せいぜい戦え! キャプテンムラサ団!
作品集: 2 投稿日時: 2011/04/01 10:31:46 更新日時: 2011/04/01 10:31:46 評価: 2/12 POINT: 1051882 Rate: 16183.18
分類
村紗
ナズーリン
星
キャプテンといえばカトラスだと思うんだ。
水蜜はそう叫んだ。八畳間で。うるさかった。ナズーリンは耳を塞いだ。このでかい耳を塞ぐと顔まで垂れて目まで塞がれた。
「ムラサ! 用意してきました!」
駆け込んだ星の手には金装飾のカトラス。やべえ何これカッコいい。
海の男と言えばカトラスである。フルーレでもシャムシールでもない。このカトラスで人の首をザックリやっちゃって身ぐるみを全部奪うのが海の男と言うものなのである。常識だ。小五の理科(上)にも書いてある。
小五の里香と書くとすさまじく犯罪的なので間違ってはいけない。書いたら捕まる。
「ククク……よくやった、さすがはキャプテン・ムラサ団の参謀よ」
剣を手に取る水蜜の機嫌は、とてもいい。確かに星にしてはよくやっている。
「今までうっかり物干し竿にしてました」
「うわ、なんか柔らかい! 柔軟剤使っただろ!」
「そんな、洗剤だけですよ!」
ンギモヂイイオイイイ!!
ン〜ンン↑
こうしてくねくね曲がるうえにふわふわしている伝説のカトラスが誕生した!
鞭のようにしなやかに舞い、穴あき包丁のようによく切れ、ナズーリンの木綿パンツのように柔らかい。
「予期せぬところで伝説の剣を手に入れた。これだからキャプテンはやめられん」
いいないいな。キャプテンっていいな。
でもキャプテンってなんだろうな。とろけるぐらい甘いのかな。
「星、私がこれで何をするつもりか分かるかね」
「ナズーリンの服だけ斬るんですよね」
「違う」
「じゃあ料理ですか?」
「正解!」
ナズーリンはほっとした。どうやら目が見えなくなっている間に脱がされていた、なんてことにはならないらしい。いま前が見えないんだからあんまり破廉恥なことされるとドキドキしちゃうところだった。
カトラスの切れ味は料理にも活かされる。海の男の万能包丁なので魚をさばくのが得意だ。
「試しにそこにあるウナギをさばいてみよう」
「ウナギ? どこです?」
そのときナズーリンの尻尾が喋った。
『オハヨウナギ』
まーほーうーのーこーとーばーでーたーのしーなかまーがー
「ポポポポーン!!」
水蜜は歌いながらというか掛け声を放ちながら、ナズーリンの尻尾という名のおはよウナギをさばいた。
跡には尻と蒲焼だけが残った。
(くそっ、俺はここで終っちまうのか……)
蒲焼となったおはよウナギは心のなかで泣いていた。俺はまだ魔法の言葉を唱えきれていないと言うのに。
ポポポポ〜ンの魔法は全部で七十二の呪文からなる。あれだけ人間の頭をポポポポ〜ンにしたあの呪文は、七十二あるうちのたった十一でしかない。
魔法の呪文で呼ばれる妖獣たちは、AC七十二柱神と呼ばれている。全て召喚されると世界が滅ぶ。
「ごちそうさマウス! ナズーリンだけに」
おはよウナギは三人でおいしく頂きました。
水蜜の駄洒落に突っ込む、気立てのいい輩はここにいない。
こうしておはよウナギの長い旅は終わった。思えば本当に長かった。彼はナズーリンが妖怪になったときからその尻にしゃぶりつき続けていた。千年近くである。その間で、尻尾としての機能すら身につけた。ウナギなのに。
彼とナズーリンは一心同体だった。しかしボールドの魔法がかけられたカトラスによって、二人の関係はあっという間に寸断されてしまった。彼はもう、ただのウナギだった。蒲焼にされてしまっては、オハヨウナギと震えた声で抜かすこともできない。
尻をしゃぶる役だったのに、気づけば頭からしゃぶりつかれていた。仕方ない。これも食用ウナギのさだめ。
っていうかご褒美じゃね? ウッフッヘ
さよなライオン。
水蜜たちの暗躍により、世界滅亡の危機は去った。だが忘れないでほしい。ナズーリンの尻尾がなくなったことを。ナズーリンの尻尾がウナギだったことを。ナズーリンのパンツが木綿だということを。ナズーリンの視界は未だ開けないということを。
そして何より。
ナズーリンがごちそうさマウスである限り、七十二の妖獣たちはこれからも水蜜たちに襲いかかるということを。
戦え水蜜! 幼女の尻を守るべし! 柔軟剤の名にかけて!!
ククク……無料で宣伝してやるんだから感謝してほしいものだ……
oblivion
作品情報
作品集:
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投稿日時:
2011/04/01 10:31:46
更新日時:
2011/04/01 10:31:46
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■2011/04/01 10:39:27
なんて言うか……すごいな、あんた
食べられないウナギもいるのだろうか
6.
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■2011/04/01 20:09:02
チンチンジャナカッタノカ・・・
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食べられないウナギもいるのだろうか