兎の笑い声が響く。
廊下を走り回る音が聞こえる。
悠久の時が流れる地、永遠亭。
「こらーーー! 私のおやつを返わぶっ!?」
「ひっかかったぁ♪ 鈴仙ったら進歩がないなぁ」
何時の時も、賑やかさの絶えることはない。
悠久の時が流れる地、永遠亭。
縁側に腰を降ろす。
不意に、背後から声がかかる。
悠久の時が流れる地、永遠亭。
「姫、何を見ておられるのです?」
「……月よ。空に浮かぶ満月」
月の主従が、共に空を見上げる。
悠久の時が流れる地、永遠亭。
紅い鳥が視界から月を覆う。
それを見て月の姫も空へと舞い上がる。
「今日はこっちから出向いてやったよ」
「ご苦労様。――さあ、始めましょうか」
今宵も空に、光の華が飛び交う。
悠久の時が流れる地、永遠亭。