり
泣けてきたので、傍にいたメイドを姉呼ばわりして見たら『ロザリオ』と呼ばれる神具を首にかけられて灰になった
そんな紅魔館
熱いお茶を冷まさずに飲もうとして舌を火傷する、吸血鬼として何か間違っているような彼女を見て美鈴は疑問に思う
何故こんなにも可愛い娘を恐れるのか、と
「メイリン、お茶飲まないの? 」
「いえ、お茶菓子を持ってくるのを忘れまして。少し反省していたところです」
「お菓子? 美味しい? 」
お菓子の話に目を輝かせるフランドールは、凄く可愛い
とあるメイド長の部屋に高価なクッキーが隠されている事を思い出しながら思う
何故こんなにも可愛い娘を恐れるのか、と
「お茶も飲み終わったし、遊ぼう? 」
「そうですね、何をして遊びましょうか」
「弾幕ごっこ! 」
弾幕ごっこが始まり、手加減をしているのか疑問に思える弾幕に美鈴は思う
右上半身を焼き焦がされて、左膝から先を破壊されながら美鈴は思うのだ
何故こんなにも『綺麗』な娘を恐れるのか、と
体術が得意な美鈴にとって、弾幕ごっことは『綺麗』な物だった
初めて『綺麗』だと感じたのは、紅魔館の主であるレミリア・スカーレットとの弾幕ごっこ
紅く紅い紅が過ぎる弾幕を前に、月を背景にその弾幕を放つ美しい姿を見た時である
『あぁ、こんなに綺麗な物があるなんて』
そう呟き呆然としながら、紅い弾幕を避ける事も出来ずに翻弄される
痛いけれど綺麗で、苦しいけれど綺麗で、死にそうだけど綺麗で
こんな綺麗な物を見て死ねるのなら良いかもしれない、そう考えた時は既に弾幕ごっこが終了していた
紅魔館の門番をしながら、彼女は訪問者の弾幕は綺麗であれと常に願っている
妖精だろうと妖怪だろうと人間だろうと、綺麗な物は大歓迎だった
時々気に入った侵入者はシバキ倒して紅魔館で働かないかと勧誘してみたり
最近やってくる魔法使いを口や態度では非難しているが、訪問を心待ちにしている
魔法使いの放つレーザーや星は綺麗で、スペルカードは避けるのさえ勿体無い
巫女もまた来ないかなと考えながら、人形遣いに期待している美鈴がいた
そんな彼女が出会ったのは、主の妹であるフランドール
お世話をしていたメイドの一人が壊れてしまったのが原因だった、全治13年である
そのせいでメイド達は怖がり、お世話の役目が回りまわって門番まで回ってきた
普段なら門前を離れる事などやらないのだが、その役目を誰にも秘密だと言って引き受ける
主からは何度も何度も何度も絶対に近づいたら駄目だと言われていたが、駄目と言われると気になるのが妖怪のサガ
それにフランドールが暴れだして地下から出てきた時の時間稼ぎに自分が出た時、普段慌てる事の無い主が慌ててやって来たのも興味深い
主が寝ている昼頃、紅美鈴はフランドール・スカーレットに出会った
足が壊れても腕が焼けても飛べるので支障は無い、美鈴は綺麗な弾幕を一秒でも長く見るためにそう自分へと言い聞かせる
長く長く長く、そんな夢のような時間が終わりを告げた頃には、美鈴はもう飛ぶ力さえ残っていなかった
弾幕ごっこが終わってすっきりしたのか、フランドールは楽しそうに倒れた美鈴に話しかける
「あー楽しかった! メイリンも楽しかった? 」
「えぇ勿論ですよ、動ければまだまだ続けたいくらいに楽しかったです」
失礼だとは思いつつも、起き上がれないので寝そべりながらフランドールに言葉を返す
美鈴は先ほどまでの弾幕ごっこを思い出し、陶然とした笑みを浮かべている事に気がつかない
「・・・・本当に? 」
「本当ですよ? 」
美鈴は心の底から本気であった、フランドールは今まで来るメイド達と違う対応に戸惑う
誰もが避けた、自分が楽しいと思う事を共感してくれない、すぐに壊れてしまう
そんな今までの境遇に現れた存在にフランドールは、なんて素敵な玩具だろうと思った
「動く? 」
「動きたいのですが、蠢くのが精一杯で」
「ふーん、飲む? 」
フランドールは自分がだるくて動けない時、血を飲めば元気になるので美鈴に飲むかと勧めてみる
しかも自分の血を
美鈴は自分の状態と相手の好意からの提案と、小さな好奇心からその提案を受け入れた
「それでは、失礼します」
あまり力の入らない左手でフランドールの手を引っ張り、自分の上に重なるように倒れこませる
丁度自分の顔の右横に相手の顔が来るよう調節し、これではどちらが吸血鬼か分からないと苦笑しながら首筋に噛み付いた
痛くないように素早く、傷を広げないように鋭く、大丈夫だと優しく抱きとめながら美鈴は吸う
「あははっ、くすぐったくて変なの」
美鈴はフランドールから微量の血と大量の気を吸い、数秒で自分の持つ気の量が全快まで回復した事に驚きつつ体を回復させる
細い首に出来た小さな傷もすぐさま治るだろうと思いつつ、ゆっくりと舐めながら上半身を起こす
右手の感覚を確かめながら、自分が抱きとめた時、フランドールの髪へと付着しただろう汚れを梳くようにして落とした
サラサラと手櫛で梳く感触に、美鈴はフランドールの姉ではなくその従者であるメイド長が脳裏に浮かぶ
「それでは、続きをしますか? 」
「・・・・んー、今日はもう良い」
目を瞑り、美鈴の手に満足していたフランドールは笑顔で弾幕ごっこの終了を告げる
本来喜ぶべきだろうが美鈴とっては逆で、とても残念であった
「そのかわり、寝るまで一緒にいて」
「はい、わかりました」
フランドールは美鈴に自分をベッドまで運ばせ、美鈴も一緒に寝るように言う
だが490年以上も生きているフランドールにとっての、玩具での遊びを始めようとしているのを美鈴は知らない
紅魔館の主であるレミリア・スカーレットにとって、それは直視しがたい運命だった
彼女は自分の妹に、どちらかと言えば嫌われてはいないが愛されていない事を知っている
お姉さまは好き、でも美味しいお菓子のほうが好き・・・・・お菓子を作れるメイドに好感度で負けたときは泣いた
そんな妹に好かれようと、己の持つ能力で見た運命の一つ
門番である紅美鈴と妹が出会う運命、そして待ち受ける運命
それだけは阻止したかった、阻止しようと手を加えた、けれど従者からの報告で既に出会っている事を知った
あぁ、運命が見える
そんな風に現実逃避をしながら、見えた光景を意識から追いやる
仲良く穏やかに紅茶を飲む、問題の二人の姿を
「メイリンお姉さま、この紅茶は私が淹れたの」
「フランドール様、有難う御座います」
「もう、フランと呼んでって何度も言ってるのに」
「そう言われても」
「硬いのね、でもそんな所も好き」
玩具扱いしようとしたら玩具にされたフランドールが、自分を放って置いて門番を姉呼ばわり
泣けてきたので、傍にいたメイドを姉呼ばわりして見たら『ロザリオ』と呼ばれる神具を首にかけられて灰になった
そんな紅魔館
一体何があったのかkwsk!
あと、妹のことでオタオタしてしまう姉のレミリアが素敵w
あと全治13年吹いたw
13年かかってしまっても治るのが妖怪だらけの紅魔館クオリティか。
そして最後の二行に唖然とされた。
それはそうと妹萌えは幻想にはなりません。いつだってすぐ側にあるのです。
あと美鈴の弾幕論が素敵な作品でした、多謝(礼
そしてこんな紅魔館はは素敵過ぎる。
「お姉さま」ってwおまw