フランちゃんのフラン作者: Eciarm

「お邪魔致します」
「遊びにきたよ、魔理沙！」
「おぉ？これはこれはフランにメイド長か。こんな辺鄙な土地へようこそだぜ」

「えへへ、今日は魔理沙にプレゼントがあるの」
「フランドールお嬢様お手製、イチゴとミルクたっぷりのフラン、ですわ」
「それは洒落なのか･･･？まあいいが。ありがとうな、フラン」
「えへへ～」

「それにしてもこの箱、綺麗にラッピングされているな」
「これはね、咲夜に教えてもらったんだよ」
「いえ、私はお傍に控えていただけです。これはフランドールお嬢様がご自分の力で作られた物ですよ」

「洋菓子には紅茶が付き物。私がご用意いたしますので、キッチンをお借りしますね」
「おお、すまんなメイド長。よろしく頼むぜ」
「よろしくね、咲夜～」

「さて切り分けたところで一応聞いておくがフラン、これはちゃんと味見はしたのか？」
「ううん、私はしてないよ。あっ、でもい～～～っぱい作ったから、お姉様やパチュリー達にも食べてもらったんだ」
「･･････折角フランドールお嬢様がお作りになった物なので、本日のお茶の時間にお出ししました」

「自分で味見してみるべきだと思うが･･･で、レミリアは何て言ってた？」
「んー、なんだかお姉様は今日体調がよくなかったみたいで、殆ど食べることができなかったの。
　でも、『美味しいわ、フラン』って言ってくれたよ」
「フランドールお嬢様がお菓子を作られたことがよほど嬉しかったのでしょうか、その目には涙すら浮かんでいましたわ」

「･･･パチュリーの方はどうだった？何故か嫌な予感がするが」
「一口食べたところでいつもの発作が出ちゃったみたい。だから、全部は食べてもらえなかったの」
「いつもの発作に加えて今日は吐血付きと大盤振る舞い。さながら地獄絵図のようでした」

「あと美鈴にも食べてもらったの。『とても美味しいです』って凄く喜んでくれたから、たくさん食べてもらっちゃった。
　でも、食べすぎておなかを壊したみたいで急に倒れちゃったの･･･悪いことしちゃったな」
「あ、あの中国が倒れただと・・・！？」
「美鈴は全治一週間と診断されました。今は絶対安静ですね」

「･･･なあ、メイド長。フランはちゃんとお前の指導を受けながら作ったんだよな？」
「いえ、先ほども申しましたように全てフランドールお嬢様ご自身の手で作り上げた物ですよ」
「えへへ、初めてだったけど一生懸命頑張ったんだよ～」

「初めてか、それは大変だったろうフラン。例えば、その、･･･味つけとか」
「その点については、とてもすごいお味であることを私が保証致しますわ」
「更に、「すごく美味しい」ってお姉様や美鈴のお墨付きよ」

「それとね、ここに来る途中に会った色んな人に食べてもらったんだよ」
「ほ、ほう。それで、皆の感想はどうだったんだ？」
「１５勝１敗。すばらしい戦績ですわ」
「１勝した時点で止めろ！！！」

「そこまで凄い威力･･･いや味になるとは何か製法に秘密でもあるのか？メイド長印の暗殺用レシピ、みたいなのが」
「咲夜に借りたお菓子作りの本を見ながら作ったんだけど、もしかしたらそれはそれで特殊な製法で作っちゃったのかも」
「いえいえ、ごく普通の製法で作られたフランですよ。ただ砂糖と塩を間違えただけです」
「気が付いていたなら止めろぉぉぉおおおおおおおおぉおぉ！！！」

「ちなみに博麗神社に寄って、霊夢さんにも御裾分けしてきました」
「･･･ちなみにアイツは何て言っていた？」
「えっと･･･『まさにお菓子のフランね』だってさ。どういう意味かはわからないけど」

「ねぇ魔理沙、お話もいいけどそろそろフランを召し上がれ♪」
「え、ああ･･･そうだな･･･」

「魔理沙さんの為に一生懸命このフランを作られているフランドール様のお姿、私の目に焼きついて離れませんわ」
「ああ･･･わかってるぜ･･･」

（ドキドキ
（ワックワク
（覚悟を･･･決めるか･･･

パクパクパク

「どう？魔理沙、美味しい？」
「お、美味しいぞフラン････････････ありがとう･･･な･･･」

「あっ魔理沙ってば寝ちゃった。お菓子を食べてすぐに寝ると太っちゃうよ、魔理沙～」
「･･･気絶してますわね。１６勝目、と」

「あ、起きた。おはよう、魔理沙」
「ん？ああ･･･おはようフラン。･･･すまんがメイド長、紅茶のおかわりを頼む」
「かしこまりました。フランドールお嬢様も如何ですか？」

「えへへ、魔理沙。私が作ったフランは美味しかった？」
「ああ、美味しかったぜ。今度は私と一緒に作ろうな」
「ふふっ、よかったですねフランドールお嬢様」

「ところで１５勝１敗って言ってたよな･･･。一体誰なんだ、あのフランに打ち勝った猛者は」
「？　ねぇ咲夜、何のことかわかる？」
「西行寺幽々子嬢ですわ。　1ホールまるまると召し上がるその姿には感動すら覚えました」
「す、すげェ！！」