白玉楼と言えば、春になると盛大に花を咲かせる桜の木々が有名、と言われていますが、
二百由旬も有る庭ですから、桜以外にも楓や欅がいたる所に群生していて、
秋になると、それはそれは美しい紅葉が見られるのです。……掃除は少し大変ですけどね。
極彩色の木々に目を奪われた幽々子様が仰るには、
――深まる秋、紅葉、そして満漢全席。――
だそうで、最近とみによく食事をされます。
ていうか、ぶっちゃけ食べすぎです。
かまどとお鍋で、満漢全席を作ってる方の身にもなってください。ハァ……
しかし、幽々子様はいつからあんなにたくさん食べるようになったのでしょう?
確か、師匠が居られた頃は、あれほどの食欲は無かったと思うのですが……
もしかしたら、師匠はそんな所まで、うまく幽々子様を操れたのかもしれません。
そう考えると、私はまだまだ未熟者だなぁ…… ハァ……
秋になると、その命の散り行く事へのもの悲しさのせいか、幼い頃の事をよく思い出してしまいます。
厳しいけれど、ずっと私の側に居て剣を教えてくれたこと……
今まで出来なかった技が出来るようになったと、喜んでいる私に見せてくれた笑顔……
修行以外の時間では、私に色々な話を聞かせてくれた……
「師匠……おじいちゃん……」
幽々子様が側に居てくれるから、寂しいなどと思う事は無いけれど。
それでも、自分の力が至らないと感じた時。
もっと幽々子様に頼りにして欲しい思う時。
師匠の言葉が有ったなら、と考える時があります。
まあ、そう考えてしまう事こそ、未熟である証拠なんだろうけど。
「妖夢さん。どうしたんですか?」
「あ。文さん」
隣にはいつの間にやら天狗の新聞屋さんが居ました。どうやら、少しボーッとしていた様ですね。
「いえ、お恥ずかしい話なんですが、師匠は今どこで何してるのかなぁ? とか考えてました」
「文々。新聞で四コマ漫画を連載してもらってますよ」
「……はい?」
何でしょう? 何か良く分からない単語が聞こえた様な気がするけど……
「文々。新聞で四コマ漫画『ぶんぶん文ちゃん』を描いてもらってます」
ああ、私とした事が何か言い間違いをしてしまったみたい。失敗失敗……
「あ! いえいえ。私が言ったのは私の剣の師匠で祖父の『魂魄妖忌』のことです」
「ええ、ですから。私の新聞で『ぶんぶん文ちゃん』を」
「あはは! ナイスジョークですね!」
あはは! 文さんたら上手いんだから。
あの四コマ漫画は私も好きだけど、どう見ても少女マンガの絵だし、師匠がマンガを描くっていうのはさすがに無理があるよね。
「え!? そ、そうでしょうか!?」
「ええ、文さん顔色変わらないから、ちょっと信じちゃいましたよ! あの師匠が漫画を描くなんてねぇ!? あははは!」
「いえ、そこは本当ですよ?」
「はは……は……」
そういえば昔、師匠から教えてもらったっけ、『危機に陥ったらまず良く落ち着いて、それから良く考えて行動しろ』って。
よし、まず落ち着くぞ!
深呼吸! スーハー……スーハー……
「他にも『Doki Meki !! ☆ みるふぃ~ゆ』なんかも描いてるんですよーっ」
「ぶっ!!」
「これ、女の子にすごい人気が有るんですよ!? 私も単行本にサイン貰っちゃいました」
落ち着け、落ち着け私……
えーと、とりあえず。庭の掃除が終わったら、Doki Mekiじゃなくて、晩御飯の準備して。
晩御飯の準備がみるふぃ~ゆ、じゃなくて! 晩御飯の準備が終わったらお風呂を沸かして。
……それから、それから!
「先週の、ミルフィーユが晶先輩とキスしそうになるシーンなんか、見てるこっちが恥ずかしかったですよ!」
はっ! 何者かが私の耳を塞いでいる! これでは文さんの声が聞こえるけど聞こえない!!
「では今度『リリー・ヨーキー』先生によろしく伝えておきますね」
「あー!! あーっ!! 聞こえない聞こえない!!」
何者かが、私の耳をバシバシ叩いている! さらに誰かが大声で騒いでいる!
これでは文さんの言ってる事が全くもってさっぱりと聞こえてるけど聞こえないっ!!
気がつくと、文さんはもう居ませんでした。
右手には文さんが持ってきてくれた文々。新聞が一つ。
新聞の最後のページに載っている『ぶんぶん文ちゃん』を描いてる『リリー・ヨーキー』ってどんな人なんだろう?
そして、それとは全く何の関係も無いけれど師匠は今、どこで何をしてるんだろう?
おそらく、山の中とかで強い妖怪相手に剣の修行をしてるに違いない。
間違っても少女マンガを描いていたりは、していないだろう……
「妖夢ぅ。ちょっといいかしら?」
「あ、幽々子様どうされたんですか?」
「この間、ルナサちゃんに薦められたんだけどね? これが結構面白いのよ」
「……」
「妖夢にも後で見せてあげるから、この本の最新刊買ってきて頂戴。タイトルは『Doki Meki……」
「待宵反射衛星斬ーーーっ!」
二百由旬も有る庭ですから、桜以外にも楓や欅がいたる所に群生していて、
秋になると、それはそれは美しい紅葉が見られるのです。……掃除は少し大変ですけどね。
極彩色の木々に目を奪われた幽々子様が仰るには、
――深まる秋、紅葉、そして満漢全席。――
だそうで、最近とみによく食事をされます。
ていうか、ぶっちゃけ食べすぎです。
かまどとお鍋で、満漢全席を作ってる方の身にもなってください。ハァ……
しかし、幽々子様はいつからあんなにたくさん食べるようになったのでしょう?
確か、師匠が居られた頃は、あれほどの食欲は無かったと思うのですが……
もしかしたら、師匠はそんな所まで、うまく幽々子様を操れたのかもしれません。
そう考えると、私はまだまだ未熟者だなぁ…… ハァ……
秋になると、その命の散り行く事へのもの悲しさのせいか、幼い頃の事をよく思い出してしまいます。
厳しいけれど、ずっと私の側に居て剣を教えてくれたこと……
今まで出来なかった技が出来るようになったと、喜んでいる私に見せてくれた笑顔……
修行以外の時間では、私に色々な話を聞かせてくれた……
「師匠……おじいちゃん……」
幽々子様が側に居てくれるから、寂しいなどと思う事は無いけれど。
それでも、自分の力が至らないと感じた時。
もっと幽々子様に頼りにして欲しい思う時。
師匠の言葉が有ったなら、と考える時があります。
まあ、そう考えてしまう事こそ、未熟である証拠なんだろうけど。
「妖夢さん。どうしたんですか?」
「あ。文さん」
隣にはいつの間にやら天狗の新聞屋さんが居ました。どうやら、少しボーッとしていた様ですね。
「いえ、お恥ずかしい話なんですが、師匠は今どこで何してるのかなぁ? とか考えてました」
「文々。新聞で四コマ漫画を連載してもらってますよ」
「……はい?」
何でしょう? 何か良く分からない単語が聞こえた様な気がするけど……
「文々。新聞で四コマ漫画『ぶんぶん文ちゃん』を描いてもらってます」
ああ、私とした事が何か言い間違いをしてしまったみたい。失敗失敗……
「あ! いえいえ。私が言ったのは私の剣の師匠で祖父の『魂魄妖忌』のことです」
「ええ、ですから。私の新聞で『ぶんぶん文ちゃん』を」
「あはは! ナイスジョークですね!」
あはは! 文さんたら上手いんだから。
あの四コマ漫画は私も好きだけど、どう見ても少女マンガの絵だし、師匠がマンガを描くっていうのはさすがに無理があるよね。
「え!? そ、そうでしょうか!?」
「ええ、文さん顔色変わらないから、ちょっと信じちゃいましたよ! あの師匠が漫画を描くなんてねぇ!? あははは!」
「いえ、そこは本当ですよ?」
「はは……は……」
そういえば昔、師匠から教えてもらったっけ、『危機に陥ったらまず良く落ち着いて、それから良く考えて行動しろ』って。
よし、まず落ち着くぞ!
深呼吸! スーハー……スーハー……
「他にも『Doki Meki !! ☆ みるふぃ~ゆ』なんかも描いてるんですよーっ」
「ぶっ!!」
「これ、女の子にすごい人気が有るんですよ!? 私も単行本にサイン貰っちゃいました」
落ち着け、落ち着け私……
えーと、とりあえず。庭の掃除が終わったら、Doki Mekiじゃなくて、晩御飯の準備して。
晩御飯の準備がみるふぃ~ゆ、じゃなくて! 晩御飯の準備が終わったらお風呂を沸かして。
……それから、それから!
「先週の、ミルフィーユが晶先輩とキスしそうになるシーンなんか、見てるこっちが恥ずかしかったですよ!」
はっ! 何者かが私の耳を塞いでいる! これでは文さんの声が聞こえるけど聞こえない!!
「では今度『リリー・ヨーキー』先生によろしく伝えておきますね」
「あー!! あーっ!! 聞こえない聞こえない!!」
何者かが、私の耳をバシバシ叩いている! さらに誰かが大声で騒いでいる!
これでは文さんの言ってる事が全くもってさっぱりと聞こえてるけど聞こえないっ!!
気がつくと、文さんはもう居ませんでした。
右手には文さんが持ってきてくれた文々。新聞が一つ。
新聞の最後のページに載っている『ぶんぶん文ちゃん』を描いてる『リリー・ヨーキー』ってどんな人なんだろう?
そして、それとは全く何の関係も無いけれど師匠は今、どこで何をしてるんだろう?
おそらく、山の中とかで強い妖怪相手に剣の修行をしてるに違いない。
間違っても少女マンガを描いていたりは、していないだろう……
「妖夢ぅ。ちょっといいかしら?」
「あ、幽々子様どうされたんですか?」
「この間、ルナサちゃんに薦められたんだけどね? これが結構面白いのよ」
「……」
「妖夢にも後で見せてあげるから、この本の最新刊買ってきて頂戴。タイトルは『Doki Meki……」
「待宵反射衛星斬ーーーっ!」
その能力は・・・お爺ちゃんから、お姉さんに返信する能りょk(永続待宵反射衛星斬
>ペンより剣が強い事を悟る
目からウロコ落ちた、成る程(w