風立ちぬ今は秋の幻想郷。
私が博麗神社を訪れると、紅白巫女はいつものようにお茶を飲んでいた。
東方幻想狂
【 憧れ 】
「……暇そうね、魔理沙?」
「残念、それほど暇じゃないわ。あとついでに言うと私は魔梨沙よ?」
そう、私の名前は霧雨魔梨沙。
普通の魔法使い霧雨魔理沙が世を忍ぶ仮の姿であり、お洒落でキュートな魔法少女探偵よ(はぁと)。
でもって、この暇そうにしている巫女、博麗霊夢こそが今回の調査対象(ターゲット)なの。
………いかん。自分で言ってて鳥肌立ってきた。
っておい、霊夢。突っ込みは無しか? あとその可哀相な人を見る様な目は止めてくれ!
それは兎も角。私が神社にやって来たのは他でもない。
風の噂に聞いた話だが、霊夢が肌身離さず持っているという謎の『定期入れ』。
なんでもその中に霊夢の憧れの人物の写真が入っていると言う。
そもそも『定期入れ』なんて物をどうして所持しているかは不明だが、
某知識人によると『その手の写真は伝統的に定期入れに入れるもの』なのだそうだ。
そう、噂の真偽と可能なら写っている人物を確認する事が私の使命なのだ。
まあ、単なる暇つぶしなんだが。
しかし、噂をもたらした風の主は度重なるアプローチ(湯浴み,就寝中の着替え漁り)を試みるも、
文字通り肌身離さず所持していた為に失敗。
噂を聞きつけた吸血鬼が力ずくと奪おうとして惨敗など、余程大事なものらしく一筋縄にはいかないらしい。
そうなると残された手段は、私らしく真っ向から当たって砕ける正攻法のみ。
さすがに素のままだと気恥ずかしいから、わざわざ魔梨沙に扮してやって来たが、
どうやら余計に恥ずかしい思いをしただけらしい。
「なあ、霊夢――」
「んー?」
「――おまえが持ってる『定期入れ』とやらには、誰の写真が入っているんだ?」
霊夢はまるで聞いてない風にお茶を飲み干すと、静かに口を開いた。
「たぶん貴方達が思ってる様なものじゃないけどさ。――アイツらも素直に聞けば教えてあげたのにねぇ」
そう言って袂から『定期入れ』を取り出すと、やけにあっさりと写真を見せてくれた。
セピアに褪せた写真には、巫女装束の2人――女の子を抱きかかえた少女――が写っていた。
女の子の方は至極普通の巫女装束だが、その面影からして霊夢本人と思って間違いないだろう。
嬉しそうにVサインなんか出しながら満面の笑みを湛えている。
一方、たおやかに微笑む黒髪の少女。先代博麗の巫女かなんかだろうか?
年の頃は今の霊夢と同じくらいっぽく、母親と言うには若すぎるし、姉妹にしてもそれほど似ているとは思えない。
だとすると、この少女は一体誰なんだ?
「誰って、小○様に決まってるじゃない!?」
「は? ○夜……さま?」
そのことを訪ねると、まるで知らない事が罪であるかのように答えてくれた。
「そう、小○様。昔ね、縁があって彼女がお仕えする神社に遊びに行った事があるの。この写真はその時に無理を
言って撮っていただいたものなの」
ふむ。つまり同業の他人というわけか。しっかし、なんでまたそんな写真を後生大事に持ってるのかね?
「○夜様はね、(たぶん)この業界における巫女さんの開祖なの。そして私の――いいえ、この業界すべての
巫女達の憧れであり目標でもある偉大な巫女様なのよ!!」
その後、なんか変なスイッチが入った霊夢から、小○様についてタップリと語って聞かされる。
曰く、攫われた七福神と宝船を奪還すべく、妖怪相手に孤軍奮闘したとか、
曰く、調伏した化け狸と共に西洋妖怪軍団の日本征服を阻止したとか、
曰く、最近は弾幕ごっこにも進出してきたとかで、その方面なら私に一日の長があるだとか、etc……。
話から解放された頃にはお天道様はとっぷりと沈み、まん丸のお月さんが天頂付近に鎮座していやがりました。
確かに誰かに憧れを抱いて、それを目標に励むのは悪い方法じゃない。
しかし、行き過ぎるとどこかの怪しげな新興宗教と変わりがなくなってしまう。
教義や思想や作品に共感を抱くなら兎も角、人物そのものを信仰の対象にしてしまうのは、
それこそ神に対する冒涜に等しいんじゃないだろうか?
――よし、明日それとなく霊夢に諭してやるか。友達のよしみってもんだぜ。
そんなことを考えながら、私は床についたのだった。
おっと、『大いなる業界の先駆者 コoトン様』に青柳WILLOW御供えするの忘れてたぜ!!
お強い狐様が出てくるアレか!?
貧乏神三人衆と対決中に御札が切れたあのゲームかっ(泣
もう一回やりたいなアレ……
ラスト一行で噴いた。
誇張なしで本当に噴いたのは初めてだった。
後、咲夜は雪さん信奉してそうだな。
・・・という事は妖夢もそのうち上半身裸n(ry
大入りと書いた御札で遠距離攻撃
チョコチョコ動く小夜ちゃん。
可愛かったなぁ…