Coolier - 新生・東方創想話

アフター・アフターフェステバル

2022/11/05 07:09:03
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本作品は以下のネタを一部含みます。事前にご覧くださると、より楽しんで頂けるかもしれません。
・妖精大戦争_C1ルートendおよびExtra会話
・東方求聞口授_178頁
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 逢魔が時の博麗神社。
 桜の花びらが舞い散るこの場所で、人と妖怪は勝手気ままに酒を呑む。
 右を見れば、騒霊の音楽に合わせて踊る愉快な者。左を見れば、取り留めのない話で大笑いする者たち。空を見上げれば、繰り広げられる弾幕勝負。その真下には、勝ち負けを賭けて盛り上がる者たちもいる。
 鳴り止むことのない誰かの声と楽器の音色。春の陽気にやられて、皆が皆、淑やかという言葉を忘れていた。

 そんな幻想郷の住民たちを離れた場所で眺める鴉天狗が一匹。
 彼女もまた、桜の木に寄り掛かりながら、自ら用意した酒を呑んで楽しんでいた。
 ――最強を謳う妖精が来るまでは。


「今度こそ勝負だ! 妖怪カラス天狗!」


 突然目の前に現れた妖精は、声高らかに宣戦布告した。
 自信に満ちあふれた表情。勇ましい仁王立ち。そして旋毛に一輪の桜を乗せている。
 少し抜けている彼女の姿に、天狗はそっと口角を上げ、盃を傾けた。

「無視するなー!」
「無視してないですよ。面白い妖精が居るなぁと思っただけです」
「ぐぎぎ…………ふん、その余裕も今のうちよ。魔理沙もやっつけた最強のあたいにひれ伏すが良いわ!」

 妖精は自慢げに胸を張ったが、天狗は「へぇ」と軽い返事一つのみ。興味がなさそうに次飲む酒を準備していた。
 拍子抜けの反応に、ふくれっ面の妖精が一匹出来上がったことは言うまでもない。

「ちったぁ驚きなさいよ! あの魔理沙を倒したって言ってるのよ!」
「驚くもなにも、もう知ってるからねぇ」
「な、なんで知ってるのよ?」
「そりゃあ私が天狗で、貴方が面白妖精だからですよ。陰で笑って――じゃなくて見守ってました」
「むきーっ! 馬鹿にしやがってー!」

 彼女は腕を振り回し地団駄を踏んだが、揺れ動いたのは宙を泳ぐ春の雪だけ。
 はらりはらりと大地に落ちゆく淡い結晶に合わせて、天狗も「ああ、愉快愉快」と口遊む。
 酒で満たされていた器は空になり、無くなったものを惜しむかのように長い息を吐いた。


「まあまあ、そんなに怒らない。せっかく記事になったのだから」


 決して大きくない声で発したその言葉が届いたのか、忙しない妖精の舞はピタリと止んだ。
 一見すると凍り付いたかのようだが、目蓋だけは閉じたり開いたりしているから違うみたいだ。

「……記事に? なった?」
「ええ、ええ、そうですとも。丁度その記事が載ってる新聞持ってますけど――」
「見たいっ! 見せてよっ!」

 何かを言い終えるよりも早く押し寄せる妖精。目当ての物がどこにあるのかも分かっているのだろう。すでに天狗のカバンを注視している。そんな彼女を「慌てない」と制しつつ、天狗は紙束を手渡した。
 大きく広げられる灰色の紙。その一面には確かに、目の前の妖精と魔法使いが闘う姿を記録した写真と、その論評が掲載されていた。妖精にとっては「妖怪」を倒し、最強となった記念すべき日の記録である。

 けれども、妖精は記事になったと大喜び――とはならず、不思議そうに首を傾げている。
 きっと彼女が見慣れない新聞だったからだろう。

「これってさ……あやの新聞?」
「違いますよ。私のライバルが作ってる新聞です」
「あやのは? あやの新聞も見せてよ」

 その言葉に、天狗はしたり顔。
 いつの間にか満たされていた盃をもう一度空にすると「私のですか?」と話を続けた。

「載ってませんよ。あの程度じゃあ、私の新聞には載せられません」

 くつくつと鳴く声が、アルコールの混じった息と共に天狗の口から漏れ出していく。
 馬鹿にされていると妖精が気づかない訳もなく、収まったはずの頬が再び膨らんだ。

「あやの新聞にも載せてよっ!」
「だめ、ダメ、駄目。それこそ私を倒すくらいのことして貰わないと。ま、無理でしょうがね」

 ついには、カラカラと大笑い。
 妖精の頬の膨らみはついに限界を迎え、その風船玉が割れた。
 蒼い瞳には打倒天狗の炎が見える。新聞を片手で強く握り、指を差した。

「勝負だ! 妖怪カラス天狗!!」
「あー? さっきも聞きましたね、それ」
「いいから勝負して記事にしろ! さもないと……っ!」
「さもないと?」
「んーと……んーと……そのお酒を凍らせて飲めなくしてやる!」
「おお、それは勘弁願いたいですねぇ。……仕方がない、相手をしてあげましょうか」
「やった!」
「ただし――折角の宴です。宴会らしいことで勝負しようじゃあありませんか」

 天狗は背後に置いてあった十升瓶を手に取り、妖精に見せつけた。
 封はすでに開いているが、それでも八割以上は残っている。天狗が中の液体を揺らすたび、鈍い音を奏でていた。

「交互に酒を飲んで、飲む酒がなくなったら貴方の勝ち。途中で飲み潰れたら貴方の負けです。どうですか?」
「望むところだ! どんな勝負だって、最強のあたいに死角はないもんね」
「ふふふ、良い返事です。さっそく始めましょう」


 こうして勝負は始まった。
 先手は天狗。慣れた手つきで器のギリギリまで酒を注ぐ。
 そして一気飲み。まるで水を飲んだかのように顔色一つ変えなかった。

「さあ次は貴方の番ですね」

 天狗は再び酒を注ぎ、盃を妖精に差し出した。
 液体の量は先ほどの半分程度。妖精は怪訝そうな表情を浮かべた。

「なんで少ないのさ」
「ハンデですよ、ハンデ。この量が飲めただけでも大したもんよ」
「あたいだってお酒強いもん」
「それはこれを飲み干してからもう一回考えると良いわ」

 妖精は「余裕だね」と言って、天狗を真似るように一気に飲み干した。
 すると、どうだろう。白磁の頬がリンゴのように赤く染まっていくではないか。
 むせ返っている妖精の姿に、それ見たことかと天狗がせせら笑う。

「どうします? 次は増やしますか?」
「うっ……あ、当たり前じゃない! これくらい飲めて当然よ!」
「あははっ!気に入った! じゃあどんどん飲みましょう!」

 そう言って、溢れんばかりの酒を空にすると、同じ量を盃に注ぎ、妖精に渡す。
 その多さに妖精は身動ぎしつつも「朝飯前ね」と声を張り、見事これを飲み干した。
 成し遂げた妖精の顔は赤提灯のようで、目元も鼻先も一色に染まっている。
 天狗は「素晴らしい」と手を鳴らし、口元を弧のように歪ませた。

「いやはや、手強い。さすが最強を名乗ることはある」
「あ、あたりまへでしょ これくらひなんへもないわ」

 天狗と妖精の勝負は続く。
 妖精は三杯目で身体が大きく揺れはじめ、四杯目で飲む速度が極端に落ち、ついには五杯目で量が半分になったことにも気づかないようになっていた。
 その様子を楽しむかのように六杯目を飲み干した天狗は、次の酒を用意しながら妖精に問うた。

「おやおやぁ? 顔色が悪いようですね。降参しますか?」
「ま、まらよ! にかさなあひんだからぁ!」

 もう呂律が碌に回っていないが、闘魂だけはハッキリしているようだ。
 すでに勝敗決したといっても良い状況ではあった。しかし諦めないどころか、己を逃がさないとする妖精がいる。
 その可笑しさに、ヤニ下げるだけだった天狗はとうとう腹を抱えた。

「あはははっ!逃げる!? まさか!! こんなにも楽しい勝負から逃げるわけないなぁ! やはり貴方は面白い妖精だ!!」

 天狗は突然十升瓶を持ち上げ、注ぎ口を傾けた。
 有り余る中身は全て、天狗の喉の奥へ消えていく。人間であれば卒倒する量であったが、その顔色に変わりはない。
 ただ妖精に向ける期待だけが、彼女の表情を変化させていた。

「さあさあ!それを飲み干したら貴方の勝ちですよ! 飲んでみよ!チルノ!!」

 妖精は渡された盃をうつろに眺めるだけで、返事がない。
 この一杯を飲めば自分の勝ちだということにも気がついていないのだろう。
 揺れる身体に合わせて、液体もチャポンチャポンと音を立てる。


 飲むか、飲めないか。
 盃を渡されてから程無く――ついに妖精は倒れた。
 いや「倒れた」というよりも「倒された」が正しいかもしれない。盃を急に奪われて、バランスが崩れてしまったのだから。

 盃を奪ったのは鴉天狗だった。だがそれは妖精と勝負していた天狗――射命丸のことではない。
 射命丸は舌打ちをすると、その人物を睨み付けた。

「邪魔しないでよ、はたて」
「あんたさー、妖精を苛めて楽しいわけ?」
「苛めてなんかいません。妖精と談笑していただけです。……せっかく好い気分だったのに台無しよ」
「はいはい、それは申し訳ございませんでしたーっと」

 鴉天狗――姫海棠はたては、妖精から奪った酒を一口含み、しかめっ面をした。
 射命丸たちが呑み交わしていた酒がどんなものなのか悟ったのだ。

「ちょっと、これを妖精に飲ませたの? 苛めてないだなんて、よく抜かすわー」
「うるさいですね。私物で一番いいやつがこれだったんですよ」
「だからって飲ませていいもんじゃないわ。この子、明日うなされるよ」

 射命丸は口を尖らせながら、顔を向けることもなく「わかってます」と一言だけ。彼女は大の字に倒れた妖精を手繰り寄せていた。
 そして妖精の頭が天狗の腿に乗ったところで、ようやく両者の目が合った。

「……それで、私に何の用よ」
「分からないの? これよこれ。妖精と呑んでたみたいだけど、まだ呑めるでしょ?」

 彼女は盃を奪った手とは逆の手を差し出した。その手には一升瓶。よく見ると小ぶりな盃も瓶に括り付けられている。
 その意味を射命丸はすぐに理解できなかったようで一瞬呆気にとられると、大きく息を吐き、わざとらしく肩を竦めた。

「なに? 競争相手と仲良くしたいって訳?」
「いやいや、ライバルをべろんべろんに酔わせて情報を頂こうって訳。分かったら大人しく席に着きなさい」
「……ふん、私を酔わせたいなら樽で持ってきな。その程度では酔いが醒めるわ」

 そう言って、射命丸は腕を差し出した。
 盃を返せ、ということだろう。

「ひねくれた奴ねー。もっと素直になれば良いのに」
「ごちゃごちゃ言わず早く寄越しなさい。あ、もちろん中身を入れてね」
「はいはい、わかりましたよ」


 二つの器に酒が満ちる。一口目は互いに何も言わず、ただ盃を傾けた。
 溜息混じりに「薄味だ」と片方がぼやくと、もう片方は「文句を言うな」と拗ねた顔になった。

「それで? 私はどんなことを根掘り葉掘り聞かれるのかしら」
「じゃあ、ずっと気になってたんだけどさー」
「なに?」
「この前あんたさ、気持ち悪いこと言ったじゃん? 私の新聞に自分の記事載せてみろって」

 何かに反応して、射命丸の盃を傾ける手が止まる。
 だがそれも一瞬のことで、平然とした顔を保ったまま「ああ、そうでしたね」と素っ気なく返事した。

「どうでした? 私の言ったとおり、少しは発行部数上がったでしょう?」
「上がりも下がりもしてないわー。嘘つきね、あんた」
「あら、ご愁傷様。まあそんなもんじゃないの、貴方の新聞は」
「それは文も一緒でしょ。――って、そうじゃなくて、私が聞きたいのはどうしてそんな提案してきたのかってことよ。
 あの時は文に私の書き方が云々言われたからムカついた勢いで載せたけどさ、いま思い返すとやっぱり腑に落ちないのよねー」

 はたては「不気味すぎて夜も眠れないわー」と唸りながら身を揺らす。
 それを聞いた天狗は「心外だ」と渋い顔をした。

「まったく、世間知らずのひよっこはこれだから困るわ。私は優しくアドバイスしただけというのに」
「それが意味分からないのよねー。私の新聞のランキングが上がったら損するのは文でしょ?
 質の悪い記事渡して、とかなら分かるけど、別に普通の真面目な記事だったしー」
「私の記事をダメにするくらい、貴方が酷いということではないの?」

 今度は、はたての手が止まる。
 こちらも平然とした顔で――というわけにはいかず、妖精みたくヘソを曲げてしまった。

「よく言うわー。むしろ文の方が酷いと思うけどー。妄想新聞だしー」
「お生憎様、この子は貴方の新聞じゃなくて、私の新聞が良いって言ってました。つまりはそういうことです」
「むぅー……っていうか、この子、その記事の子じゃん」
「そうですよ。自称最強の妖精です。手を抜いた人間に四苦八苦してましたけどね」

 遮る雲が消え、月の光が大地に降り注ぐ。
 鈍く朧気な明かりに照らされた彼女は妖精を見詰め、ただ静かに、妖しく笑っていた。
 妖精の髪を撫でるその仕草は、まるで繊細なガラス細工を扱うかのよう。誰かが手を伸ばしても、きっと遮られて届かない。
 そんな疎外感のせいか、はたてはようやく相槌を打った。

「んー……文さ、何か変なものでも食べた?」
「あら、貴方も皮肉を言うようになったのね。時の流れは残酷ねぇ」
「心配して言ってるんだってば」
「私は至って健全ですが」
「いやいやいや、おかしなところばっかりだよ」
「はぁ、たとえば?」
「あそこに混ざってない」

 はたては、どんちゃん騒ぎが聞こえる方を指差す。
 いまだに人妖は遠慮を知らず、始まってからの勢いを衰えさせることなく、騒ぎに騒いでいた。
 そんな宴会は普段とは違う一面が見れる絶好のチャンスであり、少なくないネタが拾える集まりである。
 皆が皆、酔っているから警戒も薄い。写真を撮って怒られても、肴を見せてやれば視線は泳ぎ、次には忘れている。取材を嫌がっていても、ちょっと誘導してやれば、口を滑らせる者もいる。天狗にとっては格好の餌場だった。
 ゆえに、はたては疑問に思ったのだろう。カメラも構えず人目離れて孤独に飲むような奴ではないと知っていたから。

「いつもの文なら、あそこで巫女と一悶着ある頃でしょ? なのに、こんなところでチビチビ飲んじゃってさ」
「そういう気分なんですよ。別に珍しいことでもない」
「だけど妖精とは飲んでたじゃん」
「それはこの子に勝負を挑まれたからです。飲みたくて飲んでたわけじゃありません」
「ん?……でもさっき、妖精と楽しく談笑してたって――」
「うるさいです」

 ピシャリと言葉が遮られる。天狗の顔はむくれていた。

「妖精と飲み交わすのがそんなに可笑しいですか?」
「ち、ちょっと、別にそこまで言ってないよ。ただ飲み交わすなら、もうちょっと妖精に合わせたお酒の方が……」
「祝い酒には度数の高いものを出すのが礼儀ってもんです。なまっちょろい酒なんて意味ないのよ」
「えっ」
「なに、文句あるっていうの?」
「あ、いや、そうじゃなくて……」

 紅い眼差しを向けられた天狗は、居た堪れなくなって視線を下へと逃がした。
 すると、妖精が天狗に膝枕されているのが見えた。
 そこまで確認すると、今度は妖精の手に違和感があって、自然と目が追っていた。

 違和感の正体は「手の大きさ」だった。
 誰かの手が妖精の手を握り、隠していたから大きく感じたのだ。思わずその光景に息を呑んだ。

 その手が誰のものなのか――それは考えなくとも分かること。

 なぜ握ってるのか――意外にも早く、想像できてしまった。

 確かなのか――思い返してみても何一つ矛盾はない。

 ――はたては目を見開いた。

「あー、あー、もしかして、そういうこと?」
「いきなりなんですか、独り言なんか言って」
「文さあ、相当酔ってるわね。らしくない」
「貴方にらしくないと言われるほど、親しくはないはずですが」
「親しくないなら私のこと利用しないでよねー」
「…………はて、なんのことでしょう?」

 澄ました顔で盃を傾ける鴉天狗。
 はたては相手の瞳を見て確信を得たかったが、射命丸も馬鹿ではないので目を合わせようとしない。
 仕方ないと、はたても同じように酒を口に含み、天を見上げた。

 群青の世界に望月が浮ぶ。
 その白き星にカメラを向け、シャッターを切った。

「月が綺麗ねー。そう思わない?」
「そうね。叢雲が出てるけど」
「おっと、邪魔者扱い? そんなんじゃ将来孤立するよ」
「構わないわ。この子がいるから」

 自嘲気味に呟く天狗はひとえに妖精の髪を撫で、なにかを望むかのように白き星を眺めていた。
 夜空の星々は大地を照らすだけ。願いを叶えたりはしないというのに。

「面倒くさい天狗ね。そんなんだから嫌われるのよ」
「慣れっこですよ。他人の評価なんて知ったことではないです」
「……この子にも嫌われたらどうするの」
「さあね。どうするかは未来の私に任せますが……――もしかしたら感傷的になって首を吊っちゃうかもね」

 妖精を横抱きして射命丸は立ち上がった。
 闇夜に隠れていた翼が姿を現す。月の光がその輪郭だけを映し出していた。

「そろそろ帰ります。貴方の言うとおり、酔いが回ってきたので」
「ふーん……まあ、私もとりあえずいいかな。聞きたかったことも聞けたし」
「では――」
「あ、そうだ」
「……なによ」
「さっきも言ったけど、もっと素直にね。私はどっちでも構わないけどさ、その子はきっと喜ぶよ」
「…………善処します」

 それを最後に、鴉天狗は妖精を攫って星空に消えた。
 残った天狗も最後の一口を飲み干すと、おかわりを探す旅に出ることにしたようだ。
 腰を上げ、遠くに見える人妖の宴に混じろうと歩み始める。すると、地面に落ちていた何かが足に引っかかった。
 拾い上げると、灰色の紙には「花果子念報」の文字。彼女の新聞だった。

「誰よ、私の新聞を捨てた奴は。まったく……」

 眉根を寄せつつ、紙束を広げた。
 改めて見返す自身の作品。その中に一つだけ浮いた記事。名義は彼女になっているが、実はそうじゃない。
 きっと「あの子」は気づいていない。そしてこれからも気づかない。それを良しとする「あいつ」が変わらない限りは。

 納得したような、納得できないような、そんな表情を浮かべて空を見る。


「――ああ、本当、ひねくれた奴ね」


 誰もいない夜空に向かって、文句を言った。









 ―了―
お読みいただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
*---
22/11/09 誤字修正しました。(324行目)
評価・コメントいただき誠にありがとうございます。励みになります。
瑞根褐葉
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コメント



0.50簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
2.100東ノ目削除
登場人物の性格の書き分けが良かったです。途中まで文が嫌な奴だな、となりますが、ストーリーが収束していくにつれて評価が上がっていくので読後感も良い。面白かったです
3.90名前が無い程度の能力削除
てぇてぇ
5.100名前が無い程度の能力削除
とても良かったです。あやチルもあやはたも尊い。浄化されました
6.100名前が無い程度の能力削除
尊い
7.100相月八舞兎削除
テンポがとても良かったです
8.100のくた削除
いい! 構成が凄くいい。文の態度がとても好き
9.100南条削除
面白かったです
素直になれない射命丸がかわいらしかったです
10.90めそふ削除
面白かったです
11.100こは削除
雰囲気好きです。読後感もいい。