隣の雲さん

作品集: 2 投稿日時: 2011/04/01 18:25:01 更新日時: 2011/04/01 18:27:54 評価: 0/4 POINT: 31108 Rate: 1245.32

 

分類
雲さん
「おいお前が行けよ。私は嫌だぜ」
「何言ってんのよ。放り込んだのは魔理沙でしょ」
 昼下がりの幻想町。磯野霊夢は親友である中島魔理沙と、今日も今日とて野球の祭典「紅魔園」を目指して練習していたのだが、お約束のように魔理沙のホームランボールがフェンスを越えてお隣さんの家の窓をぶち破ってしまった。
 家は噂も噂の雷親父、雲居宅である。近所でも雲さんで有名だ。
「参ったな……私のサインでもしておけばよかった」
 結局、あみだくじに負けた魔理沙がチャイムを鳴らし、ボールを取りに行ったのだが──

「あら、いいのよいいのよ。丁度窓も汚くなってたから」
 雲居さんは思った以上に優しかった。というか、親父じゃなかった。
「いえいえ、それなら良かった」
 言ったものの何が良かったのか判らない。というか、こんなアバンギャルドな窓で良いのか。
「あ、よかったらお茶でもどうぞ」
 奥の間に勧められる魔理沙。
「いや、そんな……私はこれで」
「いいのよいいのよ。新しいお菓子もあるから是非食べていってほしいわー」
「あ、いや……その」
「食べていってほしいわー」
 大事な事なので二度言われた。目が笑ってない。
 霊夢も待っていることだし、ここは手早く済ませれば良いか。
 そんな軽い気持ちで、魔理沙は乗ってしまったのだった。星蓮船に。

「いやー、それで花沢紫の奴ときたら磯野にゾッコンでね」
「あはは、磯野君はモテモテねえ」
 盛り上がってた。魔理沙と雲居さんは盛り上がってた。
 窓割ったのに……窓割ったのに……でもまあ良いか、と魔理沙は思ってた。
 でもコーヒーを飲み干した魔理沙は、そのカップの底に書かれている文章を見た。

 「このカップを置いたら、おまえは死ぬ」

ドドドドドドドドドド

 生唾を飲む魔理沙。
 微笑む雲居さん。
「どうしたの?何か書いてあったの?」
「い、いや、その」
「最近壁の落書きも多くてね。困っちゃうのよ」
「はは……それは困りますね」
 魔理沙の背中に妙な汗が伝った。あの落書きもやっぱり魔理沙の仕業である。
 目玉親父とか、目玉焼きとか、何でも落書きはパワーと見せつけた。
 雲居さんは全てお見通しだった。魔理沙はまた一つ、ごくりと音を立てた。
「どうしたの?」

 慎重に、慎重に、カップを置いたらすぐに逃げよう。
 慎重に。慎重に。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 カチャ

「ブルアアアアアアアア!」

 おい、声優違うぞ!

 魔理沙はここに来てようやく、雲居さんが雲さんと呼ばれてる理由がわかった。

 雲居さんはスタンド使いだったのだ。



 魔理沙はこなみじんになり、薄れ行く意識の中で命乞いをした。

「雲ざぁん……」
何か最初の三行書いたら、もうどうにでもなーれ。
zenteki
http://twitter.com/zenteki/
作品情報
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投稿日時:
2011/04/01 18:25:01
更新日時:
2011/04/01 18:27:54
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