" />膝枕のヒエラルキー 作者: 監督
Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

膝枕のヒエラルキー

2006/09/30 09:05:30
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 萃香が、頭を乗せてきた。
 角が脇腹に当たって痛かった。
 文句を言ったら小さく分裂して、膝の上で雑魚寝をされた。



 レミリアが、膝でお昼寝したいと言ってきた。
 傍に控えるメイド長の視線が痛かった。
 あと膝枕でうつ伏せはやめろ。



 魔理沙も、いつの間にか膝の上で眠っていたりする。
 寝言の内容がなんか色々イタかった。
 こっぱずかしい夢を見るのは勝手だけど、人の名前は出さないで欲しい。



 どういうわけか、連中は私の膝を使いたがる。
 まあ別に減るものでもないし、下手に暴れられて境内が散らかるよりはよほどいい。
 私は縁側でお茶を飲んでいたいだけだから、邪魔にならない限りは好きにさせている。
 今度、膝を貸すときにはお賽銭でも入れさせようかな。









「――――で、」

 いつもの縁側。
 傍らには愛用のお茶セット。
 目の前には見慣れた境内。

「なんであんたが来たときだけ、こうなるのかしら。紫」
「さあ? 私に訊かれてもねえ」

 目の前には、九十度傾いた境内。
 頬に当たるのは、彼女の膝。



 ―◇◇―― ◇―◇◇ ――― ◇― ―



 夕焼け色が混じり始めた、夏の終わりの空。
 遠い人里から、飯炊きの煙がうっすらと立ち昇っている。
 時折、紫がお茶をすする音が聞こえる。

「……ねえ」
「なぁに?」

 なんでこいつが来たときだけ、こうなるんだろう。

「あんた、なにか境界をいじったりしてない?」
「してないわよぉ。それにこんな場所で力を使ったりしたら、真っ先にあなたが気付くはずでしょう?」
「……むぅ」

 ずず、とまたお茶を飲む音。

「理由なんてないのよ。気分が安らいだときに寝心地の良さそうな枕があれば、誰だって使いたくなるんじゃないかしら」
「安らいだとき、ねえ……。幻想郷で一番の変人と一緒にいるのに?」
「あなたは幻想郷で一番のんきな巫女だもの、ね」

 新聞をくわえた鴉の一団が、木々の間を横切ってゆく。

「いつも誰かに膝を貸しているんだもの。たまには誰かの膝を借りるのも自然なことよ」
「じゃあ、あんたはどうなのよ」
「私は藍にしてもらってるわ。ついでに耳掃除も」
「……ふぅん」
「あら、妬いた? 私がしてあげるのにー、って」
「そんなわけないでしょ」

 どこかで、猫が鳴いた。

「あんたが式の膝を使ってたら、式の式が寂しがるんじゃない?」
「橙は藍の尻尾の中で寝てるわ。そっちの方がお気に入りみたい。藍の尻尾ってふかふかで気持ちいいのよ」
「前門のスキマに、後門の黒猫。中間管理職は大変ね」
「そうかしら。すごく幸せそうな顔してるわよ? そういうときの藍は」
「私には、そういう幸せは理解できないわ……」

 不意に、するりと、頭のリボンが解けた。

「盗らないでよ」
「盗らないわ。もっといいものが膝の上にあるから」
「あげないわよ」
「あら、残念」

 重力にまかせて、紫の膝を私の髪が流れていく。
 着けるものの無くなった頭に、そっと手が添えられた。
 ゆっくり、ゆっくり、撫でられる。

「……楽しい?」
「ええ、とっても」
「…………」

 ――これは、なんというか、まずい。
 ただの手なのに、まるで上等の櫛で梳かれているようだった。
 ぞくぞくと落ち着かない刺激が首筋を走る一方で、猛烈に眠くなってくる。

「ねえ、境界――いじった?」
「いじってないわ。……霊夢、眠たかったら寝てもいいのよ」
「あんたの前で眠ったりしたら、なにされるかわかったもんじゃないわ……」
「あら、そう。そういうことなら、起きてるうちにやってしまおうかしら」
「――えっ?」

 一瞬、頭を持ち上げられて、膝が抜かれた。
 ごろんと仰向けになって再び頭が沈むと、なにやらふかふかした感触。
 代わりの枕をどこからか調達してきたらしいが、なんなのかはよくわからない。
 そんなことを考えている間に、縁側に手をついた紫の顔が、目の前にあった。

「なにをすればあなたが幸せを感じるのか、ちょっと試してみたくなるわね」
「そんなこと知って……どうするっていうのよ……」
「さあねえ?」

 顔が近づく。
 吐息がかかる。
 眠い。
 体が、動かない。

「紫……、境界……」
「霊夢。あなたが動かないのは、動こうとしていないからよ」

 ――ああ、そうか。
 でも、なんかくやしい……

「……眠いだけよ……きっと…………」

 目を閉じたのも、きっと、眠いから。

「――――……」









 閉じた目は、もう開けられなかった。

「……私も寝るわ。今夜、眠らなくてもいいように」

 ぽふ、と私の隣でなにかが沈み込む感触。

「――――おやすみ。私の――――」

 やがて、声も聞こえなくなった。



 ―◇◇―― ◇―◇◇ ――― ◇― ―



「ねえねえ藍さまー。どうして今日は尻尾が八本しかないの?」
「はっはっは、なにを馬鹿なことを言っているんだ橙。いくら私でも尻尾までテイクオフする趣味は無いってうぉわっっっ!? ほほほ、ほんとに八本しかねえーーーーーっ!!」
「うわあ、いい匂いー」
「しかもなんか尻尾の代わりにエビフライがっ!? どこ行った私のラストワーーーン!!」
「藍さまー。おなか空いたー」
「こらっ橙かじるな! かじるな橙! 海老は腹壊すから! つーかそれ暫定的に私の尻尾だからっ!! あっ、あぁんっ、歯立てないでぇーーーっ!!」



 ―◇◇―― ◇―◇◇ ――― ◇― ―



「……あっ」
「どうしたの? 紫」
「やっぱり、いなり寿司の方が良かったかしら」
「なにをわけのわからないこと言ってるのよ。こんなときに……」



 おしまい
お互いに限りなくニュートラルな態度を崩さぬままに、
いつのまにか寄り添ってるようなゆかれいむが好きです。

漫画やなんかではごく少数派のカップリングですが、SSだとなぜかよく見かけるゆかれいむ。
ここは素敵な場所ですね。
監督
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コメント



0.簡易評価なし
1.無評価名無し妖怪 削除
ラストで台無しだぁ!
だが後書きには激しく同意
2.無評価名無し妖怪 削除
しっぽを初めゆかりんのおっp(ryだと思ってたのは秘密だ
3.無評価名無し妖怪 削除
俺もてっきりお(ry
やっぱり受け手にまわった霊夢はいいな
4.無評価ぐい井戸・御簾田 削除
ゆかれいむはいいものだ…それはそうと橙、俺にもエビフライ(スキマ
5.無評価名無し妖怪 削除
いいなぁ
6.無評価名無し妖怪 削除
>>ほんとに八本しかねぇーーーーっ!!
台無しすぎて麦茶ふいた
7.無評価名無し妖怪 削除
最後に藍さまが全部持ってったー!
8.無評価CODEX 削除
ゆっかれっいむ♪ゆっかれっいむ♪
>膝の上で雑魚寝
吹いたw
藍さまに瞬殺された…GJ!
9.無評価名無し妖怪 削除
>こんなときに……
ひょっとしてお二人でナニカイタシテらっしゃいますか?
10.無評価名無し妖怪 削除
なんつー威力だ、藍様。
全身全霊で吹きましたよこんちくしょうw
11.無評価変身D 削除
コレは素敵なゆかれいむ……何気に最初の三人も良いんですけど(w
あと、藍さまの普段のテイクオフの詳細が見てみたいでs(テンコー
12.無評価狩人A 削除
数が少ない分、濃いんですよ、ゆかれいむは。
本作も見事な濃度で……
あれ?ちょっとゆかれいむ分摂取し過ぎたかな?
お鼻から血が……

13.無評価名無し妖怪 削除
ああ、凄く良いなあ

もちろん最後も含めてw
14.無評価芝 削除
ゆかれいむって、奇妙な信頼関係、奇妙な友情、そして奇妙な愛情で繋がっている気がする。
欄とエビフライもきっと愛情で繋がっているに違いない。
15.無評価名無し妖怪 削除
魅魔様がマヨヒガに乗り込んだようです。曰く「それは私のアイデンティだ」と。
霊夢とゆかりんが何をしていたか知りませんが、どうやらどちらも気付かなかったようです。
…一体何してるんだよ…俺も混ぜろよ…
16.無評価名無し妖怪 削除
タイトル見たとき一瞬腋枕に見えてしまったのは私だけでいい
17.無評価翔菜 削除
和むなぁ、と思ったら藍のテンションとエビフライに吹いたw
18.無評価煌庫 削除
>>ラストワーーーン!!
が泣いているように見えたw
19.無評価名無し妖怪 削除
ゆっかれいむ!ゆっかれいむ!
藍素敵杉。
20.無評価名無し妖怪 削除
ラストがwww
紫が何を言いかけたのか気になるけど、いい話だから気にしない~
21.無評価名前が無い程度の能力 削除
暫定的な尻尾に吹いたw



ところでいくら霊夢とはいえ俺の居場所を盗るのは許せねえそこを替わってくださいお願いします。orz
22.無評価名前が無い程度の能力 削除
( 罪)<ゆかれいむ+膝枕=無敵
    俺の中の絶対定理
    ゆかれいむは俺のロード
23.無評価名前が無い程度の能力 削除
なんて素敵なゆかれいむ。
あと藍さまのテンションに吹きました。