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蓬莱山輝夜はゲーム好きである。いまも目を輝かせてゲームをしている。
そして何かと感化されやすい。
「えーりんえーりんちょっときてー。」
「はいなんでしょう姫様。」
「あのねーわたしこのゲームみたいなことしてみたいの。」
「はあ、このゲームみたいと申しますと?」
「えっとね、だから飛行機でビューって飛んでバババババッって弾を撃ったり、ズドーンってミサイル撃ったりしたいの。」
「…?」
永琳は悩んだ。実現できないからではなくどれも姫はすでにできるはずだからだ。
空も飛べるし弾幕も張れる。ミサイルは…そもミサイルとはなんだ?
とにかくもうできる事なのだし、自分になど申し付けなくてもよい。ならばなぜかと考えた。
「姫…そのように申されましても姫はどれもできると思うのですが…ミサイル以外は。」
「ダメなのよ。わたしはそんなに速く飛べないしバババーって弾も撃てないもの。せいぜいパンパンパンよ。」
「うーん。それにミサイルってなんでしょうか?」
「ミサイルはあれよ。敵を見つけてピューってそっちに向かって飛んでくの。」
「ああ、霊夢のお札みたいな奴ですか。」
「そう、そういうのよ。それを撃ったりしたいのよ。」
「うー、それに速く飛ぶですか…。」
ここまで話すと、やおらズズズと襖が開いた。古いこともあって屋敷の建てつけはあまり良くない。
もうそろそろ補修の時期、いえ建て替えかしら、と思いながら永琳はそれを見ていた。
「師匠、どうしたんですか?」
現れたのは弟子の月兎だった。
「いえね、姫があのゲームみたいなことをしてみたいと仰るのだけど、わたしにはよく分からなくて。」
「ああ、戦闘機ゲームですか。」
「そう! バーって飛んでスババーって撃ってドビューってミサイルを撃ちたいの。」
「全部できるじゃないですか。」
「それがちょっと違うらしいのよ。速く飛びたいとかいろいろと。」
「速くって言われましても…速いと体への負担も大きいですから。」
「それくらい分かるわよ。それでも飛びたいの撃ちたいのっ!」
「速く飛ぶなら高いほうがいいですが、夜だとバーディゴ起こす可能性もありますし、
高速でロールするとGロック起こしてブラックアウトするかもしれませんしやっぱり止めたほうが…。」
「えーりんえーりんイナバが何言ってるかさっぱり分からないわ。通訳して頂戴。」
「ああ、はい。でもわたしもよく意味がつかめなくって。こらウドンゲ! ここは幻想郷よ! 日本語で話しなさい。」
「え? ええっ! ですから墜落したりとにかく危険だって言いたいんですっ!」
「むー。そんなことはしないわよ。それにわたしは不死よ、その程度なんとも無いわ。」
「姫は姫で姫なんですから姫らしく姫らしいことをしといてください!」
「ウドンゲ言ってる意味がさっぱりわからないわよ。」
こうしている内に輝夜の顔はだんだんとこわばっていった。
「いいじゃない! やりたいのよわたしはっ!やーりーたーいーのっ!」
「いや、姫そういわれましてもですね。」
「やーりーたーいーのー。」
「ひーめーさーまー。ふかし芋できましたよー。早く来ないと全部食べちゃいますよー。」
不意に間の抜けた声が屋敷内に響いた。
「待って待って食べないでー。今行くー。」
聞くや否や輝夜は障子をバンと開けいずこへと駆け出していってしまった。
困ったのは残された永琳と鈴仙である。
鈴仙はなんだったんだという表情で開けっ放しになった障子を見つめ、永琳もどうしたものかしら、という顔でそちらを見ている。
「ししょー、どーしましょーかー。」
気の抜けた声で鈴仙が言う。
「うーん。とりあえず…。」
ウィーン。ガチャ。カタ。
「ゲーム変えときましょ。多分すぐに忘れてると思うわ。」
「はぁ…。そうでしょうか…。」
案の定ふかし芋を食べ終えて戻ってきた輝夜は、先刻のやり取りのことなどまるで忘れた風体で新しいゲームをしていた。
はあこれで一安心と薬の調合を始めた永琳と鈴仙だったが、
「えーりんえーりんちょっときてー。」
キラキラとした声でお呼びがかかる。永遠亭の薬師と弟子は顔を見合わせて苦笑した。どうやら選んだゲームも失敗だったようだ。
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蓬莱山輝夜はゲーム好きである。いまも目を輝かせてゲームをしている。
そして何かと感化されやすい。
「えーりんえーりんちょっときてー。」
「はいなんでしょう姫様。」
「あのねーわたしこのゲームみたいなことしてみたいの。」
「はあ、このゲームみたいと申しますと?」
「えっとね、だから飛行機でビューって飛んでバババババッって弾を撃ったり、ズドーンってミサイル撃ったりしたいの。」
「…?」
永琳は悩んだ。実現できないからではなくどれも姫はすでにできるはずだからだ。
空も飛べるし弾幕も張れる。ミサイルは…そもミサイルとはなんだ?
とにかくもうできる事なのだし、自分になど申し付けなくてもよい。ならばなぜかと考えた。
「姫…そのように申されましても姫はどれもできると思うのですが…ミサイル以外は。」
「ダメなのよ。わたしはそんなに速く飛べないしバババーって弾も撃てないもの。せいぜいパンパンパンよ。」
「うーん。それにミサイルってなんでしょうか?」
「ミサイルはあれよ。敵を見つけてピューってそっちに向かって飛んでくの。」
「ああ、霊夢のお札みたいな奴ですか。」
「そう、そういうのよ。それを撃ったりしたいのよ。」
「うー、それに速く飛ぶですか…。」
ここまで話すと、やおらズズズと襖が開いた。古いこともあって屋敷の建てつけはあまり良くない。
もうそろそろ補修の時期、いえ建て替えかしら、と思いながら永琳はそれを見ていた。
「師匠、どうしたんですか?」
現れたのは弟子の月兎だった。
「いえね、姫があのゲームみたいなことをしてみたいと仰るのだけど、わたしにはよく分からなくて。」
「ああ、戦闘機ゲームですか。」
「そう! バーって飛んでスババーって撃ってドビューってミサイルを撃ちたいの。」
「全部できるじゃないですか。」
「それがちょっと違うらしいのよ。速く飛びたいとかいろいろと。」
「速くって言われましても…速いと体への負担も大きいですから。」
「それくらい分かるわよ。それでも飛びたいの撃ちたいのっ!」
「速く飛ぶなら高いほうがいいですが、夜だとバーディゴ起こす可能性もありますし、
高速でロールするとGロック起こしてブラックアウトするかもしれませんしやっぱり止めたほうが…。」
「えーりんえーりんイナバが何言ってるかさっぱり分からないわ。通訳して頂戴。」
「ああ、はい。でもわたしもよく意味がつかめなくって。こらウドンゲ! ここは幻想郷よ! 日本語で話しなさい。」
「え? ええっ! ですから墜落したりとにかく危険だって言いたいんですっ!」
「むー。そんなことはしないわよ。それにわたしは不死よ、その程度なんとも無いわ。」
「姫は姫で姫なんですから姫らしく姫らしいことをしといてください!」
「ウドンゲ言ってる意味がさっぱりわからないわよ。」
こうしている内に輝夜の顔はだんだんとこわばっていった。
「いいじゃない! やりたいのよわたしはっ!やーりーたーいーのっ!」
「いや、姫そういわれましてもですね。」
「やーりーたーいーのー。」
「ひーめーさーまー。ふかし芋できましたよー。早く来ないと全部食べちゃいますよー。」
不意に間の抜けた声が屋敷内に響いた。
「待って待って食べないでー。今行くー。」
聞くや否や輝夜は障子をバンと開けいずこへと駆け出していってしまった。
困ったのは残された永琳と鈴仙である。
鈴仙はなんだったんだという表情で開けっ放しになった障子を見つめ、永琳もどうしたものかしら、という顔でそちらを見ている。
「ししょー、どーしましょーかー。」
気の抜けた声で鈴仙が言う。
「うーん。とりあえず…。」
ウィーン。ガチャ。カタ。
「ゲーム変えときましょ。多分すぐに忘れてると思うわ。」
「はぁ…。そうでしょうか…。」
案の定ふかし芋を食べ終えて戻ってきた輝夜は、先刻のやり取りのことなどまるで忘れた風体で新しいゲームをしていた。
はあこれで一安心と薬の調合を始めた永琳と鈴仙だったが、
「えーりんえーりんちょっときてー。」
キラキラとした声でお呼びがかかる。永遠亭の薬師と弟子は顔を見合わせて苦笑した。どうやら選んだゲームも失敗だったようだ。
落ちこぼれ錬金術師の輝夜は、ある日えーりん先生に呼び出された。
余談ですがあれのラジオは凄かった、調合が…