「ところでちょっと聞きたいことがあるのだけれど?」
「何だ?」
「あなたから質問なんて珍しいわね、霊夢」
「あら、何かしら?」
「ここは何処?私は誰?」
「…ブッ、なぁっ!?」
「何を…えっ!?」
「あらあらうふふ」
霊夢が記憶喪失になった。
「…冗談も良いところだぜ霊夢、驚かせようったってそうはいかないんだからな」
「そ、そうよ霊夢、冗談なんてあなたらしくないわ」
「いや、あなた達は誰?」
「…これは本当よ、頭の中を念視してみたけど」
「記憶喪失か…よし、お前の名前は霊夢だ。私の名前は魔理沙だ。お前は私から一万円を借りている。今返せ」
「ちょっと魔理沙、何してるのよ!」
「一万円…これ…かしら?」
「駄目よ霊夢、これは私が頂くわ」
「紫も!」
「…まったくアリス、お前ちょっとおかしいぜ」
「えっ!?おかしいのは私なの!?」
「そうよ、借したお金を返して貰うだけでしょ。それを何で囃したてるのよ」
「ええっ!貸したの?」
「食料をせがんできたから分け与えた分、丁度一万円だぜ」
「マヨヒガから持って行かれた家財道具一万円分よ」
「ほ…本当なのね」
「(…アリスも単純だぜ)」
「(この子も騙されるタイプね)」
「えと…じゃあ、一万円…」
「頂くぜ」
「頂くわ」
「…やっぱり駄目ーっ!」
「あべし!」
「ぶべら!」
「う、うえれろぉ!」
「…何やってるんだアリス」
「えーと、いや、だって続くと言ったら…」
「やっぱりあなたおかしいわよ」
「うう…」
「はぁ…はぁ…」
「あー、それにしても痛かったぜ。なんでいきなりあんな事したんだ?」
「そうね、やっぱりケチは体に染みついて居るんじゃないかしら」
「…ところで、直す方法に見込みはあるの?」
「あるぜ、ショック療法だ。頭を叩けば治る」
「リバース方法ね、記憶を喪失した状況を再現するのよ」
「…案外当てになりそうね」
「案外とは酷いぜ」
「じゃ、まずは私の案から実行しましょうか。霊夢が記憶を喪失した状況を再現するわよ」
「ああ」
「ええ」
「…霊夢が記憶を喪失した状況、ってどんなんだ?」
「…そうね、どうやるの?」
「確か柱に頭をぶつけたのよ、それで記憶が無くなったんだわ」
「結局はショックしかないんじゃないか」
「で、何でわかるの?」
「そりゃそうよ、霊夢の動向は24時間フルタイムで見てるもの」
「…」
「…え、ええと、その…」
「お風呂も布団の中も監察してるわよ。あなた達の生活も」
「私は別にやましいことなんかしてないぜ」
「!!」
「魔理沙は昨日は朝起きて読書して昼食べて研究して夜食べて風呂入って寝る、ね。面白みがないわ」
「そりゃそうだぜ、質素を心がけてるからな」
「アリスは昨日は、朝起きて読書して昼食べて研究して夜食べて…で、その先が問題ね」
「ちょっ、言わないで!お願いだから!」
「気になるぜ、言ってくれ!」
「…プライバシー保護のため、遠慮するわ」
「ふぅ…」
「ちぇっ、ノリが悪いぜ」
「あ、でも後でマヨヒガに来れば見せてあげるわ」
「なっ!?」
「おっ、行くぜ行くぜ」
「あんなものを使ってるとは驚きだったわ」
「やめてお願いだから!」
「ノリが悪いぜアリス、お前は既に包囲されている既に逃げ場はない!」
「…で、話を戻しましょうか。霊夢が茶を飲み始めてるわ」
「あいつ本当に記憶喪失なのか?」
「ぜぇ…ぜぇ…」
「アリスはなんでそんなに息切れしてるのかしら?」
「あんたのせいでしょ!」
「まぁそれはいいとしてだ、柱に頭をぶつけさせるか」
「どうやって?そんなこと簡単には起こらないと思うわよ?」
「それは簡単だぜ、こうやって霊夢を持ってきて!だな、」
「えっ?なっ?」
「…まさか、魔理沙」
「ドカーン、と!」
「派手にやったわねぇ」
「ええ…」
「あれは予想できなかったわ」
「ええ…」
「まさか柱にぶつけた振動で上にあった木箱が落ちてきて、魔理沙を直撃するとは思わなかったわ」
「ええ…」
「さて、どうしましょう」
「ええ…」
「あなたさっきからそればかりね」
「ええ…え?」
「あの二人どうするの?」
「まぁ、とりあえず霊夢を先に起こさない?」
「そうね、とりあえずちょっと境界を弄ったわ」
「…あれ?紫にアリス?どうしたの?」
「…戻ったわね」
「そうね」
「何の話?」
「ええと、魔理沙があなたの頭を柱にぶつけたわ」
「重要な部分が抜けてるわよっ!」
「魔理沙…ああ、どうりで額が痛いと思ったわ。魔理沙、起きなさい!」
「ぅぅ、うん…んあ?」
「魔理沙、よくもやってくれたわね?」
「?」
「とぼけてんじゃないわよ、だいたいなんで…」
「…ここはどこ?私は誰?」
「…!?」
「なっ、魔理沙まで!?」
「あらあらうふふ」
紫さん、あとでみせてくだs(アーティーサクリファイス