Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

幻想郷の境

2006/10/22 06:55:51
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幻想郷には境がある。
境界ではなく、その境目。数字などでスパッと決められるもの以外は、非常に曖昧であるそれだ。
それで、幻想郷にある境目とは、どんなものがあるのか気になった私は、その手に詳しい友人に話を聞いてみることにした。



「ねぇ紫、最近よく思うのだけれど」
「…あら霊夢、何かしら?」



やっぱり神出鬼没だわ、と思う。
神社の中には私一人しか居ないのに、その事実を無視するかの如くスカートの中から頭を出してきた。
まぁ、出てこなかったら出てこなかったで、家の中で居ない人物の名を呼ぶ巫女などという非常に間抜けな図が出来上がる。
そんな所を新聞記者にでも見られたら「神社の中で愛する人の名を呼ぶ巫女…しかしその相手の姿はどこにもなく…」なんて記事を作られてしまう。
そうにでもなれば良い恥だ。博麗神社の評判が下がる。あまり高くない気もするけど。
それを想像してちょっと嫌になった私は、とりあえず紫の額にデコピンをかましてみた。



「でっ!いふぁい…、酷いわ霊夢、折角呼ばれて飛び出てきたのに」
「やられたくないんならもうちょっと出てくる場所を選ぶ事ね」
「もう何よ、呼んだんなら文句言わないで欲しいわ」
「というかどうして呼んだってわかったの?」
「それはもう、24時間365日連続で見続けているわよ?」
「暇なのね」
「それはもう。…で、昨日は激しかったようね?」
「な!?何の話よ…」
「24時間365日って言ったじゃない。起床、お風呂、布団の中、全てお見通しよ」
「…わかったわ。今度からそう言うような時間は周りに覗き見防止の結界を貼っておくわ」
「ああん、いけずぅ」
「紫がやっても似合わないわよ」
「あ、でも結界貼ってる間はそういう事してるってことね?」
「何でそうなるのよ!」
「少しぐらい夢見たっていいじゃないの」
「その中身に問題があるっていうのよ!」



いかん、つい紫のペースに乗せられてしまうところだった。
そんなことより、話の本題。幻想郷の境について聞いてみよう。



「…ねぇ紫、幻想郷の境って実際の所どうなってるの?」
「そりゃもう私の夢の中では毎日がピンク…Pardon?」
「え?」
「もう一度言って、って事よ」
「…幻想郷の境って実際どうなってるの?」
「ああ、それね。…そうね、まずは紅魔館を例に取ってみましょうか。
紅魔館は紅魔館で、それ自体には変わりないけど、紅魔館の周りには湖が広がってるでしょ?」
「そうね…」
「で、その湖は、紅魔館の人も使ってるけど妖精とかも使ってるわよね」
「ああ、なるほど」
「紅魔館は紅魔館の物で、その周りの湖は紅魔館の物だけど紅魔館の物じゃないって事よ」
「それはつまりどういう事よ?」
「そうね…『俺の物は俺の物、みんなの物はみんなの物』ってことかしら」
「うーん…当然じゃない?」
「そう、その当然なのよ。境目って結構曖昧なのよね。『これは自分の物?それともみんなの物?』っていうのが結構あるのよ」
「あれ、じゃあ門とかって結局どうなのよ?」
「紅魔館は湖の水も必要だからね、門は区切りではないのよ。逆に、冥界の門とかは区切りになってるわ」
「冥界は冥界の中の物で事足りるから?」
「そう、それよ。冥界から出る必要もあれば入る必要もない、区切りね」
「けどこの間の春争奪事件は?」
「あれは幽々子の気まぐれよ」
「そうなの?」
「そうなのよ」



なるほど、なんとなくだけどわかった気がする。
自分の物は自分の物で、みんなの物はみんなの物。
そのみんなの物の中から、必要なだけ必要な時に自分の物にして、返すってところね。
そこらへんが曖昧なのかしら、全部返すって事は殆ど無理だものね。
逆に、必要無いのならば自分の物にする必要もないしね。



「どう霊夢、わかった?」
「なんとなく、だけどね」
「じゃあお礼に羊羹を貰っていくわ」
「…それは自分の物にする必要があるのかしら?」
「お腹が空いたら何かを食べる。必要よ~」
「じゃあ私が常に空腹を我慢しているのは?」
「空腹と満腹の境界、弄る?」
「お腹が減らないのは良いけど、それだとその内衰弱死しそうね」
「以前一回やりかけたのよ」
「…まぁそれはいいわ、羊羹を返しなさい」
「嫌よ、一度自分の物にした物を返すわけないわ」
「さっきの話と矛盾しているような気がするんだけれど」
「別にいいのよ」
「じゃあ私もマヨヒガから自分の物にしていっていいのかしら?」
「それは駄目よ、私が困るもの」
「羊羹を持って行かれたら私も困るわ」
「そこは我慢よ」
「嫌よ」
「じゃあ『霊夢の物』と『私の物』の境界を…」
「駄目よ」
「…久々に意見が食い違ったわね、霊夢」
「別に久々じゃないし、いつものことでしょ」
「じゃ、いつものように…行きますかっ!」
「やってやるわっ!」


境目争いからの戦争だとかは醜いですよね。
南無
コメント



1.CODEX削除
敵と味方、戦闘員と非戦闘員の境界がはっきりとしないのが昨今の戦争・紛争の特徴、正義と悪の境界なぞ言わずもがな…境目の無い無限蛇。
幻想郷にとっては幸福な事ですが、戦争だけは幻想になる事は無いのでしょうね。故に幻想郷には『平和』があるのでしょうが…
2.CACAO100%削除
幻想郷が平和な訳其れは・・・向上心の有る人間が居ないから
幻想郷のバランスを崩壊させないから、何じゃねーの!?
3.名無し妖怪削除
確かにそういえば、向上心ある人間である魔理沙の周りではいつも諍いが絶えない
4.あざみや削除
ピンクの紫様すてき……、どんな色なんだろう?
紫なのにピンクなのかな?なんか毒々しいよね!
5.Wizard 1削除
<<世界は変わる>>
6.名無し妖怪削除
電車やバスなどあるいは列