ふしぎなポケット

あらすじ
　正気の沙汰でない





ポケットのなかにはビスケットがひとつ

ポケットをたたくとビスケットがわれた





うでのなか　はだかのまりさ

めをとじて　くちもつぐんで

ぐったりと　ねむってる

キスしても　くすぐったがらない

さわっても　ぴくりともしない





もひとつたたくとビスケットがこなごな

たたいてみるたびビスケットはわれる





さらさらな　きんいろのかみ

すべすべで　やわらかいはだ

てにいれた　まりさのすべて


でもなんで　かなしいの

きまってる　ちがうんだ

ここにいるのは　まりさじゃない

わたしのすきな　まりさじゃない



どうしてなんで　まりさがいない

わたしのすきな　まりさがいない




だってにんげんはやわらかい

たたいたらつぶれちゃう


おねえさまから　そうきいた

しっているんだ　うそじゃない


だってつぶれたにんげんは

つちにかえっちゃう


うそだといって　うそじゃない

ゆめだといって　ゆめじゃない