「なぁ、アリスちゃん」
「なによアリスちゃんって」
「都会派っぽいだろ?」
「どこがよ」
「下まつげらへん」
「……まあ、いいわ」
「いいのか?」
「いいわよもう、知らない。それで何よ?」
「いやまぁ……その」
「何よもったいぶっちゃって」
「いや、大したことじゃない、っていうか……ほんとに呆れるほどくだらない話なんだが……」
「じゃあ聞かない」
「あー、いや、それは困る。少し。ほんのちょっと。僅かに。微かに。朧に」
「だんだん言葉の使い方変になってるわよ」
「いや、っていうかへその緒見せるぐらいのちょっぴり恥ずかしい話なんだが……」
「お茶とお茶請けと、あとちょっぴり恥ずかしいものも見せるって?」
「いやへその緒は見せない。いやそれよりも帽子の中には魔物が住むの」
「話進めなさいよ」
「ひどいぜ」
「気になるじゃない」
「おお? 気になるのか? 私のちょっぴり恥ずかしい話が」
「別に」
「まったくー。素直に気になるって言えーでゅへへへへ」
――魔理沙はアリスの頬をつついた!
――アリスの「あーうざ」ゲージが溜まっていく!
――「ちょっぴり嬉しい」ゲージもちょっと溜まっていく!
――アリスはハリセンで魔理沙を殴った!
――魔理沙は痛がっている!
「………」
「無言で殴るな! 冗談のようなものが通じない奴だな」
「都会派はあんたと違って真面目なのよ」
「そりゃー……。いやもう、それより話進めていいか?」
「進めろって言ってるのよ!」
「あー、まーそう怒るな。ひとつだけ質問したいんだ」
「私はしないわよ、ちょっぴり恥ずかしい話は」
「アリス」
「無視かい」
「あー、えと、恥ずかしいな……」
「何独りでもじもじしてるのよ。かわ……むかつくわね!!」
「なんでお前の顔が真っ赤なんだよ」
「えと、リンゴの精が私に夢をくれたのよ!」
「それでだな」
「ちょっと魔理沙!?」
「何だよ」
「突っ込み入れてよ! お願い! なんか今痛い人みたいだったじゃん私!?」
「いつもと変わらないぞ」
「ヤメテー! なぜか心に刺さるからやめてー!」
「なんで刺さるんだよ」
「過去の傷が……思春期の頃の傷が」
「……何があったのかは聞かないが…」
「それより早くちょっぴり恥ずかしい話しなさいよ」
「気になるのか」
――アリスはハリセンで(略)
「………」
「なぜ殴る、なぜ殴る」
「愛情表現よ」
「あながち嘘に聞こえないな」
「なんでよ!?」
「頭を殴られた衝撃で過去の傷が疼いてな」
「はげ?」
「なんでだ!」
「それで……ああ、もういいや、面倒」
「いや待て、待ってくれよアリスたん」
「た、たん付けるな!」
「ちょっと笑顔になるなよ」
「なってないわよ!」
「嬉しそうだな」
――アリスはハリ(ry
「ごめんなさいは?」
「ごめんなさい」
「よろしい」
「待ってくれアリス。たん」
「わざわざ言い直すんじゃないわよ」
「わかった、すまん。っていうかこれ以上殴られ続けたら本当に禿げる、勘弁してくれ」
「わかった、次からはお尻百叩きにするわ」
「………」
「………なによ」
「………い、いや……」
「………目逸らさないでよ……心が痛いじゃない」
「今日のアリスは積極的だなあと」
――アリスはハ(ry
「言葉には気をつけなさい」
「お前もな」
「それで結局何しに来たのよあんたは」
「いや、そうだ。ちょっぴり恥ずかしい話をしに」
「そのためだけに来たんだ……」
「他にしてほしいことでもあるのか?」
「いや、ないけどさ……」
「じゃーよし。恥ずかしい話でもするか」
「なんでそんなことしにわざわざ来るのよ……」
「気まぐれだ。あー、おほん」
「………」
「アリス」
「何?」
「あー、えと」
「何よ……」
「キス、したことあるか?」
「………」
「いや、固まらないでくれ……フリーズだめ、作業内容が飛ぶぜ」
「……なんで私に聞くのよ」
「他に聞ける相手もなくて、だ」
「やっぱり私が恥ずかしい話する展開じゃない!」
「いや、恥ずかしい質問、って言ったらお前絶対答えないだろ?」
「そうだけどさあ!!」
「そうなのかよ」
「……な、なんでそんなこと急に聞くのよ」
「いや、どんな感じなのかなーと」
「………」
「………」
「………」
「なんだよ」
「意外だなあ、って」
「これでも鋼鉄のしょ、乙女だぜ」
「………」
「止まらないでくれ」
「……そう言われてもねぇ」
「私が悪いことしたみたいじゃないか」
「したじゃない、悪いこと」
「で、どうなんだ?」
「無視かい」
「で、どうなんだ?」
「無視なのかい」
「で、どうなんだ?」
「無視キングかい」
「で、どうなんだ?」
「無視無視Qかい」
「で、どうなんだ?」
「無視……あー、えっと思いつかな」
「で、どうなんだ?」
「待ってよ! リズムよくそんな」
「で、どうなんだ?」
「ないわボケ!!」
「キレるなよ!?」
――アリスは(ry
「気が済んだ?」
「とりあえずな……」
「……ふぅ」
「そうか、したことないのか……」
「しみじみ復唱するな! なくて悪いか!」
「都会派ってのはもっとチャラチャラしてて女遊びの激しいタイプの奴ばかりだと思ってたぜ」
「それあんたじゃ」
「ないぜ」
「………」
「止まるなよ」
「なんだかやたら疲れたわ」
「私もだ。お茶淹れてくれ」
「疲れたって言ってるでしょ!」
「淹れてくれたらキスしてやるぜ」
「………え?」
「おい、本気で照れるなよ……」
「zzzzぜ絶対淹れてやらない」
「照れるなよ」
「照れるか」
「亜阿相界」
「………」
「………」
「……まあ、私がお茶飲むからそのついでに淹れてあげる……わ」
「照れるな」
「照れるか!」
「まあ淹れてこい」
「……なんでお母さんがキッチンに」
「アリスちゃんがキスしてくれると聞いてワープしてきました」
「歩いてお帰り」
「淹れてきたわよ」
「誰と会話してたんだ?」
「リンゴの精よ」
「……そうか」
「うわちょっと! 一瞬戸惑ったあと諦めたように頷くのやめてよ!」
「台詞が説明的だぜアリスぽん」
「ぽんって何よー!!」
「ポン酢」
「アリスぽん酢……」
「何自分で想像してるんだよ」
「ぱっなんとかプリンがなぜか頭に浮かんで」
「その名前の忘れ方すごく無理あるぜ」
「もう、ああ言えばこう言う。はいお茶」
「ま、抹茶だと!?」
「嫌い?」
「そんなことはないが、お茶と言われて抹茶出すのどうかと思うぜ」
「ああ言えば」
「こう言う」
「うん」
「いや、私の言い分は正しいぜ」
「そりゃ誰だってそう言うわよ」
「いやでも、私は間違ってないぜ」
「そりゃ誰だってそう言うわよ」
「だが私は正義だぜ」
「そりゃ誰だってそう言うわよ」
「キスはお預けだな」
「えっ」
――アリスは(r
「し、してほしかったのか?」
「『ほんとにやるつもりだったんかい!』の突っ込み」
「そんなわけないだろ」
「わ、わかってるわよ」
「してほしかったのか?」
――アリス(
「殴るわよ」
「もう殴ってるだろうが……いてー」
「私がお茶を飲むついでだって言ったでしょ? 私は抹茶が飲みたかったの」
「屁理屈だぜ」
「魔法使いなんてみんなそんなもんよ」
「私とのディープキスが懸かってたのに勿体無いぜ」
「いら……ないわよ」
「今悩んだか?」
――アリ
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリマリアリ」
「いて! いてえ!! いて絵!!! やめっ、連発するな!!」
「ふんっ」
「一回だけマリを混ぜるのは愛か?」
「愛情表現よ」
「自分は受けがいいのか?」
「受けがいい?」
「『受け』がいいのか?」
「………」
――ア
「アッー!」
「いい加減殴るわよ」
「散々殴ってから言うな」
「あんたの話っていうか質問は終わったんでしょ?」
「ああ」
「じゃあさっさとお茶飲んで帰れ」
「まあまあ、お茶ぐらいゆっくり飲もうぜ」
「あんたといると落ち着いてお茶も飲めやしないって言ってるのよ」
「ドキドキしちゃうのか?」
――
「………」
「HAHAHA、ひどいじゃないかアリスぅ」
「叩かれ慣れてきたかしら、こいつ……」
「痛いぜ」
「帰れ」
「外は嵐だぜ」
「いつの間に……秋なのね」
「ドキドキしちゃって気付かなかったみたいだな」
「するか!」
「事実気付いてなかっただろ」
「うるさい」
「というわけで今夜は泊めてくれ」
「だっ、やっ、やだ帰れ」
「殺生な! 人間は儚いんだぜ! 死んじまうぜ!?」
「あー、うー、だって、泊めれったって……」
「ああ、布団は敷かなくてもいい、いつも蒐集品を枕にして寝てるぐらいだしな」
「片付けなさいよ」
「片付ける場所がないんだ」
「捨てなさい」
「環境破壊はいけないぜ」
「山ひとつ吹き飛ばす魔砲使いが何言ってるのよ……」
「いや、あれは再生紙を使用してるから地球に優しい」
「意味がまったくわからない」
「とにかく床に寝てもいいから泊めてくれ、じゃないと家まで帰れそうにない」
「野宿しろ」
「それで死んだとして、この嵐じゃ魂まで遭難しちまいそうだぜ」
「死なずに野宿しろ」
「泊めてくれ。なんだったら一緒に寝てもいいぜ」
「あがっ! ど、ば、なっ、ちょ、おま、死ね!!」
「ひどいぜ……」
「………」
「………しゅん」
「自分でしゅんとか言うな」
「………」
「………」
「………」
「そんなうるうるした瞳で見つめないでよ……」
「だって、涙が出ちゃう。女の子だもん」
「あーあーあーもう、わかったわよ!」
「おお、助かるぜ!」
「その代わり夜中に呪い人形の相手してちょうだい。あの子寂しがり屋だし、新しい友達が出来たら喜ぶわよ」
「………ぇー」
「嫌なら野垂れ死ね」
「いやそれ、どっちも死亡ルートの気がしてならないんだが……」
「問答無用で死ぬルートと選択肢を間違わなければ死なないルート、どっちがいい?」
「やっぱり呪い殺す人形かよ!? 怖すぎだぜ!?」
「どっちがいい?」
「アリスと一緒のベッドで寝るルート」
「ななんあななんあkじふぇおgrkないわよそんなルート!!」
「頼むぜアリスお姉さま」
「お姉さ……!? いや、ま、魔理沙それは誤解を招くわ魔理沙。魔理沙だめよ魔理沙」
「……魔理沙魔理沙うるさいなあ……」
「いや、だって魔理沙。私そんな急にアプローチされてもっていうか魔理沙。ああ魔理沙。もう魔理沙。ああああ魔理沙」
「よくわからんが鼻血出てるぜ」
「だめよ魔理沙」
「えーと、他にうまい言葉が見つからないから言うが、体は正直だぜ?」
「ブハァァァァァ」
「フィニッシュか」
「魔理沙えろいよ魔理沙……」
「そうか?」
「うん……私こんなに濡れちゃった」
「鼻血でな」
「うん」
「まあお前は妄想が先走りすぎだ」
「そのえろさに免じて一緒に寝てあげるわ……!」
「遠慮するぜ」
「エー! 珍しく素直になれたのに! アリス頑張ったのに!!」
「貞操の危機が迫ってるからな」
「ひどいわ……」
「おーい上海、今日は私と一緒に寝ようぜ」
「シャンハーイ」
「まてこら、おい魔理沙」
「結局どうなんだ。一緒に寝たいのか?」
「シャンハーイ」
「誰がよ! 馬鹿じゃないの!?」
「………」
「シャンハーイ」
「えー、えーっとその」
「私と寝たいのか寝たくないのかどっちだ!」
「シャンハーイ」
「寝たくないわよ!」
「じゃあ一緒に寝ような上海」
「シャンハーイ」
「え、あ、あー、魔理沙……は?」
「あ?」
「シャンハーイ」
「魔理沙はどうしたい? んだっけ?」
「正直に言えばこの家にひとりは嫌だぜ」
「呪い人形」
「それはもっと嫌だぜ……」
「まあ、そんな人形いないんだけど」
「いないのかよ!?」
「シャンハーイ」
「というか、いるにはいるけど、魔理沙みたいな奴には絶対会わせるべきじゃないしね」
「取って喰われるのか?」
「シャンハーイ」
「まあそんなとこね」
「えー! 冗談で言ったのに! 喰われるのかよ!? 怖いな!」
「シャンハーイ」
「魂をね」
「すまん、実は私はホラーが苦手なんだ」
「シャンハーイ」
「魔法の森に住んでおいてよく言うわ……」
「いや本当にだめなんだ。昼間はいいが、夜の森はなかなかどうして家から出られない」
「そりゃあんた、いくら魔理沙とはいえ夜の森を人間が出歩くのはねえ」
「怖いぜ、魔法で解明できない未知の現象は」
「人形が動いたり髪が伸びたりするのは魔法と似た原理だけどねえ」
「ガクガクブルブル」
「シャンハーイ」
「うーん。じゃあどうしたいの?」
「いやまぁ、じゃあ……へへ、恥ずいぜ」
「何よまた」
「なぁ、アリス。一緒に寝てもいいか?」
「なななななな何言ってるのよ、嫌よ! 馬鹿じゃないの!?」
(条件反射か?)
「シャンハーイ」
「わ、私は別に、あんたと一緒になったって嬉しくもなんとも……」
「それに……キスの味とやらも知りたいしな」
「シャンハーイ……」
「くぁwせdrftgyふじこlp!?」
「シャンハーイ♪」
――翌日、アリスと魔理沙の変死体をアリス宅で発見、と文々。新聞は報じた。
可愛さ余って無理心中!?かと思った自分の脳をどうにかしたいOTZ
夜食を作ろうとして粉塵爆発か。
あまかったですごちそうさま
ラーメン吹いた。
「ブハァァァァ」辺りで振り切ったという解釈で宜しいか?