Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

道化幻想

2006/10/02 09:30:40
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独りでなかったことなど、一瞬たりとも無かった。

背中の羽根。
これを愛すべきものだと思ったことなど、一度たりとも無かった。




他の人間とは、違う。
それだけで、奇異な目で見られ扱われてきた。

親も、とうの昔に死んだ。
居場所の無い中を、一人で彷徨ってきた。


その内、一人の男に拾われた。 ――「道具」として。


何度も殴り蹴られながら、技を叩き込まれた。
――「売り物」になるための。


舞台に立つ日が来た。
精一杯に、空を舞ってやった。
そうしなければ、また痛い目に会うから。

観客の拍手が、全身に突き刺さった。
真に「私」を理解している人間など、この場にはいない。
空っぽな歓声は、「私」に何も与えてはくれなかった。




今はもう、男達はいない。
けれども、私は今も「演技」を続けている。


観客が、私を、縛る。


「私」を何もわかっていない客どもに、
一度くらい、靴か何かを投げ付けてやりたい。
好き好んで踊り続けているわけではないと、言ってやりたい。

だが、実行したら最後、――この世界に、いられないだろう。

今までの歓声は、一転して非難に替わる。
さらには、私は有名になりすぎた。
もはや羽根を隠して生きていた頃にすら戻れないだろう。


誰もが、「道化」としての私を望んでいる。
道化でなくなった「私」を求める人間など、いない。



私は今日も、「二色の羽根を持つ蝶」として、空を舞う。
蓬莱人形の「サーカスレヴァリエ」を聞いていたら、情景が浮かんできた。
それをペンの動くままに書き表わしたものが、これ。
目出たさの欠片もない作品になった。今は反省していない。
狂月
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