「しくしく」
「永琳さま、ずいぶん楽しそうですね」
「しくしく、楽しくない。ぜんぜん楽しくないから泣いてるの。わかる?」
「口元が若干にやけてますが」
「うん、まあ嬉しいといえば嬉しいのだけど」
「どっちじゃ」
「聞いてよてゐ」
「お断りだ」
「聞いてよてゐ」
「おとこわりだ」
「てゐまで私のこといじめるの? いじめるのね!?」
「わたしがいじめられるのが嫌なんだよ」
「あああああヘヴンはここにあると思ったのに! あなたたちが私を幸せにしてくれると信じてたのに!!」
「そうですか」
「返してよ! 私の幸せを返してよ!!111」
「ほらよ」
「わーいありがとうてゐ、大好きよー」
「金は払えよ」
「それでね」
「金を出せよ」
「で」
「金」
「………」
「金だよ」
「……ほら、うちも主人がニートのせいで財政難でしょ?」
「そこをフォローするのがお前の仕事だろ」
「いや、でも」
「そんなんじゃ手下どもにも愛想つかれるぜ」
「………」
「金だってば金。あんたに貢いでやったぶんの報酬だよ」
「……わかったわ……」
「わーい、永琳さま大好きー」
「ああ、その言葉だけで癒されるわ」
「てゐは幸せの兎ですからー」
「うん、私幸せよ。てゐもウドンゲもいるから……お財布痛くても心は痛くないわ」
「ちっ、どいつもこいつもウドンゲうどんげ優曇華……」
「うん?」
「な、なんでもないのよー」
「そう? それでね、てゐ」
「なぁに?」
「最近ウドンゲが冷たいのよ」
「それで泣いてたんですね」
「そうなのよ」
「具体的にどう冷たいんです?」
「それがねー」
――ウドンゲ、うどんげ、優曇華。
――はい師匠。三度呼んでもうどんげでございます。薬の実験台とセクハラ以外なら聞きます。
――
「………」
「ひどいじゃないウドンゲ? 私から薬とセクハラ取ったら何が残るのよ!」
「……巨乳とか」
「でかけりゃいいってものでもないのよ、これ。肩は凝るし、走ったら肉離れ起きるのよ?」
「それじゃあわたしはこれで」
「まあまてテウィ、お茶でも飲んでゆっくりなさい」
「薬入ってませんか?」
「入ってないわ」
「じゃあまず八意先生、自分で飲んでみてください」
「私に死ねというの!? てゐまで私をいじめるの!?」
「飲んだら死ぬんじゃねーか」
「あ、いや、えと、死にはしない……わ」
「じゃあ飲んでよ」
「私に死ねと!?」
「うん」
「死ねないのよ!」
「じゃ慌てることないじゃん」
「え、あ……いやでも、苦しいし」
「苦しいのかよ」
「いやいやいやいや!」
「トリカブトでも混ぜたのか?」
「そんなんじゃないわ。ちょっとえろくなる薬よ」
「最低だな」
「あ、いやその!」
「もう諦めなよ」
「それでね、困ってるのよ私。てゐからも言っておいてよ、『永琳さまはウドンゲのぱんつとか狙ってないから』って」
「紅魔館も真っ青になるぐらい真っ赤な嘘だな」
「………」
「………」
「最近あなたもちょっぴり反抗的ね?」
「思春期なのよ」
「まあかわいい」
「それじゃあこれで」
「まてまてテウィ、話はまだ終わってないぜ」
「えーまだ続けるの、この内容のない会話」
「それ言ったらこのSSの存在意義が危ういわ!」
「じゃあ消しちまえ」
「てゐそれは暴言よ! 撤回しなさい!」
「ごめんなさい」
「………」
「……なによ」
「てゐちゃんが珍しく素直……」
「わたしはいつも素直だよ」
「えー! ウドンゲが大好きだけどゆえにいじめちゃう素直になれない女の子だと思ってたのに!」
「どういう脳みそしてたらそんな発想が生まれるんだよ」
「えー、いや、でもウドンゲは好きでしょ?」
「いや全然。むしろ嫌い」
「ほらウドンゲが大好きだけど素直になれない女の子じゃない」
「何言ってもそうなるじゃねーか」
「八意流会話術」
「それじゃあこれで」
「まって! まってよ! いいじゃないちょっとぐらい」
「社会人は忙しいんですー」
「なに知った風なこと言うのよこの幼女!」
「幼女言うな、あんたから見たら百歳でも幼女だろうが」
「失敬だな、ちゃんと統計取ってるわよ、『百人に聞きました、てゐは幼女か?』YES82.5%、NO18.5%」
「ずいぶん偏った統計だな。101%あるし。百人しかいないのに0.5%刻みだし」
「う、うう……」
「何者だよこのあぶれた1%と謎の半分生物は。全員見覚えがあるのに人数が一人多い集合写真か?」
「座敷わらじよ!」
「適当に言うなよ。履いちゃうのか?」
「しくしく、てゐがいじめるわ、私のこといじめるわー!」
「そうだね」
「認めるのかYOー!」
「うん」
「それでどうにかウドンゲと仲良くしたいのよ、ちょっと仲人になってよてゐ」
「断る」
「はっ、嫉妬してるのねてゐ! 私にウドンゲを取られるのが嫌なのね?」
「違う」
「じゃあ、まさか……」
「違う」
「………」
「違う」
「何も言ってませんよ?」
「言うだけ無駄」
「………」
「………」
「しくしく」
「それじゃあわたしはこれで」
「まっ! なによもう! いいじゃないたまにはお話しましょ!」
「じゅうぶんですよもう……」
「しくしく」
「じゃあ何が言いたかったんですか、しょうもないことだったらあげた幸せ剥奪しますからね」
「それでどうにかウドンゲと仲良くしたいのよ、ちょっと仲人になってよてゐ」
「断る」
「はっ、嫉妬してるのねてゐ! 私にウドンゲを取られるのが嫌なのね?」
「違う」
「じゃあ、まさか……ウドンゲに嫉妬してる? ひょっとして好きなのはわt」
「長い間お世話になりました」
「嫌ーっ!! 待っててゐ、早まらないで! 出て行かないでー! 私を独りにしないでー!」
「手下いっぱいいるだろ」
「いや実際統率とってるのてゐだし? てゐがいなかったら兎の言ってることわからないし? 私の言ってることも兎に伝わらないし?」
「そうでしたね」
「というわけでお願いよてゐ」
「お断りだ」
「お願い!」
「お断りだ」
「ちゅーしちゃう」
「おい兎どもー! 永琳さまが策謀を謀った、ただちに攻撃体制に」
「待ってー! 嫌ー!! 兎が全員敵になるのは嫌ー!!」
「わたしを敵に回すことは兎全員を敵に回すことと同義です」
「それでウドンゲと仲良くなりたいのよ私はー!」
「じゃあ謝ってセクハラやめて薬の実験体にすることをやめれば振り向いてもらえるかと」
「私にセクハラをやめろって言うの!?」
「はい」
「無理!!」
「じゃあ鈴仙は諦めてください」
「じゃあてゐにする!」
「いいんですか、わたしを敵に回して」
「敵になるの!?」
「なるよそりゃ」
「くぅ、乙女心は複雑!」
「あんたが単純すぎるんだ、性欲にだけ縋って生きてりゃ」
「心が痛い」
「そうかい」
「セクハラと薬やめないでウドンゲと仲良くする方法」
「ねぇよ」
「うーん、困ったわ」
「もっともらしく言うなよ、セクハラはやめとけよ知的生物として」
「だって、いいんだもん」
「ことごとくエロ親父だなお前は」
「だってだって、ウドンゲがかわいくてかわいくて……」
「けっ」
「ほら嫉妬してるー」
「うっせーな」
「あ、否定しなかったわね。嫉妬してるのねーかわいー」
「それじゃわたしはこれで」
「まってって! もうまってよ! まっ……あーひきずらないでぇー」
「ふぬぬぬ……重い」
「重くないわ失礼ね」
「その無駄にでかい胸で体重増えてるんだろ! 削ぎ落としたろうか!?」
「えー、てゐってそういう猟奇的なプレイが好きなの?」
「プレイとか言うな!」
「てゐってそういう猟奇的なフェティッシュ?」
「やらしくカタカナ語使うな!」
「てゐってそういう猟奇的な春が好きなの?」
「春とか言うなああああ!!」
「てゐってそういう猟奇的な……ふふん♪」
「なんか言えやああああ!!」
「(ぴーーーー)」
「そういうこと言うなあああ!!」
「あーおもしろ」
「引きずられながら楽しむな間抜けだから、っていうか離してくださいよ」
「よし話好きのお姉さんが偏ったお話をしてあげるわ」
「話すな! 離さなくていいよもう!」
「ずっと、一緒よ?」
「しねええええ!!!」
「あーおもしろ」
「………」
「ねぇ、てゐ」
「………」
「ずいぶんウドンゲに嫉妬してるようだけど」
「してないって」
「永遠亭はあなたがいないと成り立たないわ、兎たちには人間の言葉を喋れる者は少ないし、喋れなければ意思の疎通も困難」
「……何が言いたいんですか」
「みんなウドンゲを構うのはウドンゲが頼りないからなのだわ」
「………」
「ウドンゲだけが好きだからじゃなくて、ね」
「!」
「みんなあなたのことが大好きよ、てゐ」
「……そうですか」
「好きすぎてちゅーしちゃう!」
「するな! するなっていうかするな」
「あらあら照れちゃって」
「さよなら永琳さま」
「ぎゃー待って! さらに引きずらないで! 痛いって痛いって」
「自業自得だろ、離せよ」
「だっててゐちゃん抱き心地いいんだもんー」
「またこの……は、離せってこのっ」
「……師匠、何やってるんですか?」
「あ、ウドンゲ……」
「師匠、私とは遊びだったんですね――」
「あっ、いや、違うわウドンゲ、これは」
「けっ、エロ兎め媚びてやがる……」
「うわーん! 師匠の馬鹿ーッ!!」
「ウドンゲー!? 走り去らないでー! 違うって、これはその……ちょっとお戯れよー!」
「それは墓穴掘ってるだけだぞ永琳。さま」
「しくしく……」
「じゃあわたしはこれで」
「ぎょー! てゐまで行かないで! 行かないでー! 振りほどいて行かないでー!!」
――浮気は いけないよ うん
お前それやりたかっただけちゃうんかとw
しっかしやりたい放題に言いたい放題だなこりゃ(褒め言葉)
0.5%は妖夢と妖夢の片割れだったんだよ!
えいえんていがどうなろうとしったこっちゃないぜ!
孤独えーりん様吹いたwww
>>紅魔館も真っ青 ブハwww
>>(ぴーーーー) フッキン,イタイ
考えるな、感じるんだ。でもそうでしたが
言葉の応酬のテンポがよくてツボに来ます
「長い間お世話になりました」でもう耐えきれなwwwww