メリーの朝と昼休みと放課後作者: kt-21

　親譲りの発育のよさで子供の頃から悪戯ばかりされている。
　今日も朝も早くから「おっはよーメリー」と蓮子に背後から胸を触られた。というか揉まれた。猫口で「ふにゅもにゅ。今日もいい感触してるわぁ」とかなんとか言ってたので（何気に付き合いが長いので猫口でセクハラ敢行な蓮子の顔が見なくても分かるのだ）、
「蓮子ったらお茶目さんなんだから」と速やかに朝も早くから首投げを敢行した。ていやっと。
　蓮子は背中から地べたへ投げられながらもしっかり帽子を押さえながら受身を取って見せた。理想的な受身である。流石に一年以上も投げられ続ければ受身の一つも覚えるだろうし、熟練もするだろう。
「おはよう蓮子。今日もいい天気ね」と右手を差し伸べると蓮子はしっかり掴んで起き上がった。
「おはようメリー。今日もいいおっぱいね」と言いざまに蓮子は逆の手を伸ばして正面から人の胸を触った。というか掴んだ。朝っぱらから同意なくペッティング敢行とかやめてほしい。やめてほしいので私は胸を掴んでいる蓮子の手を取り、引き剥がしてくいと曲がってはいけない方向に捻った。
「折れる折れる痛い痛いぎぶぎぶメリーメリー極まってるから極まってるから」
　ぶんぶんと逆の手を振って痛みをアピールする蓮子。ここで緩めずさらに折れない程度に捻るのがコツだ。
「ごめんメリーマジごめんホントごめん謝るから手離してごめん泣いちゃうぐらい痛いからごめんメリーごめん」
　蓮子が涙目になるまで続けて私は手を離した。「はぉぉぉ……」と捻られた腕を押さえて呻く蓮子。そんなに痛い思いをしてまで触りたいのだろうか。
「ぁあぁ、でもこの痛みと引き換えにあの感触を堪能できるなら安いものよねぇぇ……」
　触りたいらしい。困ったものだ。このやりとりが朝の日課になっていることにも困ったものだ。

　パンツよりスカートを好むせいで子供の頃から悪戯ばかりされている。
　今日も昼休みになるが早いか「昼休みよメリー」と蓮子にスカートをめくられた。背後の蓮子が猫口で腕組んで「うむうむ、今日は縞パンかぁ」とかなんとか言ってたので、
「スカートめくりなんて、今時流行らないわよ蓮子」と振り返りざまにフルネルソンをかけた。えいやっと。
　蓮子はくるりと百八十度回されて腕組みを解かれて完全に技を決められて見せた。パフォーマンスの上手いプロレスラーだって、こうも鮮やかには掛かれまい。
「痛い痛いぎぶぎぶメリーメリー肩外れちゃう肩外れちゃう」
　じたじたと暴れる蓮子。しかし完璧に極まっている上に体格も筋力も殆ど差がない私達だ。そのぐらいじゃ外れない。蓮子は身体をくねらせ、背中を私に押し付けて抵抗するが、やっぱり外れない。技は。
「大丈夫よ、すぐにはめてあげる」
　整体免許はないけど心得はある。外れた関節を入れるぐらいなら出来る。直せるから壊しても大丈夫である。
「それ大丈夫じゃないから大丈夫じゃないから。ごめんなさい謝るからやめて外してあああ外さないでそういう意味じゃなくてああああ、ひぎぃ！」
　蓮子があんまり背中を押し付けるものだから、今日も外れてしまった。肩が。だらんと腕を垂らして「痛いよー、痛いよー」と涙目で訴える蓮子。
「大丈夫よ。今はめてあげる」と言って私は蓮子の肩をはめた。あんまりはめなおしたものだから、肩をはめなおすだけなら免許取立ての人より上手くなってしまった。
「うー……ぁ痛いー……」と両肩を押さえて呻く蓮子。そんなに痛い思いをしてまで私のスカートをめくりたいのだろうか。
「ぁあぁ、でもこの痛みと引き換えにぱんつとあんよと背中におっぱいが堪能できるのなら安いものよねぇぇ……」
　めくりたいらしい。困ったものだ。このやりとりが昼休み恒例になっていることにも困ったものだ。

　親譲りの発育のよさで子供の頃から悪戯ばかりされている。
　今日も授業が終わるが早いか「放課後よメリー」と蓮子にお尻を触られた。というか揉まれた。猫口で「んー、ほどよい硬さと柔らかさのハーモニーが見事なお尻だわぁ」とかなんとか言ってたので、
「蓮子ったらお尻はやめてって言ったでしょ」と蓮子の手を掴んで後ろ手に捻り上げた。そいやっと。
「折れる折れるメリーメリー痛い痛いぎぶぎぶ」
　身体を震わせて痛さをアピールする蓮子。「下手に動くと折れるわよー」と囁いて、私はそのまま蓮子を部室へ連行した。蓮子の関節を決めたまま部室の鍵とドアを開け、中に入ってドアと鍵を閉めた。二人のメンバーしかいないサークルの部室には、泊まり込みを考慮したという名目でベッドが一つ置かれている。
「メリーメリー腕痛い腕痛い限界限界」
「はいはい。今離してあげるわよ」
　私は連行した蓮子をベッドへ組み伏して、手を離した。「うー……」とシーツに顔を埋めて呻く蓮子。そんな思いをしてまでこうされたいのだろうか。
「ぁあぁ、でもこの痛みと引き換えにメリーに可愛がってもらえるなら安いものよねぇぇ……」
　されたいらしい。困ったものだ。このやりとりが週に一回から三回になっていることにも困ったものだ。
「素直に言えばいいじゃない」
「なんか癪なんだもの」
　……困ったものだ。