――空から雪が降って来る。
私は今年初めての小さな雪を見ながらあの子のことを思い出す。
彼女の名前はレティ。
レティ=ホワイトロックと言う名前の、優しくて大きなお友達。
ちょっと不器用な、それでいてあったかい冬の妖怪。
本当は冬なんて寒い季節には似合わないような優しいあの子。
レティはいつも、雪が降る最初の日に帰ってきて、桜が降る頃に居なくなってしまう。
もっと私達と一緒に居られたら良いのにって思うけれど、そしたら今度はリリーに会えなくなっちゃうのかな?
私はレティもリリーも好きなのに、なんでみんなで一緒に居られないんだろう??
――そういえば、今年の桜を見てから随分経ったな。
居ない間にピクニックに行ったり、紅葉狩りをしたこととか話したら羨ましがるかな?
私はレティに話したい色んなことを考えながら雪が降るのをぼんやりと見つめる。
――庭が騒がしくなってきた。
チルノがレティのことを見つけたのかも。
レティに久しぶりに会ったらなんて言って迎えてあげよう?
胸がドキドキするのを感じつつ、身だしなみを整え直す。
耳を澄ますと雪を踏む音と賑やかな声。
ホント、チルノも楽しそう♪
トントンって扉の音がする。
やっと玄関にレティが到着したみたい。
私は炬燵の中から玄関まで移動して、扉をゆっくりと開いてあげる。
そこにいるのは勿論……。
「ただいま」
「おかえり、レティ」
――また今年もよろしくね、レティ♪