「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
不死鳥が翼を広げる。妹紅の高笑いは最早怪鳥の域、ヒトとも人外ともつかなくなってきている。
「いくよ輝夜ぁ!今夜という今夜こそは、あんたを・・・・・・・・」
「ブッ」
「・・・・・・殺してやるッ!」
不死鳥の羽ばたきとともに火の粉が舞い散り、大気を焦がし、竹林を焼く。
それは、優雅な姿で人々を魅了する火の鳥などという生易しい物ではない。
言うなればそれは猛禽・・・射抜くような視線で敵を睨み、凶器のごとき爪で肉を毟り取る大鷲にも近い。
今、妹紅は燃え盛る猛禽となって火の粉を帯びた羽ばたきを撒き散らしていた。
「いくよっ!!」
炎の大鷲が、隼となって竹林を突っ切っていく。
邪魔な枝葉は妹紅に触れるだけで灰となり、行く手を遮る竹も触れた部分から火が燃え移り、周囲を火の海に変えていく。
帯のように燃え広がる火の川の先頭を飛び、妹紅は両の拳を硬く硬く握り締めた。
「そらっ!」
ガシッ
「く・・ッ・・・・・重・・・・・・」
「ほらぁ!」
ガシン
「うぁぁっ・・・!」
初弾代わりに放った拳のニ連射は輝夜の腕に阻まれて不発。だが、重い一撃をガードした腕には力が入らず
弾を撃とうにも手をかざす事さえできない。
そして妹紅は容赦をしない。輝夜のガードが開いたのを勝機と見て、右の拳を大きく振りかぶる。
「あははははははははは!まだまだいくよぉぉぉ!」
「ほらっ!」
ガッ
「うぐっ・・・!!?」
「もいっちょう!」
ドズン
「か・・・・・・・は・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほらっ!ほらっ!ほらほらほらほらほらほらほらほらほほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほららほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!!」
拳が弾幕を超え、まるでスコールのように輝夜の全身に降り注ぐ。
ガードのできない輝夜はサンドバッグ状態、苦しむ間もなく重い連撃を受けて呻く事も倒れる事もできないが、
それでも逃げたり伏せたりしようとはしない。
「ほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!何とかしないとホントにブッ殺されちゃうかもしんないわよ!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・く・・・・・・・・ら・・・・・・・・・・・・ぇ」
顔にも拳を受け続け、まともに言葉を紡ぐ事のできない状態ながら輝夜は一文字ずつ単語を絞り出す。
そして三つ目の単語が辛うじて絞り出された次の瞬間、二人の間に光の収束が姿を現した。
「ッ!?こんな状態で弾幕っ!?」
「・・・・い・・・・・・・・射抜け・・・・・・・・・・・・・・・・・」
驚きで一瞬妹紅の拳が止まったのを輝夜は見逃さなかった。
三点に収束した光に自分の力を、自分の念を伝えて意のままに操る「輝龍弾」、妹紅も知っている技だ。
光の束は妹紅の心臓を狙っていた。直撃を受けた所で即死するわけではないが、暫く身動きが取れなくなるのは確かだ。
そしてその大きな隙を見せた時に輝夜が次なる行動を取るのは目に見えている。これ以上接近したままでいるのは危険と判断し、
咄嗟に身を翻して右へ逃げる・・・・・と同時に光も槍型の殺意となって妹紅に撃ち出された。
シッ
音はしなかった。
ただ、妹紅の左肩から先だけがきれいに消失していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ」
失った左腕の痛みなど意にも介していない様子で妹紅が笑う。
引きちぎられ、地に落ちていった自分の体の破片は気にも留めず、見開いた目で輝夜を睨み続ける。
「まったくもう・・・・・・・・口の中が少し切れたわ」
「攻撃されながらでも反撃できるんじゃん・・・・・・そうだよ、それでなきゃ『殺し合い』じゃないのよ。もしかしたら私が一方的に殺しちゃうかも~って、ちょっと心配してたんだから」
拳のスコールを浴びた輝夜も、片腕を失った妹紅も、その言葉は全く変わる事がない。
むしろ、二人とも静かに闘志を燃やしているようでもあった。
「そんな心配、しなくていいわ。今度は私が蜂の巣にしてあげるから・・・・・・って、貫通したら蜂も棲めないのよねぇ」
「ハッ、だったら私はあんたをここの肥料に変えてあげる」
「・・・・不死の私の血肉を吸って育つ不死の竹・・・・・・・・・・・・・・・・ふふ、うふふふふふふふふふふふふ」
「『あんたはこの幻想郷の大地となって永劫生き続ける』・・・・・・・いい話じゃん」
「うふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・・・でも、それだと私はあなたに殺されないって事になるわね」
「・・・・・・・・・・・・・どうだっていいのよ、んな事ァ」
再び、妹紅の背の不死鳥が大きく羽ばたく。
熱気は傷口を灼き、流れる血を固め、腕が一本ないという事以外は全てを振り出しに戻してしまう。
そして火の海となった竹林の中で、二人は再び睨み合った。
「私があんたを殺すッ!・・・・・それができりゃあ、あんたが生きてようが死んでようがどうだっていいのよ」
「考えてる事は同じなのね。少し気に入らないわ」
「・・・荼毘の手間を省いてあげたんだから、あんたはここで静かに、大人しく、惨く、灰になるまで、 殺 さ れ て ろ っ ! ! 」
「」
背に張り付いた火の鳥が収縮し、妹紅の右拳に宿る。
彼女の全能が宿った輝く右、受ければ輝夜といえども無傷では済まされない。
輝夜の周囲を漂う五つの光玉が輝夜の内に潜り込み、五色の光を分け与える。
五つの難題に宿るの力をその身に受け継ぎ、妹紅といえども迂闊に近付けば痛手を喰う。
「輝夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
幻想郷の歴史に刻まれる事のない、しかし幻想郷の歴史で最も激しい、影と影の争い。
その勝者、その結末など、光を見る者には知る由もない・・・・・・
光に目を眩ませた者は、全ての影は一様な闇にしか見えないのだから。
不死鳥が翼を広げる。妹紅の高笑いは最早怪鳥の域、ヒトとも人外ともつかなくなってきている。
「いくよ輝夜ぁ!今夜という今夜こそは、あんたを・・・・・・・・」
「ブッ」
「・・・・・・殺してやるッ!」
不死鳥の羽ばたきとともに火の粉が舞い散り、大気を焦がし、竹林を焼く。
それは、優雅な姿で人々を魅了する火の鳥などという生易しい物ではない。
言うなればそれは猛禽・・・射抜くような視線で敵を睨み、凶器のごとき爪で肉を毟り取る大鷲にも近い。
今、妹紅は燃え盛る猛禽となって火の粉を帯びた羽ばたきを撒き散らしていた。
「いくよっ!!」
炎の大鷲が、隼となって竹林を突っ切っていく。
邪魔な枝葉は妹紅に触れるだけで灰となり、行く手を遮る竹も触れた部分から火が燃え移り、周囲を火の海に変えていく。
帯のように燃え広がる火の川の先頭を飛び、妹紅は両の拳を硬く硬く握り締めた。
「そらっ!」
ガシッ
「く・・ッ・・・・・重・・・・・・」
「ほらぁ!」
ガシン
「うぁぁっ・・・!」
初弾代わりに放った拳のニ連射は輝夜の腕に阻まれて不発。だが、重い一撃をガードした腕には力が入らず
弾を撃とうにも手をかざす事さえできない。
そして妹紅は容赦をしない。輝夜のガードが開いたのを勝機と見て、右の拳を大きく振りかぶる。
「あははははははははは!まだまだいくよぉぉぉ!」
「ほらっ!」
ガッ
「うぐっ・・・!!?」
「もいっちょう!」
ドズン
「か・・・・・・・は・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほらっ!ほらっ!ほらほらほらほらほらほらほらほらほほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほららほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!!」
拳が弾幕を超え、まるでスコールのように輝夜の全身に降り注ぐ。
ガードのできない輝夜はサンドバッグ状態、苦しむ間もなく重い連撃を受けて呻く事も倒れる事もできないが、
それでも逃げたり伏せたりしようとはしない。
「ほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!何とかしないとホントにブッ殺されちゃうかもしんないわよ!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・く・・・・・・・・ら・・・・・・・・・・・・ぇ」
顔にも拳を受け続け、まともに言葉を紡ぐ事のできない状態ながら輝夜は一文字ずつ単語を絞り出す。
そして三つ目の単語が辛うじて絞り出された次の瞬間、二人の間に光の収束が姿を現した。
「ッ!?こんな状態で弾幕っ!?」
「・・・・い・・・・・・・・射抜け・・・・・・・・・・・・・・・・・」
驚きで一瞬妹紅の拳が止まったのを輝夜は見逃さなかった。
三点に収束した光に自分の力を、自分の念を伝えて意のままに操る「輝龍弾」、妹紅も知っている技だ。
光の束は妹紅の心臓を狙っていた。直撃を受けた所で即死するわけではないが、暫く身動きが取れなくなるのは確かだ。
そしてその大きな隙を見せた時に輝夜が次なる行動を取るのは目に見えている。これ以上接近したままでいるのは危険と判断し、
咄嗟に身を翻して右へ逃げる・・・・・と同時に光も槍型の殺意となって妹紅に撃ち出された。
シッ
音はしなかった。
ただ、妹紅の左肩から先だけがきれいに消失していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ」
失った左腕の痛みなど意にも介していない様子で妹紅が笑う。
引きちぎられ、地に落ちていった自分の体の破片は気にも留めず、見開いた目で輝夜を睨み続ける。
「まったくもう・・・・・・・・口の中が少し切れたわ」
「攻撃されながらでも反撃できるんじゃん・・・・・・そうだよ、それでなきゃ『殺し合い』じゃないのよ。もしかしたら私が一方的に殺しちゃうかも~って、ちょっと心配してたんだから」
拳のスコールを浴びた輝夜も、片腕を失った妹紅も、その言葉は全く変わる事がない。
むしろ、二人とも静かに闘志を燃やしているようでもあった。
「そんな心配、しなくていいわ。今度は私が蜂の巣にしてあげるから・・・・・・って、貫通したら蜂も棲めないのよねぇ」
「ハッ、だったら私はあんたをここの肥料に変えてあげる」
「・・・・不死の私の血肉を吸って育つ不死の竹・・・・・・・・・・・・・・・・ふふ、うふふふふふふふふふふふふ」
「『あんたはこの幻想郷の大地となって永劫生き続ける』・・・・・・・いい話じゃん」
「うふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・・・でも、それだと私はあなたに殺されないって事になるわね」
「・・・・・・・・・・・・・どうだっていいのよ、んな事ァ」
再び、妹紅の背の不死鳥が大きく羽ばたく。
熱気は傷口を灼き、流れる血を固め、腕が一本ないという事以外は全てを振り出しに戻してしまう。
そして火の海となった竹林の中で、二人は再び睨み合った。
「私があんたを殺すッ!・・・・・それができりゃあ、あんたが生きてようが死んでようがどうだっていいのよ」
「考えてる事は同じなのね。少し気に入らないわ」
「・・・荼毘の手間を省いてあげたんだから、あんたはここで静かに、大人しく、惨く、灰になるまで、 殺 さ れ て ろ っ ! ! 」
「」
背に張り付いた火の鳥が収縮し、妹紅の右拳に宿る。
彼女の全能が宿った輝く右、受ければ輝夜といえども無傷では済まされない。
輝夜の周囲を漂う五つの光玉が輝夜の内に潜り込み、五色の光を分け与える。
五つの難題に宿るの力をその身に受け継ぎ、妹紅といえども迂闊に近付けば痛手を喰う。
「輝夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
幻想郷の歴史に刻まれる事のない、しかし幻想郷の歴史で最も激しい、影と影の争い。
その勝者、その結末など、光を見る者には知る由もない・・・・・・
光に目を眩ませた者は、全ての影は一様な闇にしか見えないのだから。