「……いよいよね…」
目が覚めてから頭が覚醒するまでに、2時間ほど費やしただろうか。
ついにこの日がやってきた。
後悔など、していない……。
窓の外は憎たらしいほどいい天気だった。
「さて、私も準備をするか……」
右腕を天へ向け、指を鳴らす。
パチン
『 極 星 』
ことの発端は、天狗が運んできた。
「これ……が、私に見せたい物?」
「はい。あなたに足りないもの、それがここにあります。」
「………。」
そういって私に見せてきたものは、数冊の文庫本だった。
ふと気が付くと、私は正装を見にまとっていた。
隣で咲夜が紅茶を入れていた。
いつもながらはやいこと。
「目覚ましの一杯です。どうぞ…」
「……朝の一杯はやっぱりこれに限るわね。」
「左様でございますか。」
普段は私の好む味だったが、なぜか今は酷く不味いように思えた。
それが無性に悲しく感じられた。
最近のお嬢様はどこか虚ろに感じられた。
そして、今日はっきり確信した。
今日、お嬢様の身に何か良くないことが起こる。
そう確信した要素はいくつもある。
1つ、ここ数日お嬢様が部屋に引きこもることが多くなってきた。
昨日においては、部屋から出てのはたった数十分というところだ。
2つ、今朝のお嬢様は明らかにいつもと様子が違った。
明らかに身構えている。そして、覚悟している。
3つ……
予定通りならば、あれが完成するのが今日なのだ。
あれの正体もなんとなく分かっていた。
「……ようやく、完成してしまったのね……」
完成『してしまった。』
お嬢様の優れないお顔と緊張の色の窺えるその台詞、そしてこの堂々たる風格が確信をさらに一歩、確信に近づけた。
館から多少離れた荒地にそれは建っていた。
明らかに過去の文明が生み出したことを思わせる、幾何学的なフォルム。
日の光を受けさらに輝きを増す、その神々しさ。
そして天高く聳える様が具現する、何者をも圧倒させる偉大な存在感。
私の思いついている答えが間違いであるならば……
そんな、絶望の中で見つけようとした希望はもう無かった。
「お嬢様……これ、は…一体……?」
訊ねてはいけない、そう思っていたにもかかわらず、口は自然に開いていた。
「一体……何なのですか……」
「これは……」
「私の墓よ。」
自分が落ちていく感じが分かった。
奈落とはこんなところなのだろうか。
お嬢様の姿も霞んできたようだ。
「ここには……早ければ、今日にでも…入ることになるわ……。」
深い闇が私を包む。さらに深淵へと引きずり込んでいく。
永遠に仕えると心に決めた、最愛の主人との別れがもう迫っているという。
運命を操れるお嬢様がここまで追い詰められているのだ、私が身を粉にしたところでどうすることも出来ないのだろう。
「咲夜。この墓はね、ある偉人が己の愛の証として建てたものだそうよ。」
「………。」
「私は皆を、フランやあなたを愛してあげられたかしら……。」
もう涙を堪えられそうにない。
お嬢様が覚悟しているのなら、私も最後に本心を告げよう。
そして私も共に果てよう。もしお嬢様が望むのなら私が紅魔館を、フランドール様をお守りし続けよう。
「……お嬢様は大変立派でおられました。誰もお嬢様を忘れることはありませんよ。」
「そうかしら。……ありがとう咲夜。」
眩しい笑顔だった。もうこの笑顔を決して忘れはしない。今までの日々を亡き物なんかにはしない。
「……彼の偉人はこの墓をこう名付けたそうよ……」
「『聖帝十字稜』と。」
「だから私はそれを礎に、紅帝十字稜と命名することにするわ。」
は?
「……何を言っておられるのですか?」
「そう、彼は言った……。『愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。』と……。」
「………。」
「そして彼の墓標に捧げられた最期の言葉……それは……」
『誰よりも愛深きゆえに』
「あら咲夜、知ってたの?」
この方はどこまでこうなんだろうか……。
そういえば、最後は確か……
「そして彼は、最愛の師と共にこの墓で永遠の眠りにつくのよ……。あぁ、愛…愛ってなんて素晴らしいの……」
最愛の…。
ならばここで私がとるべき行動は一つ……。
「お嬢様。まずは中をご覧になってはいかかですか?」
― 同刻 博麗神社 ―
「おかわり。……なぁ霊夢、たまには出涸らしじゃないお茶が飲みたいぜ。」
「はいはい、また今度ね……って、あら?」
「おおぉ!?なんだ、地震か。」
「珍しいわね、地震な……」
「ん?どうした?」
「…いいえ、何でもないわ……はい、出涸らし。」
いつしか日は沈み夜が更けていった……。
「巨星、落つ…か。」
というか、レミリア以外みんな強キャラですかw
個人的に小悪魔の持ちキャラが気になって仕方ないんですが
そして何気に裏サイマスターしてるフランが恐ろしい…
>パチェ「セッカッコー!」
ハゲワロスwwwwwwww
あとがき読まないと全体像が見えないね。あとがきが面白いけどw
最初は文=ブーンで北斗ネタをやりたかった。気付いたらこんなんなってた。
小悪魔はハート様です。ちょっとぽっちゃりした人が好きな気がする。
>あぐらさん
1:9ついたら流石に泣くよね。裏サイは慣れればいけるよ。
>名前なんか無いささん
ごめんねw俺の中じゃパチェはおかしいキャラなんで、ごめんね
>名無し妖怪さん
というか、アーケードの北斗知らないとあとがきも分かんないよねw
>名無し妖怪さん
レミリア様には急転直下ばっかさせて申し訳ないです。