Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

愛する師匠に捧ぐ言葉

2006/10/18 05:39:52
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 私の名前は、鈴仙・優曇華院・イナバと言います。
 変な名前だと思いましたか? 思いますよね? うどんげいんですもんね。何というか、どっかのロボットっぽい名前です。でも、いいんです。私、この名前、気に入ってますから。
 何でかと言いますとですね?

「ウドンゲ~、ちょっと手伝ってちょうだ~い」
「あ、はーい!」

 私の大好きな人がつけてくれた名前、だからです。てへへ……。


 私は以前、月の兎をやってました。決して変身はしませんけど。
 まぁ、今も昔も月の兎ではあるのですが、現状、地上をうろうろしているわけでして。『月の』という枕が、そろそろ必要なくなってきたかもしれません。
 そんな私は、今、永遠亭というところで暮らしてます。
 深い竹林の奥にある、純日本家屋です。そこには、わずかな人とたくさんの兎たちが暮らしています。時の止まった、悠久の楽園です。

 さて、そこの人員構成を紹介しますね。

 まず、私の師匠であり、尊敬する人であり、敬愛する八意永琳さま。
 かつては月の都で暮らしていたという経歴を持ち、数多の医術・薬学を使いこなし、さらには戦闘もお手の物、という天才なのです。私は、このお方に師事して、現在、一流のお医者さん兎になるべく特訓中です。
 永琳さまは、とっても素晴らしい人です。聡明でお優しく、まるで慈母のごとき慈愛を、その大きな胸(物理的にも)に秘めたお方です。この人のそばにいられる、ただそれだけが、私の幸せ。……もちろん、こんな恥ずかしいこと、当人の前では口に出せませんけど。

 続けて、永遠亭の兎たちの長、因幡てゐ。
 いたずら好きで嘘つきで、ちょっぴり腹黒で。だけど、本当は、寂しがり屋の恥ずかしがり。
 実際の年齢はよくわからないけど、多分、私より年下……じゃないかな? 私にとっては、かわいい妹みたいなものです。手のかかる妹……と、言っても相違ないかな。
 もう少し、私に対して態度を改めてくれたら嬉しいんだけど……でも、そうなると張り合いがなくなりそうで、これも複雑な乙女心というやつでしょうか。え? 違う?

 そして最後に、永遠亭の主、蓬莱山輝夜さま。
 かつては月の姫として、月よ花よと愛でられて育てられた方ですが、何やら、私には知るところのない事情で地上で暮らしているそうです。
 お優しい方です。それでいて、同時にとても気高く、また……また……えっと……。
 と、ともあれ、素晴らしい方なんです! はい!
 ……え? その素晴らしいはずの人が、何で紹介が最後なのか、って? ………………えーっと……ごめんなさい。


 さて。
 それにプラスして、大勢の兎たちの生活する、この永遠亭。
 私は、そこで日々を暮らしているわけですが。このところ、ちょっと疑問に思うことがあります。

「あらあら、ウドンゲ。ちょっと、これ、着てみない?」
「わぁ……かわいい服……」

 こんな風にして、私の師匠である永琳さまが、私にお洋服を渡してくれることが多い、ということです。
 と言いますか、私の持ってる服の大半は、師匠からもらったものなんです。何せ、私がここに来たときは着の身着のままで、自分の荷物を持ち出してくる余裕なんてありませんでしたから。加えて、私たちは、あんまり人里には出向きません。何せ、頭にぴょこんとうさみみですからね。どこからどう見ても怪しい奴らです。たまに、『だが、それがいい』という人もいますが、そう言う人には弾幕でお帰り願ってるからともかくとして。

「ありがとうございます、師匠」
「あらあら。いいのよ。それじゃ、それ、着て見せてね」
「はいっ」

 ……しかし、師匠は、一体どこからこんなに服を?
 兎たちの服は、大抵、師匠が手縫いしているからともかくとして……これも、師匠が作ったのかな? ……にしては、毎回毎回、手が凝っていて……。いや、師匠が私だけのために、こんなにかわいい服とかを作ってくれるのなら、それはもう感謝の極みなんだけど。
 でも……何でか気になったりするのです。
 だって、師匠も、あんまり人里に降りることはありません。基本的に、我が永遠亭は、人間には関わらない方向で動いてますから。と言うか、普通の人間なら、この屋敷に来る前に迷って野垂れ死にするでしょう。
 ……まぁ、最近は、ここで病院もやっていて、そっち方面のお客さんが来るようになったんですけれど。

「うーん……」

 鏡の前で衣服をあわせてみて、つと悩む。
 師匠に聞いてみようかな。こういう服、どこから持ってきてるのか、って。
 もしかしたら手縫いかもしれないし、もしかしたら買ってきてくれているのかもしれない。そう言うことは気にしないでいいのよ、って言ってくれているけれど……やっぱり、気になるものは気になりますよね。


 そういうわけで、夜なのです。
 何で夜なのか、って?
 永遠亭は忙しいんです。特に師匠は、頼りになるから、もうあっちこっちから頼られて、一日中働きっぱなし。そんな師匠を『凄いなぁ』と思いながらも、自分の力量不足に、ちょっぴり肩を落としたりして。でも、私だって頑張るもん、って気合いを入れ直して。そんな毎日を送る私です。
 さて、私のことはともあれとして、服の出所を聞かなくては。
 えーっと……師匠の部屋は……あ、ここだここだ。
 辿り着いた障子の前。今日は月の光が薄いから、辺りはうっすらと闇に沈んでいて。そっと、私は、「師匠、失礼します」と言って障子を開けて――。

「…………………………」

 真実を知りました。


「あらあら……うふふ、私も、まだまだ現役でいけるかしら」


 えーっと……端的に説明します。
 師匠がセーラー服着てました。はい。
 姿見に自分の姿を映して、ポーズ取ってます。一人ファッションショーです。確かに師匠はお若いです。見た目、まだまだ二十歳でも、頑張れば通じます。
 でも、でもですね、師匠。

「八意永琳、十七歳ですっ☆ なーんて。
 あら、似合う似合う。かわいいかわいいっ」

 くねくねしないでください……ぶりっこしないでください……もう、何か、色々見ていて痛々しいですからっ……!

「あらあら。次にウドンゲにあげるのはこれにしようかしら。でも、ちょっともったいないかしらね。
 うーん……じゃ、今度はこっちのミニスカートなんてどうかしら」

 そうだったんですね……私に渡されていた服の数々は、師匠のお下がりだったんですね……!

「まだまだ、現役でミニスカートもいけるわねぇ」

 大きいお尻と長い足が魅力的です、師匠!
 だけど……だけど……やっぱり、かなり無理があると思いますっ!

「今度、秋の運動会でもやろうかしら。
 そうなると……ウドンゲには、こっちの体操服とブルマがいい感じねぇ」

 何でそんなものまで……。

「……………」

 あ、何かじーっと見てますよ。

「昔は、これを着てトラックを走っていたわねぇ……懐かしいわぁ」

 ……昔も、あんなに胸が大きかったのなら、さぞかし、走る時、大変だったでしょうね。
 だけど……だけど、師匠……。

「……ちょっとだけ」


 ぴしゃっ。
 私は、何も見なかったことにして、速攻で障子を閉めて脱兎しました。



 私、鈴仙・優曇華院・イナバは、八意永琳師匠に一生ついて行きます。その手となり足となり、師匠を支え続けます。
 そして、いつか、あなたの跡を継ぐにふさわしい力と品格と人格を手に入れて。あなたの弟子として、胸を張っていけるよう、日々、精進致します。
 それが私の誓いです。私は、決して、この誓いを違えることはないでしょう。
 だって、私は永琳さまが好きですから。
 誰よりも、何よりも。この先、ずっと。




「ねーえ、ウドンゲ。このお洋服あげるから、ちょっと着てみてほしいな」
「ワーイ、アリガトウゴザイマスシショウー。イツモイツモスイマセン、カンシャシテマスー」
「あらあら」


 ……だけど、その時の私の顔って、多分、これ以上ないくらい引きつってたんでしょうね。
さすがにスクール水着渡された時は「ごめんなさい」って頭下げました。(話:鈴仙・優曇華院・イナバさん ぴー歳)
haruka
コメント



1.変身D削除
えーりん師匠の体操服ぶるま……私は一向に構いませんが何かって言うか是非見たいでs(アポロ
2.名無し妖怪削除
えーりんがやってると違和感が無いw
3.偽皇帝削除
がんばれウドンゲw
4.あざみや削除
師匠は鏡の前ではきっとくねくねしたりむきゅむきゅしたり髪の毛ほどいたり結ったり編んだりしてとっても女の子なんですよ。かわいいなぁ
5.削除
うわぁ・・・
6.CODEX削除
最も驚愕すべき事は、こんな死亡フラグ塗れの状況下で鈴仙がロボトミーも薬物投与も無しに生き残った事ではなかろうか?
でもまあ取り合えずスク水師匠の写真でm(前頭葉切除
7.名無し妖怪削除
師匠のセーラー服だなんて・・・

最高じゃないか!!!1
8.名無し妖怪削除
なぜ年齢だけ伏せるw
9.名無し妖怪削除
師匠ぉぉぉw
10.名無し妖怪削除
年齢伏せてるのは鈴仙が1000年以上生きてるからで(アッーーーー!!!