「メリー遅いわね……遅刻かしら――あら電話――もしもーし」
『れれれレンコ連呼蓮子』
「あらメリー、どうしたのよそんな活字でしか解からない慌てっぷり」
『ちょ、ちょっと駅前でね――見ちゃったの』
「何を」
『ドッペルゲンガー』
「ほーほー。
メリー、短い間だったけど、もう会う事も無いのね」
『信じて無いわね珍しい。
だが聞いて驚け――しかも今隣に居るの』
「はぁー?いやメリーなら視えるだろうけど、遅刻の言い訳なら
もーちょっとマシなもの思いつきなさいよ」
『証拠も有るわよ』『はいはいもしもし元気ー?』
「録音テープと言う手も有るわね。あとは合成写真でもあれば完璧?」
『それじゃ窓から外を見て』『左手の方よ』
「あ、レジ傍の電話ボックスから手を振ってるわね。一人だけど」
『さて、掛けている番号は?』
「電話ボックス」
『ピンポーン。あ、注文来たわよ?
「ブルーベリーのタルトとフレンチロースト』
「だから文字世界でしか解からない表現はよせと――
あれ?」
「お二つ――以上で宜しかったでしょうか?」「うん、以上で大変宜しいかと」
「ぅわぁーーーーーー!!!?」
「蓮子、公衆の面前で叫ぶのは行儀悪いわよ」「安心して、流石に二人前も奢らせようとかしないから」
「……あれは驚いた。かなり本気で」
「あの時の蓮子の顔、ちゃんと保存してあるわよ」
「ゆずってくれ たのむ! あと実際に撮ったのは『彼女』よ。
……で、私の推測としてはこう。
窓か何かで見た鏡像を、寝ぼけ眼で見て、本物だと勘違いしてパニック」
「だ が 断 る。タルト奢りで手を打つわ。
――そのとき『夢と現の境界』と『自己と他の境界』が曖昧になるから
裂け目が出来て、そこに私が『写った』って感じ?」
「メリーの像と境界は重なってる。それをメリーの眼で見て『パニックのまま白黒つける』。
猫の入った箱の蓋を開けた、って事と同じね。
あんた、初見でドッペルゲンガーとか『思った』でしょ」
「生き別れの双子ってのは無しだもの」
「とりあえず店員には双子で張り通した。
他の店員の目の丸いこと丸いこと」
「でも寂しいわね。同じ私でも、違う意見とか聞けそうだったのに。
三日で居なくなっちゃった」
「命があるだけ有難いと思いなさい。
それに――もうアレはメリーじゃないでしょ」
「ああそうだったわ」
「素敵な名前、付けてあげたものね」
「他の店員と履歴書誤魔化す為の言い訳だけどね。
しかも日本語風に直しただけ。挙句最初に名乗ったのあんた。
――で、一つ確認して良い?」
「あら、何かしら?」
「今、私の目の前に居るメリーは、どっち?」
「あなたが見て、あなたが聞く、最新のマエリベリー・ハーンですわ」
「オーケー。つまりどっちでも私には関係ないのね?」
「ええ、例えばこのタルトの御代も――んぐ、おいしー。
一人分で変わらないわ」
「一人分で良かっただけでも、良しとしますか」
「ぬー、でも足りないや、もう一つ追加して♪」
「……今度は腹の中に移動したのか。
きっと体重が二人分になt」
「さーてこの写真どうしようかしr」
「あ、すみませんタルトと珈琲追加」
//////////////(博麗大結界)/////////////////////////
「紫ー?」
「あらなあに霊夢」
「あんたの名前――幽香もそうだけど、人名よね」
「そうですわ」
「あ、萃香もブン屋もか――あんたらの名前、誰がつけるのかしらね」
「あら、たいした事ではないわ」
「名前と言うのは、それとそれ以外の区別をつけた瞬間から、存在するのよ」
「つまり思いつきでも他人からの貰い物でも――
自分で決めて名乗る、か。
妖怪が妖怪たる所以よね――まず己があってから、名前が有るんだから」
「それは当たり前よ?人妖問わず。ただ――」
「名前なんて固体名に識別を頼るのが、人間だけ
ただ、それだけよ」
「それもそーね。――はく。むぐむぐ。
――タルトご馳走様。
偶には洋菓子と珈琲も良いわね。 紅魔館から?」
「いいえ?――『お母様』からよ」
「居たの!?」
「さあ?」
「何よそれ」
『れれれレンコ連呼蓮子』
「あらメリー、どうしたのよそんな活字でしか解からない慌てっぷり」
『ちょ、ちょっと駅前でね――見ちゃったの』
「何を」
『ドッペルゲンガー』
「ほーほー。
メリー、短い間だったけど、もう会う事も無いのね」
『信じて無いわね珍しい。
だが聞いて驚け――しかも今隣に居るの』
「はぁー?いやメリーなら視えるだろうけど、遅刻の言い訳なら
もーちょっとマシなもの思いつきなさいよ」
『証拠も有るわよ』『はいはいもしもし元気ー?』
「録音テープと言う手も有るわね。あとは合成写真でもあれば完璧?」
『それじゃ窓から外を見て』『左手の方よ』
「あ、レジ傍の電話ボックスから手を振ってるわね。一人だけど」
『さて、掛けている番号は?』
「電話ボックス」
『ピンポーン。あ、注文来たわよ?
「ブルーベリーのタルトとフレンチロースト』
「だから文字世界でしか解からない表現はよせと――
あれ?」
「お二つ――以上で宜しかったでしょうか?」「うん、以上で大変宜しいかと」
「ぅわぁーーーーーー!!!?」
「蓮子、公衆の面前で叫ぶのは行儀悪いわよ」「安心して、流石に二人前も奢らせようとかしないから」
「……あれは驚いた。かなり本気で」
「あの時の蓮子の顔、ちゃんと保存してあるわよ」
「ゆずってくれ たのむ! あと実際に撮ったのは『彼女』よ。
……で、私の推測としてはこう。
窓か何かで見た鏡像を、寝ぼけ眼で見て、本物だと勘違いしてパニック」
「だ が 断 る。タルト奢りで手を打つわ。
――そのとき『夢と現の境界』と『自己と他の境界』が曖昧になるから
裂け目が出来て、そこに私が『写った』って感じ?」
「メリーの像と境界は重なってる。それをメリーの眼で見て『パニックのまま白黒つける』。
猫の入った箱の蓋を開けた、って事と同じね。
あんた、初見でドッペルゲンガーとか『思った』でしょ」
「生き別れの双子ってのは無しだもの」
「とりあえず店員には双子で張り通した。
他の店員の目の丸いこと丸いこと」
「でも寂しいわね。同じ私でも、違う意見とか聞けそうだったのに。
三日で居なくなっちゃった」
「命があるだけ有難いと思いなさい。
それに――もうアレはメリーじゃないでしょ」
「ああそうだったわ」
「素敵な名前、付けてあげたものね」
「他の店員と履歴書誤魔化す為の言い訳だけどね。
しかも日本語風に直しただけ。挙句最初に名乗ったのあんた。
――で、一つ確認して良い?」
「あら、何かしら?」
「今、私の目の前に居るメリーは、どっち?」
「あなたが見て、あなたが聞く、最新のマエリベリー・ハーンですわ」
「オーケー。つまりどっちでも私には関係ないのね?」
「ええ、例えばこのタルトの御代も――んぐ、おいしー。
一人分で変わらないわ」
「一人分で良かっただけでも、良しとしますか」
「ぬー、でも足りないや、もう一つ追加して♪」
「……今度は腹の中に移動したのか。
きっと体重が二人分になt」
「さーてこの写真どうしようかしr」
「あ、すみませんタルトと珈琲追加」
//////////////(博麗大結界)/////////////////////////
「紫ー?」
「あらなあに霊夢」
「あんたの名前――幽香もそうだけど、人名よね」
「そうですわ」
「あ、萃香もブン屋もか――あんたらの名前、誰がつけるのかしらね」
「あら、たいした事ではないわ」
「名前と言うのは、それとそれ以外の区別をつけた瞬間から、存在するのよ」
「つまり思いつきでも他人からの貰い物でも――
自分で決めて名乗る、か。
妖怪が妖怪たる所以よね――まず己があってから、名前が有るんだから」
「それは当たり前よ?人妖問わず。ただ――」
「名前なんて固体名に識別を頼るのが、人間だけ
ただ、それだけよ」
「それもそーね。――はく。むぐむぐ。
――タルトご馳走様。
偶には洋菓子と珈琲も良いわね。 紅魔館から?」
「いいえ?――『お母様』からよ」
「居たの!?」
「さあ?」
「何よそれ」