湖の上を水しぶきを上げながら飛行する一つの影があった。
箒にまたがった白黒魔女――幻想郷(自称)最速の霧雨魔理沙である。
今日も元気に強奪行為――もといレンタル(仮)のため紅魔館に向かっているところであり、海面ギリギリを飛ぶ事により相手側のレーダーに気づかれないとか、どうとか。
そして紅魔館まで後少しで到着するときだった。
「そこの白黒!」
そんな魔理沙を呼ぶ声がした。
「あ~ん?」
箒を横にスライドさせ急停止。
本当に速いってのはうまくスピードを殺せることでもある。
停止とともに声がした方を見ると魔理沙の方を指差した一匹の妖精が飛んでいた。
その妖精の名はチルノ――冷気を操る程度の能力を持ち偉大なる⑨の称号を持つ者である。
「なんだ、私に何か用事か?私は急いでるんだが」
するとチルノは笑みを浮かべこう言った。
「ふふふ、ようやく夏も終わったわ。よって最強!今日こそはあんたをボコボコにしてやるんだから!」
「なんだ、またやられに来たのかい」
やれやれとため息をつく魔理沙。
ちなみに夏の間はチルノは暑さにやられて可哀想になるくらい弱体化していた。
そんな状態でも果敢に弾幕ごっこを申し込んでくるあたりが⑨の所以である。
だが容赦しないのが我らが魔理沙さん、マスタースパーク連打で返り討ちにしてあげましたとさ。
まったく「そこに痺れる憧れる!」とはよく言ったものだ。
「うるさ~い!あれは……ほら『脳のある豚は蹄を隠す』やつよ!」
「ふむ、頭の方はいつもと変わらんと思うがね」
「と、とにかく今日こそは『ぎゃふん』と言わせてやるんだから!」
「ぎゃふん」
「ふ、ふざけやがって~」
わなわなと震えるチルノ、己から出る熱で彼女の周りには蜃気楼が出来そうだった。
「もう怒った!今日は私も本気、フルパワーでいくよ!」
チルノはスペルカードを取り出し周囲に冷気を散らす、その冷気は空気中の水分を凍らせ氷となり魔理沙の周りに展開、配置された。
(ふむ……)
その弾幕の形状と配置を読む。
(パーフェクトフリーズか……)
見た目はチルノの得意技パーフェクトフリーズに違いなかった、いつもと特に弾幕の中身も変わっていない。
(っと、そろそろかな……)
魔理沙は懐から八卦炉を取り出し戦闘に備えた。
周りに配置された氷がゆっくりと動き出す。
「さぁ来い!」
「凍符『パーフェクトフリーズ』(超本気)!!」
カチャ
あれ?
カチカチカチカチ
何だよパソコン動かなくなっちまったぞ。
あ~あ、仕方ないけど強制終了しかねーな。
ポチ
ブツン――
俺のFFⅢ(闇の世界)フリーズさせたのは貴様かぁっ!!??
これこそ完璧なフリーズですね。