鴉は頭のいい動物だから機転も利くのです

作品集: 2 投稿日時: 2011/04/01 22:05:35 更新日時: 2011/04/01 22:05:35 評価: 1/8 POINT: 1054439 Rate: 23432.53

 

分類
お燐
おくう
さとり様
普通にエイプリルフール話
嘘は一つだけ



「……………」

某日の朝早く、あたいは地霊殿のおくうの部屋で凍りついていた。
寝込みを襲ってらぶちゅっちゅしてからキャッキャウフフして二人で激しく二度寝をしようと、おくうの部屋に忍び込んだ。
で、ベッドで眠るおくうの傍まで忍び寄って、さあいざ……と思った時……。



ぱきっ



と、乾いた音が部屋に響く。
足の裏に感じる異物感。どうやら、何かを踏みつけてしまったようだ。
こんな、ベッドの傍にいったい何を置いておいたんだろう。
光り物が大好きなおくうの事だから、また変な物でも拾ってきたのかな。
そう思って、足元に目線を動かしたら……。

……そこには、おくうが何時も胸に付けている、あの目玉のようなレンズが……。

ついでに言うと、聞こえた音のとおり見事に真っ二つに割れて。

や……やばい。
確かこのレンズ、おくうが核の力を手に入れる前は使ってなかったはず。
つまり、山の神様から八咫烏の力を貰った時に、一緒に貰ったんだと思う。
きっとこのレンズは、八咫烏の力を使う時に何かしら重要な役割を果たすものなんだと思う。
つまりつまり、このレンズは制御棒と同じくらいに、おくうにとっては大切な物だったわけで……。

「うにゅ……?」

冷や汗をだらだら流しながら状況分析をしていたあたいの耳に、破滅へ誘う声が届く。

「あれ……お燐……? そんなところでなにやってるの……?」

寝ぼけ眼を擦るおくう。
ああもう、可愛いなぁチクショウ。核の力を手に入れてから可愛さにさらに磨きが掛かった気がする。
あれか、これが核融合の力か。無限に萌えるエネルギーを生み出す力ですね判ります。
昔から可愛かったけど、ああもうおくう可愛い可愛い可愛い……。



「ごめんなさいごめんなさいマジでごめんなさいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」



そんな事を考えて現実逃避出来るほど、あたいは出来た妖怪じゃなかった。

「うにゅ?」

「本当にごめん!! あたいとした事が、おくうの大切な物を壊すなんて何たる失態!!
 あ、あたいが山の神様に謝りに行くから!! おくうは何も悪くないから、大丈夫だから!! だから嫌いにならないでぇ!!」

軽くパニック状態になりながらも、とりあえず土下座。全力で土下座。
ああもう!! おくうの夫であるあたいがホントになにやってるんだよぅ!!

なんでそんな物をベッドの脇に置いておくんだとか言いたいけれど、今はとにかく謝る。
他のどんな事よりも、おくうに嫌われるのだけは嫌だ。そんな事になったらあたいは死ぬ。



「……っ、うにゅはははははははっ!!」



……はいっ?

「引っ掛かった引っ掛かった! お燐ってばそんなに慌てちゃって!!」

何故か腹を抱えて笑うおくう。
普段滅多に見れないこの光景に、暫しの間呆然。
おくうは笑顔でいる事は多いけど、こうして露骨な大笑いをする事って、基本的にはないからなぁ。

「お、おくう? どういう事?」

「そのレンズ、ニセモノなんだよー。そこに置いておけば、お燐がきっと踏んづけるだろうと思ってさ」

……えっ?

「ほら、今日はエイプリルフールってやつみたいだからさ。
 私も何か嘘を吐こうかなーって思ったら……早速引っ掛かってくれたみたいだね」

とても眩しい笑顔を浮かべるおくう。宛らそれは太陽の様だった。

「な、なーんだ……あたいってば、てっきり本当に壊しちゃったのかと……」

「うにゅはははっ! そう思ってくれたなら、エイプリルフールって言うのも楽しいもんだねー」

「馬鹿だなぁ、エイプリルフールって言うのは言葉で嘘を吐くもんなんだからね」

「うにゅ?」

ああもう、心配して損したよ。
おくうってば、こんなネタを仕掛けるなんてやるじゃないか。すっかり騙されちゃったよ。

「で、そう言えばお燐。何しに来たの?」

「え、あーいや、あははははは……ほ、ほら、早起きは何とかの得って言うから、おくうを起こしに来たんだよ!
 あ、じゃああたいは散歩にでも行ってくるから! またご飯の時にね!」

騙されちゃった手前、まさかおくうを襲いに来ましただなんて言えるわけもない。
とりあえず適当に誤魔化しておいて、即逃げ出す。

あーチクショウ。おくうに騙されるなんて、それこそ生涯初めての失敗だよ!
純粋で裏表がなくて、真っ直ぐで、そんなおくうに嘘を吐かれた事なんて、あたいは一度も……。



……あれ?

そうだよなぁ、あたいはおくうに一度も嘘を吐かれた事なんてないもんなぁ。
そもそも、おくうはなんであんな嘘を吐く事が出来たんだ?
さっきの嘘は、あたいがおくうの部屋に忍び込むと言う前提がないと成立しないし……。
『何しに来たの?』と言う言葉通り、おくうはあたいが部屋に忍び込む理由なんてないと思っている。
だったら、おくうとキャッキャウフフしてあんな事やこうな事をしようとしていたなんて、想像出来るはずが……。



「あら、そんな事を考えていたとは、エイプリルフールにしては悪い冗談ですねぇ……」



……。

……直感した。あたいは今日死ぬ。

「さ、ささささささささ……」

廊下の向こうから、ゴゴゴゴゴ……という擬音と一緒に現れる我等が主。

「エイプリルフールを盾に何をするかと心配して見に来てみれば……。
 とてもとても素敵な事ですねぇ。仲が良いみたいで、主人としてとぉっても嬉しいですよぉ?」

確かに、さとり様は何時になく素晴らしい笑顔を浮かべていた。

あ、あはははは……さとり様、今日もその笑顔が可愛らしいですよー……。
だから、そのスタンドの如き背後霊を仕舞ってください。
仁王とか阿修羅とか、そんなのがまだ可愛く見えるくらいのスタンドを……。

「大丈夫ですよ……今日のお仕置きは、とても優しいものですから」

「……さ、さとり様……きょ、今日は何の日かご存知ですよね……?」

「勿論です☆」

そしてその数分後、地霊殿中に響き渡るあたいの悲鳴。
おくうがどうしてあんな嘘を吐けたかなんて、地獄の拷問から解放された後のあたいには、これっぽっちも考える余裕はなかった……。
お燐が拷問を受けている最中、妖怪の山に向かって飛んでいく鴉妖怪の姿が目撃されていたとか何とか。


どうでもいいですが私はおりんりんになりたい……と言いたいけれど、さとり様のペットになっておりんくうの笑顔を眺めていたいです。
おりんくう万歳^p^
酢烏賊楓
http://www.geocities.jp/magic_three_map/Kochiyami.html
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2011/04/01 22:05:35
更新日時:
2011/04/01 22:05:35
評価:
1/8
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0. 54439点 匿名評価 投稿数: 7
6. 1000000 名前が無い程度の能力 ■2011/04/02 00:41:51
ええ子や……
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