※諸注意。この話は、『糸目のあの娘が嫁ぎに来た!?』(前編)、(中編)の続きです。なので、そちらを先にお読みください。
ちょっと、中編の回想。(ver.ルナサ)
霊夢が、私の顎を優しく持ち上げる。
「好きよ。ルナサ。愛してる」
そう言って霊夢は、私の唇にキスをした……私も、好きです。霊夢さん。
回想終了。本編へ進む?護りたい世界がある?
朝日の光が天地を照らし、小鳥達の囀りが聞こえ、涼やかな風が木々を撫でる。自然が奏でる音と共に博麗神社の台所から、トントントンとリズミカルの音が響いていた。
(……クンクン……何かしら、すごく良い匂いがする……)
「ふわぁぁぁぁぁ」
大きな欠伸をし、霊夢が目を開ける。すると、台所から声を掛けられる。
「あっ、霊夢さん。起きましたか?」
「んっ?うん」
「もうすぐ、朝食ができますから、顔と手を洗ってきてください」
「わかったぁ」
寝起きの覚束ない足取りで、霊夢は井戸に向かった。井戸から水を汲み、その水で顔を洗った。思考がはっきりしてくる。
(あれ、台所に居たのは誰だ?私に今、声を掛けたのは誰だ?確か、昨日誰か私を訪ねてきたような……っ!)
「ルゥゥゥ、ナァァァ、サァァァ!!!!!」
バタバタと足音を轟かせ、霊夢は台所へと直進した。
霊夢が台所に入ろうとすると、いつもの黒い服に、三日月がプリントされた白いエプロンをしたルナサが、料理の盛られた皿を持って振り返る。
「あっ、霊夢さん。ちょうど、朝食の用意ができましたよ」
「朝食っ!?」
「一緒に、食べましょう」
「はいっ、いただきますっ!」
「で、どうしてあんたが、私の家でエプロンして朝食の用意してんのよ?……ズズッ……もう少し、濃くても良いわね」
味噌汁を飲みながら、霊夢はルナサに聞くとルナサは、器用に箸を使って焼魚を食べていた。
「薄味の方が私は、好き。台所を使う時には、服の上からエプロンや割烹着を着るものでしょう。それに朝食は、大事よ。眠った脳の覚醒、体温の上昇による代謝の促進……」
「あんた、ワザと?ぶっ飛ばされたい?」
「何が?あぁ、裸エプロンの方が良かった?ごめんなさい、ご期待添えられなくて」
「……はぁ~、もう諦めるわ。とりあえず、目の前の疑問から……どうしてあんたが、家で朝食の準備をしてたのよ?」
卵焼きを口に運び、間を空けずにご飯を詰める霊夢。
「霊夢さんが起きたら、お腹が空いてるだろうなぁ。って思ったし、私も食べたかったから。……お醤油取って、霊夢さん」
「んっ。……まぁ、朝食の事は解ったわ。なら二つ目、材料はどこから?家には、もう一部の調味料しか無かった筈よ」
返事もそこそこに、霊夢は醤油の瓶をルナサに渡す。
「ありがとう。……材料は、私の家から持ってきた。宴会から一週間経ってるから、そろそろ霊夢さん家の氷室が、空になると思ったから」
ほうれん草のおひたしに、醤油をかけるルナサ。
「ある意味、グッドでナイスなタイミングよ。また危うく、サバイバル生活の幕を開けるところだったわ。……それにしても、意外とあんたの和食いけるわね」
「妖夢に教えて貰いながら、この一週間、頑張った」
顔を真っ赤にして、モジモジとするルナサ。
「かけ過ぎ、醤油かけ過ぎだからっ」
朝食後、食器を片付けたルナサは、霊夢と共に食後のお茶を飲んでいた。
「それじゃ、質問を続けるわ」
霊夢がルナサを睨みつける。
「どうして、あんた家に来たの?しかも、あんな格好までして」
ルナサは、霊夢から視線を外して、頬に手を当てる。
「……そんなに見つめないで、照れちゃう」
「人の話、聞こうよ!お願いしますからっ!」
「…………」
「何だっ!その「えぇ、勘弁してくださいよぉ」みたいな、ふざけた糸目はっ!?」
「……ハァ……」
「溜息、吐くなっ!」
その後、ルナサは顔を真っ赤にしながら、霊夢にもう一度説明した。所々で、「…あぅ」とか「…えぅ」と言って、指を忙しく動かし顔を俯かせたり、霊夢と目が合うと突如、黙ってしまったりと説明するだけでもかなりの時間を要したが、なんとか霊夢に伝わったようだ。
「……という事よ」
「なるほどね。それで夜中、純白のウェディングドレスを着て、私の睡眠を妨害しに来たと。……で、あんたは私にどうして貰いたい訳?」
「私のファーストキスを、奪った責任を取って結婚して、私をお嫁さんにして欲しい」
ルナサは、霊夢を見据えて自分の要求を申し出た。
「却下ね。あれは、王様である紫が「やれ」と命令した事をやっただけ。私に過失は無いわよ」
しかし、霊夢はその申し出を真っ向から拒否した。
「舌、入れたくせに……」
「……何の事かしら。とにかく、却下よ。却下。とっとと、帰れ。私は、忙しいのよ」
「楽園の怠惰な巫女のくせに……(ぼそり)。どうしてもダメ?」
「……上目遣いで、目を潤ませても駄目なものは駄目!それに、ぼそりと何か聞こえたわよ」
「……解ったわ。霊夢さんにとっては、罰ゲームとしてやっただけだものね。ごめんなさい。ご迷惑をお掛けました。お詫びっていう訳でもないけど、氷室に入れた食材、全部あげるわ」
するとルナサは、持ってきた自分の荷物を引き寄せ、霊夢に頭を下げる。
「えっ?いいの?私としては嬉しい限りだけど、あんたの家も大変じゃない?」
「大丈夫。最近、私ソロライブを里ですることがあるの。それが、結構評判が良くてね」
「へぇ~。でも、あんたって、どこか暗いイメージがあるんだけど……」
「自分で言うのもなんだけど、意外と好評。仕事に憤りを感じ、上からは圧力を掛けられ、下からは持ち上げられる立場の方や主婦層の方に特に人気があるのよ。今では、中高年に人気のヴァイオリニストよ。だから、おひねりや食材を貰うことが多いの。買い物しなくていいから、助かってる」
「やっぱり、どこか暗いわね。(んっ、待てよ……)」
ルナサの話に霊夢の脳内コンピュータがフル稼働する。
私×ルナサ=結婚……。
私×ルナサ(ライブでのおひねり&食材)=結婚……。
私×銭&食物=結婚……。
他の選択肢の検索……条件「住める家を保有し、私を養ってくれて、神社の巫女を続けても大丈夫」……検索開始……検索終了……検索結果…0…詳しい説明……。
霧雨邸……魔理沙曰く、霧雨魔法店の妖しげな薬品の売れ行きが、好調で繁盛しているらしい。繁盛の理由は定かではないが、食生活には困っていないらしい。だが、蒐集した得体の知れないガラクタ(霊夢から見て)で、家の中がえらいことになっている。それに以前、首輪を掛けられ危うく誘拐されそうになった。身の危険を感じる。却下。
アリス邸……家も、一人と人形達と住んでる割には広く、神社の仕事も続けるのも可能とみられる。里で開いている、アンティークショップが評判を集めているが、売れ行きの方はイマイチだとか。その理由は、一つの物にコストが掛かり過ぎ、少数の高額商品になっているからである。本人は、売れようが売れまいが関係ないらしい。だが、魔理沙と一緒で蒐集家のため、不審物が家中にありそうなので却下。
紅魔館……メイド長以外は、快く歓迎してくれそうだが、あのメイド長のイジメに耐える自信が無い。それにレミリアなら、無理してでも私を眷属にするだろう。巫女として、当然拒否である。財政的には、問題が多すぎる。魔理沙が、図書館に本を強奪する為に造る壁の穴の修繕、フランドールが暴走した時に生じる破壊された館の修復。常に、家計簿は赤い数字が並んでる。さすがは、紅い館『紅魔館』。よって、却下。
白玉楼……屋敷の大きさ、財政的にも問題ない……と思う。あっ、駄目だ。この前、妖夢が「幽々子様の食欲を何とかして欲しい。このままじゃ、出費の八割が食費になってしまう」と、泣きついて来た。さすがに、妖夢の負担をこれ以上増やしてはいけない。なので、妖夢の為に却下。それに、死んだら自然と逝けるだろう。
八雲家……一軒家だが、結構広い造りになっている印象を受けた。それに、財政的にも問題なかろう。全てにおいて、一番安定している。神社の仕事も、藍と橙が手伝ってくれそうだ。しかし最近、藍の尻尾に円形脱毛症が三つに増えたとか。白玉楼と同じ理由で、惜しくも却下。
永遠亭……拒否である。屋敷は広いが、財政的には火の車。それに月の天才宇宙人が製造する、怪しい薬物の実験体になるのは嫌だ。自分の体が第一である。
香霖堂……ヤロウは……ねぇ。
説明終了……追加登録……。
プリズムリバー邸……行った事が無いので、広さは不明。話を聞くと、昔は名の知れた伯爵が住んでいたとか。財政面でも、先の説明通りなら問題ない。神社の仕事は、ルナサが手伝ってくれるだろう。
あれ?一番、好条件じゃないかっ!
霊夢は、立ち去ろうと背を向けるルナサを、後ろから抱き留めていた。
「何、霊夢さん?」
ルナサは戸惑うような声を上げる。ルナサの耳元に、霊夢が優しく語り掛ける。
「ごめんなさい、ルナサ。私が間違ってたわ。いくら罰ゲームとはいえ、あなたのファーストキスを奪ったのは事実。だから、私『博麗 霊夢』はその責任を取って、『ルナサ・プリズムリバー』を嫁に貰うわ」
「ッ!!」
その言葉に、ルナサは霊夢の方に振り向く。
「なぁに、驚いてんのよ。自分が最初に、言い出したことでしょ?ふふっ、それとも私じゃ不満かしら?」
「……ッ……」
ルナサは、ポロポロと涙を流しながら、フルフルと首を振る。
「ほら、泣かないの」
霊夢がルナサの目元に指を当て、溜まった涙を払うと、ルナサの顎を掬うように優しく持ち上げる。
「好きよ……ルナサ……愛してるわ」
一週間前と同じ台詞……だけど、少し違う台詞を霊夢は、ルナサに言った。
「……私も……す、好き……です。あっ、あ……愛して……ます。霊夢さん」
顔を耳まで真っ赤にして、ルナサは目を瞑る。向かい合う、二つの影が重なっていく……。鳥の囀りは無く、風も止み、太陽だけが二人を照らしていた……。
その後『博麗神社』では、霊夢とルナサの結婚を祝った宴会が開かれた。ある者は二人を祝福し、ある者はただ宴会を楽しんでいた。しかし、忘れてはいけない。魔理沙とレミリアを筆頭にした、霊夢の結婚を認めない者たちがいることを……。
その日から、博麗神社の巫女は二人に増えた。
「霊夢さん。私、霊夢さんと結婚できて、幸せですっ」
神社の縁側に座ってお茶を飲みながら、金色の髪をした巫女さんが笑顔で言いました。
「私もよ。ルナサ、愛してるわ」
そこ横には黒い髪をリボンで結った巫女さんが、笑顔でお金を数えながら豆大福を食べていました。
オマケ
冥界の白玉楼へと続く道を、へにょり耳の兎が飛んでいます。すると、二本の刀を差した人影が見えました。
「あっ、よ~む~っ!」
その声に、影が振り向きました。
「あっ、ウドンゲ。どうしたの?死んじゃったの?」
「いや、まだ死んでないから……。それより、今時間ある?」
「今?五分待ってて、幽々子様のおやつの用意してくるから」
「うん。わかった」
ぴったり五分後、妖夢がお盆を持って現れた。白玉楼へと続く階段に、二人は腰を下ろしました。
「はい、お茶と芋羊羹」
「あっ、ありがとう」
「冥界まで来るなんて、どうしたの?ウドンゲ」
お茶を飲みながら、妖夢は尋ねました。
「…………」
ウドンゲは、黙って妖夢を見つめています。妖夢は、黙って自分を見ているウドンゲに不信感を抱きました。
「なっ、何?ウドンゲ、どうしたの?」
「……妖夢っ!」
「はっ、はい。なっ、何ですか?」
「……私と結婚を前提にお付き合いしてくださいっ!!」
「みょん!?」
新たな恋の物語が始まろうとしていました……。何処からともなく、「は~る、で~すよ~」と言う声が聞こえてきました。
ちょっと、中編の回想。(ver.ルナサ)
霊夢が、私の顎を優しく持ち上げる。
「好きよ。ルナサ。愛してる」
そう言って霊夢は、私の唇にキスをした……私も、好きです。霊夢さん。
回想終了。本編へ進む?護りたい世界がある?
朝日の光が天地を照らし、小鳥達の囀りが聞こえ、涼やかな風が木々を撫でる。自然が奏でる音と共に博麗神社の台所から、トントントンとリズミカルの音が響いていた。
(……クンクン……何かしら、すごく良い匂いがする……)
「ふわぁぁぁぁぁ」
大きな欠伸をし、霊夢が目を開ける。すると、台所から声を掛けられる。
「あっ、霊夢さん。起きましたか?」
「んっ?うん」
「もうすぐ、朝食ができますから、顔と手を洗ってきてください」
「わかったぁ」
寝起きの覚束ない足取りで、霊夢は井戸に向かった。井戸から水を汲み、その水で顔を洗った。思考がはっきりしてくる。
(あれ、台所に居たのは誰だ?私に今、声を掛けたのは誰だ?確か、昨日誰か私を訪ねてきたような……っ!)
「ルゥゥゥ、ナァァァ、サァァァ!!!!!」
バタバタと足音を轟かせ、霊夢は台所へと直進した。
霊夢が台所に入ろうとすると、いつもの黒い服に、三日月がプリントされた白いエプロンをしたルナサが、料理の盛られた皿を持って振り返る。
「あっ、霊夢さん。ちょうど、朝食の用意ができましたよ」
「朝食っ!?」
「一緒に、食べましょう」
「はいっ、いただきますっ!」
「で、どうしてあんたが、私の家でエプロンして朝食の用意してんのよ?……ズズッ……もう少し、濃くても良いわね」
味噌汁を飲みながら、霊夢はルナサに聞くとルナサは、器用に箸を使って焼魚を食べていた。
「薄味の方が私は、好き。台所を使う時には、服の上からエプロンや割烹着を着るものでしょう。それに朝食は、大事よ。眠った脳の覚醒、体温の上昇による代謝の促進……」
「あんた、ワザと?ぶっ飛ばされたい?」
「何が?あぁ、裸エプロンの方が良かった?ごめんなさい、ご期待添えられなくて」
「……はぁ~、もう諦めるわ。とりあえず、目の前の疑問から……どうしてあんたが、家で朝食の準備をしてたのよ?」
卵焼きを口に運び、間を空けずにご飯を詰める霊夢。
「霊夢さんが起きたら、お腹が空いてるだろうなぁ。って思ったし、私も食べたかったから。……お醤油取って、霊夢さん」
「んっ。……まぁ、朝食の事は解ったわ。なら二つ目、材料はどこから?家には、もう一部の調味料しか無かった筈よ」
返事もそこそこに、霊夢は醤油の瓶をルナサに渡す。
「ありがとう。……材料は、私の家から持ってきた。宴会から一週間経ってるから、そろそろ霊夢さん家の氷室が、空になると思ったから」
ほうれん草のおひたしに、醤油をかけるルナサ。
「ある意味、グッドでナイスなタイミングよ。また危うく、サバイバル生活の幕を開けるところだったわ。……それにしても、意外とあんたの和食いけるわね」
「妖夢に教えて貰いながら、この一週間、頑張った」
顔を真っ赤にして、モジモジとするルナサ。
「かけ過ぎ、醤油かけ過ぎだからっ」
朝食後、食器を片付けたルナサは、霊夢と共に食後のお茶を飲んでいた。
「それじゃ、質問を続けるわ」
霊夢がルナサを睨みつける。
「どうして、あんた家に来たの?しかも、あんな格好までして」
ルナサは、霊夢から視線を外して、頬に手を当てる。
「……そんなに見つめないで、照れちゃう」
「人の話、聞こうよ!お願いしますからっ!」
「…………」
「何だっ!その「えぇ、勘弁してくださいよぉ」みたいな、ふざけた糸目はっ!?」
「……ハァ……」
「溜息、吐くなっ!」
その後、ルナサは顔を真っ赤にしながら、霊夢にもう一度説明した。所々で、「…あぅ」とか「…えぅ」と言って、指を忙しく動かし顔を俯かせたり、霊夢と目が合うと突如、黙ってしまったりと説明するだけでもかなりの時間を要したが、なんとか霊夢に伝わったようだ。
「……という事よ」
「なるほどね。それで夜中、純白のウェディングドレスを着て、私の睡眠を妨害しに来たと。……で、あんたは私にどうして貰いたい訳?」
「私のファーストキスを、奪った責任を取って結婚して、私をお嫁さんにして欲しい」
ルナサは、霊夢を見据えて自分の要求を申し出た。
「却下ね。あれは、王様である紫が「やれ」と命令した事をやっただけ。私に過失は無いわよ」
しかし、霊夢はその申し出を真っ向から拒否した。
「舌、入れたくせに……」
「……何の事かしら。とにかく、却下よ。却下。とっとと、帰れ。私は、忙しいのよ」
「楽園の怠惰な巫女のくせに……(ぼそり)。どうしてもダメ?」
「……上目遣いで、目を潤ませても駄目なものは駄目!それに、ぼそりと何か聞こえたわよ」
「……解ったわ。霊夢さんにとっては、罰ゲームとしてやっただけだものね。ごめんなさい。ご迷惑をお掛けました。お詫びっていう訳でもないけど、氷室に入れた食材、全部あげるわ」
するとルナサは、持ってきた自分の荷物を引き寄せ、霊夢に頭を下げる。
「えっ?いいの?私としては嬉しい限りだけど、あんたの家も大変じゃない?」
「大丈夫。最近、私ソロライブを里ですることがあるの。それが、結構評判が良くてね」
「へぇ~。でも、あんたって、どこか暗いイメージがあるんだけど……」
「自分で言うのもなんだけど、意外と好評。仕事に憤りを感じ、上からは圧力を掛けられ、下からは持ち上げられる立場の方や主婦層の方に特に人気があるのよ。今では、中高年に人気のヴァイオリニストよ。だから、おひねりや食材を貰うことが多いの。買い物しなくていいから、助かってる」
「やっぱり、どこか暗いわね。(んっ、待てよ……)」
ルナサの話に霊夢の脳内コンピュータがフル稼働する。
私×ルナサ=結婚……。
私×ルナサ(ライブでのおひねり&食材)=結婚……。
私×銭&食物=結婚……。
他の選択肢の検索……条件「住める家を保有し、私を養ってくれて、神社の巫女を続けても大丈夫」……検索開始……検索終了……検索結果…0…詳しい説明……。
霧雨邸……魔理沙曰く、霧雨魔法店の妖しげな薬品の売れ行きが、好調で繁盛しているらしい。繁盛の理由は定かではないが、食生活には困っていないらしい。だが、蒐集した得体の知れないガラクタ(霊夢から見て)で、家の中がえらいことになっている。それに以前、首輪を掛けられ危うく誘拐されそうになった。身の危険を感じる。却下。
アリス邸……家も、一人と人形達と住んでる割には広く、神社の仕事も続けるのも可能とみられる。里で開いている、アンティークショップが評判を集めているが、売れ行きの方はイマイチだとか。その理由は、一つの物にコストが掛かり過ぎ、少数の高額商品になっているからである。本人は、売れようが売れまいが関係ないらしい。だが、魔理沙と一緒で蒐集家のため、不審物が家中にありそうなので却下。
紅魔館……メイド長以外は、快く歓迎してくれそうだが、あのメイド長のイジメに耐える自信が無い。それにレミリアなら、無理してでも私を眷属にするだろう。巫女として、当然拒否である。財政的には、問題が多すぎる。魔理沙が、図書館に本を強奪する為に造る壁の穴の修繕、フランドールが暴走した時に生じる破壊された館の修復。常に、家計簿は赤い数字が並んでる。さすがは、紅い館『紅魔館』。よって、却下。
白玉楼……屋敷の大きさ、財政的にも問題ない……と思う。あっ、駄目だ。この前、妖夢が「幽々子様の食欲を何とかして欲しい。このままじゃ、出費の八割が食費になってしまう」と、泣きついて来た。さすがに、妖夢の負担をこれ以上増やしてはいけない。なので、妖夢の為に却下。それに、死んだら自然と逝けるだろう。
八雲家……一軒家だが、結構広い造りになっている印象を受けた。それに、財政的にも問題なかろう。全てにおいて、一番安定している。神社の仕事も、藍と橙が手伝ってくれそうだ。しかし最近、藍の尻尾に円形脱毛症が三つに増えたとか。白玉楼と同じ理由で、惜しくも却下。
永遠亭……拒否である。屋敷は広いが、財政的には火の車。それに月の天才宇宙人が製造する、怪しい薬物の実験体になるのは嫌だ。自分の体が第一である。
香霖堂……ヤロウは……ねぇ。
説明終了……追加登録……。
プリズムリバー邸……行った事が無いので、広さは不明。話を聞くと、昔は名の知れた伯爵が住んでいたとか。財政面でも、先の説明通りなら問題ない。神社の仕事は、ルナサが手伝ってくれるだろう。
あれ?一番、好条件じゃないかっ!
霊夢は、立ち去ろうと背を向けるルナサを、後ろから抱き留めていた。
「何、霊夢さん?」
ルナサは戸惑うような声を上げる。ルナサの耳元に、霊夢が優しく語り掛ける。
「ごめんなさい、ルナサ。私が間違ってたわ。いくら罰ゲームとはいえ、あなたのファーストキスを奪ったのは事実。だから、私『博麗 霊夢』はその責任を取って、『ルナサ・プリズムリバー』を嫁に貰うわ」
「ッ!!」
その言葉に、ルナサは霊夢の方に振り向く。
「なぁに、驚いてんのよ。自分が最初に、言い出したことでしょ?ふふっ、それとも私じゃ不満かしら?」
「……ッ……」
ルナサは、ポロポロと涙を流しながら、フルフルと首を振る。
「ほら、泣かないの」
霊夢がルナサの目元に指を当て、溜まった涙を払うと、ルナサの顎を掬うように優しく持ち上げる。
「好きよ……ルナサ……愛してるわ」
一週間前と同じ台詞……だけど、少し違う台詞を霊夢は、ルナサに言った。
「……私も……す、好き……です。あっ、あ……愛して……ます。霊夢さん」
顔を耳まで真っ赤にして、ルナサは目を瞑る。向かい合う、二つの影が重なっていく……。鳥の囀りは無く、風も止み、太陽だけが二人を照らしていた……。
その後『博麗神社』では、霊夢とルナサの結婚を祝った宴会が開かれた。ある者は二人を祝福し、ある者はただ宴会を楽しんでいた。しかし、忘れてはいけない。魔理沙とレミリアを筆頭にした、霊夢の結婚を認めない者たちがいることを……。
その日から、博麗神社の巫女は二人に増えた。
「霊夢さん。私、霊夢さんと結婚できて、幸せですっ」
神社の縁側に座ってお茶を飲みながら、金色の髪をした巫女さんが笑顔で言いました。
「私もよ。ルナサ、愛してるわ」
そこ横には黒い髪をリボンで結った巫女さんが、笑顔でお金を数えながら豆大福を食べていました。
オマケ
冥界の白玉楼へと続く道を、へにょり耳の兎が飛んでいます。すると、二本の刀を差した人影が見えました。
「あっ、よ~む~っ!」
その声に、影が振り向きました。
「あっ、ウドンゲ。どうしたの?死んじゃったの?」
「いや、まだ死んでないから……。それより、今時間ある?」
「今?五分待ってて、幽々子様のおやつの用意してくるから」
「うん。わかった」
ぴったり五分後、妖夢がお盆を持って現れた。白玉楼へと続く階段に、二人は腰を下ろしました。
「はい、お茶と芋羊羹」
「あっ、ありがとう」
「冥界まで来るなんて、どうしたの?ウドンゲ」
お茶を飲みながら、妖夢は尋ねました。
「…………」
ウドンゲは、黙って妖夢を見つめています。妖夢は、黙って自分を見ているウドンゲに不信感を抱きました。
「なっ、何?ウドンゲ、どうしたの?」
「……妖夢っ!」
「はっ、はい。なっ、何ですか?」
「……私と結婚を前提にお付き合いしてくださいっ!!」
「みょん!?」
新たな恋の物語が始まろうとしていました……。何処からともなく、「は~る、で~すよ~」と言う声が聞こえてきました。
そして腋巫女め!何をしてるだァーッ!
ルナサが求婚した理由も霊夢が受諾した理由も
冷静に見ればギャグでしかないハズなのに
ルナサの嬉し泣きに私の涙腺が破壊されました。
というかルナサ萌えに目覚めました。
あと、何気に妖夢や藍を気遣ってる霊夢が優しくていいなぁ……。
勝手な願望ですがオマケのうどみょんも作品化希望です!
これであと10時間はルナサ萌えしないで生きていられる。
あと裸エプロンより普通のエプロンのほうが好きだz……(殴られました
葉月天獅の名を。そしてこの素晴らしいルナサ萌えを。
しかし霊夢酷いww
でも藍とみょんを気遣うぐらいには良心があったのね……
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